推しの子×BLEACH   作:ZEROⅡ

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もうすぐ推しの子も完結ですね。この小説のカミキヒカルはどうしてやろうか。
アニメBLEACHの新OPもEDもとても良き。モチベーションが上がります。


第七話

 

 

 

 

「はっはっは! それはまた災難じゃったのう!」

 

場所は都内にあるタワーマンションの一室。

レンとアイの住居であるそこでは、もう一人の同居人である夜一(黒猫Ver)の笑い声が響く。

 

ここは浦原が活動拠点にと用意した場所である。

リビングから東京都心の街を一望出来る、見るからに高級な造りになっている部屋。それだけでなくテレビや洗濯機などの必要な家電に、家具や寝具、生活必需品に至るまで何もかも手配してくれたのだ。

余りにも至れり尽くせりな用意に、レンは流石に遠慮しようとしたが、その費用はしっかり五番隊に請求されているから問題無いらしい。更に浦原いわく「家が事故物件で安かったんで、その分を他に回しただけっスよ」との事。

 

どうやらこの家はその昔、とある芸能人が殺された場所といういわく付きだったらしく、そのおかげで高級マンションの割には格安で手配出来たのだとか。

死神からしたら地縛霊の気配も虚の気配もしないので然したる問題は無いが、そんな縁起でもない場所を活動拠点に選ぶなよと言いたくなったのはレンの記憶に新しい。

 

因みに夜一は今回レンとアイの任務の補助を担う役であり、学生としての二人の保護者役も兼ねている…のだが、基本的に黒猫の姿でゴロゴロしているか、フラリとどこかに出かけているかのどちらか。しかも後者の場合は二日か三日は帰ってこない事もざらで、どうやら自由気侭な野良猫生活は中々手放せないようである。

 

「笑い事じゃないですよ、夜一先生」

 

部屋着の黒ジャージに着替えて紺色のエプロンを身に着け、キッチンで夕食の準備を進めていたレンはゲンナリとした表情を見せる。

 

あの場をどうにかこうにか乗り切り、アイと共に帰宅後、リビングのソファで丸くなって寛いでいた夜一に学校での出来事を説明すると爆笑されたのだ。ただでさえ慣れない学校生活初日で心身ともにくたびれているので、そういう表情にもなる。

 

因みにアイはシャワー&着替え中。

 

「それで? お主はどう答えたんじゃ?」

 

「いや、普通に同郷の腐れ縁で通しましたけど……」

 

「なんじゃつまらん」

 

「つまらんとは何ですか。俺があの双子を納得させるのにどれだけ苦労したと……」

 

「アイは自分の女じゃから手を出すな! くらいの事は言えばよかろうに。ヘタレめ」

 

「先生の晩飯、ニボシでいいですか?」

 

明らかに面白がっている言動に、若干イラっとした気持ちを込めて夜一にジトっとした視線を向けるレン。しかし当の彼女は「冗談じゃ」と言いながら悪びれた様子も無く、むしろ猫の状態で器用にニヤニヤ笑っている。本気で彼女の夕飯だけニボシ一匹で済ませてやろうかと考えるレン。しかしそんな事をすれば後が怖いので、実行には移さない。

 

「それに…………俺にそんな資格は……」

 

「うん? なんじゃ?」

 

「っ……いえ、なんでも……」

 

無意識のうちに何かをポツリと口を衝いて出てしまったレンだが、幸いにもそれが夜一の耳に入る事は無く、誤魔化すように夕食の調理を進めて行く。

 

「まぁよい。それにしても、喜助の奴と練った『設定』とやらは上手く使えとるようじゃの」

 

「そうですね。正直最初は凝りすぎじゃないかと思ってたんですけど、そのおかげで事務所について聞かれた時、なんとか乗り切れたので助かりましたよ」

 

「あやつは昔から用心深い奴じゃからの」

 

そう言って思い出すのは、アクアにアイの所属事務所について聞かれた時の事。

設定を聞かされた時は細かく練り過ぎではないかと思っていたが、浦原いわく「準備し過ぎて困る事は無い」との事で、事実そのおかげでアクア達からの言及に対してスムーズに受け答えする事が出来たのだから流石である。

 

「出たよー!」

 

そんな事を考えていると、そこへアイが元気良くリビングへと入って来る。温かいシャワーを浴びたおかげかサッパリとしており、頬もほんのりと朱に染まっている。服装も大きめのシャツにショートパンツといったゆったりとした部屋着になっていた。

 

「おう、晩飯ももうすぐ……っておい、髪くらいちゃんと乾かせよ。風邪引くぞ」

 

見ればアイの長い髪はしっとりと濡れており、恐らくタオルで拭いただけで済ませたのだろうという事が見て取れる。するとアイは当然のようにレンに告げる。

 

