離島鎮守府再建記   作:フェレッ党

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E5甲クリア。新規お迎えはジェーナス、日枝丸、ヴィクトリアス。シェフィールド+1人、ゴトランド+1人。
燃料2万切った時には乙に落とそうかと思いましたが、ラスダンの仏蘭西空母籠姫-壊、ノーダメだったのにゴトが夜戦で連撃決めてくれました。装甲破砕なしです。お陰で初甲種勲章、F4U-7もゲットできました。ゴト、えらい!

掘りによる新規お迎えはインディアナ、日進。伊400+2人、サウスダコタ+1人、伊26+2人、そして大淀+1。着任以来、ようやく日進をお迎えできました。しかし今イベント通して大淀さん来すぎでは?(5人追加)

北上様は無事改三にできました。扶桑姉妹のレベル上げなきゃ。


第52話 休暇其の弐1

 

 懇親会の翌日。

 休みだ。というか、また休みを取らされた。

 巡視までは資料作成等で結構遅くまで働いて、その後は懇親会用の試作や打ち合わせとかで遅くまで働いてた。

 で、働き過ぎだと懇親会終了後に大和と大淀に叱られた。他の古参は呆れてた。いや、懇親会関連は本当に気分転換になってたんだって。疲労は、まぁ、そうねぇ……

 結果、俺は数日の休暇を得ることになり、何をしていいか分からなくなった。水偵はまだ組み上がっていないから島外には出られない。駐機場の整備が始まったばかりだ。船だと時間が掛かりすぎる。

 だったら離島でできることを、というわけで、趣味を思い出した。

 それは野営。振り返れば軍に入ってからとんとご無沙汰だった。調査隊が来るまでは似たようなものだったけど、倉庫とはいえしっかりした建物があって雰囲気が違うのでノーカンだ。

 道具類は実家に置いたままでも、やりようはある。使えそうなものをかき集め、島内を把握する意図もあって俺は鎮守府敷地を出た。復興やら任務やらで、自分が住んでるこの島を自らの目でじっくり見る余裕なんて無かったから、趣味と実益を兼ねて、というわけだ。

 鎮守府に近いとアレなので、そこそこ離れた小さな砂浜付近を場所に選び、そこらで調達してきた木で簡単な寝床を作った。組んだ木と、そこらに生えていた背の高い草を使っただけの粗雑なシェルター。大和達に知られたら、こんな所で寝ても疲れを増すだけだと怒られるかもしれない。でもいいんだ。ここには俺だけ。好きなことをして疲れるならそれは本望というもの。肉体の疲労と違って、精神的なそれは休むだけじゃ抜けないしね。それに休みは今日だけじゃない。明日戻ったら部屋でゆっくり過ごすことも想定しての計画だ。

 シェルターの内側は念のため煙で燻し中。周囲には蚊取り線香も配置。かまども組み上がった。薪もこれだけあれば足りるだろう。さて次は――

「あれ、提督じゃん。何やってんの?」

 声に振り向くとそこにいたのは北上だ。そういえば彼女も今日は休みだったか。

「見てのとおり、野営。そう言う北上は何でこんな所まで?」

「暇だったから島を歩いてみようと思ってふらついてた」

 なるほど、つまりやることがないってことだ。

「娯楽の少ない鎮守府ですまないな」

「立地のせいで、提督のせいじゃないじゃん。テレビとか用意してくれたの、提督なんでしょ? それに歓迎会までしてくれたし」

「それくらいしか、できることがないからな。晴空が来たら本土にも行きやすくなるだろうけど」

「あぁ、聞いたよ。勉強しなきゃいけないって。だるいー」

「そう言うな。認識を今の時代にって待て待て」

 近付いてきてかまどの向こう側、つまり対面に座ろうとした北上を止める。

「そっちだと煙を浴びるぞ。あと汚れるからこれ使え」

「なにこれ?」

「敷物に使ってる麻袋」

 穀物やコーヒー豆とかを輸送・保存する時に使うやつ。これが意外と使えるんだ。

 畳んだ麻袋を投げると、受け取った北上は場所を動き、俺の横にそれを敷いて座った。

「ちくちくする」

 北上の格好は戦装束だ。スカートの丈は結構短めだから、そうなるか。

「毛布も敷くか?」

「うんにゃ、そこまではいいよ」

 私服は大和ら有志が作ってはいるものの、急な増員で間に合っていなくて、普段も戦装束のままで動いてる娘も多い。こうなったらある程度の出来合いを本土でまとめて調達して、こちらで手直ししてもらったほうが効率的かもしれない。

 そんなことを考えながら、拾ってきた枝を適当な長さに折る。これは火起こし用、と。

 次に、砂浜で拾った流木を割る。まずは台にするやつを地面に置き、そこに手を添えて別の流木を立て、上部に鉈の刃を添える。そしてその背を、棍棒代わりの流木で叩く。しっかり乾いていたからか、パカンといい音を立ててあっさりと流木は割れた。

