実験部隊異世界飛行機録。   作:Su-30SM Mister-X

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SPエピ2 キルマーク

「Sol1 GoGate」

 

機体の外翼を収納し機動形態からステルス性重視の高速飛行形態に変わる。

 

レーダーで機影を捉えた。

 

「FOX3」

 

ダークファイアが敵機に向かって誘導経路を取るが、その全てをことごとく避けられる。

 

「この機体を試す。お前たちは別の空へ飛べ。」

 

「残った機で支援します。」

 

「ここで死んでどうする。故国復興のために命を使いたまえ。」

 

「そして探すのだ。導いてくれる者を。」

 

「私はその存在ではない。」

 

「ミハイ…」

 

「ボスルージ共和国隊 この場から離脱する。下で戦う者もいまは一時待機せよ。」

 

「死ぬな 命さえあれば志は潰えない。」

 

空域から僚機が撤退した。後は私だけだ。

 

ミサイル警報が鳴り止まない。

 

私もここで墜ちる気はない。

 

Gリミッターを外し、限界軌道を取る。

 

「不明機へ告ぐ 着陸し 投降せよ。」

 

「なぜ今 一人孤独に戦う必要がある?」

 

「そちらのパイロットも一人で戦っている様に見えるが。」

 

「彼は孤独ではない。周囲を見ろ。」

 

RWRを見る。

確かに孤独ではなかった。連携の取れた配置をしていた。

 

「なるほど」

 

「そんなパイロットに未来を託すべきだったのかもしれん。」

 

あんなものを開発するくらいならばパイロットを育成した方が良かったのだろう。

だが…

 

「それだけの存在かどうかは確かめさせてもらおう。」

 

軌道形態へ主翼を展開しミサイルを発射する。

やはりこれでは駄目か。

 

ドンという強い衝撃が機体を揺らす。

 

「いいぞ。」

 

先にミサイルを当てられるとは。

 

『レールガン冷却終了』

 

『電力チャージ30%』

 

コプロが状況をAI特有の冷静さで通告してくる。

 

「よく見るんだ。お前の敵を」

 

ミサイルで時間を稼ぐ。

 

『電力チャージ100%』

 

EMLに電力が集められる。真後ろに来るという予測がコプロから出た。

 

推力偏向ノズルを使い、真後ろへ向く。

 

トリガーを引きEMLを発射する。

 

「なっ!?」

 

が、その機体を撃ち抜くことはなく、ただ空を飛んでいっただけだった。

 

またミサイルが自機に命中した。

 

「やはり機械の補正値を超えてきたか。」

 

私は一つの結論を出した。

 

「この兵装では三本線を仕留めることは出来ないか。」

 

「機体も兵装も私の身体だ。それで仕留められないならば、私の全霊を注ぐとしよう。」

 


そうしてスロットを前に倒した所で、私は目を覚ました。

 

「……夢にしてはリアルな夢だ。」

 

こんな夢を見たのは6回目だ。やはりこれも巡り合せだろうか。

 

「今の私は、ミハイ ア シラージだ。王族じゃない。」

 

と言うのにあの城の上で戦った事が忘れられない。

まだ未練があったと言うのだろうか。

 

「…時間が無いな。」

 

今日はこれで朝を乗り切るとしよう。

 

「相変わらず不味いな…」

 

懐かしい味ではあるがな。いつだったか、バードストライクで機体から緊急脱出したときに救命糧食にお世話になった事がある。

 

射出座席のGはどんなマニューバよりもキツイ物があった。

 

バックに教科書類を投げ入れ、急いで着替えていざ教室へ。

 


 

授業が終わり、私は一つの日課をこなす為に、アリーナへ足を運んだ。

 

「この機体ではあのブリュンヒルデには追いつけないか。」

 

ダメージは与えるものの、この機体じゃ相手と機動性が違いすぎる。

追いつけはするが弾丸は掠ってしまうし爆発物は斬り伏せられる。

 

「確かに教官としては十分すぎるどころか最高の素質だ。」

 

流石世界最強といった所か。

 

浮き上がる前に地面に戻される。

だが空に上がれば活路は見える。あの期待は近接ブレード一本しかない。がブレード一本でこの強さと考えると恐ろしい。恐ろしいほど面白く見える。

 

「私の専用機はあと数ヶ月掛かるそうだな。」

 

「なんだ、気づいていたのか。」

 

「ISは全方位視界だろう?見えるなら気づくさ。」

 

