推しの子×BLEACH   作:ZEROⅡ

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一発ネタのつもりでしたが、色々書いてみたい事が増えたので続けます。

ただし不定期です。エタらないようにだけ気を付けます。

というわけで第二話です。





第二話

 

 

 

 

 

五番隊隊長の平子真子から現世行きの任務を告げられてから早三日。

 

場所は尸魂界にある護廷十三隊の隊長格や席官達の住居が並ぶ『席官屋敷通り』と呼ばれる場所の、その一角にある『夜代』の表札が掲げられた武家屋敷。

 

「……………」

 

そこでは、屋敷の主である夜代レンが広い庭で一人佇んでいた。

両目を閉じ、庭の壁際にいくつか等間隔に並べられた丸太に向けて腕を前方に真っ直ぐと伸ばして右手をかざすように構えたその姿から、集中しているのが分かる。

これはただ立っているだけでなく、彼が日課としている〝鬼道〟と呼ばれる死神が用いる霊術の鍛錬の一つである。

 

「破道の三十一〝赤火砲〟

 

直後、レンの右手のひらから拳大ぐらいの大きさの火球が放たれる。

それはブレることなく一直線に飛んでいき、丸太の的の一つに直撃して爆発した。だがそこで終わらず、レンは続けて術を発動する。

 

「破道の五十四〝廃炎〟

 

続けて放ったのは円盤状の衝撃波。それも丸太の的に命中し、同時に勢いよく燃える。

 

「破道の六十三〝雷吼炮〟

 

更に放たれた雷を纏った光弾が的に着弾すると同時に衝撃波と轟音を響かせ、直撃した丸太はそのまま消し飛ぶ。

 

「フゥー……」

 

そして一呼吸おいてから、今度は両の手のひらを上下に重なるように突き出す。

 

「破道の七十三〝双蓮蒼火墜〟!」

 

最後に放たれた眩い蒼い極光は、着弾と同時に爆発し、土煙を巻き起こした。

 

「…………チッ」

 

土煙が晴れるとそこには、壊れていない丸太と代わりに抉れた地面があった。どうやら最後の術は外れたらしく、それを見たレンは小さく舌打ちを零した。

 

「やっほーレン、お疲れー」

 

「!」

 

一通り術を放ち終えて一息ついたところに、背後から聞き慣れた声が聞こえた。

振り返るとそこには案の定、明るい笑顔を浮かべたアイが立っていた。

 

「……アイ、勝手に人の敷地内に入ってくるなって何度も言ってんだろ」

 

「まぁまぁいいじゃん今更だし、どうせ私は言っても聞かないし」

 

「正しい自己分析が出来てるようで何よりだ。悔い改めろバカ」

 

「あたっ」

 

そんな彼らにとっていつも通りの軽口を叩き合いながら、とりあえずレンは不法侵入者のアイに軽いチョップを落としておいた。

 

「なんか用か? 現世行きの準備は?」

 

「もちろん終わってるよ~。で、出立までヒマになったから遊びに来た!」

 

「そうか、帰れ」

 

「やだ。いやーそれにしてもすごいね! もう七十番台の鬼道を詠唱無しで撃てるんだ」

 

レンの言葉をシレっとあしらいながらアイは鍛錬の跡である丸太の残骸を興味深そうに眺める。

そんな彼女にレンは若干イラッとしながらも、長年の付き合いからくる経験則から何を言っても無駄だと悟ったためグッと堪えた。

 

「いや、まだまだだ……撃つ瞬間に霊圧の調整がブレたせいで狙いを外した。雛森副隊長にコツは教わったが、実際にやるとやっぱ難しいな」

 

賞賛するアイとは対照的に、レンは納得のいっていない表情で右手をグーパーと動かしながらぼやく。

 

鬼道は主に攻撃系の『破道』と捕縛・防御系の『縛道』の二種類に分類され、それぞれ九十九通りの術が存在する。番号が上がるほど高位かつ強力なものになる反面、その扱いも難しくなる。鬼道が苦手な者は暴発すら起こすほどだ。