 同じ調子で次々に割っていく。これがないと調理もできないし夜に焚火を眺めるという楽しみが得られない。

「楽しい?」

「まぁ、趣味だからな」

 不思議そうに北上が聞いてきたので、そう答える。不自由を楽しむというやつだ。

「北上は、何か趣味はないのか?」

 作業を見ているものの、退屈そうだったので、こちらから聞いてみた。

「んー……特にないねぇ。フラフラしたりボーッとしてることが多いかなぁ」

「誰かと一緒に行動したりは?」

「たまにはあるけどさ」

 そういえば、北上は姉妹艦の大井と仲がいいって話を聞くけど、確か第九戦隊繋がりだったっけ? 一方で球磨型としての括りはあまり聞かないんだよな。姉妹艦の球磨や木曾とは現在同室だけど、特に一緒に行動してる様子もないし。

 姉妹艦だからって本当の姉妹のように振る舞う艦ばかりでもないから、そんなものなんだろう。吹雪型なんかは友人感覚のほうが大きいように思える。

「何か興味があるものとかは?」

「んー、どうなのかねぇ。あ、提督には興味あるよ」

「……それは好奇心的な意味で?」

 どういう意味でかを問うと、そだね、との回答。そっかー。

「あ、今ホッとしたなー?」

 肘でこちらを小突いてくる北上。出てしまったかと表情を固めると、声を出して笑われた。

「モテてモテて困る(MMK)だもんねぇ、提督はさー」

 笑った後で、そんなことを言われる。そうかな? そりゃ、自惚れでなければ、一定以上の好意を向けてくる艦娘がいるのは確かだけども。

「だってさ、提督の好みを知りたいって、そういうことじゃない?」

「酒の席の悪ノリじゃないのか? あるいは、俺に変な目で見られる可能性の確認」

「あー、新規着任組は何か吹き込まれてたんだっけ? 悪ノリも、ないわけじゃないだろうけどさ、単に好意的ってのが大半じゃない? そこを越えてそうなのは……あ、でも片手じゃ足りないや」

「北上の認識だとそうなのか」

 大和と鳳翔、それに天龍か? 吹雪と曙は確信が持てないけど、それでもギリ片手で足りる。他は……昨日の話だと大淀が怪しいところで、そうなると超えるか。俺の見てない所でそれっぽい言動をする娘が他にもいるのか? 建造から間もないのに、周りをよく見てるなぁ。

「で、実際どうなのさ? こないだはああ言ってたけど、本当は1人くらい手ぇ出してたりする?」

「部下の艦娘に手を出すとか……」

「お堅いねぇ。それ、求められても拒否するわけ? 据え膳食わぬは男の恥じゃないの?」

「状況による、としか」

 海軍に入る前に、求めに応じて事に及んだこと自体はあったからなぁ。というかほとんどがそれだ。

「ついてんの?」

「ついとるわい」

「ほんとにぃ?」

 ニヤニヤと笑う北上は、すっかりからかいモードだ。このままいじられ続けるのは勘弁だなぁ。

「少なくとも、うちの艦娘に対しての恋心は俺にはないんだよ」

 特定の艦娘に振り向いてほしいとか、独占したいとか、そういう欲は現時点ではない。

「じゃあ、割り切った関係ならどうよ?」

 む。随分グイグイと来る。酒も入ってないってのに。これって単なる質問? からかい? それとも……誘い?

「どうした北上。こう言うのも何だけど、溜まってるのか?」

 即答せず、牽制の言葉を放つと、北上は少し照れたような表情になった。頭をゆっくり左右に揺らしながら、んー、よく分かんない、と答える。

「まぁ、艦から人間の身体になってさ、新鮮な感覚を味わってるところではあるんだけど。ほら、乗組員の記憶って男のばっかじゃん? 女の身体のことは、実感としてはよく分からないよねぇ」

 言いつつ北上が自身の胸を両手でまさぐる。俺(おとこ)の前でそういうことはやめなさい。

「記憶はあくまで記憶、というか、記録みたいなもんだし、それのせいで性的嗜好が女に向くわけでもなし。で、この島には男は提督だけだし? だったら、ねぇ」

 女性にも性欲はある。それは身に染みて知ってる。懇親会の時にも少し気になってたけど、うちの艦娘にもそういうのが出るようになったか。でもなぁ……

「それを狙っての今の体制ってわけじゃないぞ」

「そうなら何人かは食われてるだろうしね。でも、そんな様子はないし。まぁ、アタシとしては、提督だったらいいかな、ってのはあるんだよ」

 んー……素面で性的なことに直球をぶん投げてくる艦娘は初めてか。大和ですらここまでじゃなかった。顕現が一番直近なのに、そこまでの信頼関係を築けてたってこと?

