ちょっと長いっす。
「 野郎どもォ " っ !!! やっちまいなぁ!! 」
頭領らしき不良がそう叫ぶと重火器を持っていた二人の不良が前に出る。見た目は良く見るアサルトライフルの様な形状をしており、頭領が所有しているミニガンよりかは脅威には見えないだろうが此方の武器は拳銃一本だけであり、武器の優位性では不良組の方が勝っていた。
ダダダダダダッッッ!!!!!
取り巻き達の握りしめていたアサルトライフルの銃身から弾幕の様な弾丸が男に襲いかかって来る。先頭に立っていた不良の握り締めていたミニガンも取り巻き達が弾丸を発射したタイミングよりも一手遅れた時にその円状に敷き詰められた幾つもの銃身から弾丸が弾幕を展開する様に男に向かってその弾丸達は飛んで来ていた。
( ... いきなりぶっ放して来るかっ!)
男は自身の身体が蜂の巣にされない様に不良達の周りを走り抜けながら、隙を縫う様に正確に狙いを定めて確実に着弾する様に拳銃の引き金を弾き続ける。弾幕の中に紛れた男の弾丸は速攻勝負で勝ちに行っていただろう不良達の肩や足に向かって軌道を描き損傷を与えるべくして9mm弾は迫り来ていた。
「 ___ ... ぐぅっ !!! 」
男は走り抜けながらの各個撃破を目指しながら行動をしていたが遮蔽物無しに縦横無尽に無傷で駆け回るのは矢張り体力的にも体格的にも難しい所があるのか不良達の放った弾丸の一つ二つは男の太腿と右脚に着弾し、そして貫通する。男は灼けるような痛みに襲われ始め途端に右脚の動きが鈍くなる感覚に陥りながら呻き声を鳴らす。
「 よっしゃあっ!流石姉御っ !!! これでアイツは動く事も出来ない筈っ_____ 。 」
......然し、着弾を被ったのは男だけでは無い。現在は男と不良達は互いに遮蔽物に隠れずにインファイトを仕掛けている状態にある。銃撃戦では自分に損傷やダメージを被らない様に遮蔽に隠れながら戦うという技能が非常に重要になって来る。何故なら“通常“の人間は一発の弾丸が身体を貫くだけでも致命傷になりかねないのに弾幕の様に張り巡らされた弾丸の数々を受け切って生存する事は不可能に近いのだ。それが
ゴッッッ
男の狙いを定めた弾丸が不良達に鈍い音を立てながら着弾する。肩や足の肉の部分では無く関節の部分に狙いを定めたその弾丸は刹那ではあるものの彼女達の弾幕を一時的に停止させるのには充分な一撃だった。
「 痛っ" たっっっ !!!!!!! 」
「 あいつっ...よりによって骨の部分をぉっ... !!! 」
「 ぐぅっ___ ...。アタシらの縄張りを汚した分際でっ ... 」
男の弾丸が全員にクリーンヒットしたのか弾幕の雨の勢いが消失していく。男はその隙を利用し、自身の目の前にあった劣化したバリケードに身を隠して一先ずの安全を確保する。然し不良達に撃ち抜かれた患部に波の様に疼いている尾を引く様な激痛に苦悶の表情を浮かべてしまう。
「 不味い....な......。 」
男の脳裏に死の一文字が過ぎる。右脚と太腿を撃ち抜かれた今では走り抜けながらの戦闘は中々に厳しいところがあるだろう。暫くはこのバリケードで持ち堪えられたとしても劣化し耐久力が落ちているこの遮蔽物ではミニガンでの掃射に耐えられる時間はソレほど長くは無い。遮蔽物が破壊されれば男の身体は蜂の巣にされてそれこそ本当にの意味で敗北を喫してしまうだろう。
「 何か ... 手は .... っ。 」
せめて撃ち抜かれた部分の傷を治せればそれで良い。激痛で狙いがブレでもしたら無駄撃ちに終わってしまうだけなのでせめてこの痛みを取り除ければまだ勝機は有る筈だが____ 。
「 .......... ... そういえば ... 。 」
男は目を見開いて何かを思い出した様な仕草を見せる。
その刹那、男は自分が初めて死を経験したあの忌々しい瞬間が唐突に脳裏に映し出されていた。戦車に跳ね飛ばされて自分の身体が粉砕されて筋肉は破裂し骨は無惨に砕け散っていって溢れんばかりの血溜まりを地面に作り出したまま、自分の命の灯火が消えてしまったあの瞬間に自分は蘇りを果たしていたのだ。