レンはどちらかと言えば鬼道が得意な部類に入るが、五番隊副隊長の雛森のように達人と称される者には程遠いと感じている。

 

「もう少し安定させることが出来れば、実践でも使えるはずだ」

 

「うむうむ、励みたまえ~」

 

「何目線だお前は……つーか、アイはどうなんだ? 鬼道が苦手だっただろ」

 

「うっ……いやほら…私は鬼道より斬術の方が性に合ってるし……別に使えなくても困らないし……」

 

何故か後方腕組み師匠面していたアイだったが、レンからの指摘により一転、気まずそうに視線を逸らしながらゴニョゴニョと言い訳染みた言葉を並べる。

それを見たレンは、少々意地の悪い笑みを口元に浮かべながら言った。

 

「まぁ確かに、アイは院生の頃から鬼道が壊滅的に不向きだったからな。死神ならある程度出来て当たり前なんだが、出来ないなら仕方ないな。まったく、出来ないなら出来ないと素直に言えばいいだろ」

 

「は? 出来ますけど? はぁ?」

 

やけに要所要所を強調したレンの言葉に、アイは黒い星を浮かべた瞳で睨みながら低い声色で応えた。彼女は煽り耐性が低かった。

 

「おい無理すんな、暴発したら危ないだろ、俺ん家の庭が」

 

「ナメんな! 見てろよーっ!」

 

乱暴な口調でそう言うと、先程までレンが使っていた丸太の的に向けて、アイは両手を突き出すように伸ばして構える。そして声高らかに術を発動する。

 

「破道の三十一〝赤火砲〟!!」

 

その瞬間……アイの両手からボフンっと気の抜けるような音が鳴り、ビー玉サイズの火球がヒョロヒョロと宙を彷徨い、最後にはポテっと地面に落下して消滅した。

 

「………………」

 

「ふっ…く……!! ふふっ……!!」

 

その光景をアイ本人は唖然とした表情で眺めており、傍らで見ていたレンは顔を逸らしているが、漏れている吐息と肩を震わせている事から笑っているのは明らかである。

 

「──ねぇレン?」

 

「な、なんだ……?」

 

何とか笑いを堪えてアイの方に視線を戻すレンだが、その瞬間に気づいた。自分に笑顔を向けている彼女の眼が、一切笑っていない事に。

 

「私さ、鬼道は確かに大事だけど、斬術も同じくらい大事だと思うんだよね~」

 

そう言うや否や、アイは瞬歩を使ってその場から姿を消した。

 

「ア、アイ?」

 

突然姿を消したアイに戸惑うレンだが、彼女は数十秒も経たない内に戻ってきた。

──その手に二振りの木刀を携えて。

 

「という訳で、手合わせしよっか」

 

「どういう訳!?」

 

「ほら、斬術は鬼道と同じで死神の基本なんだからそっちを鍛えたならこっちも鍛えなくちゃ」

 

「暴論と無理矢理が過ぎませんかね?」

 

「あと純粋にレンがムカついたので叩きのめします」

 

「本音も言えばいいってもんじゃないんだよ」

 

余りに突然の展開に、レンはツッコミを入れつつアイからの申し出を断ろうと言葉を述べる。

 

「あのな、あと一時間もしたら俺達は現世に出立するんだぞ。無駄な体力使っていい訳ねーだろ」

 

「大丈夫だよぉ、レンとの手合わせでそこまで体力消費するわけないし」

 

「──あ?」

 

レンとアイにはこの後に現世行きの任務が控えているので、そう主張して断ろうとするが、次いでアイから発せられた返答に片眉を吊り上げた。

 

「レンって器用貧乏だから鬼道だけじゃなくて〝白打〟と〝歩法〟も人一倍こなせてたけど、斬術だけはイマイチだったよねー。他をそつなくこなしてる分センスの無さが目立つって言うかー、院生だった頃に何度か手合わせしたけど結局私にずっと負け越してるもんねー。あ、それは今も変わらないか。やっぱり止めとく? 私には勝てないって認めて尻尾巻いて逃げる?」

