推しの子×BLEACH   作:ZEROⅡ

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とりあえずこの小説におけるカミキヒカルの処遇が決まりました。同時にこの作品の行きつく先も決まったと思います。
まだまだ先の話ですが、そこまで書けるように頑張ります。




第八話

 

 

 

 

 

 

遡ること一ヶ月前・浦原商店

 

『──とまぁ、設定としてはこんな感じっスかね』

 

店主であり協力者である浦原に呼び出されたレンとアイの二人は、陽東高校に入学するにあたって二人に課せられる身分や生い立ちなどの〝設定〟についての説明を受けていた。

 

『良いと思うんですけど、ちょっと凝り過ぎじゃないですかね?』

 

一通りの説明を聞き終わってから、レンがそう意見を口にする。

この設定に関してはレンも少なからず協力したがそれはほんの一部で、ほとんどの内容は浦原がこの一ヶ月ほどで練り上げたものだ。内容としては文句のつけようもなく、徹底していれば怪しまれる事は無いだろうという確信も持てる。

それでもレンが気になったのは、その設定の細かさだ。どのような生い立ちで、どこでどう育ってどう過ごしてきたのか、などと言った風にバックストーリー一つとってもとても細やかに設定されている。特にレンとアイが所属していたという設定の〝浦々プロダクション〟については倒産までの経緯とその後にまで言及している。

 

『ここまで事細かに設定する必要ってあります?』

 

『甘いっスねぇ夜代サン。今の現世のご時世、どこから情報が洩れて拡散するか分かったもんじゃないんスよ。特に星野サンが入る予定の芸能科はね。もちろんいざという時は記憶置換装置などで対応しますが、それでも極力リスクは減らしておくべきっス。こういうのは準備し過ぎて困る事は無いんスから。備えあればなんとやらっスよ』

 

そんな浦原の言葉を聞いて、レンは確かにと納得する。

現世のネットなどを駆使した情報伝達の早さには目を見張るものがあるが、同時に厄介なものでもある。ひとたびネットに情報が出回ってしまえば、それを不特定多数に拡散されてしまう恐れがある。万が一にも自分達の正体がバレる事に繋がりそうな情報が流れてしまえば、その対処は容易ではないだろうということも想像できる。浦原の言う通り徹底的に情報操作をして備えるしかないだろう。

まあレンとしては、リスク云々の話をするならそもそも学校に通うこと自体をやめさせてくれよ、と思わない訳でも無いが。

 

『そしてその備えの一環として……実は星野サンの義骸には、ある仕掛けを施させてもらいました』

 

『私の?』

 

『仕掛け?』

 

『大丈夫っスよ、決して危険なものではありませんから』

 

それを聞いてアイ本人は首を傾げるだけだが、レンは怪訝そうな顔で浦原を睨む。対して浦原は飄々とした態度でそれをいなしながら説明する。

 

『星野サンの義骸に仕掛けたのは〝顔の認識阻害〟……簡単に言えば、義骸に入っている間は星野サンの顔は他者から正しく認識されにくくなるというものです』

 

『それって、他の人からは私の顔が分からなくなるってこと?』

 

『というより、印象に残らないと言った方が正しいっスかね。例えば顔の造形や美醜、目の色や髪の色など……そういった特徴や印象に残りそうなものの認識を曖昧にすることで、他者の認知機能をぼやかすンです。ほら、アタシみたいな地味な顔って覚えづらいじゃないっスか? そんな感じっス』

 

『『……………』』

 

浦原が説明の最後に言い放った言葉に対して、レンもアイも何も言わなかった。

アンタは顔よりもその風貌が胡散臭過ぎて逆に覚えやすいわ、というツッコミすらも面倒だったのだ。

 

『……で? 何故そんなものをアイの義骸に?』

 

『いやー実を言うと星野サンの顔って現世では、ある有名人とそっくりなんスよ。なので無用なトラブルを避ける為に──』

 

私の生前がアイドルだったから──とか?』

 

『!?』

 

浦原の言葉を遮って、核心を突くようにそう言い放つアイ。その時、帽子で隠されている浦原の目が見開かれて丸くなっているのが見えた。

 

『これは驚いた……ご存じだったんスねぇ』

 

『まぁね』

 

『……まさかとは思いますが星野サン、生前の事を覚えてらっしゃるので?』

 

全然

 

『ありゃ!?』

 

探るような声色でそう問い掛けた浦原だったが、余りにもあっけらかんとしたアイの返答に思わず肩透かしを食らってしまった。

 

『死神になってからは生前に関することは何も覚えてないけど、流魂街で暮らしてた時の事は覚えてるんだよね』

 

『それは……ああ、そういうことっスか』

 

アイの言葉に一瞬疑問符を浮かべる浦原だったが、その意味をすぐさま理解して納得した。

 

『流魂街の住民の中に、生前の貴女のファンが居たんスね』

 

『うん。アイドルだー、B小町のアイだーって結構騒がれたのを覚えてるからね。だから私の生前はアイドルだったって自覚はあるよ。実感はないけど』

 

『なるほど……そいつは盲点でした』

 

流魂街には様々な年代の死した魂魄が住民として暮らしている。その中には当たり前だが〝アイ〟のファンだった者や、そうでなくとも彼女を知っている者は居るだろう。少し考えれば思い至ることだが、そうならなかったのは長く尸魂界を離れていたせいだろうか、と浦原は薄く笑う。

 

『夜代サンもご存じだったんで?』

 

『まぁ…アイがアイドルってやつだったってことくらいは。ですが、それ以外のコイツの生前については何も知りませんよ』

 

『おや? そうなんスか?』

 

