E1甲クリア。新規お迎えは桐。二式大艇ちゃ――秋津洲2人目。
E2乙クリア。新規お迎えは花月、樫。大淀さん+4人。
E3乙クリア。フライングパンケーキ欲しかったけど諦めた。新規お迎えは伊26、伊41×2、サウスダコタ×2。友軍のお陰で装甲破砕なし。
一息入れたらE4に取りかかりますかね。掘りは完走した後で。たくさん欲しいのあるけど新艦と日進だけは確保したい。
鎮守府食堂。
長テーブルには食堂組(俺含む)で作った料理が並べられている。久々に調理ができて充実した時間だった。
混雑を防ぐために同じ料理を2つに分けて配置し、取り皿と箸を置いた。片方には海防艦用の踏み台も準備してある。
料理の材料は鎮守府の保管分と有志のF作業による魚介類、そして総司令の差し入れ分だ。
飲み物を置いたテーブルは壁際の一箇所に。アルコールとノンアルコールに分け、冷やすべき物は氷水を入れたタライに沈めてある。
日本酒の燗は今回は外した。したければ自由にやってもらうつもりでいる。
こうして見ると、調度品はともかくとして、ホテルのバイキング会場っぽくなった。コンセプトはそれだから当然か。
ただ、ここの規模がこれ以上になったら手狭になるな。一応、顕現上限と思われていた艦娘60人+人間の勤務員を想定した作りではあるけど、うちの場合は艦娘だけでそれ以上になる可能性もあるし。
まぁ、それはそうなりそうになった時に考えるとして。艦娘達も全員揃ったので始めるとしよう。
「先日の巡視も滞りなく終了した。運営上の不備は全く指摘されなかったことを報告しておく。関わっている皆に感謝を」
巡視が来たことは皆知ってるし、特に八丈島組が色々吹き込まれていたことを払拭する意味も込めて、うちは健全だと御墨付きをもらったとアピールしておく。
「堅苦しいことは以上にして、今日は、今までできていなかった歓迎会を含めた懇親会だ。盛大にとはいかないけど、許す限り飲み食いして、皆との親交を深めてほしい。なお、横本の総司令磯畑大将から頂いた差し入れも含まれているので承知しておいてくれ。じゃあ――「その前に」」
好きな飲み物を、と言おうとしたら、大和に遮られた。あれ、何かあったっけ?
「皆さん、提督の肩に注目」
パン、と手を叩いて大和が言った。皆の視線が言葉に従い、動く。
「増えてる!?」
と声に出したのは睦月だ。今、俺の肩に着けてあるのは中尉の階級章だ。少尉のものから桜が1つ増えている。先日の運営会議の時には変えてあったけど、既に知ってた大和と大淀以外は誰も気付いてなかったなぁ。人間の軍人が俺だけだから、常に気にする必要もないからだけども。
「提督、昇進、おめでとうございます」
大和が笑顔で言うと、古参が続き、ちょっと遅れて新規組が祝いの言葉をくれた。拍手までされる。く、くすぐったい……
「あー……まぁ、中尉に昇進した。設営隊に頼らず、鎮守府施設を短期間でほぼ1から再建した功績による。俺というか、作業を頑張ってくれた妖精さん達と当時在籍していて協力してくれた艦娘達のお陰だ」
知られた以上は経緯を説明しておくことにする。実際、俺自身がしたことなんて整地作業と資材運搬の手伝いくらいなものだ。
「少尉任官から1年経っていないのですよね? 戦時だからですか?」
と聞いてきたのは霧島だった。以前大和も気にしてたけど、例外はあるとはいえ、昇進は次の階級になるまでに勤めないといけない最低年数が定められているから。
「そういうことになってる。まぁ、実績は事実だし、不届き者達に対する餌にもなるから、意向を聞かれた時点で受けることにした」
「よろしいのですか? 今のお話では、今すぐでなくても良かったように聞こえますが」
「これで馬鹿が炙り出されるなら好都合だよ。俺への悪口が増えるだけで、実害は変わらない」
心配そうな顔をする霧島に、肩をすくめて見せる。今更、
でも昇進を理由に攻撃が悪化する可能性はあるか。敵が余計なことしなければ、離島鎮守府に配属されただけの新人少尉のままで特段の評価もされることはなかったんだけどね!
