これからも推し鰤をよろしくお願いします。
※お知らせ
第五話にて、アイがメガネをかけているという描写がありますが、予定していた展開の変更に伴い、この描写を修正させて頂きます。ご了承ください。
今後も細かい訂正などが増えるかもしれませんが、何卒ご容赦ください。
「っていう感じで友達になった、アイちゃんとみなみちゃん」
「お前情緒大丈夫か?」
場所は陽東高校の校舎内にある広場。
そこでは双子の妹であるルビーの教室での奇行を聞かされたアクアが、割と本気で彼女の心配していた。主に頭を。
「どうもぉ」
「よろしくー!」
「……ああ、よろしく……」
そこでふと、アクアはルビーが友達になったと言って連れてきた二人の女子生徒に視線を向ける。
片方は寿みなみというグラビアアイドル。彼女に関しては何かの漫画雑誌の表紙で見た事がある気がするが、それくらいの認識だ。問題はもう一人の方。
「どうお兄ちゃん! アイちゃんってB小町のアイにそっくりで超可愛くない!?」
「いや~、流石に照れるよマリンちゃん」
「私ルビーだよ! マリンちゃんはあっち!」
「誰がマリンちゃんだ」
不本意な呼び名にツッコミを入れつつ、ルビーに背中を押されるような形で立っている少女を観察するアクア。
星野アイ──十年ほど前に亡くなったアイドルグループ〝B小町〟の不動のセンターにして、アクアとルビーの母親。それと同姓同名で瓜二つの姿をした彼女。写真越しではなく、こうして実物を目の前にしても信じられなかったアクアだが、事実としてまるで生き写しのように彼女はそこに居る。
「(確かに似てる。けど……それだけだ)」
それがアクアの主観だった。
かつての〝アイ〟には天性とも言うべきカリスマ性があった。吸い寄せられるような、視線を向けざるを得ない不思議な引力。だがこの〝星野アイ〟からは、それが微塵も感じられない。容姿も、瞳も、声も、人の名前を間違える所も、何もかもがそっくりだったが、それだけが足りなかった。それだけで、彼女が〝アイ〟ではないと確信出来る。
「(だけどそれにしては似すぎてる……調べてみる価値はあるか)」
そこまで考えてから、アクアは意識をルビーの方へと戻す。
「まあ、友達が出来て何よりだよ」
「お兄ちゃんは友達出来た?」
「………一応?」
「いやそこは普通に出来たって言えよアクア」
疑問形で言葉を濁すアクアにツッコミを入れたのは、彼に連れて来られたレンである。
「え…うそ……本当に…お兄ちゃんに友達が?」
「なんか珍獣を見たみたいな衝撃を受けてんだけど……これはアクアが悪いのか?」
「なんでだよ。そもそも俺は別に友達作りにこの学校入った訳じゃないし…男子はいきなり友達認定とかしねえから。今回はたまたま話が合うレンと意気投合しただけで、本当なら交友深めるのにもっと時間がかかるんだよ。別にレンが居なくても入学ぼっちとかにはならなかったし。分かる?」
「アクアが凄く饒舌に喋ってる」
「そういうとこだぞ」
唐突にペラペラと言い訳臭い言葉を並べ立てるアクアに、ルビーとレンが揃って呆れたように言った。
「えーっと、アクアの妹さんだよな? 俺は夜代レン。アイツはああ言ってるけど、俺はアクアとはちゃんと友達のつもりだから」
「妹のルビーです! ごめんね、色々拗らせてる面倒くさいお兄ちゃんで……」
「おい」
「知ってる。教室で話してた時も相当面倒くさかった」
「おい」
そんな会話を繰り広げるレンとルビーを横から睨むアクアだが、二人には華麗にスルーされた。
「俺の心配はいいから自分の心配をしろ。特殊な環境だし、勝手も違うだろ」
「そうなんですよねぇ、周りもプロだと思うと……結構緊張しちゃうっていうか」
アクアがルビーに対して苦言を言うと、それにみなみが不安そうな表情で同意する。
「緊張する必要なんかないわよ。ここは養成所でも撮影所でもなくて普通の学校なんだから。普通にしてればいいのよ」
「ルビーちゃん……」
「どっかでまんま聞いた台詞なんだが」
具体的に言えば一個上の先輩であり、アクアと共演した『有馬かな』が言っていた台詞なのだが、それをまるで自分の名言の如く語るルビーにアクアはツッコミを入れた。
