亜人と青春   作:クロウト

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#5 『 invisible malice 』

 

 

男が先生と合流してから数分後、先生は今回の復旧作戦の概要や今回合同の作戦に参加した生徒の情報などを男に共有していた。どうやら今回先生に付いてきた者達は揃って連邦生徒会や生徒会長に直談をして来た者達で構成されているらしく、分かりやすく言えば男を含めたこの部隊は“寄せ集め“だったと言う事だ。

 

だが寄せ集めとは言えども彼女達は数千の学園が存在するこのキヴォトス内でも有数のマンモス校出身の生徒達である。個人個人の戦闘能力や技術は他の学校や不良達のそれとは段違いだろう。不死という特性を男から引き抜けば彼女達と銃弾を交わすなんて事があれば、男の勝算は厳しいだろう。

 

 

 

 

男は先生からの情報で大方の作戦の内容を理解して、先生の後方をカバーする様な形を取り、前衛と側面を4人に任せる形で目的地であるサンクトゥムタワーへと徐々に近付いていた。そして一行は男が居た逃走経路を抜けて目的地への最短距離のルートを進み始める。そこで先生達は

サンクトゥムタワーの前方に点在する大通りへと足を踏み入れたのだったが...。

 

 

ヒュォオオオオオッッッ!!!

 

荒々しい暴風が暴力と火に呑まれてしまったかつての都市に吹き荒れて先生達を歓迎する。巻き上げた砂塵が少しの渦を巻いて大気へと霧散してしまう程に強過ぎるその風は果たして自然によるものなのか、それとも人工による爆発の衝撃なのか。そう考えている内に止んだ風の隙間を埋める様に彼女達の鼓膜を刺す様な強烈な爆音が辺りに響き渡る。

 

 

ドガァァァァンッッ!!!

 

暴風が一帯を支配していた後に響き渡る爆発音、その爆破は不良達が自らの意志を象徴する様な正に暴力の権化の様な紅蓮を唸らせていた。灰色の鉄筋が組まれたコンクリート製の建材は跡形も無く爆散し、その跡地からは酷く燃え上がっている燃性の油が大通りの床に飛び散って行く。そして前面に見えるのは大通り一帯を支配している不良達の姿であり、今の爆破で不良達の気を引いてしまったのか先生達へと容赦無く銃を向け前衛に居る生徒達を殲滅しようと銃火器の激鉄を弾く。

 

 

ダダダダダッッッッ!!!!

 

 

燃え盛る焔が支配する戦場の中で無数の悪意が込められた銃弾が此方に向けられ発射される。先生から聞いた情報だとあの不良達は如何やら矯正局を不法に脱出した勢力らしく、サンクトゥムタワーの制御が停止した事から彼女達の動きは勢いを増して行ったと言う。

 

 

 

「 なっ ... なにこれ !!! 」

 

ミレニアムサイエンススクールのセミナー所属の二年生_____、“早瀬ユウカ“が不良達の放たれた弾丸を返す様に二丁の短機関銃から弾幕の様な弾丸を撃ち続けながら苦言を呈す。その顔は決して穏やかな物では無く、何か予想外の面倒事に巻き込まれたかの様な怒りとも言える表情を浮かべていた。

 

 

「 なんで、私達が不良と戦わなきゃいけないのよ!! 」

 

またもや苦言を放ちながらユウカは前衛に居る不良達を短機関銃で無力化して行く。二丁と言う事もあってか彼女単体の殲滅力は中々に目を見張る者があり、前線を貼りながら敵を無力化して行くその姿は正に洗練された動きといっても差し支えは無いだろう。

 

 

「 サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すには、あの部室の奪還が必要ですから ..... 」

 

 

ゲヘナ学園の風紀委員会所属の“火宮チナツ“がユウカの言葉に少し同調しつつも淡々と理由を述べる。彼女はユウカとは違い前衛に出る事は無く後方支援に特化した役割を持っており、また冷静沈着な性格もしている点からも戦況を把握して作戦を立てられる事も長所の一つとして数えられるだろう。味方の傷を癒しながら冷静に立ち回る姿には知略に対しての適正が垣間見えて来る。

 

 

「 それは聞いたけどっ.... !!! 私これでも、うちの学校じゃ生徒会に所属してて、それなりの扱いなんだけどっ ... 。なんで私がっ...。 」

 

短機関銃の弾幕が不良らの行動を縛る。だが物量の点にしては不良達の方が勝るという点もあってが、不良らの放たれた弾丸が短機関銃の弾丸と弾丸の隙間を縫う様にして通り抜けて彼女の身体にへと着弾して行く。

 

タタタタタタッッ!!!