「そんな話より懇親会だ。飲み物を準備してくれ」
改めて指示を出すと、各々が飲み物を取りに行った。外見年齢はともかく、アルコールがいける娘はテンションが上がってるように見える。総司令には感謝だな。今後はこっちで色々と手配できるようになるだろうから、裏酒保の充実も頑張らないと。
さて、俺はどうしようかと思っていたら、大和がビール瓶とコップ2つを持ってこちらへ来た。どうぞ、とコップを差し出してきたので受け取ると、大和がビールを注いでくれる。大和は手酌で自身のコップに注ごうとしたので、瓶をその手から取って注いでやった。
程なく全員に飲み物が行き渡る。では、と手にしたコップを軽く掲げた。
「皆のこれからの無事に、乾杯」
音頭を取ると、皆が続いた。そのままコップを半分程空ける。暑い日に冷えたビールは旨い。
艦娘達を見ると一気に空にした者、一口だけする者等様々だ。次々と料理を取りに行くけど、海防艦用の踏み台に気付いたからか、背の低い者と高い者である程度自然に分かれているのが面白いというかいい配慮というか。
「どうぞ」
大和がビール瓶を差し出してきたので、もう一口してから注いでもらう。
「大和は、料理はいいのか?」
「あちらが落ち着いたらいただきます。まずは、知らない娘達に食べてもらわないと」
「とは言え、どれが誰の作かは分からないだろ?」
「チャーハンは確定ですよね?」
気付くよなぁ。食堂組がチャーハンを作ったこと、今までないしね。でもノーコメントだ。それに今回のチャーハンは一手間加えてある。今までのとは違うのだ。食べて驚くがよいっ。
「基本的には分業というか手が空いてる者が必要な調理を施していった感じで、合作的な物がほとんどだな」
「そのほうがいいのでは? 提督が作った物が含まれていることは分かっているわけですし、どれを食べても提督の評価に繋がるかと」
それはそれで、間宮達への評価を横取りしてるみたいでズルっぽい気もするなぁ。
「あと、デザートも楽しみです」
運営会議で告知したデザートは、間宮達がしっかり仕上げてくれた。これの製作には俺は関わっていない。特に頑張ってくれたのは伊良湖で、完成品は現在保管中。出番はもう少し先だ。
「間宮達も、付きっきりになることはないから。艦娘間の交流が第一なんだからさ」
ここまでの準備で頑張ってくれたんだから、ここから先は各々楽しんでもらいたい。
「はい、お言葉に甘えます」
間宮達が頷く。料理と飲み物を取った者達は、小さなグループに分かれ始める。それを見届けて、間宮達も料理を取りに行った。大和もそれに続く。
さて、それじゃ俺も適当に――
「司令官」
暁型の4人がこちらにやって来た。手には料理が載った皿と飲み物がある。
「はい、司令官」
そして雷が、皿を1つこちらへと差し出してきた。
「一通り取ってきたけど、好き嫌いは大丈夫?」
「特にはない。ありがとう」
「これくらいどうってことないわ。もっと頼ってくれていいのよ?」
受け取って礼を言うと、期待するような目を向けてくる。そういえば雷って世話焼きというか面倒見のいい性格だったな。
「仕事面では頼りにさせてもらうよ」
そう言うと雷がにっこりと笑い、
「どうぞなのです」
電がビール瓶を差し出してくる。注いでもらって一口し、返盃をと思ったら、
「酒は響だけか」
響以外の3人はノンアルコールだった。
「飲めないことはないけど、1杯だけで十分。後は飲みたい人に譲るわ」
ふむ。こちらも無理に飲ませる気はないし、次からはノンアルコールをもう少し充実させよう。
「なるほど、大人の判断と気遣いだな」
「こ、これくらい普通よっ」
褒めると恥ずかしそうに暁が顔を逸らした。さて、暁型唯一の飲酒組である響は、
「ウォッカがないのは残念だよ」
と言いつつビールを空にしたので、注いでやることにする。
「裏酒保の準備も進めてるけど、どうしても欲しい物は個々に発注してもらうかな」
需要のない物を在庫に抱えても仕方ないので、基本は皆が手を出す物を定期的に仕入れ、それ以外は注文に応じる形にしようと思っている。ただ、ウォッカって今の帝国で入手できるのかな。ソビエトとは交戦中だし。他国でも作られてるんだろうか?