「まぁ入学式見た感じ、容姿の整ってるやつは多いけど、見たことある人は殆どいなかった。そんなに緊張する必要……」
「んーん、居たの、凄い人」
そう言ってルビーは思い出す。
朝の生放送出演の為、クラスに遅れてやって来た超が付くほどの有名人の彼女の事を。その名も……
「『不知火フリル』が居たんだよ!」
興奮気味にそう言い放つルビー。その隣では、みなみも同意するように頷いている。
「月9のドラマで大ヒット! 歌って踊れて演技も出来るマルチタレント! 美少女という言葉を聞いたら殆どの人がまず思い浮かべる不知火フリル!!」
「いや当然知ってるけど、そこまでご執心だったのか」
「今最推しだよ!!」
余程のファンなのか、熱くそう語るルビー。
「へー…あの子、そんなに有名人なんだ?」
「アイちゃん知らなかったの!?」
だからこそ、アイがそんな不知火フリルを知らなかった事に心底驚愕した。
「色んなテレビに引っ張りだこの人気タレントだよ!? 見た事くらいはあるよね!?」
「うーん、あるかもしれないけど……ほら、私人の名前と顔を覚えるのが苦手だし……」
「じゃあ私が教えてあげる! 不知火フリルの魅力を余すことなく! 丁寧に!!」
「あはは…目が怖いよホビーちゃん」
「ルビーだよ!」
「(スゲェ……あのアイが押されてる)」
グイグイと迫りながらそう熱弁してくるルビーの勢いに、アイは思わずたじろぎながら苦笑する。普段は人を振り回す側のアイが気圧されているという珍しい光景に、レンは内心で感嘆していた。
「あっ…! ほら! あそこに実物!」
すると、そう言ってルビーが指差した先には、ちょうど話題に上がっていた不知火フリルが通りかかっていた。
艶のある黒髪のロングヘアーを靡かせながら歩く彼女は、クールでありながらどことなくミステリアスな雰囲気を纏っている。
「はぁ……遠目でもかわい~~」
「マジでただのファンじゃん。クラスメイトだろ?」
「だってぇ……」
アクアの指摘に対して、モジモジと気恥ずかしそうにするルビー。同じ芸能科とはいえ、彼女ほどの有名人が相手となれば声をかけるのも躊躇われるのだろう。
すると、そんな妹を見かねたアクアがフリルに向かって歩み寄り、そのまま彼女に声を掛け始めた。
「こんにちは、不知火さん」
「!」
「俺の妹がアンタと同じクラスなんだ。仲良くしてやってくれ」
「ちょっ!」
初対面にしていきなり過ぎるアクアのそんな申し出。ルビーは驚きながら止めようとするが時すでに遅し。
しかしフリルの方は特に嫌な顔をせず、むしろそんな声を掛けて来たアクアの顔をジッと見つめる。
「貴方知ってる。『今日あま』に出てた人?」
「……良く知ってるな。そんな話題にもならなかったのに……」
「ちょっと界隈で話に上ってて、観た──よかった」
「……ありがとう」
真っ直ぐと目を合わせながらそんな感想を言ってきたフリルに、アクアは思わず面喰いながらもその言葉を受け取った。
「おいおいおいおいアクア君よ? 俺が褒めた時はヒネた返ししてきたくせに、今は随分と素直じゃないか? やっぱり可愛い子に褒められた方が嬉しいんか? んー?」
「うるさい」
それを見たレンがヤジを飛ばしてうざ絡みしてくるが、アクアは目を逸らしながら雑に返答した。
「あっ…そちらの方はミドジャンの表紙で見た事あります。みなみさんでしたっけ」
「はい!」
アクアに続いてフリルが目を向けたのはグラビアアイドルのみなみ。彼女の事も知っていたらしく、名前を呼ばれたみなみは嬉しそうに返事をした。
そして次に、フリルの視線はルビーの方へと向いた。
「貴女は……」
「……えと……」
「ごめんなさい。何をしてる方ですか?」
「私は、その……今のところ特に……」
そんな問いかけに対して、現状で何の実績も無い〝自称〟アイドルのルビーは苦い顔でそう答えるしかなった。
「そう。えと……頑張って?」
「…………………………………はいぃ」
フリルからの疑問形交じりの応援に、ルビーは消え入りそうなか細い声で返事をするのが精一杯だった。こうしてルビーとフリルの出会いは、ルビーが撃沈するという微妙な結果に終わった。
「それから………」
