「お前はっ一体!」
そうしながら、怪物はそのままショウマの方を睨む。
だが、そうしながらも、ショウマは構える。
後ろに、千束がいる。
「お前が誰だか、分からない! けど、千束を傷つけたお前を許さない」
その言葉と同時だった。地面を走る小さい影。その小さな影を、千束にも見えていた。
「あれって」
それは、これまで謎だった小さな妖精。
そのまま自らの意思で、ショウマの腹部にある赤い顔の中に入り込んだ。
『グミ!』
それと共に、鳴り響く音声。
疑問は一瞬。だけど、まるで引き寄せられるように、ショウマは、その手を赤い顔の横にあるハンドルを回す。
『EATグミ! EATグミ!』
赤い顔から流れる音声は、周りに響いていく。
その度にショウマの身体から溢れ出るのは紫色の、グミを思わせる何か。
周囲を、ショウマも千束も不思議そうに見つめる。
「お前っそれはまさかっ」
怪物は、それの正体を知っている。
だが、ショウマは、自然と、その動作を行った。
「変身!」
そう、赤い顔を叩いた。
次の瞬間、周囲にあったグミは、そのままショウマの身体に引き寄せられ、張り付いていく。
ショウマの身体を覆うグミは、徐々に形を変え、そのままショウマの身体に合わせた新たな姿になった。
「えっ」
千束から見た、今のショウマの姿。
それは一言で言えば、ヒーロー。
地元でよく見られるようなご当地ヒーローを思わせるような姿であり、目の前にいる怪物と合わせても、それがより強く思ってしまう。
グミで出来たヒーロー。
それが、今のショウマの姿だ。
「これは一体」
そして、ショウマもまた、自分自身の姿に疑問に思った。
自分の身に何が起きたのか、これは一体何なのか。
疑問は尽きなかった。
だが。
「どうやら、ここで始末する必要があるようだな!」
怪物は、その両腕の鋭い爪で襲い掛かる。
怪物が、こちらに迫っている事に気づいたショウマもまた、脚に力を込め、跳んだ。
「なっ!?」
怪物とショウマの間には、かなりの距離があった。
しかし、ショウマは、たった1度のジャンプで、怪物の目の前まで迫っていた。
その場にいる全員が、それに驚きを隠せないが、ショウマは、そのまま蹴る。
「がぁ!」
ショウマからの蹴りを受けた怪物は、後ろに吹き飛ばされる。
同時に痛みを感じたのか、口から漏れ出たのは痛みによる声。
「うそ」
先程まで、拳銃による攻撃でも、まるで痛がる様子もなかった怪物がショウマの蹴りでダメージを受けた。
それに驚きを隠せない最中でも、ショウマは。
「なんだか、分からない。けど、やれる!!」
ショウマは、その言葉と共に、すぐにそのまま走り出す。
怪物は、再びショウマに向けて、拳を振るおうとするが、それよりも早く、回し蹴りが決まる。
「ぐぅあ!」
またも、ダメージが入ったのか、今度は苦痛の声を上げる。
だが、それでも、怪物はすぐに反撃に出る。
鋭い腕を振りかざし、そのままガヴに向かって振り下ろす。
「甘いよ」
しかし、そんな攻撃などお見通しだと言わんばかりに、ショウマはその攻撃を軽々と避ける。
そこからショウマの攻撃が始まった。
まず最初に狙ったのは、相手の膝。
そこを狙い、思いっきり蹴ると、その衝撃により、相手は大きく体勢が崩れてしまう。
だが、怪物もまた、それだけで終わらせない。
すぐに反撃するように、腕を振るう。
振るわれた腕による一撃に対して、ショウマは、跳び上がる。
「さっきの」
その跳躍力は凄まじく、先程の怪物と同じように、一瞬にして相手の頭上へと移動する。
「くらえぇぇ!!」
空中から、一気に急降下するかのようにして、ショウマは相手に襲いかかる。
そのまま地面に着地すると、怪物はそのまま倒れ込むようにしてしまう。
それを見ながら、ショウマは後ろに下がりながら、構えた。
「なぜだっ!」
怪物は、そのまま、ショウマに問いかける。
「なぜって」
「人間など、所詮、闇菓子の材料に過ぎないのに!」
「っ」
その一言で、ショウマも、千束も、怪物がなぜ人々を攫っているのか理解出来た。
それと共に。
(菓子って言ったよね、もしかしてショウマ君がお菓子が嫌いなのは、あいつらと何か関係が)
最初に会った時、ショウマがお菓子が嫌いだった。
それが、何か関係しているのか。
そう疑問に思っている間に、ショウマは。
「違う! 人間は闇菓子の材料なんかじゃない!」
と叫び、怪物に向かって走り出す。
そして、殴りかかる。
それに対して、怪物も、拳を握りしめ、迎え撃つように殴ろうとする。
それに対して、ショウマは、腰にある赤い顔を操作していた。
『ガヴ! ガヴ! CHARGE ME CHARGE ME!』
それと共にショウマの身体から出てきたのはグミ。
それも『ムニュ』というエフェクトとなっている。
ショウマは、迫る怪物の攻撃を避けると共に、そのグミを踏み台にする。
「はぁ!」
そのままショウマは、真っ直ぐと怪物を蹴る。
蹴ると共に、怪物を踏み台に周りにあるグミにも再び踏み台にする。
グミと怪物を踏み台に次々と移動していく。
そして、最後には、宙へと舞い上がる。
それを見た怪物は、驚きながらも叫ぶ。
「なにぃ!?」
それを見上げながら、ショウマは。
「今、ここで決めろ! 二度と闇菓子に関わらないのか、ここで俺に倒されるか!」
そう、問いかける。
だが。
「ふざけるなぁ! 闇菓子を止められるかよ! ここで、お前をぶっ倒す!」
既に絶体絶命の最中、怪物は、まるで止める気配はなかった。
その様子は、千束から見れば、『中毒者』。
その表現で正しかった。
「そうか、だったら」
その言葉と共に、ショウマは、空中で一回転しながら、蹴りを放つ。
そして、それが、何を行うのか、千束は直感で理解した。
「ショウマ君!」
「っ」
その言葉を聞いた瞬間、ショウマは、その動きを無理矢理変えてしまう。
怪物に、その攻撃が当たる前に、校舎の廊下に当たる。
怪物は、その蹴りのあまりの威力に驚くと共に、すぐに、その場から離れていく。
「ショウマ君、その、大丈夫」
ショウマは、静かに頷く。
それに千束は安堵するが、その時だ。
階段の下から、何かが迫る音。
それに対して、疑問に思っていると。
「手をあげろ」「えっ!?」
ショウマは、周囲を見渡す。
そこには、千束と同じく赤い制服を着ている人物がおり、それ以外にも青や灰色の制服を身に纏っている人物がいた。
全員が銃を手に持っており、こちらに構えていた。
「えっ、えっ!?」「ちょっと、フキ、いきなり何をしているの?」
それに対して、千束は呆れたように呟く。
「お前こそ、何を落ち着いているんだ、そこにいる奴はグラニュートだと分かって、言っているのか?」
「グラニュート? それって」
それは、先程までの怪物が名乗っていた名前。
だが、その怪物うは、既にここにいない。
つまりは。
「ショウマ君の事」
「えっ、俺!?」
そう、千束もショウマも思わず叫んでしまう。
ゼンゼロから出る陣営は
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邪兎屋
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白祇重工
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ヴィクトリア家政
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特務捜査班
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カリュドーンの子