 これが冗談やからかいじゃなくて、本音だっていうなら、向き合わなきゃ駄目か。

「真面目な話をするぞ。もし、お前達が今以上に欲を持て余すようになって、自分じゃどうにもならなくなって、その解消の手段としての『相手』がどうしても必要になった時、それが本当に、ほ、ん、と、う、に! 俺でもいいっていうなら、その時に相談しろ」

 できるなら、そこまでになってほしくないけど……

「わぉ……いいの?」

 自分で言っておきながら、北上が再確認してくる。

「できうる限り自力で何とかしてくれ。必要な物も取り寄せるから」

「自力で、ってのは分かるけど。必要な物って、例えばどんな?」

「張型とか、男性俳優の写真とか」

「ハリガタ?」

「男性器(ラ)を模した物」

「あー……って、何でそんなツテあんの? 手慣れてる感があるよね。ひょっとして、かなり遊んでた?」

「俺にも色々あったんだよ……」

 ジトっとした目を向けてくる北上に、溜息交じりに返す。

 あれを遊びと言うのは無理があるというか、むしろ仕事の一環というか。でも、あれがあったからこそ、この状況下で何とかなっている、とも言う。って、いかんいかん。この話はこれ以上続けたくない。

「そんなことより、暇潰しの話だ。例えば料理とか。釣りとか」

「料理は結構やってる娘がいるね。釣りも曙とか雪風とか、駆逐のがハマってるみたいだし。でも、なんかしっくりこないなぁ」

 強引に話題を変える。北上もそれ以上踏み込んでこなかった。

「乗組員の記憶の中に、これはってものは?」

 継承記憶は戦争に限定されたものじゃないんだから、運動なり文化的活動なり、何かないか?

「うーん」

 腕を組み、悩みながら、ダルマのように北上の体が左右に揺れる。

「あ、何か作ってみるのは?」

「作る」

「戦後、工作艦だった時期があるんだろ? 明石や夕張の手伝いってのでもいいし」

「工作ねぇ……」

「うちの明石は趣味的には建築系だし、夕張は兵器系だけど、妖精さんの中には家具とかアクセサリーとか作る子もいるぞ」

 さて、焚火の準備は十分か。そろそろ食事の準備も進めていこう。

「北上。お前、今日の夕食は?」

「食堂で食べる予定だけど」

「そうか。じゃあ、少しつまむ程度だけど、食べてくか?」

「お、いいねぇ。ありがとね」

 提案に、北上が相好を崩した。

 

 

 

 自分用の食事と持ってきた酒を分けてやりながら色々と話していると、あっという間に薄暗くなってきた。これ、夕食の時間、過ぎてないか?

「北上、急いで帰らないと間宮達に叱られるぞ」

「んー……泊まってっていい?」

 量は飲んでないはずだけど、昨日も顔に出てたっけ。赤い顔で北上がそんなことを言った。

「悪いな北上。このシェルターは1人用なんだ」

「詰めれば2人いけるっしょ?」

「俺と同衾することになる、って言ってんだよ」

「きゃーおそわれるぅ」

 自身の身体を抱えるようにして、わざとらしく身をよじる北上。そもそも、その狭いシェルターでコトに及べるわけないだろう。あぁ、こりゃ酔ってる。間違いない。

「襲わんわ。そもそも、酔った女と寝るのは嫌だ」

「えー? 何があったのさ?」

 その問いには無言を貫く。昔、酔った女性に寝床に引きずり込まれて、散々搾り取られた挙げ句、翌朝目が覚めて酔いが抜けたら襲われたとか騒がれただけだ。連れ込まれた時の目撃者はいたから誤解は解けたし、ちゃんと謝ってももらえたけど、あんな心臓に悪いことは二度と御免だ。

「提督から手を出すことはないんでしょ? 問題ないじゃん」

「欲が枯れてるわけじゃないんだよ」

 意識はしてしまうし我慢も必要なんだ。そんな労力を強いるんじゃありませんよまったく。

「大丈夫。アタシは提督を信じてるよ」

「俺が大丈夫じゃないって言ってるんだよ」

 北上は笑うけど、俺は溜息しか出ない。あーもう。

「まあいい。シェルターはお前が使え。そんだけ酔ってりゃ帰りに事故るかもしれないし」

「提督はどうすんのさ?」

「毛布があれば何とでもなる。女性を毛布1枚で外に出すわけにはいかないし」

 そんなシェルターでも、毛布1枚に比べたら過ごしやすいはずだ。これが冬なら無理矢理にでも帰らせて自分がシェルターを使うけど、今ならこれで大丈夫だろうし。一応、シェルターのチェックをしとくか。

「アタシ、艦娘だよ?」

「そうだな」

 突然どうしたんだと北上を見ると、抱えた膝に頭を預けてこちらを見ていた。

「……優しいねぇ提督は」

 そう言って立ち上がった北上は、両手で頬をパンと叩いた。

「やっぱり戻るよ。今なら大丈夫そう。食事キャンセルして怒られるのも嫌だし」

 大きく伸びをしてから、ごちそうさまーと言って歩きだす。足取りはしっかりしてそうだけど大丈夫か?

「送ろうか?」

「だいじょーぶ。提督の時間を結構もらっちゃったし、これ以上はねー。あ、そうだ」

 立ち止まり、振り返った北上はニヒッとわらい、

「提督ぅ、言質はとったからねー」

 そう言って今度こそ去って行った。

 ……早まった、かなぁ……

 

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