 

 

「 いっ、痛っっ ... !!! 痛いってばっ!!あいつら違法JHP弾使ってるじゃない !!! 」

 

ユウカの身体に弾丸が突き刺さるが彼女は痛がる様子を見せるだけで身体には何の損傷も無い様に見えた。生身の人間で例えるならゴム製で出来た鎮圧様の弾丸が打ち込まれた様なそんな感じなのだろう。不良達が放つ弾丸の一つ一つは男や先生の様なただの人間が喰らえば致命傷になると言うのに、彼女達光輪(ヘイロー)を所持している人間は対して傷にもならないのだろう。改めて彼女達の異常な耐久力を再認識させられる。 

 

 

「 伏せてください、ユウカ。それにホローポイント弾は違法指定されていません。 」

 

 

ユウカがダメージを負った隙を埋める様に彼女の三歩下がった箇所でトリニティ総合学園の正義実現委員会所属である“羽川ハスミ“がボルトアクションライフルで正確に前方に居る不良達を撃ち抜いて行く。彼女は先生と男が初めて邂逅した際に男と会話を交わした者であり、男からすればマンモス校出身の者と話すのはあれで初めてだった。正確無比な狙いから放たれる一筋の弾丸は容赦無く冷酷に敵を穿ち無力化して行く...それは正に正義実現委員会の名を表す様な一撃でもあった。

 

 

「 うちの学校ではこれから違法になるの !!! 傷跡が残るでしょ?! 」

 

ユウカはそう言いながら再びハスミの援護射撃と共に弾幕を張って行く。男も先生の側面側から迫り来る不良達の眉間に的確に拳銃の弾丸を浴びせて行くが、ハスミの狙撃とは違って男の拳銃は連射速度は優秀だが一発の威力に乏しいので光輪(ヘイロー)持ちの人間を沈めるには数発もの弾丸を不良に当てなければいけなかった。

 

 

 

「 ... ... 俺からすれば、傷跡どころじゃないんだけどなっ ... !!! 」

 

 

男はユウカの言葉に小さな声で反応しつつ不良への対応を進めて行くが

その男の後方に何やら一つの鋭い視線が向けられているのに対して男が額に少しの冷や汗を流しつつも弾丸を放つ手を止めずに只管に不良達を無力化して行く事に集中していく。

 

 

「 今は先生が一緒なので、その点には注意しましょう。 」

 

「 先生を守る事が最優先。あの建物の奪還はその次です。 」

 

 

ハスミのその言葉にチナツが同調する。先生は男とは違って命が一つしか無いただの人間だ。根本的な耐久力は男とは同一ではあるが先生にとっての死とはもうそこで先生としての人生を終わらせてしまう事と成るので、男からしても先生に傷一つ負わせる訳にはいかなかった。

 

 

「 先生、先生は戦場に出ないでください!私たちが戦ってる間は、この安全な場所にいてくださいね! 」

 

 

ユウカが先生に対して少しだけ強めの口調でそう告げた。男もそのユウカの提案には賛成の意を示す。連邦生徒会から派遣された先生という現状では唯一であろう協力者を男は失う訳には行かずに出来るならこのまま後方にある遮蔽物に隠れてもらいたいとも思っていたのだが、先生が次に発した言葉はある意味では男のその思慮を裏切る様なモノだった。

 

 

“ ... ... それじゃあ私が指揮をする 、任せて。“

 

 

先生が口から出た言葉はユウカの提案とは真逆の自身も戦場で共に戦う意志を表面したものだった。男は先生のその言葉に思わず呆気とした感情になっていき、ユウカ達もその言葉に驚きを隠せない様だったが何処か納得しているという様子でもあった。

 

 

「 え、えぇっ?戦術指揮をされるんですか?まあ ...... 先生ですし..... 」

 

「 ...分かりました。これより先生の指揮に従います。 」

 

「 生徒が先生の言葉に従うのは自然なこと、ですね。よろしくお願いします。 」

 