ズタズタに引き裂かれた皮膚は全てがもう一度繋ぎ止められて、そこから溢れ出した血液が皮膚と肉の中で再び循環し、砕け散った骨はまるでバラバラにされたパズルを歪みなく揃えた様に男の体内でまた再構築されていく。破裂した臓腑は再び男の体内の中で再生を果たしてまるで臓器のそれぞれがあるべき場所に帰って行く様にと息を吹き返した。
_____ そう、男は既に一回。死を経験しているのだ。
男は自分の握り締めていた拳銃の銃口を下顎骨の下の肉の部分に突き付けた。弾丸を放った事で少しだけ熱を帯びた銃口の先端が突き付けた部分を静かに熱している。
「 ...... ふゥゥゥゥっ ..... 。 」
目を閉じてゆっくりと深呼吸をする。男は今、ハイリスクハイリターンの大博打に出ようとしていた。
通常、人間という生き物は一度でも死という異変に遭遇すればそこから生き還るなんて事は無く、二度と目を覚ます事も無い。これは生きとし生けるもの達の絶対の理であり、良く弱肉強食がこの世の絶対の真理だと言われる様に生物が死ぬと言うのは生き物の決して逸脱する事は無い真理である。
_____ だが、男はその死という理から逸脱した。本来ならば男は不慮の交通事故でキヴォトスからその生を捨てる筈だった。しかし男は死という概念から逃げ出す様に男は蘇りを果たした。
...その時点から男はもう既に“人間“では無い。いや生物としての法則から逸脱している時点から男は生物という括りにも入らないのかもしれない。それこそ妖怪や怪物の類に振り分けられるべき存在だろう。
だからこそ男に“死んでも蘇る“という特性があったとしたら?死んでもあの黒い粒子と共に蘇る自分を思い出して男は自ら死んでこの身体に刻み付けられた特異性にこそこの状況を打破するしか無い唯一の策だと考えたのだ。
「 ...やるしか無いか。 」
銃を握る手が汗ばんでいる。それはきっと緊張なんて生優しいものではなくて死ぬか生きるかの瀬戸際に立たされた物が流す恐怖と生存本能が織り成す冷や汗だ。
_____そして、男は引き金に指を掛け、引き金に掛ける力を強めていく。銃身は決してブレる事は無く、その時から男の内心には渦を巻いている恐怖を覆う様に一か八かの賭けに望む覚悟がそこにはあった。
( ...... 頼むぞ ... っ !!! )
男はその瞬間まで、自身が自分の命に仕掛けた博打がどうか成功する事を必死に祈る事しか出来ずに男の額には汗が滝の様に流れていた。
そして男は引き金に掛けていた指を一気に引き抜く様に精一杯の力を掛けて思いっきり引き金を弾けば_____。
乾いた一発の銃声が閑静な街並みに響いた
「 はぁっ!?!?!? 」
銃声が響いた瞬間、不良の一人が声を張り上げる。その顔は驚きの中に僅かな焦燥と恐怖が折り混じった様な表情だ。そして不良のその声に続いて目の前で起こった光景に唖然としていた二人の取り巻き達も漸く喉を鳴らして言葉を紡ぐ。
「 じっ...自害しやがった ...... 」
「 ....な...なぁっ...姉御っ......これアタシらもヤバいんじゃ ... 」
だが不良達の言葉はどれも何処か自分の保身を案じる様な物ばかりだった。彼女達は
彼女達、
だが今回では彼女達のその安易な考え方が裏目に出たと言って良いだろう。不良達は光輪を所持していない者との戦闘経験が無いのだ。オートマタなどの機械兵などを除いて生身の人間とのマトモな戦闘経験などは皆無に等しい。だからこそ彼女達の頭の中では生身の人間でもまさか銃弾を受けても損傷は受けても死ぬ事は無いだろうという先入観が植え付けられていたのだ。
そしてその先入観が男の命を彼女達が簒奪した。ここキヴォトスでは殺人は大罪とされており、犯した者は想像を絶する様な罰が待っていると言われている。彼女達が自らの保身を案じる様な言動をしているのはその為だろう。
「 おっ ... 落ち着けっ ... !! もしかしたら死んだふりをしてアタシ達を騙そうとしてるかもしれないだろ!?直接見に行って確認するまでは死んだかどうかすらも分かんねぇ!だろ?! 」
ミニガンを抱えていた一人の不良が額に冷や汗を流しながら男が隠れていた劣化したバリケードの的へと向かおうとする。その足取りは何処か震えている様にも見えているが不良はそれを隠す様に勢い良く足を踏み出して行くが他二人の取り巻き達はその場から動けずにただ立ち尽くしているだけだった。
じゅわ ... じゅわ ...
