フルコースとライダーと学園生活   作:ボルメテウスさん

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記憶なき幸せ

「・・・」

 

その日、ショウマは、どこか思い詰めたように空を見ていた。

邪兎屋との再会。

それは、彼にとっては、嬉しい物であるはずだった。

記憶のない自分にとっては、味方となってくれた存在。

そんな彼らと出会う事が出来た。

それは、嬉しい事のはずだった。

だけど。

 

『俺の、過去って、一体何が起きたんだ?』

 

ショウマの、その言葉を聞いた瞬間、全員が少しだけ戸惑いはあった。

まるで、それを本当に話したら良いのか、分からないように。

それを見ていたのは、ショウマだけではなく、千束達もだった。

千束達も、そんなショウマの過去は気になった。

だからこそ、彼らにそれを聞いた。

多少彼らは悩んだ様子だったが。

そうして、彼らが語った話は、とても重かった。

現代の日本では、考えられないような境遇。

 

『確かに、ショウマ様が記憶喪失だと、最初に聞いた時には悲しくはありました』

『けど、同時に、あんな記憶があっても、ショウマの為になるかと言うと全然違う』

『だから、記憶喪失だとしたら、それはそれで良い』

『まぁ、ショウマとはまた新しい想い出を造れば良いしな』

『向こうの知り合い達も、そう言うと思うからね』

 

彼らは、そう言った。

それだけでも、ショウマの過去が悲惨である事は分かる。

 

「・・・ショウマ君はさ、記憶を取り戻したいと思う?」

 

だからこそ、千束は、思わず問いかけた。

その言葉に対して、ショウマは一瞬だけ、どう答えたら良いのか分からない様子だった。

戸惑いもあった。

けど、それ以上に。

 

「正直に言えば、分からない」

「分からないか」

 

その答えに、千束も頷く。

 

「ライカンやエレン、アンビーにビリーにニコ。

皆、俺にとっては大事な友達で、きっと向こうではそんな友達がいたと思うんだ。彼らの事を忘れるのは、とても辛い。だからこそ、思い出したい気持ちはある」

「そうだよねぇ」

 

千束も、彼らと交流して、かなり好印象だった。

学校で通う時に一緒に行動している事が多いエレンは既に友人だ。

アンビーに関しても、共通の映画という趣味もあり、盛り上がる事もあった。

ライカンも、ビリーも、ニコも。

彼らと交流して、全てのグラニュートが悪ではない事は理解出来た。

だが、それ故に不安は確かにある。

彼らの言うショウマの過去に何があったのか。

それは、千束も分からなかった。

それでも、彼の今の生活。

その思い出がいつか自分の辛い過去を乗り越えられる時まで。

 

「その時までは」

 

そうして、千束は、今日、届いたそれを見つめる。

 

「だからこその力かもしれない」

 

そのアタッシュケースを見ながら。

ゼンゼロから出る陣営は

  • 邪兎屋
  • 白祇重工
  • ヴィクトリア家政
  • 特務捜査班
  • カリュドーンの子
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