先生は皆の言葉に同調する。そしていつでも準備が万端だと言わんばかりの姿勢を見せる。先生の提案に皆が賛同しているのを見て、男も賛同の姿勢を見せながら拳銃の空になったマガジンを取り替えながら先生の前面にへと立って再び臨戦状態へと切り替える。

 

 

「 ... 先生、俺の役割は守護(タンク)係だ。駒としてきっちり動かしてくれよな 。 」

 

 

男のその言葉に先生は理解を示す様な仕草を取る。男もその先生の様子を見て不良達の元へと一歩、足を踏み出そうとする。然しその直後、男の背後から先生の声が響き渡る_____。

 

 

 

“ くれぐれも、無茶はしない様にね。“

 

 

男にだけしか聞こえない声量で先生はそう言い聞かせた。その言葉を聞いて男も先生の方へと振り向いて軽やかな笑みを見せながら先生のその小さな労う様な言葉に返す。

 

 

 

「 ... まぁ程々に頑張ってみるよ。先生 」

 

 

男は軽口を叩きながら再び前方へと向き直る。拳銃を不良の方へと照準を合わせればいつでも先生の指示を受けれると言わんばかりにいつでも行動出来ると視線を送る。そしてその戦いの始まりを告げたのは敵からの弾丸では無くて味方の弾丸が弾ける音でも無かった。

 

 

『 よし、じゃあ行ってみましょうか!』

 

 

ユウカのその言葉が開戦を告げる様に皆々が目の前にいる敵を鎮圧せんと走り出すだろう。ある者は遠くから確実に敵を穿つ為に、またある者は前衛へと躍り出て味方への攻撃を全て自分に収束させる為に。そしてまたある者は死を繰り返して敵の殲滅を図る為に。全員が己が役目を果たす為に自身の武器を握り締める。この戦いは男にとっても戦術を執り行う先生にとっても仲間との戦闘という点では初陣と言っても良い戦いの幕開けだった。

 

そして_____、誰かの銃撃が響いた時。それはこの闘いの火蓋が切って落とされたという事を意味したのだった。

 

 

 

作戦開始の合図が鳴り響いた。

 

 

 

 


 

 

____ 前方に敵が密集しているのが見えた。真正面から突撃を仕掛けてくる先生側の陣営の動きに対応して、不良達も数で押し倒そうと正面に力を注いでいるのだろう。現在、前衛と張っているのはユウカと男の二人であり、確かに二人に対して四人を相手取るのは人数差で少々面倒臭い事になってしまうだろう。ハスミの援護射撃ありきでも頑丈な身体を備えた不良達相手ではそれでも時間を削られるかもしれない。

 

 

だが 、先生側の陣営にはその密集した敵達を丸ごと倒せてしまえそうな手札が残されていた。

 

 

 

“ スズミ !!! 閃光弾 !“

 

先生の声が耳に付けてあったインカムに鳴り響く。ちなみにこれは先生が男にくれた物であり、作戦中に指示が滞ると困るからという理由でくれたらしい。

 

 

「 了解しました!!! 」

 

 

先生のその言葉を聞いたトリニティ総合学園のトリニティ自警団に所属している“守月スズミ“が懐から掌サイズに収まる様な手榴弾に似た様かものを握り締める。そしてその手榴弾の様なものに付いていた安全ピンを引き抜くとそれをスズミの前方に居る不良が密集している所を狙いを定め .....

 

 

「 これは痛いですよ !!! 」

 

そう言いながらスズミの手から手榴弾の様なモノが離れる。風を切る様な音と共に勢いを付けて投擲をされたそれは見事な放物線を描いており、彼女が狙いを定めていた不良たちの前へと投げられていき、不良達の目前にへとそれは着地した。手榴弾の様にも見えたがそうでも無い様なモノを見て不良達は特に対応する事もせずに不思議がってそれを見ようとしたその瞬間 ... 。何かが破裂した様な鋭い音の直後に強烈な爆発音が辺りに響き渡った_____。

 

 

 

 

 

キィイイイイイインッ!!!!

 

不良達が居た場所が刹那の閃光で包まれる。幸い、ユウカと男は不良達との距離はまだ遠かったのでその閃光に視覚を刺激される事は無く、結果的に大きな隙を晒す事になったのは不良達の方だった。

 

ぐぉっ...!!!!