「 ... く ... クソっ ... まさか本当に死んじゃいねぇ...よな? 」
もしこれで本当に男が死んでいたら_____。そんな懸念が不良の頭を過ってしまう。今まで彼女達は人の死に立ち会った事は無いのだろう。いや、そもそも人の死んでいる姿すら見た事が無いのかもしれない....。されど人の死と言うのは呆気なく簡単に来てしまうものでそんな事実すらも彼女達は知る由も無かったのだろう。そのある種の経験不足が彼女たちの心の中にどうしようない罪の意識が植え付けられるがその反対で本当に男が死んだわけじゃないだろうと言う自分を安心させる様な思慮も思い浮かべている。それはきっと彼女達の本能がきっと男を間接的に殺してしまったと言う過ちを否定したいという理由だからだろう
じゅわ
「 ... ... はっ ... アタシらの縄張りを荒らすのが悪ぃんだからな ... 」
大きな過ちを犯したかもしれない彼女からはいつもの様な威圧的な言葉が出る事は無く、ただただ自分を擁護する言葉しか出ないまま。不良の一人がバリケードの元へと辿り着く。だがその瞬間、彼女は自身が立っている場から一歩も動く事が出来なくなってしまう。恐らく彼女の足には恐怖という足枷が付き纏っているのだろう。
じゅわ じゅわ じゅわ
「 ...... ええいままよ !!!!!! 」
だが生死を確認しなければいつまでもこの正体不明の恐怖は付き纏っているままだ。彼女は生きているかもしれないという一途の希望に賭けながらバリケードの側面にへと迂回して男の状態を確認しようと勢い良く男の元へと飛び出して行く。そしてその不良がその視界で捉えた物とは_____。
「 ... ... な 、... なんだ ... これ .... 」
不良がその姿で捉えた物は紛れもない男の姿そのものだった。銃を握り締めていた手は力無くだらりとぶら下がっており、顔には生気が宿っていない。その状態で男が動く様な事は彼女の視界が捉えている間では起こりそうも無く、側から見れば明らかに男は死んでいると言われても何ら可笑しくは無い光景だ。... 然し、彼女が視界に捉えていたのは
「 ..... .... 黒い ...