「驚いたな…僅か3日でここまで使いこなせるようになるとはな。」

 

「あと4日あればこのコピーは墜ちる。」

 

「次は私が直々に相手をしてやろうか?」

 

「この機体では叶いそうに無いな。遠慮しておこう、楽しみはまだ取っておくものだと言わないか?」

 

「なるほど。一理あるな。」

 

スラスターを吹かし懐から離れて引きうちしながらコピーに向けてグレネードランチャーを撃つ。やはり全て斬り伏せられるか。

ミサイルも織り交ぜるがそのすべてを斬り伏せられる。どうなってるんだ一体。避けるのはまだしも斬り伏せるとは…

 

「相変わらずデタラメじみた戦闘力だ。」

 

だが…

 

「武器は一本だけなら戦術は限られている。」

 

シールドを盾に防御。刃が食い込んだ所でミサイルをフルバースト。

 

「剣が使えなくなれば丸裸だ。」

 

が、やはりか、

 

「私の予想を軽く超えてきたか。」

 

シールドが刺さったままワンオフアビリティでシールドごと消し飛ばされた。

 

「勿論そういう小細工も対策してある。」

 

「流石にまだ無理か。」

 

「ペラッペラの紙装甲だが、機動力に全振りしているだけあって早いだろう?」

 

「早すぎるな。私でも稀に見失う時がある。」

 

「それにしても、教師が私以外まともに相手にならんとはな…」

 

「戦闘経験の差だろう。」

 

「だろうな。いくつかの経験を積んでいるとはいえ、私よりも積んだものはいないだろう。」

 

「それにしても、少しセシリアが可哀想になってきたな…あれだけ啖呵を切ったんだ、自業自得か。」

 

アリーナから出て着替える。ISスーツをしまって、制服に着替える。

 

「あと3日…か。」

 

3日後にはセシリアと一夏を含めた決闘、とやらまでもう少しだった。

 

時間とは早いものだ。

 


 

あっという間に3日が過ぎた。まだコピー落とせないが、シールドエネルギーをあと一発まで削った。

 

「さて、私が最初に出ても良いが、それだと簡単に墜としてしまいそうだ。と言うことで一夏が最初に出る事になった。」

 

「…マジ?」

 

「大マジだ。それに、専用機も届いた事だし問題ないな。10分でモノにしろ。出来なければ後で補修だ。」

 

「無茶苦茶だ…」

 

「異論は握りつぶす。では、行って来い。」

 

「ええい!!もうやってやる!!」

 

「そうだ、その意気だ。山田先生、飛ばしてください。」

 

「は、はい!」

 

カタパルトから射出された。

 

「あら、てっきり逃げたのかと思っていましたわ。ハンデ、どのくらいお付け致しましょうか?」

 

「無しで良いぜ。」

 

「よろしくて?」

 

「おう。男に二言は無え!!」

 

「そうですの。では…」

 

さぁ踊りなさい。ブルー・ティアーズの奏でる円舞曲で。

 

先に結果だけ言おう。

 

一夏の負けだった。

 

惜しいところまで行ったが、最後で自爆した。

次は私の番か。セシリアはエネルギー補給のためにピットへ。先に私の機体が出ることになった。

 

「発着準備完了。いつでも構わない。」

 

スラスターの出力を上げ、待機する。

 

「では、行きます!!」

 

山田先生がカタパルトを射出し、私はアリーナに出た。

 

「お待たせ致しましたわ。」

 

「構わない。特に時間は掛かっていないからな。」

 

「あら、随分余裕がありましてね。」

 

「ああ。私は負けるとは思っていない。それに君が勝てるかどうかはすぐに分かるさ。」

 

「なるほど、実力勝負と。」

 

「お生憎様わたくしは実力なら負ける気がしませんわ!!」

 

『警告レーダーロック』

 

「面白い。イギリスレディ、君に免じて全力で相手しよう。」

 

お遊びは無しだ。

 

「あら、まっすぐ来ますのね。なら遠慮なく!!」

 

セシリアのライフルが照準を合わせる。

 

引き金を引くが、

 

「なっ!?」

 

ロールで避けた。まっすぐにしか進まないレーザーはここが弱点だ。

 

「まだまだありましてよ!!」

 

ビットがこちらを狙うが、

 

「さっき見た。」

 

こちらも回避。連射しても狙いがバレバレだ。機体をズラせばどうということない。しかし、たしかに誘導はできている。私が機体をコントロール出来ない相手なら既に何発か被弾している。