 

「 目がっ ... 何も見えねぇぞ!!! 」

 

不良達がスズミの閃光弾をモロに食らってしまい、視界を奪われた不良達は照準を合わせていた自分の得物を思わず落とし掛けてしまい大きな隙を晒してしまう。そしてその隙を先生が見逃す筈も無く、インカムから先生の指示が響いてくる。

 

 

“ 二人とも!今のうちに畳み掛けて!! “

 

 

 

「 「 了解 !!! 」 」

 

先生の指示をインカム越しで受け取ったユウカと男は声を揃わせながら返事をしながら隙を曝け出した不良達の元へと突撃する。不良達が漸く奪われた視界を取り戻して朧げながらも目の前の景色が見えた時にはもう既に不良達の眼窩に迫り来る二人の人影が映り込んでおり ... 。

 

 

パンッ!!!パンッ!! パンッ!!!

 

男の乾いた銃声が鳴り響く。至近距離から弾丸を脳天に打ち込まれた不良はその衝撃に耐え切れずに見事に隙を突かれてしまい後方へと倒れ伏してしまう。一人鎮圧完了。

 

「 このっ ..... !!! 」

 

倒れ伏した不良の近くにいたもう一人の不良が至近距離から男を撃ち抜こうと銃火器の照準を合わせる。然し男はその不良の行動を先読みしていたかの様に不良が引き金を弾くよりも早く、不良の元へと急接近してその不良が握り締めていた銃身を抑え付けようと男の手が伸びて行き。

 

 

ガッ !!!

 

「 なっ .... !! 」

 

男の手が不良の持っていた銃火器の銃身を掴んで抑えつける。抑え付けられた事で銃の軌道はズレてしまい、慌てて不良は引き金を引いたもののその弾丸は男に当たる事は無く、全てあらぬ方向へと飛び交ってしまう。そして男はもう片方の手で拳銃を握り締めて、超至近距離で不良の眉間を男の拳銃が捉える 。

 

 

「 ゲームセット。 」

 

そして男のその言葉と共に眉間を捉えた拳銃の引き金が弾かれて一発の弾丸が不良の眉間へと迫り来るだろう。

 

 

パァンッ!

 

一発だけの乾いた銃声が辺りに響き渡る。眉間に弾丸を打ち込まれた不良は弾丸の重圧に耐える事は出来ず、その場に力無く倒れ伏してしまった。鎮圧完了だ。

 

 

「 ... ふぅ。 」

 

 

不良達が気絶した事を確認するとユウカの方へと目を向ける。彼女もどうやら鎮圧が終わったらしく、彼女の足元には気絶した不良二人が力無く地面に倒れ伏していた。

 

「 ... 貴方、結構凄い戦い方するのね ... 。 」

 

その場の鎮圧が終わり、二人でまた前方へと進んでいるとユウカがそう告げて来た。男はそのユウカの言葉に首を傾げながら返答を返す。まるで自分の戦い方はいつも通りだと言わんばかりに。

 

「 そうか?...自分じゃそんなに凄いなんて自覚無かったんだけどな... 」

 

男がそう返すとユウカは少しばかり驚いた様な顔をするも、直ぐに冷静になって驚愕の感情を落ち着かせる。ユウカが言っていた凄いと言うのは戦い方が常軌を逸しているのか、それとも戦い方が人間離れしているからであろうものなのだろうか。と言うのは男からしても余り分からないものだった。

 

「 えぇ ... まさかあんな至近距離で鎮圧するなんて思いもしなかったわ。普通はあそこまでは近づけないわよ ... 。 」

 

どうやらユウカの言っていた凄いと言うのは前者の方だったみたいだ。キヴォトス内の戦いでは接近戦と言うのはあまり馴染みが無いらしい。だが今のはスズミの閃光弾があっての成功ではあったので男としてはそこまですごい事をやっていたという自覚は無かった。これは嘘では無く紛れもない真実だった。

 

 

「 でも ...前衛(タンク)としてはバッチリみたいね。この先も頼りにしてるわよ! 」

 

ユウカが笑みを浮かべながら語りかける。それはきっと彼女が男の事を信頼するに値したと言う事を指し示してるのだろう。男はユウカの方を見れば少しだけ頬を緩ませながらその言葉に応える。