男の身体を漂う大量の黒い粒子の様なものが漂っている。その粉や粒子にも似たそれは男の身体をまるで軸にしている様に大きな渦を巻いており、その一つの異変が彼女の眉間の皺が深くなる。
「 どう言う事だよっ .... 死んでいる ...のか? 」
果たしてこれは死んでいるのか、はたまた生きているのか。死んでいる様な素振りを見せているがこの男の身体を漂う黒い粒子は何なのか。不良達が感じていた恐怖はこの瞬間から懐疑や疑問が混じっていた感情にへと切り替えっていた。
「 ......兎に角、アイツらにも知らせねぇと _____。 」
不良は男が死んでいるかどうか分からない事を後ろにいる取り巻き達にも伝えようとする。死んだとは確定していない以上、まだ助かる余地や自分達が罪を犯したという事にはならないのかもしれない。あの黒い粒子が男の生死を示すものならまだ可能性はあるかもしれない。彼女はこの情報は一応、絶望感が顔に出ている取り巻き達にも知らせておこうと踵を返した________。
カチャッ
拳銃のグリップを握る音が小さく響く。本来そこには鳴り響く訳が無い不可思議な音が立て続けに鳴っていた。拳銃が持ち上げられ銃身が踵を返した不良の頭部を確実に捉えて行く。まるで
「 ... ... ... 大当たりだ。 」
その刹那、
黒い粒子は大気中から無くなって行き、死人の躯体だけがそこに残る。
そしてその大きな異変に踵を返した不良が気付く事は無く ... 。
「 .... っっ !!!!!! 姉御ォっ !!! 後ろ!!! 」
取り巻きの一人が絶望的な表情から切り替わる様に目の前に居る自分の頭領に迫っている危険を知らせる様に額に脂汗を滲ませながら呼びかける。その呼び掛けに対して不良の一人は首を傾げる様にその必死さがよく分からないと言っている様に首を傾げる。
「 ..... あぁ?後ろぉっ? 」
呼び掛けに応じた不良がゆっくりと後ろを振り向いて行きながらそこに何があるのかを確認しようとする。そして不良が目の前の景色を視界に捉えようとしたその刹那の事だった 。
其処には自身で命を絶った筈の男が不良の眉間に銃の照準を合わせていた。そして不良が背後で起こった事に対応すべく反射的に抱えていたミニガンを男に向けようとするが、その行動が終わる前に男は拳銃の引き金を弾く。
「 しまっ_____ !!!!!! 」
パァン!パァン!パァン!
銃声が3回鳴り響く。銃身から放たれた弾丸は全て眉間に向かって飛んで行くが一発を除いて他の二発は眉間より下部分の頬や鼻骨といったところに向かって飛んで行き ... 着弾する。
「 がっ...... 」
着弾した弾丸が不良の脳を揺らして行く強力な衝撃波と成る。そして不良の手に力強く握られていたミニガンは地に落ちて彼女の身体もその場に倒れてしまう。彼女の意識外からの奇襲によってのダメージと脳への強い負担によって恐らく脳震盪を引き起こしたのだろう。彼女はその瞬間からピクリとも動かなくなってしまった。
_____ 死んだ筈の男が蘇りを果たしたのだった。
「 姉御ォっ !!! 」
「 てめぇっ!良くもぉっ !!! 」
頭領が陥落した事によって取り巻き達のアサルトライフルの銃口が此方に向けられる。だが男はそれに対して一切動じずに冷静沈着に男の方も拳銃の銃口を取り巻き達に差し向ける。
「 隠れ続けるのは止めだ。 」
男はバリケードから隠れるのを止めてバリケードを乗り換えて取り巻き達の前へと立ち塞がる様にして現れる。気絶してしまった不良の仇討ちに望む様に絶望的な表情から一転して殺気漂う様な眼をしながら銃口を此方に向けて来ている。敵の内の一人が減った今、2対1の構図が出来上がっている訳だがそれでも以前として男の方が劣勢なのは変わらないだろう。だが男はそこに勝てる策を見出したのだった。
「 .....やってやる。 」
復活して全ての傷が無かった様に修復されている自分の身体を見て男は確信した。どうやら自分はとっくに
_____ 完全に生物の範疇から逸脱した存在。
今の男をそう言い表すのならそう例える方が良いだろう。殺しても死なない身体を持つ見た目だけは人間の皮を取り繕っている存在。まさか自分がそんな存在であったなんてと男は内心でその事実を認めたくないという気持ちも確かにあるにはあった。
...だが、そんな自分の特異性にたった今救われたのだ。ならばその性質を存分に利用してやろうと男は思い立ったのだ。
「 行くぞ ...
そう叫びながら男は取り巻き達に向かって一気に駆け出した。遮蔽に隠れもせずに回避行動をも取らずにただただ一直線に取り巻き達の元へと特攻を仕掛けようとしてくる。だがその様子を取り巻き達が捉えていない筈も無く、只管に突っ込んでくる男に対してアサルトライフルの引き金に掛ける指に力を思いっきりかける。
「 やれやれやれーーっ!!! 」
「 ぶっ飛ばしてやるっ!! 」
ババババババッッッ!!!!