 

「私が保証する。君は優秀だ。たしかにクラスの中では一番実力がある。」

 

「だが、私を除いての話だ。」

 

イグニッションブーストで一気に距離を詰め、レイン・オブ・サタディで体制を崩し、

 

「FOX3」

 

8連ミサイルをフルバースト。

 

結果。セシリアのシールドエネルギーはまだ残ったがそれもあと少しだった。

 

「なるほど…確かにわたくしよりも実力は上ですわね。」

 

「でも、日本にはこういう言葉がありましてよ?」

 

「油断大敵!!」

 

『警告ミサイル接 シールドエネルギー減少』

 

「たしかに、よく喰らいついた方だ。」

 

近接信管代わりにレーザーで撃ち抜いて起爆させるか。

 

「勝者、ミハイ ア シラージ」

 

「わたくしの負け、ですわね。」

 

「実のところコピーブリュンヒルデ以外で被弾したのは初めてだ。おめでとう。」

 

「あら、これは戦果になりましたわね。」

 

ブルー・ティアーズの消えたセシリアを抱えてゆっくりピットに運ぶ。

 

「足元に気を付けて。」

 

ピットの着地点に降ろす。

 

「それにしても、貴方本当にISに乗ったことないんですの?動きが手練れのIS乗りでして…」

 

「ISは経験が無いな。」

 

「………そうですの。」

 

そうして、自分のピットまで戻る。

 

ISとのリンクを解除しISから降りる。

 

「やはりこうなるか。」

 

「彼女は見どころがある。磨けば光る。」

 

「珍しい。お前も人を褒める事もあるんだな。」

 

「私を何だと思っているんだ…」

 

そうして、今日の用事は無くなり、日課を進める。

あと少し…あと少しで墜とせる。

 

「…後ろにいるのは誰だ?」

 

「おや?鋭いねぇ…」

 

「なるほど。何の用かは知らないが、どうやって…って、そんな事言うまでもないか。」

 

「物分りが良いね。」

 

「ここで立ち話も良いが、座らないか?」

 

「束さんは既に座ってるよ?」

 

「…そのようだな。」

 

まさかIS開発者が直々に来るとはな。一体何の用かは知らないが、話くらいはしようか。

 

「君は、」

 

「君は、ISを何だと思う?」

 

「ISはあくまでも翼だ。どこまでも高く飛べる翼だ。その他でもそれ以外でもない。」

 

「それはどうして?」

 

「私は空を飛ぶのが好きなんだ。空を飛ぶことこそ至高だと信じてやまない男だ。」

 

「ISは「元は宇宙開発のためのマルチフォームスーツ」知ってたんだ。」

 

「学校教育では教えられはするが、誰も気にしていないだろうな。」

 

「人類の悪い癖だよまったく。直ぐに軍事利用しようとするんだから。」

 

「人類の未来を切り開くのも潰すのも、また人類か。」

 

「どうなろうか知ったこっちゃないけどね!!」

 

だろうな。

 

「一つ、質問する。」

 

「ほう、一体何が知りたいんだい?」

 

「肉眼で見た成層圏の向こう側は何色だと思う?」

 

「さぁ?束さんも流石にそこまでは見たことないや。」

 

「私もまだ知らない。だから見に行きたいんだ。未知なる宇宙へ。」

 

「例えばそれを邪魔する者は?」

 

「なぜ邪魔する必要があるんだかしらないが、飛ぶ邪魔をするならこの手で潰すだけだ。」

 

「…君面白いね!」

 

「気に入ったよ。君の専用機、束さんが作ってあげる。」

 

「じゃあ私も口を挟んでも良いか?」

 

「良いよ。面白そうだし。」

 

「電話番号は「すでに登録してあるよ」流石天才、抜かりなしか。」

 

「それにしても君、強いね。」

 

「まだISが馴染みきっていないが、馴染んだらもっと強くなるさ。」

 

「空で生きれる様になればいいのだが…」

 

「本当に空が好きなんだねぇ…」

 

「夜も更けて来た。どこに帰るかは知らないが、もう時間もいい頃合いだろう。」

 

「時間だけは伸ばせないしねぇ…こればっかりはしょうがないか。」

 

「じゃまた会おうね!」

 

そういって窓を開けて飛び降りてった。

着地音がしなかった。

もうそこには誰も居なくなっていた。

 

 

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