井ノ上たきなは、その日、武器商人の制圧の為の任務を行っていた。
ビルの内部には、リコリス達による強襲を行っており、その武器商人のほとんどを殺害をしていた。
そして、任務が既に終わりを迎えていた。
最期に、リコリスの1人が人質に取られた状態ではあったが、たきなは、すぐにその場にあった機関銃を使い、テロリストを全滅させた。
はずだった。
「くそぉっ、お前らっお前らっよくも邪魔をしたなぁぁ!!」
「・・・えっ」
そこにいた武器商人の一人。
その一人が平然と立っていた。
機関銃の嵐を正面から受けたはずなのに、男はまるで何事もなかったように立ち上がった。
それには、その場にいたほとんどのリコリス達が、驚きを隠せなかった。
ただ、一人、ファースト・リコリスであるフキだけは、その正体に察した。
「まさかっ、グラニュートっ」
「やっぱり、正体が分かってしまったか。ちっ、本当に。人間の姿はかなり窮屈なのに」
そうしながら、その男は腹部を剥き出しにする。
剥き出しになった腹部にあったのは痛々しい治療がされたと思われる口があり、その一部の機械を無理矢理剥がす。
すると、剥がされた機械から電気が弾ける音がすると同時に、男の身体は変化する。
全身黄金の体色で、太鼓腹が特徴的な姿となり、そのまま周囲を見渡す。
「せっかくこいつらに大金を掴ませて、幸せになった所をスパイスにする予定だったのに、お前達のせいで台無しだ」
「本当にっ嫌になるよっ」
同時にフキは、時計を見る。
グラニュートが滞在出来る時間は、計測して5分程度。
過去に現れたグラニュートは、人間の姿に化けても、その程度であったが、一年前のとある実験の成果によって、人間の皮を被っている間のみ、ある程度の期間の滞在が可能となった。
だが、人間の皮を被っている故に、戦闘能力は人並みになってしまった為、グラニュートが本格的な活動を行う場合は、人間の皮を破り捨てる必要がある。
フキは、すぐに冷静に、その場の離脱を考えた。
「司令部っ、離脱の指示をっ」『その必要はない』
既に通信が回復を確認したフキは、そのまま司令に離脱する為の指示を貰おうとした。
だが、帰ってきたのは、その必要はないという言葉。
一瞬、その言葉に疑問はあった。
だが、それは、たきなの前にある床が、それを物語った。
「えっ」
四角の正方形に斬られた。
一瞬、何なのか分からずにしている間にも、その床はそのまま蹴り飛ばされる。
たきなは、そのまま、正面から現れた存在に目を向ける。
身体は紫色のアーマーに包まれており、人間離れをしている存在。
その存在の名は、DAでも確かに通じている。
「来たのか、ガヴっ」
その正体を知ったフキは目を見開く。
それと共にたきなもまた、呟く。
「あれが、対グラニュートの最初の戦士」
これまで、DAでは対抗する事が出来なかったグラニュート。
その最初の対抗手段として誕生した戦士であり、その素生は、DA内部でも知る者は少ない。
「なっ赤ガヴだとっ!?」
そのままガヴこと、ショウマの登場に驚きを隠せなかったグラニュート。
グラニュート・マネーは、その手をガヴに向ける。
それと共に、コインを模した光弾を手から発射する。
その攻撃は、ガヴだけではなく、周囲にいるたきなを含めたリコリスにも。
それらの攻撃は、あまりにもバラバラであり、避ける事は困難であった。
「ふんっ!」
瞬時に、ショウマは、腰にあるガヴから飛び出させたガヴガブレイドを手に、グラニュート・マネーに突っ込む。
その攻撃を、正面から受け止めながら、素早く接近する。
グラニュート・マネーの攻撃は幾つか受けている為か、装甲の幾つかは既に破損していた。
しかし、跳んだ勢いに合わせるように、その手にあるガヴガブレイドで斬る。
「ふぎゃぁぁ!?」
ガヴガブレイドの攻撃は、あっさりとグラニュート・マネーの身体を斬り裂く。
同時に、ガヴガブレイドを地面に突き刺し、そのまま蹴る。
勢い良く放った跳び蹴りは、そのままグラニュート・マネーを壁に埋め込む。
「がはぁっ!?」
その一連の動きに、たきなは目を見開きながら驚く。
対グラニュートの戦士だとは聞いていたが、ここまであっさりと行えるのか。
そう考えている間に。
「さぁ、ここで決めろ。闇菓子と関わるのを止めるのか、それとも痛い目に遭うのか」
そう、グラニュート・マネーに向けて、ショウマは宣言する。
その言葉の意味に対して、フキ以外、疑問に思った。
だが。
「止められる訳ないだろぉ!!」
そう、まるで吹っ切れたように、グラニュート・マネーは、身体を丸める。
巨大な黄金の塊となったグラニュートは、すぐに壁に埋め込まれている事を利用し、後ろの壁を破壊する。
それによって、飛び出たグラニュート・マネーは、そのまま逃走を図ろうとする。
だが、ショウマは。
「そうか」『ガヴ! ガヴ! CHARGE ME CHARGE ME!』
既にその答えが分かっていた様子で、既にガヴを操作していた。
ショウマの背後に現れたムニュというエフェクト。
それを足場に、ショウマは、跳ぶ。
グラニュート・マネーが逃げ出した方向に、先回りするように次々と現れるエフェクト。
そんなエフェクトを足場に蹴り跳び、そのままグラニュート・マネーに向かって。
「はあぁぁぁ!!」
放たれた必殺の一撃。
その跳び蹴りを、グラニュート・マネーに叩き込む。
「がぁぁぁ!」
それと共にグラニュート・マネーは、近くにある建物に激突し、悲鳴を上げる。
それが戦いの終わりであるように。
「あれが、仮面ライダー」
その戦いを終始、見ていた。
ショウマは立ち上がると共に、ふと何かを見る。
そして。
「ちっ遅刻だぁ?!ヤバいヤバいっ!?」
「・・・」
先程までの雰囲気が一変。まるで慌てた子供のようにビルから飛び降りる。
それらの動作を行いながら、ショウマは、そのままビルの中で再びたきな達の所に戻る。
「フキっ、ごめんっ、俺、これから試験に行かなくちゃいけないからっあとは頼める!!」
そう、フキの元に来た仮面ライダーの雰囲気は、先程までの戦士ではなく、まるで子供のような声であった。
それに対して、フキは。頭を抱えて。
「分かったから、さっさと行ってこい」
「ありがとう!!急がないと!!!」
そうして、ショウマはそのまま去って行った。
それを呆然とたきなは見つめていた。
ゼンゼロから出る陣営は
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邪兎屋
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白祇重工
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ヴィクトリア家政
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特務捜査班
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カリュドーンの子