 

 

 

 

「 ___任せといてくれ。やるからには全力でやってやる ... ! 」

     

 

 

 

 


 

 

 

 

男とユウカがそのエリアを鎮圧して、先へと進んだ頃。また新たな不良達が現れるのが見えた。数自体は同じで仕掛けて来る戦法もまた真正面から戦力を注力させるのには変わらないが今度は突撃銃を握り締めた不良が二人前衛に駆り出されており、後方ではその二人の火力の支援をする様にミニガン持ちが駆り出されていた。

 

 

「 ... 厳しいな 。 」

 

 

まず処理すべき敵は前方の突撃銃持ちの不良二人だろう。だが後方に控えているミニガン持ちが二人も居る為か必然的に火力支援を受けている不良達を手早く始末するのは滞るだろう。だが男がどうやってこの場を切り抜けようかと頭を回し始めた時に先生の指示がインカム越しに響いて来た。

 

 

“ ユウカ !!! シールドを貼って、敵の攻撃を集めて!君はユウカのサポートをお願い!“

 

 

“ ハスミとスズミはユウカが敵を引き付けている間に後方に控えている不良達を鎮圧して欲しい!“

 

 

先生の指示は全員のインカムを通じて伝わり、指示が聞こえた瞬間に全員がその通りに行動を始めていった。男とユウカの後方に控えていたハスミとスズミはそれぞれ的確な狙い撃ちでミニガン達に弾丸を浴びせていき、確実に体力を削り始めて行く。そしてユウカは指示が聞こえたと同時に男の3歩前に出て_____。

 

 

「 それじゃあ、行くわよ!! 」

 

彼女がそう言い放った瞬間、ドーム状の青く輝く五角形が連なった障壁の様なモノが彼女の周りを守る様にして現れる。それは先程先生がユウカに対して言った“シールド“であり、それはユウカ自身の真価を体現する様な物でもあった。

 

 

「 撃て撃て撃て !!!!! 」

 

ダダダダダッ!!!

 

突撃銃を持った不良達の弾丸がユウカへと向けられる。だがその弾丸はユウカ自身に当たる事は無く、彼女が展開したドーム状のシールドの耐久値を削るだけであり逆にその攻撃は彼女達に大きな隙を与える事になってしまった。

 

「 今よ!一気に倒しちゃって!! 」

 

 

タタタタタタッッ!!!

 

不良達の攻撃に合わせる様にユウカの短機関銃による弾丸の応酬がカウンターの様に飛び交って来る。シールドを展開する術を持っていない不良達は彼女の二丁短機関銃による圧倒的な弾幕をただ喰らってしまうしか出せる術は無く、確実に不良達の体力はその時には一気に削れていたことだろう。そしてその彼女のカウンターに合わせる様にして彼女の背後に立っていた男もまたユウカの掛け声に合わせて動き出して行く。

 

「 了解 。 」

 

男は一言だけユウカの掛け声に応えれば、ユウカの攻撃を捌くのに精一杯な突撃銃持ちの不良達の元へと一気に走り抜いていった。ミニガン持ちの不良達はハスミとスズミのサポートもあってかユウカに攻撃が注力されている事によって男に被弾する心配性が無くなった。これにより男は大胆に且つ確実に相手の元へと接近する事が出来たと言う事になる。

 

 

「 なんだお前っ ...... 。 」

 

男の急接近に気付いた一人の不良が照準を合わせる相手をユウカから男へと変更しようとする。然し男は照準を合わせて突撃銃の引き金を弾くよりも早く不良の元へと接近したので不良は目の前で起こった事に一瞬だけ情報の把握に遅れてしまい、それによって不良も男に対して弾丸を放つ事にも遅れてしまう。男はそんな不良が見せた“一瞬の隙“を見逃す事は無かった。

 

パァン!パァン!!!!

 

 

乾いた弾丸の音が鳴り響く。男の拳銃から放たれた二つの弾丸が不良の眉間と肩を捉える。至近距離から放たれたそれに不良が反応出来る筈も無く、真鍮の弾丸が鈍い音を立てながら正確に男が狙った場所に着弾していくだろう。

 

 

うぐっ......!!!