しかしフリルはそこで終わらず、視線をヘコんでいるルビーから外し、今度はレンとアイの二人へと向けた。
「あ、俺はただの一般科で芸能人じゃないから気にしないでくれ」
「そう……でも……」
目を向けられたレンが先んじてそう告げると、フリルは静かな足取りでアイの方へと歩み寄り、彼女の顔をジッと見据える。
「?」
「貴女は……どこかで見たような?」
「そう? 同じクラスだからじゃない?」
「そうじゃなくて……もっとこう、ずっと昔に……」
アイの瞳を覗き込みながら、フリルは何かを思い出そうとしながら呟く。
「それってB小町じゃない!?」
そこへ、さっきまでヘコんでいたハズのルビーが元気な声を張り上げながら割って入ってきた。
「不知火さんもB小町のアイを知ってるの!?」
「ルビー、落ち着け」
興奮気味に詰め寄ろうとするルビーを、兄のアクアが制する。
「ああ、確かに……言われてみればそうね。貴女、昔よく見たB小町のアイに似てる気がするわ」
するとフリルの方は、彼女の発言を聞いて合点がいったかのように小さく頷いた。
「あー…確かにアイはよくB小町とかいう昔のアイドルグループの子に似てるって言われるが……そんなに似てるのか?」
「似てるどころかそっくりだよ! ねっ、お兄ちゃん! みなみちゃん!」
「まあ、そうだな」
「うーん…うちもB小町は見た事ありますけど……言われてみれば似てるような気も?」
レンの問いに対してルビーが食い気味に答えながらアクアとみなみに話を振ると、二人も同意を示す。
するとそこへ、アクアがアイに対してある疑問を口にした。
「そう言えばアイ…さんは……」
「アイで良いよ、マリン君」
「そっちで覚えないでくれ。アクアで頼む」
途中で自身の呼び名についてきっちり訂正したあと、改めて口を開く。
「アイはどこの芸能事務所に所属してて、どんな芸能活動をしているんだ?」
アクアは彼女を見た時からずっと気になっていた事がある。それは彼女の存在を今の今まで知らなかったという事。
〝アイ〟ほどのカリスマ性を感じられないとはいえ、その容姿は瓜二つで美少女と言っても過言ではない。芸能界に身を置いているのならば、今や伝説的なアイドルとなっている〝アイ〟に似ているというだけでも話題性はあるし、その美貌を駆使すればアイドルでなくてもモデルや女優など、活躍の場は多岐に渡るというのに、彼女の話題どころか噂すら聞いた事がなかった。
事務所の売り出し方が悪いのか、彼女自身が芸能活動に積極的ではないのか、それとも何か裏の事情があるのか……いずれにしても、星野アイの事を調べる上で所属事務所くらいは知っておいた方が良いだろうと、アクアは考えていた。
「あー…うん……」
するとアイは、アクアの質問に対して答え辛そうな様子で視線を宙に泳がせ、右手で頬を掻く仕草を見せる。
「ねえレン、言っていいと思う?」
「うーん……知られるのも時間の問題だし、アクア達なら大丈夫だと思うぞ」
「? レン、何の話だ?」
「いや、アイの事務所のことなんだけどな……」
レンがそう前置きをすると、続けてアイがはにかみながら口を開いた。
「実は私が居た事務所は先月潰れちゃったから、今はもう芸能人とかじゃないんだよねー」
「………は?」
「「ええーっ!?」」
「……どういう事かしら?」
アクアは呆気に取られ、ルビーとみなみは声を上げて驚き、フリルは表情を変えずに首を傾げる。そんな一同のリアクションを見たアイは「あははー」と困ったように笑いながら、レンの方に視線を送る。
「レン、任せた!!」
「はいはい……」
ここでまさかの丸投げである。
しかしレンの方も予想はしていたのか特に怒る様子もなく、「まあいつもの事か」とすぐさま受け入れながら、驚いているアクア達に対して口を開く。
「言葉の通り、アイが所属してた芸能事務所……〝浦々プロダクション〟は先月に倒産してな。だからアイは芸能科に通ってはいるが、目立った活動実績も無いから、ほぼ一般人と同じなんだよ」
「浦々プロダクション……聞いたこと無いな」
「だろうな。地方で細々と活動してただけの小さい事務所だったからな。その社長とは同郷で縁あってな、アイと…実は俺も、モデルとして所属してたんだ」
