東方白露伝   作:すぷりんくらー

9 / 10
第捌話 紅霧異変 其ノ三

「真っ赤な通り道だこと、目が痛くなってきたわ」

 

「余程此処の主は赤が好きなんだろうな」

 

まあ、吸血鬼だからな。そう言えば、十六夜 咲夜を見ていないな。あのメイドならこの辺りで出てくると思うのだが・・・

 

「誰か私を呼んだかしら?」

 

「呼んでないから帰っていいわよ」

 

噂をすればなんとやら、本当に出て来やがったよ。

 

「呼んでないのはこちらも同じよ?誰も招いた憶えはないわ」

 

「招かれた憶えもないわ。それより、この趣味の悪い館の主は何処に居るのかしら?」

 

「お嬢様はこの先の部屋で侵入者をお待ちしております。尤も、ご対面できるかどうか分かりませんが」

 

言い終えたと同時にナイフを投げてくる。霊夢が身構えるが、裕貴が直撃コースの物だけ斬り墜とした。

 

「お前の相手は俺だ」

 

「どちらでも同じことです。自己紹介が遅れました、私は十六夜 咲夜。以後、お見知り置きを」

 

「俺は橘 裕貴、そっちが博麗 霊夢。もう一人、霧雨 魔理沙というのがいたが、裏口から図書館に行ってる」

 

囮か?小賢しいことを。と胸中に思った咲夜は、一本だけナイフを投げて来た。それを裕貴は弾き返すが

 

「・・・ッ⁉︎」

 

すぐに幾多ものナイフが裕貴を取り囲んだ。

 

「終わりです」

 

「終わるものか」

 

咲夜はある一つの疑問を抱く。何故この男は、刀を鞘に収めた?

 

(・・・俺が現世でやりまくったゲームの一つ、メ◯ルギアラ◯ジングに出てきたサ◯エル・ホド◯ゲスの技の一つ!あの時はカタカナだったけど)

 

「【縮地抜刀】」

 

刀を抜刀すると、前方から迫って来ていたナイフを全て斬り飛ばし、そのまま前にいた咲夜へと間合いを詰める。

 

「なっ・・・⁉︎」

 

「あくまでこれは弾幕戦だからな、斬らんよ」

 

言いながら裕貴は手をかざし、スペルカード宣言をする。

 

「霊弾【雨雫】」

 

白い霊弾は、八方から咲夜に襲い掛かる。が、咲夜は時を止めていとも簡単に避けてしまった。

 

「当たらなければどうということはないわ」

 

「赤い彗星・・・?」

 

「は・・・?」

 

イカンイカン、荒ぶってしまった。しかし厄介なものだなと、裕貴は咲夜の能力を注視する。先程のように時間を止められて距離を置かれては如何しようもない。

 

「ならば、お前の反応速度を超える速さで斬ればいいだけのこと」

 

斬らないと言ったな、あれは嘘だ。まあ峰打ちで済ますつもりだが。

 

「やってみなさい、メイド秘技【殺人ドール】」

 

放射状に放たれたナイフの束が、裕貴に襲い掛かる。その後、バラバラになったナイフが裕貴を混乱させる。

 

「・・・チッ」

 

掠らせるようなギリギリの避け方でナイフを躱すが、意識の外側だった一本のナイフが、裕貴に突き刺さる。咄嗟に手の甲で受けたが、続いて何本か迫っている事に気付いた。

 

(弾じゃないから下手すれば本当に死ぬんだよな〜)

 

弾きながら下がる、が、直ぐ後ろから声が聞こえた。

 

「あなたの負けよ」

 

断定の言葉とともに寸前にまでナイフが迫る。裕貴は、何も無い筈の空間で剣を振るった。すると、裕貴が目の前から消えた。

 

「⁉︎」

 

何処に、の声が喉を通る事はなかった。咲夜は気付いたのだ、すぐ真後ろにいる事に。そして、咲夜の首筋に刃を当てていることに。

 

「お前の負けだ」

 

「クッ・・・どうやって移動したのかしら?あなたはただ剣を振るっただけの筈」

 

その行為になんの意味があった?まさか下の博麗の巫女が邪魔をした?いやそんな筈はない。博麗の巫女の能力は【空を飛ぶ程度の能力】だったはず、これには関係ない。では何故・・・

 

「俺の能力は【断ち切る程度の能力】。俺は、今そこにあった空間を『断ち切った』」

 

「‼︎」

 

(繋げた・・・のか・・・?いや、自分の目の前に空間の裂け目を作り出して、私の真後ろに移動したのか?)

 

「もう一度言う、お前の負けだ」

 

「・・・ハア、完敗ね。背後を取られた時点だ私の負けよ」

 

フウ、と安堵の溜息が裕貴の口から溢れる。直ぐに刀を鞘に収め、床に降りた。

何故か裕貴はぶん殴られてたが。

 

「痛い、痛いぜ霊夢。一体何するってんだ?」

 

「無茶するあんたが悪い。空間を移動するなんて、そういう能力者や慣れてる奴以外は体に負担がかかるものなのよ」

 

「結果オーライだ、問題ない」

 

仲が良いのか悪いのか・・・咲夜は一人だけ、咲夜自身が主と認めた者を思い出す。圧倒的な力の差を前に破れ、忠誠を誓ったあの紅い夜を・・・

 

「この先でお嬢様がお待ちしております」

 

だが私は負けた、ならば後の私の仕事は道案内だけ。

 

「こっちだったわよね?」

 

「・・・なら俺はこっちに行く、何か居そう」

 

「?・・・そう、無理しないでね」

 

side change

裕貴side

 

裕貴が戦いの最中からずっと気になっていた、恐らくフランドールが閉じ込められている部屋があると思われるあの階段を見下ろしながら、裕貴は戦う理由を探す。

 

(さて如何するか。救いたい訳じゃない、助けたい訳じゃない。なら、俺が地下への向かう理由は?俺がこの階段に足を踏み入れた意味は?)

 

答えが、見つからない。




随分と更新が遅れました、申し訳ありません。
質問・意見・要望等御座いましたら遠慮なくおっしゃって下さい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。