 

「上等だこの野郎……!! 木刀寄越せ、今日こそその鼻っ柱へし折ったらァ」

 

先程の仕返しと言わんばかりに煽り倒すアイに対して、レンは艶の消えた黒真珠のような瞳で睨みながら怒りを滲ませた声で応えた。こいつもこいつで煽り耐性が低かった。

 

「そう来なくっちゃ♪」

 

それから互いに木刀を手に、ある程度の距離を取る。

 

「ルールは?」

 

「んー、とりあえず一本取った方の勝ち。それ以外は特に無しで」

 

「シンプルだな。わかった」

 

「よぉし、それじゃあ行く────よっ♪」

 

レンの確認に対してアイがそう答えると同時に、彼女の姿が消えた。

 

「!!」

 

すると次の瞬間……左手の木刀を腰に添えるように持ち、右手で柄を握った、いわゆる居合の構えをしたアイが一瞬でレンの懐に潜り込むように現れた。

 

「チィッ……!!」

 

それに即座に反応したレンは、真後ろに飛び退きつつ右手で逆手に握った木刀を盾のように構える。直後、凄まじい衝撃が木刀越しにレンの全身に伝わった。アイが目にも止まらぬ速さで振るった抜刀が襲い掛かって来たのだ。

 

後ろに飛んでいた事もあって何とか衝撃を逃がしながら後退して彼女から距離を取るレン。しかしそうはさせないと言わんばかりに、アイはドンっと力強く踏み出した一歩で開けた距離を即座に詰める

 

その勢いのまま振り下ろされた木刀を受け止めるレン。それを皮切りにアイの猛攻が始まる。

真向からの振り下ろし、左右からの袈裟斬り、横一文字の太刀など、絶え間なく素早く動き回りながら振るわれる連続斬撃。しかも時には瞬歩を使って一瞬姿を消して違う角度から斬りかかる等、あらゆる方向から斬撃が襲いかかって来る。

それらの猛攻を何とか受け止め、流し、いなしながら凌ぐレン。一旦離れようとするも、アイは常に付かず離れずの距離を保ちながら着いて来る。

 

「ぐっ……!!」

 

やがて耐え切れなくなったのか、受けた衝撃に圧されて体制を崩し、左足が浮いてしまうレン。

当然そこ見逃さず、アイは再び瞬歩によって姿を消す。

 

「!?」

 

「(もらった……!!)」

 

次いでアイが姿を見せたのはレンの背後。両手で上段に構えた木刀を体制の崩れたレンの背中目掛けて一直線に振り下ろし、声に出さずに直撃する事を確信する。

しかし……

 

「甘ェ」

 

「!」

 

結果はアイが確信していたものとは違った。

レンは背後からの攻撃に合わせて、浮いていた左足を勢いをつけて引き戻し、その勢いのまま右足を軸にして体全体を回転させながら戻した左足を後ろに大きく振り上げた。そうして繰り出された後ろ回し蹴りはアイの木刀の側面を捉え、弾いた。

 

「縛道の四──」

 

「ヤバッ…!!」

 

〝這縄〟!」

 

更にレンは木刀が弾かれた事で無防備状態となったアイに向かって、霊力で編まれた縄による拘束の術を放つ。

思わぬカウンターにアイは慌てて瞬歩でその拘束術を回避し、今度は彼女の方からレンと距離を取る。

 

「あっぶな……」

 

「チッ、捕らえ損なったか」

 

お互いに距離が出来た事で、二人は木刀を構え直して向き直る。

 

アイは右足を前に出す形で半身になり、その状態で左手で腰に当てるように握った木刀の柄に右手を添える居合の構え。

対するレンは足を肩幅ぐらいまで開いた状態で腰を落とし、右手で逆手に握った木刀を盾のように体の前に突き出した構え。

 