「へー、アイちゃんモデルだったんだー!」
「レンもか」
「まぁな。で…何を考えたのか東京進出の足掛かりだーとか言って、社長が俺とアイに
「その矢先に、事務所が倒産したと……」
「そういう事。俺は一般科を併願していた事もあって、ギリそっちに滑り込めたけどな」
そこまで聞いて、アクアはようやく納得した。如何にアイが有望だとしても、事務所が地方でしか活動していないのならば、彼女の事がそう話題になるハズもなく、東京に住む自分達が知らないのも無理はない。
そんなアクア達は知る由もないが、当然ながら今しがたレンが語った話も浦原喜助が練った設定の一部である。
芸能人ではないアイを芸能科に潜入させる為、浦原が手練手管を駆使して架空の事務所をでっち上げ、辻褄合わせのバックストーリーを用意したのだ。しかも万が一調べられても問題無いように、ネット等に事務所の痕跡を残すほどの徹底ぶり。死神二人の入学手続きも含めて、一体どうやったのか不明だが、これだけで浦原喜助という男の底知れなさが伺える。流石に〝浦々プロダクション〟というネーミングは安直だと思うが。
「まぁそう言う訳だ。所属してた事務所が潰れた、なんて外聞が悪いし……芸能科に一般人同然の生徒が居るってのもどうかと思って、極力黙っておこうって事にしてたんだよ」
「そこは別に気にしなくていいんじゃないか? それを言ったらルビーも芸能科にいるけど、まだ自称アイドルの一般人だぞ」
「自称じゃないもん! ちゃんとアイドルだもん!」
「まだ実績も無いくせに一端のアイドルを名乗るなよ」
「アイちゃん! お兄ちゃんがいじめる!」
「おっと……よしよし、ルイちゃんは良い子だね~」
「ルビーだよぅ……」
流れ弾のような形でアクアから辛辣な言葉を受けたルビーは、アイの胸に飛び込むように彼女に泣きついた。
突然抱き着かれたアイは一瞬驚くも、すぐにそれを受け止めると同時に優しい手つきでルビーの後頭部を撫で、もう片側の手で背中をポンポンと軽く叩いて彼女をあやし始めた。
「うぅ…ママと同じ匂いがするぅ……懐かしの極楽浄土……ママァ……」
「反応に困る……!」
あやされながら何故か蕩け始めたルビーは不穏な言葉を口走っており、それを聞いたアイは珍しく困ったように苦笑していた。
「なんかお前の妹が急にアイに母性を求め始めてんだけど……」
「うちの妹がスマン……」
「いやまぁ、あれなら妹さんは気にして無さそうだから安心したかな」
その様子を眺めていたレンは普通に引きながらも、アイが受け入れられていると解釈して一安心。アクアは色々と思うところがあるのか、複雑そうな表情をしていた。
「そういう訳だから寿さんと不知火さんも、どうか気にせずアイと接してやってくれないか?」
「大丈夫よ。私、そういうの気にしないから」
「うちはもうアイちゃんとは友達やから、心配せんでええですよ」
アイの境遇についてはレンが頼むまでも無く、フリルもみなみも快く受け入れてくれていた。
「ありがとう。ついでに、あいつが変な問題を起こさないか見張っておいてくれると助かる」
「ちょっとレン、それどういう意味かな~?」
レンが二人にお礼と一緒にそんな頼みごとをすると、それを聞いていたアイが未だにルビーを抱きしめた状態でレンをジト目で睨む。
「どうこうも、奔放なお前がまた何かやらかさないか気が気じゃないんだよ。毎回フォローする俺の身にもなってくれ」
「え? でもそれがレンの仕事じゃないの?」
「はっ倒すぞ」
「あはは! ごめんごめん冗談だって!」
「ったく……お前が言っても聞かねえのは分かってるけど、ここが地元じゃねえって事くらいは念頭に置いといてくれよ」
「大丈夫大丈夫、私もその辺は弁えてるから」
「頼むぜホント」
「えへっ♪ はーい♪」
「やれやれ。妹さんも、もしアイが何かやらかしたらすぐ知らせてくれると──え、怖っ……何でそんな目で睨む?」
レンがそんないつものやり取りを終えたあと、アイにあやされているルビーに声を掛けると、突如として彼女はグリンっと首を回してこちらに顔を向け、そのまま凄い目で睨まれてしまった。