 

弾丸が着弾した事による鈍痛で不良が握っていた銃は地に落ちてしまい

脳を揺らす様な眉間に響く銃弾の鋭い痛みと衝撃によって意識が刈り取れる様に後方へと倒れ伏してしまう。そして残りはユウカに狙いを向けて戦っている不良だが此方はすでに彼女と交戦を交わしてるせいかその体力は既に消耗しきっており、体力的にもあと拳銃を一発二発食らわせれば簡単に沈んでしまう程に消耗はしてるだろう。

 

 

「 ...となると、次の狙いは ... 。 」

 

男が次に目を付けたのは現在、ハスミとスズミが削ってくれているミニガン持ちの二人だ。彼女達もまた先にシールドを展開しているユウカを優先的に倒そうと今現在は男の元へと攻撃は飛んで来ていない。

 

だがユウカのシールドはミニガン二つの凄まじい弾幕の勢いにその耐久値を削られており、もうすぐでユウカが展開していたシールドは破壊されてしまうだろう。そうなった時に次のミニガン達の餌食になるのはユウカと同じく前衛に立っている男に移って来るだろう。

 

ならば今の内にハスミ達がある程度まで削ってくれたミニガン持ちの二人を男が相手を引き受ける事でユウカのシールドは破壊される事は無く

鎮圧出来るだろう。そう考えた男は目の前でミニガンを撃ち続けている不良の一人に向かって突撃を仕掛けて行く。

 

「 っ!?なんだあいつっ!! 」

 

ユウカに対して意識を向けていた束の間、男の突撃が強制的に不良達の意識がユウカから男へと切り替わって行く。その前方に居た突撃銃を構えていた不良はもうユウカが鎮圧した姿が男の視界へと映り込む。これにより人数有利による戦況が出来上がって行く、

 

「 クッソ !!!!!! 」

 

不良達は悪あがきと言わんばかりに自身に猛攻を仕掛けて来る男に向けて二つのミニガンが構えられる。熱を帯びた銃身が再び回転して中に仕込まれている大量の弾丸が巨大な一つの弾幕を織りなそうと男に牙を剥く。

 

 

「 くたばれぇえええっ!!!!!! 」

 

 

回転が段々と早くなって行く。ミニガンの銃身達が回るのが早くなるのと同時に銃身に込められた熱の温度もそれに比例して上昇して行くだろう。そして男に向けて避け切れないほどの弾幕が不良達の焦燥に溢れた表情と共に放たれようとした_____“その瞬間“だった。

 

 

「 させませんっ!! 」

 

 

ダァァァァンッ!!!!!

 

男の後方から凛とした女性の声が響いたと認識したその直後に男の側を通り抜ける一筋の“閃光“が走る。その綺麗な直線の軌道を描いた様なソレは男の目の前に居た不良の顔にへと迫って行き、狙いがブレる事も無く数秒もしない内に不良の額からは弾丸が着弾する音が聞こえてくるだろう。

 

男の後方に控えていたボルトアクションライフルを握り締めているハスミの狙撃が無慈悲に不良の頭を穿ったのだった。

 

 

 

「 ____ ナイス! 」

 

 

不良はだいぶ削られていたという事もあったのかハスミの狙撃一発で意識を刈り取られてしまい、堅く握り締めていたミニガンは地に落ちてしまって後方へと倒れ伏して行くだろう。男はハスミの方を向かって賞賛の言葉を送れば、彼女はただ頬を緩ませた穏やかな笑みの表情を作り男の言葉に応えた。

 

 

「 おいっ ... 嘘だろ、マジかよ !!! 」

 

最後に残ったミニガン持ちの不良はもう既に体力が消耗し切っており、男に対して最後の悪あがきをしようとしてかミニガンを構えるが消耗し切った上に人数不利なるこの状況での勝ち目はほぼ皆無と言っても良いだろう。このまま逃げられて増援を呼ばれても面倒だと思った男は拳銃の照準をその不良に定めれば_____。

 

 

 

 

 

 

 

「 .... ステージクリアだ。 」

 

 

 

男はそう言いながら不良の眉間にへと一発の弾丸を発射した。乾いた銃声から放たれた真鍮で出来たソレは体力を使い切った目の前の相手に負けという事実を突き付けるのには充分過ぎる程の威力だったらしく、彼女の意識は無慈悲に暗闇にへと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作戦成功(クリア)

 

 

 

 

 

 

 

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