それぞれ構えながら睨みあいつつ、思考を巡らせる。

 

「(相変わらずすばしっこいな。しかも時折瞬歩を織り交ぜて緩急をつけて来るから油断するとマジで一瞬見失う。一撃一撃は軽いから、居合の型から繰り出される瞬速の抜刀術にさえ気をつければ何とか捌ける…が、やっぱあの速さは厄介だな。反撃しようにも追いつけん)」

 

アイは小柄故に力は劣るが、小柄だからこそ俊敏に動ける。

体格を活かした軽快な身のこなしと瞬歩を駆使した高速移動。そこから繰り出される素早い連続斬撃は相手に息つく暇を与えず、その中で突如襲い掛かる抜刀術による強烈な一太刀。〝斬術〟と〝歩法〟に秀でているアイならではの戦法だ。

 

「(うーん、攻め切れないなぁ。レンって防ぐのもいなすのも上手いし、体幹がしっかりしてるから崩し難いんだよね。重心移動も上手いから、少し崩してもすぐ持ち直してさっきみたいに白打や鬼道で反撃してくる。フィジカルお化けかな?)」

 

レンは斬術に関しては確かにそこまでだが、代わりに〝鬼道〟や死神の体術である〝白打〟に優れている。

基本的に刀を盾代わりにしており、攻めるよりも防ぐ技術の方が高い。そうして耐えながら白打や鬼道によるカウンターや捕縛を狙うのがレンの戦法となる。

 

速さと手数で攻勢に出るアイと、常に防御姿勢でカウンターを狙うレン。

二人の戦法は対極同士。

アイが攻めてもレンの防御は崩せず、レンが反撃してもアイの速さを捉えられず、互いに決定打に欠けていた。

 

「(だが……)」

 

「(そうじゃないと……)」

 

「「(面白くない!!)」」

 

それでも二人は下手な策は弄せず、真正面から自身の戦法でぶつかりあう。

アイとレンは互いに長い付き合いで相棒のような存在と認識しているが、同時に死神としてのライバルとも認識している。だからこそ己の戦い方で相手を打ち負かしたいのだ。

 

「どうしたアイ! もうへばったのかァ!?」

 

「冗談!! レンこそまだまだやれるよねぇ!?」

 

何度目か分からない木刀がぶつかり合う音が響き渡り、そのままギリギリと鍔迫り合う。

 

そんな二人の顔には無意識だろうか、楽しそうな笑みが浮かんでいた。

 

それからもレンとアイは決着が着くまで、互いに木刀を振るったのだった。

 

 

 

 

 

そして──

 

 

 

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

「──で、そのまま勝負に没頭した挙句遅刻ギリギリになったっちゅう訳か。アホちゃうか」

 

「もう…夜代君もアイちゃんも稽古をするのはいい事だけど、その後に控えている任務や仕事の事もちゃんと考えないとダメだよ?」

 

「返す言葉も…ありません……!!」

 

「あはは……」

 

結局あの後も時間を忘れて戦った結果、集合時間が差し迫っている事に気付いた二人は大慌てで支度して何とか時間ギリギリに集合場所である現世と尸魂界を繋ぐ『穿界門』の前に辿り着いたのだが、既に到着していた平子から辛辣な言葉を、雛森からは優しく諭すような言葉を頂戴する事になってしまった。

因みにレンは平身低頭して謝意を見せており、アイはバツが悪そうに苦笑している。

 

そうして反省しているのと、一応時間には間に合っている事を考慮して、平子は「まぁええわ…」と肩すくめるのを最後にこの件を終わらせる事にした。

 

「ほんで? その勝負はどっちが勝ったんや?」

 

「ぐぅっ…!!」

 

「フフン♪」

 

穿界門の準備までまだもう少し掛かりそうなので、平子が雑談ついでに二人にそう問いかけてみると、レンはあからさまに顔をしかめ、アイは得意げな顔で笑った。

これだけで結果は一目瞭然である。

 

