東方白露伝   作:すぷりんくらー

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第壱話 再生

『キキーッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎』

 

耳を劈くブレーキ音が鳴り響き、直後、人が撥ねられたことを知らせる悲鳴が周囲の人の目を惹かせた。

 

(・・・ああ、死ぬってのはこういうことか・・・)

 

撥ねられた少年は考えることしか出来なかった。

 

(身体中に力が入らないし、入れたいとも思えない・・・周囲がボヤけて見える・・・走馬灯ってのは本当にあるんだなぁ・・・下らない思い出しか無いや・・・)

 

振り返ってみれば、誰とも会話を交わすこともない学校に行き、帰って、ゲームして、飯食って、寝て、また起きての繰り返しだった。親は自分がいる事に気付いていないようで、妹は俺のことを恨んでさえいたのだろう。

 

「ねえ!起きてよ!」

 

(・・・誰だ?俺を呼ぶのは?)

 

耳に木霊する声と記憶を照らし合わせる。

 

(・・・由香?)

 

直ぐに血を分けた妹だと判った。

 

「ねえ!起きてってば!お願い、起きてよ!・・・何で・・・私を庇ったの・・・」

 

いつも家族に友達の事を楽しそうに話しているのに、友達と一緒に登校姿を見た事があるのに、その時は、誰とも一緒じゃなかった。

 

「いつか勝手に死ねばいいのにって思ってたのに・・・、いつも悪口言ってたのに・・・、どうしてそんな奴を庇ったりするの・・・?」

 

零れた涙が少年の頬を濡らし、雫となってアスファルトに消える。

 

「お兄ちゃんがああなってから、お母さん達は私に期待を押し付けてきた・・・。その期待に応えられるように、勉強して、頭が良いけど自分とは合わないような奴らと、作り笑顔で友達になった・・・」

 

今までの自分を投げかける様に伝えた、そうすればお兄ちゃんが何か言ってくれると思って。

 

「だからお兄ちゃんを恨んでいたんだと思う、本当は、お兄ちゃんもそうだったのを知っていたのに・・・。でも本当は、誰かに応援して欲しかった・・・。ただ、それだけなの・・・」

 

救急車のサイレンが近付いてくる、二人に別れの時が近付いているのを知らせる様に・・・。

 

「だから、起きてよ。また子供の時みたいに、頭を、撫でてよ・・・」

 

途切れ途切れの掠れた声がで、自分が最も欲しかった物を要求する。まるで泣きじゃくる子供の様に・・・。

 

「・・・か」

「・・・お兄ちゃん?」

 

何かを喋っている、聞き取るために口へ耳を近づける

 

「・・めん・・・か」

「何?聞こえないよお兄ちゃん・・・」

 

少年は最後の、いや最期の力を振り絞って腕と口を動かした。

 

「・・・ごめん・・・ゆか・・・」

 

少年の手が由香の頭の上に乗った、子供をあやす様に・・・。

 

「聞こえない、聞こえないよお兄ちゃん・・・」

 

この言葉を聞いてしまえば、それを最後に二度と会えなくなる気がして、必死に拒絶の言葉を探した。

 

「・・・あり・・が・・・とう・・・・・」

 

今までの思い出が、動く影絵となって目に焼きつく。同時に、腕がの力が抜けて、地面に倒れた。

サイレンの音は、もう聞こえなかった。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何処だ、此処は」

 

死んでない?いや、そんな筈はない。と、自問自答する。

周りを見ても、一面真っ白だ。

 

「お主には転生して貰おうかの」

 

突如後ろから聞こえた声に振り向くと、何処か風格のある高齢と思しき老人がいた。

 

「・・・転生?転生ってあの?」

 

「そうじゃ、『あの』、転生じゃ」

 

(ノリいいなこの爺さん)

 

「取り敢えず、適当に特典貰って好きな世界に飛ぶと良い」

 

「はぁ、分かりました」

 

パソコンやタブレットで、小説を投稿出来るサイトが幾つかある。その小説のジャンルの一つに、『誰かを庇ったりした後神様による転生』、というのがあった。

これが転生なのだとすれば、この場での神様はこのお爺さんになる。

 

「そんな感じじゃ、特典はゆっくり選ぶと良い」

 

「・・・ありがとうございます」

 

(神だったのかこの爺さん・・・良いのだろうか、俺みたいなのが転生なんかして)

 

「せっかくチャンスが与えられたのじゃ、またやり直せば良い」

 

「・・・じゃあ、東方Projectの世界に行かせて下さい」

 

「ふむ、いいぞ」

 

「んじゃあ、身体能力を上げて下さい」

 

「ほいほい、他には?」

 

「霊力を下さい、なるべく多めで」

 

「分かったぞい、他には?」

 

「【断ち切る程度の能力】を」

 

「いいじゃろう、他には?」

 

「霊力が流せる日本刀を」

 

「良いぞ、名は何にする?」

 

(名・・・か。)

 

今までの人生を例えるならばーーーーーーーーーーーー

 

「【白露】。風に吹かれて地に消える、露。」

 

「・・・分かった、他には無いかの?」

 

「いや、無い。このくらいあれば十分」

 

「そうか・・・なら、次の世界では、悔いの残らんようにな」

 

「はい、お世話になりました」

 

別れの言葉を言った瞬間、世界が暗転した。

 

〈少年side out〉

 

〈神様side〉

 

(・・・全く、神を前にして物怖じもせん。・・・【白露】・・・か、じゃが少年よ、風はまだ吹き終えてはおらんぞ・・・?)

 

独り言は、虚しく虚空に消えた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・To Be Contined ・・・・・・・・・・・




如何でしたでしょうか?
由香はこれから出すかどうかは分かりません。若しかしたら出すかもしれません。
因みに、タイトルの『白露』は『はくろ』ですが、刀の方の『白露』は『しらつゆ』です。
なるべく駄文にならないよう努力しますのでこれからもよろしくお願いします。
質問・意見等ある方は遠慮なくおっしゃって下さい。
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