「ところで新旧の交流はどんな感じだ?」
「うちは問題ないわ。元々姉妹艦だし。司令官のこともしっかり言い含めたから、今は誤解もないわよ」
聞いてみると暁が得意げに答え、他の3人も頷いた。
「同じ駆逐艦も多いし、他の転任組ともそれなりに話をしてるよ。今の感じだと、司令官に本気で不信感を持つ娘はいないと思う」
「ここの状況を知って、資料を見せてもらって、普段の司令官を見ていたら、そんなもの吹き飛んだのです」
「安心していいわよ司令官」
そうか。だったら嬉しいな。
「それじゃ、私達は他の娘達とお話をしてくるわね」
チラリと横を見て暁が言い、そのまま全員が離れていく。そして交替するように睦月型達がやって来た。これに気付いて場を譲ったのか暁達。
「提督、いいですかぁー?」
「もちろん」
睦月の問いに頷きながら、彼女らの手元を見る。睦月と皐月がノンアル、三日月と如月がビールだ。料理の皿は持ってない。さっき、取りに行ってるのは見えたから、どこかに置いてるのか。座って歓談できるように席は整えてあるし。
「「司令官、どうぞ」」
ビール瓶が2本、同時に差し出された。顔を見合わせ、三日月が笑って一歩退き、如月から注いでもらう。一口して三日月からも注いでもらい、こちらからも2人に注いでやった。
「始まったばかりで何だけど、楽しめてるか?」
「それはもう! 料理も美味しいよ!」
皐月が元気よく答えた。
「ここでの生活には慣れたか?」
「えぇ。思っていたよりずっと快適よ」
「前任地でも当時よりは良かったけど、ここは更に上を行ってるにゃし」
「時代が進むってすごいよね」
如月、睦月、皐月からは不満があるようには感じられない。それはよかった。
「僕達もいいかい?」
そこへ神風と松風も現れた。2人はビールを持っていたので、こちらに注いでもらい、また2人に注ぎ返す。
「ところで司令官。大淀とは仲いいの?」
ビールを交わしあった後、そんなことを神風が聞いてきた。仲? 悪くはないと思うけど。
「何でだ?」
「何かと司令官についての話を聞かされるんだ」
と松風も加わる。そういえば神風型は、今は大淀と同室だったな。
「八丈島の時に吹き込まれてた噂の払拭のために尽力してくれてたってことか?」
「それはあると思うけど、どことなく楽しそうというか、それ以上のものがあるような感じ? 熱量というか」
「基本、いいところしか言わないしね」
む、基本、ということは、何か苦言めいたことも言われてるんだろうか。むしろそっちが気になると思っていたら、
「あー、それ、三日月ちゃんも同じにゃし」
「確かにそうだったね。いや、現在進行形か」
睦月と皐月が三日月を見ながら言った。うふふと如月も笑う。
「三日月ちゃん、司令官のこと好きだもんねぇ」
「ええ。素晴らしい司令官と出会えて、三日月は幸運です」
照れもなく真面目な顔で三日月がこちらを見て答えた。
「ミカのそれは大淀のそれとは違うっぽいなぁ」
「そうねぇ」
そしてそんなことを言う松風と神風。大淀、神風型に何を話してるんだろう?
「まぁ、俺のことはいいから、他の艦娘達と交流してくれ」
「交流って意味じゃ、提督と接する機会のほうが少ないのよ?」
神風の言葉に、松風と、三日月以外の睦月型が頷いた。うむ、それはそう。食事会、中断してたからな。
「そろそろ食事会を再開する予定だ。俺が独り寂しく飯を食うのに艦娘を付き合わせるイベントだけど、その時にいくらでも話はできるよ。それに、ここに慣れてきたら事務仕事も秘書艦もやってもらうし」
「秘書艦って、睦月達も? 駆逐艦だよ?」
「艦種は関係ない。現に吹雪や白雪はやってるし。三日月だってやったぞ」
所属艦娘には何回かは体験してもらうことにしている。向き不向きはあるだろうから、どんなことをするのかを知ってもらうのが第一だ。
「うわ、このチャーハン美味しっ!?」
そんな声が響いた。声の主を見ると、吹雪だった。
今回のチャーハンには初めて作った自家製チャーシューを使用している。独り呑みのつまみ用だった物を、せっかくだから使ってみた。良い出来だったと自負している。
吹雪と視線が重なった。笑顔でコクコクと頷いている。あ、これ俺のだって気付いたな。古参の何人かも俺を見てるし、足がチャーハンへと向かっている。
俺は何も言わず視線を逸らしてビールを口に含んだ。