二人分の銃声が高らかに響く。アサルトライフルの弾丸達が再び弾幕と化して男の身体を貫かんと迫り来る。取り巻き達は男が蘇る前と変わらない作戦で正面から来る敵を潰そうとするが、男の方は最短距離で突っ走って来ているので彼女達の放った銃弾の数々が男の身体を無慈悲に傷付ける事になる。
「 ぐっ ... 。 」
頬に弾丸が掠り、肩や腕や脚に彼女達の弾丸が着弾する。然し男はその足を止める事は無くまるで痛みを感じる事に対しての痛みがゼロになった様に走り迫って来る。
「 な、なんだ此奴っ!!! 」
「 頭でもイカれたのかぁっ?!?! 」
光輪を持たぬ人間が此処まで痛みに対応出来るのは可笑しい。与えられている損傷の数々は生身の人間で受けた場合は動けなくなる程の激痛である筈なのにまるで目の前の人間が光輪を所持しているかの様に弾丸が自身の身体を傷付けようとも決して止まる事無く、機会兵の様に突っ込んで来ているのだった。
そして男が取り巻き達との距離がある程度の所まで近付いて行けば_____。
「 “ リセット “ だ 。」
男は先程まで取り巻き達に差し向けていた拳銃の銃口を急に男のこめかみの部分にへと差し向ける。そしてその状態のまま暫く走り続けて行けば男は拳銃の引き金を思いっきり弾き飛ばし ... 。
パァンッ!
乾いた銃声と共に放たれた弾丸が男のこめかみを貫く。そして脳漿が飛び散る光景と共に男の身体は勢い良く地面にへと倒れてしまいそのまま地面を引き摺る音と共に取り巻き達の元へと男の躯体は迫って行った。
「 はっ ... はぁ ... !? 」
「 こいつっ ..... またっ ... 」
再び訪れる刹那の静寂、取り巻き達はアサルトライフルの撃ち方を止めてたった今朽ちた死体となった男の元へと近付かんと一歩ずつ慎重に足を踏み出していた。脳漿が飛び散る姿はなんともグロテスクではあるが取り巻き達の頭は最早、目の前にいる男に秘められた異常性に対する恐怖しかし無かった。
「 ... なぁ ... こいつ ...本当に死んでるのか? 」
「 当たり前だろ?!さっきのは死んだフリでっ...今のは多分...本当に自害したんだろ?!死んだら生き返るなんて...そんなの聞いた事ねぇよ! 」
「 ___ ... じゃあさ、なんで
取り巻き達が恐怖で口を震わせながら会話を紡ぎながら男の元へと近付く。男が今この場での意図が含められた死に対して不審がる彼女達の会話は何処か化け物を見ている様な顔をしており、彼女達はそこからもう男に近付く事は出来ずに居ると ........ 。
じゅわ じゅわ じゅわ じゅわ じゅわ じゅわ
男の身体から黒い粒子の様な物が大気中に溢れ出す。ソレはまるで小さな竜巻を描く様にして取り巻き達の前へ立ち塞がる。その光景を見た二人は勿論、目の前の異常性に黙っていられる訳も無く。
「 なっ ... !?!?!? 」
「 な..なんだよこれっ...なんなんだよぉっ... !!! 」
取り巻き達は目の前の黒い粒子を見て、恐怖で身体を震わしていた。男が死んだ事よりも眼窩に広がる明らかに現実でも夢の中でも見た事が無い様な異変に対する底無しの不快感が彼女達の脳を引っ掻き回す。
そして、それによって生まれた彼女達に生まれた隙を
「 リセットスタートだ。 」
また新たに蘇った男は匍匐の姿勢のまま静かに取り巻きの一人に照準を向ける。黒い粒子に気を取られている彼女達のガラ空きとなったその身体に向けて確実に当たる様に拳銃を構えた後に勢い良く引き金を弾く。
パァン!パァン!パァァンッ!!