具体的に言うと表情は削ぎ落されたように無であり、暗い影に覆われた目のハイライトは完全に失われている。今にも「は? 死ね」とでも言わんばかりである。
「夜代さん、アイちゃんと距離近くない?」
「いや、いつもこんな感じなんだが……?」
「いつも?」
何か気に障ったのか、ルビーの目が濁り始め、言葉の圧力も増した気がする。
ルビーとしては、例え他人の空似であろうとも、永遠の最推しであるアイが同年代の男と仲良くしているなど、おいそれとは許容出来ないのである。
「アイちゃんと、どういう関係で?」
ようやくアイから離れると、今度はレンへと詰め寄るルビー。
詳しく説明してください、今、私は冷静さを欠こうとしていますと……ルビーの目が物語っている。
そんな彼女からの圧に、レンは一筋の冷や汗を垂らす。
「おいアクア、お前の妹さんをどうにか……」
「いいからキビキビ吐け」
「アクアまで!?」
兄であるアクアに助けを求めようとするが、何故だか彼も同じような圧を放ちながらレンに詰め寄っていた。
アクアとしても、彼女が〝アイ〟ではない事は直接会って理解したが、それはそれとして例え本人でなくても推しが男と仲良くしてるのは面白くないのである。
「くっ…アイ……」
ならばと今度はアイに助けを求めようと彼女に視線を向けようとするレンだが……
「わぁ、こなみちゃん肌キレイだね♪ 良い化粧水使ってそー♪」
「ひゃあぁ~…アイちゃん、ほっぺプニプニせんといてぇ~!」
「どれどれ……ほぅ、これは中々……」
「不知火さんまで!?」
いつの間にか少し離れた所でフリルと共にみなみとじゃれ合っているアイ。どうやら早々にレンを見捨てて離脱したらしい。それを見たレンは内心で「この野郎…!」と毒づく。
「早く」
「答えろ」
更に圧を強くして詰め寄って来る双子。そんな彼らを前にして、レンは顔を引きつらせながら心の声を大にして叫んだ。
──め…面倒くせぇーー!!!
その後…レンは「アイとは同郷の腐れ縁である」という事を己の口八丁を使い倒して説明し、何とか双子を押し切る事に成功したが、精神的な疲労が半端ではなく、以降は普通に解散して入学初日を終えたのだった。
To Be Continued
最後はちょっと雑かもですが、オチとしては個人的に丁度良かったです。
浦原さんが万能過ぎて名前を出しとけば大体何でも出来る気がする。
―陽東高校生徒名簿・其の二―
・夜代レン
陽東高校一般科・1年D組所属。
浦原の策略により元モデルという属性を新たに得た。説明役を丸投げされてもそつなくこなせるデキる男。
それはそれとしてめっちゃ圧をかけてくる双子が怖い。
・星野愛久愛海
陽東高校一般科・1年D組所属。
ひと目見ただけでアイの真贋を見極められるガチ勢の一角。妹の所業には普通に引いた。
それはそれとしてDNA調べるから髪の毛くれ。
・星野アイ
陽東高校芸能科・1年F組所属
今回は振り回される側。余り無かった経験に少し戸惑い気味。妹ちゃんの圧が凄い。
それはそれとして誰がママか。
・星野瑠美衣
陽東高校芸能科・1年F組所属
永遠の推し(のそっくりさん)に今の最推しを勧めるヤバい方のガチ勢。同級生の友達相手に母性を求め始める豪の者。
それはそれとして早くアイドルになりたーい。
・寿みなみ
陽東高校芸能科・1年F組所属
前回の番外編に登場予定だったが、彼女が死神をしている姿が思い浮かばなかったのでお蔵入りになった。所属してたら多分五番隊。
それはそれとしてやはり京都弁では?
・不知火フリル
陽東高校芸能科・1年F組所属
後のおもしれー女枠。彼女も番外編に登場予定だったがおもしれー女過ぎて不採用になった。所属してたら多分八番隊。
それはそれとしてお姉ちゃんは今何やってんの?
〝浦々プロダクション〟
かつて夜代レンと星野アイがモデルとして所属していた芸能事務所。地方を中心に細々と活動していたので余り知られていない。自社のモデル二人を芸能科に送り込んでコネを作り、東京進出の足掛かりにしようと画策するも、入学前に倒産してしまう。社長は現在、どこかの町で駄菓子屋を経営しているとの噂……。
──という設定で浦原喜助がでっち上げた架空の企業。