「レン、代わりにやって♪」

 

「なんでだよ。それくらい自分で……」

 

「やって♪」

 

「俺はまだ晩飯作ってる最中で……」

 

「やって♪」

 

「なんなら先生に頼んで……」

 

「やって♪」

 

「……わかったわかった」

 

抵抗虚しく、段々と強くなってくるアイの我が儘という名の圧に屈したレンは、切りの良いところで調理の手を一旦止めながらそれを承諾した。

 

「ドライヤーとか取って来るから、座って待ってろ」

 

「はーい! あ、今日の晩御飯は?」

 

「オムライスだ。サラダもあるから、ちゃんと野菜も食えよ」

 

「わかってるって。レンの料理、美味しいから楽しみ!」

 

「アイが髪くらい自分で乾かしてくれた方が早く食えるんだがな」

 

「それとこれとは別だよー♪」

 

「はいはい」

 

そんなやり取りをしたあと、レンは必要な物を取りにキッチンから出て行き、それを見送ったアイは鼻歌まじりでリビングのソファに腰かけた。

 

「ご機嫌じゃの、アイ」

 

「えへへ、たまにはこれくらいは甘えても良いよね♪」

 

まるで鈴を転がすように澄んだ声色でそう答えるアイの表情は、ころころと楽しそうな笑顔を浮かべている。そんな彼女を見上げながら、夜一は問い掛ける。

 

「のうアイよ。お主はレンの事をどう思っておる?」

 

「んー? 好きだよ?」

 

何の臆面も無くそう答えるアイに、問い掛けた側の夜一の方が目を丸くした。

 

「好きでもない人にあんなに甘えたりしないよ、私」

 

「随分あっさりしておるのう」

 

「隠してる訳でもないからね」

 

少しでも動揺しようものなら先ほどのレンのように色恋について揶揄うつもりだった夜一だが、こうも堂々とされてしまってはそんな気も起きなかった。

 

「やれやれ、それに気付かんレンの奴も鈍感じゃの」

 

「あははっ! でもレンも色々抱えてるみたいだし、今すぐにどうこうしたいとは思わないかな。こうして一緒に居て、たまに甘えられるくらいの距離感も私は結構好きなんだ」

 

ため息交じりに言葉を漏らす夜一の体を、ヒョイと持ち上げて自身の膝の上に乗せながらアイが言う。

 

「気長にやるよ。死神の人生は長いんだもん」

 

「……それもそうじゃの」

 

そう言い切ったアイの言葉を聞いて、夜一もこれ以上は野暮かと悟って口を噤んだ。

 

しかし……話はそこで終わらなかった。

 

「ところでセンセは喜助さんとはどうなの?」

 

「は?」

 

余りにも急な話題の転換に、思わず呆気に取られてしまう夜一。

 

「ほら、センセと喜助さんってずっと長い付き合いなんでしょ? 実はそういう関係だった、とか無いの?」

 

「何故そんなことを聞くんじゃ?」

 

「だってセンセから始めた恋バナでしょ? 私だけに喋らせるのは不公平じゃない?」

 

「フン、さてどうじゃったかのう」

 

「えー? そうやってはぐらかされるとますます怪しいなー?」

 

「小娘が…互いの関係をおいそれとは口にせんのが大人の関係というものじゃ」

 

アイの追及に対し、動じない様子で躱す夜一。猫の姿でありながらも、その余裕な態度からは女性としての貫禄を感じさせる。

 

フラれたの?

 

フラれとらんわ!!

 

しかしその貫禄はアイの鋭い一言によってあっさりと崩れ去った。流石に聞き捨てならなかったらしく、毛を逆立てて怒鳴る夜一。

 

「そもそも儂と喜助はお主が想像しているような関係ではないわい」

 

「ふーん……でも絶対普通の関係じゃないよね? だって──」

 

「ニャァ!?」

 

突然アイがそっと夜一の体を撫でると、彼女の口から悲鳴のような、それでいてどこか艶のある声が漏れた。

 

「夜一センセの弱いトコ、喜助さんに教えてもらったんだー♪ こんな事知ってるなんて、これが大人の関係ってやつなのかなー?」

 

「喜助の奴め! アイに何を吹き込んどるんじゃ!?」

 

「ほらほらココでしょ? ココが良いんでしょ猫一センセ?」

 

「誰が猫一じゃ!? ぐぬぅ…舐めるなよ…この四楓院夜一、弟子相手に決して屈しはせぬぞ──あ、そこはいかんと言うに! んにゃっ、アイ、やめ、ん、そこ、にゃあ…ゴロゴロ……にゃ、にゃぁ~ん♡

 

強気な言動に反して呆気なくアイの手腕に屈してしまった夜一。即オチである。漫画で例えればたった二コマでオトされるチョロインの如し。

 