「なんやレン、負けたんかいな?」

 

「違うんですよ隊長…! これには理由(わけ)が……!」

 

「いやーまた私の勝ち越し記録が更新されちゃったなー! レンってば大口叩く割にいつも負けるよねー、もしかして癖になっちゃってるー? 負け癖がついちゃってるのかなー? やーいザーコザーコ♪」

 

「黙ってろ貴様ァ……!!」

 

眩しいくらいの満面の笑顔でここぞとばかりに煽り散らしてくるアイにブチギレつつも、レンは何とか冷静を装いながら平子に対して弁明する。

 

「そもそもあれは無効試合ですよ! 俺が集合時間に遅れそうな事に気が付いて中断しようとした矢先に全力で斬りかかって来やがったんですよコイツ!」

 

「えー? 勝負の最中に手を止める方が悪くなーい?」

 

「せやな。どんな理由があっても隙を見せたお前の負けや」

 

「ぬぐっ……いやわかってますよそんな事は! それでも納得いかねェもんは納得いかねェんです!!」

 

「うわぁ負け惜しみだ」

 

「負け惜しみやな。女々しいやっちゃ」

 

「さっきからそっち側に付くのやめてくれませんかね隊長!!」

 

しかし必死の弁明も虚しく、ただただレンが平子とアイの二人からからかわれるだけに終わった。

 

「ま、そんなけ元気有り余っとるんなら現世に行っても大丈夫やろ」

 

「……現世と言えば隊長、本当に良いんですか? 荷物がこんなに少なくて」

 

これ以上は分が悪いと判断して勝負の話を一旦脇に置き、現世行きについて気になった点を尋ねる事にしたレン。

 

その内容は用意するように指示された荷物の事。

荷物と言ってもその量は非常に少なく、死神達が連絡手段に使う『伝令神機』と呼ばれる通信機器(スマホ)と現世で使用する金銭とその財布、あとは細々とした私物のみで風呂敷一枚に納まる程度の量だった。

それ以外と言えば、死神の衣装である死覇装と武器の斬魄刀だけである。

 

 

これは余談だが、死神の着る死覇装は彼らにとって制服のようなものだが着こなし方や改造などは割と自由にして良い事になっている。

 

例えばレンは動きやすさを考慮して通常より袖を肘の上くらいまで短くしており、両手首に黒のリストバンドを着用。斬魄刀は逆手で抜きやすいように腰の背面に差している。

 

一方でアイの死覇装はそのままだが、その下にはフード付きの白パーカーを着込んでおり、胸元まで伸びる長いパーカー紐の先端はクローバー形に結われている。

 

 

話を戻そう。つまりレンが言いたいのはこれから長期間の現世滞在任務にも関わらず、荷物が少なすぎるという事である。

その問いに対し平子は何の事もないように右手を振りながら答えた。

 

「あー、かまへんかまへん。必要なモンは現世でも買えるし、むしろあっちの方が豊富なくらいやからな。現地調達した方が得やで」

 

「でも…流石に〝義魂丸〟や〝義骸〟は必要なんじゃ……」

 

「そっちも大丈夫や。現世におる協力者が調達する手筈になっとる」

 

「「協力者?」」

 

平子の口から出た〝協力者〟という言葉に揃って疑問符を浮かべるレンとアイ。それについてレンが更に問い掛けようとしたその時、穿界門の準備をしていた死神の一人が駆け寄ってきた。

 

「平子隊長! 穿界門の準備が整いました!」

 

「「!」」

 

「そうか」

 

それを聞いて一つ頷いてから報告に来た死神を下がらせた平子は、目の前のアイとレンに向き直る。

 

「桃」

 

「はい、任務のおさらいをしますね。星野九席と夜代十席のお二人にはこれから現世に滞在しながら〝転生者〟二名の監視と原因の調査を行ってもらいます。滞在期間は現状未定ですが、それなりに長期になる予定です。なので定期報告は怠らないようにしてください」

