まあ、色々あったんですよ、色々と・・・
「虹符【彩虹の風鈴】!」
回るように放たれた虹色の弾幕が、霊夢に襲い掛かる。道のようになった弾幕と弾幕の隙間を霊夢が通っていく。その合間合間に美鈴が格闘攻撃を仕掛けてくるが、霊夢はお祓い棒を駆使してさばいていった。
(太極拳か?それにしても、綺麗だな・・・)
言葉が見つからない。あの弾幕をどう評すればよいのだろうか。霊夢の【夢想封印】とも、魔理沙の【マスタースパーク】とも、裕貴の【裂空斬】とも違った、美しさに重きを置いた『魅せる』弾幕。それを難なく躱してゆく霊夢の実力は計り知れない。
「悪いけど、さっさと終わらせたいのよね」
そう言って霊夢は裾からスペルカードを取り出した。
「霊符【夢想封印】!」
七つの霊弾が、美鈴に直撃する。直後、【夢想封印】の玉が爆散して美鈴にダメージを追加する。酷いな。
「・・・そうね、弾幕も、その拳法も、まあまあ良かったわよ。私に楯突いたのが運のツキだったわけだけど」
「そう言われたら、反抗する気も無くなっちゃうなぁ・・・」
「あんた、名前は?」
「紅魔館が門番、紅 美鈴」
「私は博麗 霊夢、貴女を倒した者の名よ?覚えておきなさい」
・・・これが霊夢の【人妖問わず惹き付ける性格】か。面倒臭さそうにしているが、実は結構面倒見が良かったりする。それに強いから妖怪に気に入られる。それはそれで問題だが。
「裕貴?先に進むわよ?」
「・・・ああ」
「おや、貴方は・・・?」
まあ、知るわけないわな。
「俺は橘 裕貴、博麗神社で世話になっている」
「そうでしたか、私は紅 美鈴。どうして咲夜さんの名前を・・・?」
・・・ヤバッ、何か言い訳を・・・
「・・・人里に下りたときに、『十六夜 咲夜』メイド服を着たとても瀟洒な銀髪の女性がいると聞いていた、そして、とある館に住んでいると聞いていたから」
一応事実だ、後半は嘘だが。
「なるほど・・・私が居眠りしていたこと、バラさないで下さいね?」
「わかった、程々にな」
そうして裕貴は門をくぐった。
魔理沙side
「・・・なるほど、ノタリコンがあったか。あ、でもスペルカードに使えないじゃん・・・まあ、最悪炎でも出せればいいだろ」
「何を勝手に本を読んでいるのかしら?」
「おっ?」
いつの間にかパジャマ姿の女が目の前に立っていた。そいつが手に持っている魔導書のレベルを考えると、相当手練れの魔法使いである。
「ここは私の図書館、借りるなら一言言いなさい・・・ってどうやって入ったのよ」
「普通に堂々と(裏口から)入ったぜ」
「・・・まあいいわ。ここに入ったということは、それなりの覚悟があると見ていいわね?」
熟練の雰囲気を隠さずに言う。心地良い臨場感が肌を粟立たせ、全身から闘気が溢れ出す。
「異変解決に来たんだ、最初から覚悟は出来てるんだぜ」
「・・・そう、なら遠慮は要らないわね・・・『知識と日陰の少女』、パチュリー・ノーレッジ」
「『普通の魔法使い』、霧雨魔理沙だぜ」
互いの二つ名を口にする。魔法使い同士で二つ名を口にする行為は、本気でやりあうという意思表示になる。
「いくわよ、火符【アグニシャイン】」
先に動いたのはパチュリーだ。スペルカードを唱えると、炎の弾幕が放射状に放たれる。魔理沙は箒に跨り、弾幕の隙間を縫うようにして躱していった。
「熱いうえに暑いな」
「私炙りものはあんまり好きじゃないのよ」
「私は好きだぜ?」
「腹壊すわよ?」
戦闘中に食事談議する余裕が、彼女らにはある。話してるうちに、パチュリーのスペルカードが終わる。パチュリーは直ぐさま2枚目のスペルカードを取り出した。
「金符&水符【マーキュリーポイズン】」
瞬間、金色と水色の弾幕が発射される。段々と魔理沙を挟み込みように迫り来る弾幕に、魔理沙もスペルカードを放った。
「恋符【マスタースパーク】!」
極太の魔力の奔流で、弾幕をかき消してゆく。だが、あまりにも強い勢いは、そこら中に配置された本棚を薙ぎ倒した。地面に足をつけていたパチュリーに、それこそ弾幕のような本の雨が襲い掛かってくる。
「!しまっ・・・」
気付いた時にはもう遅い、もうダメだ・・・そう思い、手で顔を覆った瞬間、誰かがパチュリーを抱き抱えて助け出した。
(咲夜・・・?)
違う。咲夜はこんなにも細い腕ではない。瞑ったままの目を開くと、パチュリーを抱えていたのは、先程まで闘っていた霧雨 魔理沙だった。
「あっぶね〜、もう少しで私も巻き添え食うところだったぜ。まあ幻想郷最速の私にとっては朝飯前だけどな」
「・・・なぜ助けたの・・・?」
パチュリーは理解出来なかった。なぜ、今さっきまで敵同士であった私を助ける?なぜ、危険を顧みずにこうも素早く行動出来る?
「なぜって・・・あのままだったらお前、絶対何本か骨折れてたぞ?そうなったら、私が悪いことになっちゃうからな」
(霊夢と裕貴に叱られちゃうぜ、おおこわ)
「・・・魔力のコントロールがなってないわ」
「・・・い、痛い所を突いてくるぜ」
「おまけに魔力の枯渇を顧みず撃ってくるから直ぐに魔力が底を尽く」
「う・・・」
今の短い戦闘で、パチュリーは魔理沙の癖を見抜いた。図星を突かれた魔理沙はリアルorzの体制になっている。
「またここに来るといいわ、修行つけてあげる」
「・・・いいのか?」
「貴女に最も足りないものは、戦闘経験よ。ここに来ればある程度は勉強できるわ」
確かに、この図書館の蔵書量は物凄いものだ。外から見た大きさよりずっと空間が広い。空間を弄っているのだろうか。
「分かったぜ、これからよろしくな?パチュリー」
「・・・そうね、よろしく」
心なしか、パチュリーの頬が赤いように見えるのは気のせいだろう。
めちゃくちゃ長くなりましたね、それともそうでもないのか。
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