きゃわぁ~♡ よーし、それじゃあ次は喜助さん直伝の『骨抜き肉球マッサージ』を……」

 

「やめんか」

 

「あいたーっ!?」

 

艶声に似た悲鳴を上げて悶える夜一に興奮気味のアイが更なる行動に出ようとした瞬間、ドライヤーや櫛などの道具を持って戻ってきたレンのチョップが脳天に振り下ろされた。

 

「先生で遊ぶなバカ」

 

「にゃ…にゃふ…助かったにゃ……」

 

「ほら見ろ、あの先生がキャラを見失いかけてんじゃねーか」

 

「写真撮って砕蜂さんに送ったら喜ぶかな?」

 

「鬼かお前は」

 

解放されてよろよろとした足取りでアイから離れると、そのままソファの上でぐったり倒れ込む夜一。そんないつもの凛とした口調すらも崩れかけている師匠の姿を見てその発想が出てくるあたり、実はこの家の最強はアイなのでは? とレンは訝しんだ。

 

「ほら、さっさと乾かしてやるからジッとしてろ」

 

「はーい」

 

そう言うとレンはソファに座るアイの背後に回る。

そして彼女の髪にドライヤーから発せられる温風を当て、まるで壊れ物を大切に扱うかのような優しい手付きで撫でるように触れながら水気を乾かしていく。

 

「~♪~♪」

 

それを大人しく受けているアイは気持ち良さそうに両目を閉じ、無意識に鼻歌まで漏らしていた。

 

しばらく互いにされるがまま、するがままにしていると、ふとアイが口を開いた。

 

「レンに髪をこうしてもらうのも久しぶりだねー」

 

「そういえばそうだな。護艇に入る前はしょっちゅう俺に髪の手入れをしろだの、髪型のアレンジをしろだの強請ってきてたよな」

 

「だってレンってば器用だから、自分でやるより上手なんだもん」

 

「いや自分の髪くらい自分で上手くやれよ」

 

「えへ♪」

 

「誤魔化すな」

 

そんな軽口を言い合いながらレンはアイの髪がある程度まで乾いたのを確認すると、今度は櫛を使って丁寧に梳き始める。

上から下へ向けてそっと櫛を動かすと、止まることなく髪の間をすり抜けていき、同時にサラサラとした上質な絹のような手触りがレンの手に伝わった。

 

「……綺麗になったな」

 

「うぇ!? そ、そうかな……?」

 

「ああ、流魂街で暮らしてた時に比べたら随分綺麗な髪になったよな」

 

「あ、うん……髪ね、髪……」

 

レンの発言に一瞬ドキリとしたアイだったが、次いで言われた言葉の真意を聞いて、少しだけガッカリした。

 

「あの頃のアイの髪、ボッサボサで酷い状態だったよな」

 

「それは仕方ないでしょ、あの頃住んでた流魂街にお風呂なんて無かったんだから」

 

「空鶴さんと知り合ってからは、あの人の家によく風呂を借りに行ってたよな。『うちは銭湯じゃねーんだぞガキ共!』って怒られるくらいに」

 

「そうそう。それでもちゃんと入れてくれるんだから、空鶴さんは良い人だよね」

 

「その分、色々仕事を手伝わされたけどな。弟の岩鷲さんにも世話になったっけ」

 

「居候の人達はちょっと怖かったけどね」

 

「そのうち、また空鶴さん達に会いに行ってみるか?」

 

「そうだねー」

 

そんな他愛のない昔話に花を咲かせる二人の間には、とても穏やかな空気に満たされていた。そしてその時間は、レンの手が止まると同時に終わりを告げる。

 

「ほら、終わったぞ」

 

「んー気持ち良かったー! ありがとレン!」

 

「そりゃよかった。んじゃ、晩飯作るの手伝え。サラダの盛り付けを頼みてぇ」

 

「まっかせて!」

 

そう言いながらレンはキッチンへと戻って行き、ソファから立ち上がったアイもその後ろをトコトコと着いて行った。

 

「(やれやれ……これは本当に先は長そうじゃの)」

 

そんな二人の様子をぐったりとした態勢のまま横目で眺めていた夜一は、内心で深くため息をついたのだった。

 

 

 

 

 

To Be Continued




ほのぼのした恋愛要素を書きたかった。出来てるかは分かりませんが。


・夜代レン
家では主に炊事担当。掃除は当番制。
何か抱えてる系主人公。恋愛事には消極的。

・星野アイ
家では主に洗濯担当。下着類は各々で。
レンの事は好きだが、彼が何かを抱えている事に気がついているので今の所は現状維持。
ただし甘える時は思いっきり甘える。

・四楓院夜一
家では主に飼い猫担当。家事などせぬ。
黒猫戦姫であんだけ浦原に懐いとってなんも無いこと無いやろ。
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