「 ぐぇっ ... ... ... 」
「 っ!?!? 」
取り巻きの内の一人がモロに銃弾を喰らってしまい、その場に倒れ伏した。その頃には黒い粒子は既に消えており、その場には既に2回は死んでいる筈の男と最後の取り巻きの不良が互いに向き合う様に立たされていたのだった。
「 .... てめぇ ... っ !!! 」
男と取り巻きの距離は詰められており、互いに一歩踏み出せば接近戦に持ち込める様な近さにまで縮まれている。取り巻きは今度こそ近距離で外せない距離で男を仕留め切ってやろうとアサルトライフルを構えながら逆に男の方へと詰めて来た。中遠距離でチマチマ攻めるよりかは接近戦に持ち込んで確実に当たる距離で銃火器を放てば生身の人間ならばその時点で死を回避するのは不可能だろう。その時点で取り巻きの取るべき行動は
ガンッッ!!!!
「 なっ ... !!! 」
取り巻きが男に接近してアサルトライフルの弾丸を男の身体にぶち込もうとした瞬間、それを予見していた様に男はアサルトライフルの銃身目掛けて強烈な回し蹴りを放つ。重々しい音と衝撃に襲われたその銃火器は予想外の側面から掛けられた力によってその銃弾は男の身体に当たる事は無く男の一歩手前のコンクリートの地面に着弾し、地面には無数の銃痕が刻まれる。
「 うっ ... !! 」
取り巻きのアサルトライフルを握る力が弱まる。恐らく銃火器の方に掛けられた強烈な衝撃に対応出来ずに手放しそうになっているのだろう。ぐらつく体勢に手放し掛けている自分の得物、取り巻きが晒してしまったその大きな隙を見逃してしまう程に男は優しくは無かった。
「
その瞬間、男の手がアサルトライフルに伸ばされる。取り巻きが落とし掛けていたソレを受け止める様にされど確実に彼女の手から簒奪する様に男の両手は素早く確実に銃火器の的へと近付き ... 。
ガッ!!!
アサルトライフルの銃身を男の手がガッシリと捉える。そして手放しかけた取り巻きの手には最早、その力に対抗し得る力を掛ける事も出来ずに男を狙い続けていたその銃火器はスルリと彼女の手から離れて行く。
「 あぁっ !?!?!?!? 」
男は取り巻きの声を意に介さずに鹵獲したアサルトライフルを握り直して行く。強制的に武装解除を施された彼女は握られていた武器を失ったが、直ぐに男の元から自分の武器を取り返そうと手を伸ばしたが_____ 。
カチャッ ....
_____男の方が取り巻きの行動よりも一歩、早かった。
「 ゲームセットだ 。 」
取り巻きの眉間にはアサルトライフルの銃口が突き付けられていたのだった。
「 _____ ... ふぅ。 」
気絶した取り巻きを確認すればホッと一息、男は安堵のため息を放つ。
身体に負傷した痕跡は無く、ただ自分の足元には自分が自害した時に飛び散った血の飛沫の様な物が残されており、背後を振り返ってみるとそれが幾つも点を打つ様に点在しているのが分かる。
「 これじゃ、俺が殺したみたいじゃんか。 」
男は目の前に広がる自分の血で形成された血飛沫が飛び散ったコンクリートの地面を見ながら眉間の皺を深めながらそう呟いた。そして鹵獲したアサルトライフルを地面に放り投げればさっさと歩き出そうと不良達が出て来た方の道へと足を進ませようとする。
「 ....こりゃ、誰か来たら面倒だな。さっさとトンズラさせてもらおうかね.. 」
そう言いながら男はせっせと歩き出してその場から立ち去ろうとした。不良達は軒並み気絶しているだけでもしこの場を誰かが発見しても殺人をしたとの勘違いはされないだろうと軽率な考えを思い浮かばせながら本来の目的地であるサンクトゥムタワーへと足を運ぼうとした_____ が、その瞬間だった。
男の足が止まる。男の背後から聞こえる聞き慣れない声、芯のしっかりした澱みない“大人“らしき者の声に男は戦慄しながら勢い良く背後へと振り向く。そして男の視界が捉えた者は_____。
「 ........ 不味いな 。 」
連邦捜査部S.C.H.A.L.Eのカードを首にぶら下げた一人の大人の姿とそれに付き従う四人の生徒の姿が男の顔に映り込む。その人物は男が今最も遭遇しては行けなかった
男の