 

「特にアイやな。忘れたらアカンで」

 

「名指し!?」

 

「当たり前だろ」

 

雛森がテキパキとした口調で任務の概要を述べ、平子が少し茶々を入れ、普段からサボりがちなアイが驚き、当然だとレンがツッコミを入れる。

 

「それと今回の任務には協力者が居ますので、何か現世でトラブル等があればその方を頼ってくださいね」

 

「せやから向こうに着いたらまずは、そいつと合流するようにな」

 

「「はい!」」

 

二人の言葉に強く返事をかえすレンとアイ。

 

その瞬間、ガコンっという轟音が響き、穿界門が開き始めた。

いよいよ出立の時がやって来たのだ。

 

「レン、アイ、準備はええな?」

 

「もちろん!」

 

「大丈夫です!」

 

「アイちゃん、夜代君、気を付けてね」

 

「ありがとうございます、雛森副隊長」

 

「行ってくるね、桃ちゃん!」

 

ゆっくりと動いていた扉が遂に全開となり、穿界門が開かれた。

その門の向こう側は真っ白な光に覆われていて見通すことは叶わないが、その先には尸魂界と現世の狭間の〝断界〟があり、そこを超えた先が現世と繋がっているのだ。

 

「ほな──行ってきィ」

 

その言葉を最後に平子は二人の部下の背中を軽く叩いて送り出した。

それを受けた二人は力強く、それでいてどこか嬉しそうな声色で応えた。

 

「「行ってきます!」」

 

開かれた穿界門へと向かって、静かに並んで歩き出す。

すると、そんな二人の傍に二匹の黒い揚羽蝶がヒラヒラと羽ばたきながらやって来た。

 

その蝶の名前は〝地獄蝶〟

死神を尸魂界から現世にへ導いたり、伝令を伝えたりする役割を持つ特別な蝶。今回のように尸魂界と現世を行き来する場合は必ず一人一匹ずつ付けなければ正規ルートを通ることが出来ないという欠かせない存在だ。

 

それがレンとアイに付いたという事は、本当の意味で現世へ赴く準備が完了したということ。

 

「行くぞ、アイ」

 

「行こう、レン」

 

どちらからともなくそう言って互いに頷き合い、二人は門の先へと足を踏み入れる。

そしてやがて、その姿は光の中に飲み込まれるように門の向こう側へと消えていった。

 

 

 

 

 

しばらくして二人の死神は現世に降り立つ。

そこは日本の首都であり、様々な思惑が蠢く中心地となる〝東京都〟

 

 

 

 

 

「──?」

 

「どうかしたの? お兄ちゃん?」

 

「……いや、なんでもない」

──転生した星の双子──

 

 

 

 

 

「カァー」

 

「おや? まさか、終わったと思っていた物語がここで介入してくるなんてね」

──鴉を従える少女──

 

 

 

 

 

「ああ……僕の命に重みを感じる……」

──命を背負い続ける者──

 

 

 

 

 

「■■……■■■…■■…■■……!!」

──仮面の咎人へ堕ちた者──

 

 

 

 

邂逅の時は──近い。

 

 

 

 

 




戦闘描写ってこんな感じでいいのかな?



簡単な主人公設定その2


【名前】
・星野アイ
【容姿】
基本的に原作通りの美少女。たまに気分で髪型を変える。
死覇装は通常のものと変わりないが、その下にフード付きの白パーカーを着込んでいる。
胸元まで伸びる長いパーカー紐の先端はクローバー形に結われている。(雛森作)


【名前】
・夜代レン
【容姿】
ウルフカットで整えられた黒髪に、特徴的な切れ長の目に夜空を連想させる黒真珠のような瞳を持つ美青年。
死覇装は動きやすさの為に通常より袖を短くしており、両手首に黒のリストバンドを着用。斬魄刀は逆手で抜きやすいように腰の背面に差す。


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