浦原が意外そうに言う。レンとアイは流魂街に居た頃から行動を共にしていたと聞いていたので、てっきり彼女の生前の話くらいは聞いたことあるのではないかと思っていたのだ。

 

『人の過去を詮索する趣味は無かったんで。アイから話すこともありませんでしたし』

 

『あはは…あの頃は色々あったしね~、多分当時の私もそんな余裕無かったんじゃないかな。覚えてないけど』

 

二人の話を聞いた後、浦原は『そうっスか』と呟いてからほんの一瞬だけ目を伏せる様子を見せると、再び口を開いた。

 

『星野サンのお察しの通り、貴女の生前は十数年前に一世を風靡したアイドルグループ、B小町の〝アイ〟で間違いありません』

 

〝アイ〟──アイドルグループ「B小町」のメンバーで、不動のセンター。

美少女と言って差し支えの無いルックスと圧巻のパフォーマンス、そして天性とも言えるカリスマ性で人々の目を引き付け、魅了する。

 

【完璧で究極のアイドル】

【一番星の生まれ変わり】

 

アイドルとしては間違いなく天才。彼女を超えるアイドルは今後現れないだろうとすら言われている伝説的なアイドルである。

 

『……とまぁ、現世における生前の星野サンの評価はざっとこんな感じっスかね』

 

人違いでは?

 

んだとこら

 

浦原が説明したのは十数年前時点での〝アイ〟の評判。それを聞くや否やレンは余りにも現在のアイとかけ離れた人物像に人違いではないのかと疑い、当然そんなレンをアイはハイライトの消えた目で睨んだ。

 

『いやだって、人を魅了するカリスマ性って……あるか?』

 

『はー? ありますけどー? この溢れんばかりのカリスマ性がわかんないかなー?』

 

『ハッ』

 

『鼻で笑ったなキサマ』

 

『人を振り回して悪目立ちの間違いじゃ──痛ってぇ!!?

 

余りに小バカにした態度に我慢ならなかったのか、アイの拳がレンの脇腹に突き刺さる。

 

『ぐぉぉ…お前……暴力は無しだろ……!』

 

『うっさいバーカ! レンのバーカ!』

 

『まーまーお二人とも、落ち着いてください』

 

割と良い所にクリティカルヒットしたのか、脇腹を抑えて唸るレンに対して、ぷっくりと片頬を膨らませてそっぽを向くアイ。流石にこのままでは話が進まないので、見かねた浦原が仲裁に入ったことでようやく収まったのだった。

 

閑話休題

 

二人が落ち着いたのを見計らって浦原は話を続ける。

〝アイ〟はアイドル活動だけでなく、モデルにラジオアシスタント、バラエティにドラマの主演等と幅広く仕事をこなし、着実にその知名度を上げていったのだと言う。

そして彼女が二十歳の誕生日を迎えたその日……それが最期の日だった。

 

グループ初のドームライブが公演される当日に、狂信的なストーカーにナイフで刺され……そのまま帰らぬ人となってしまったのだ。

 

『以上が……〝アイ〟としての彼女の生涯っス』

 

『で…死後に尸魂界に魂葬され、十数年の時を経て死神として現世に戻ってきたと……なんつーか、色んな意味で凄いなお前』

 

『いやぁ~…あはは』

 

『実際、アイドルとしての知名度も、ほんの十年かそこらで死神になって席官にまで就いたのも、十分凄い事なんスけどね』

 

死して現世を離れた後に、死神として舞い戻って来る…などという彼女の境遇に思わず同情的な声色でそう述べるレンと、それを聞いて困ったように笑うアイ。

 

『すみません……生前とはいえ、ご自分が亡くなった時の話なんて語るのも野暮なんで、黙っておこうと思ったんスけど……』

 

『いいよ、その気遣いを無駄にしたのは私の方だし。それに……やっぱり記憶が無いせいか、ピンと来ないんだよね』

 

申し訳なさそうにする浦原に対し、アイは薄く微笑みながらそう言葉を返す。

アイとしては、生前の事は何一つ覚えていないので自分の最期を聞いても実感は無く、ほぼ他人事としか思えないのでどう反応したらいいのか分からないのだろう。

 

『……で、浦原さんがアイの義骸に認識阻害の仕掛けを入れたのは、さっきも言ってた無用なトラブルを避ける為ですよね』

 

そんなアイを気遣ってか、レンが会話の流れを切って話を本筋へと戻す。

 

『ええ……〝アイ〟には未だに根強いファンが一定数存在していますし、それなりに人気も残っています。そこへ星野サンが現れれば、否が応でも注目を浴びてしまうでしょう』

 

『なるほど……流石に本人だと思われる事は無いでしょうが、今回の場合は目立ち過ぎるのが問題なんですね』

 

『そういう事っス。ただのそっくりさんで済ませられたら一番なんスけど、中には不必要に騒ぎ立てる輩も居るでしょうし、最悪の場合は任務どころでは無くなってしまいます』

 

もしアイが何の対策も無く表に出れば、注目を浴びてしまうのも時間の問題だろう。

あえて浦原は口にしなかったが、この場合最も厄介はのはネット等に広まってしまう事。万が一アイの存在がSNS等に流れてしまえば、その匿名性を利用して勝手な憶測や面白おかしく騒ぎ立てようとする者が現れるだろう。そうなればやがてアイは世間の目に晒される事になり、〝アイ〟を殺害したストーカーのような存在が出てこないとも限らない。死神のアイが人間相手にどうこうされる事はまず無いだろうが、少なくとも双子の監視任務どころでは無くなってしまうだろう。

 

故にこそ浦原は、アイの義骸に認識阻害の細工を施したのだと言う。

 

『因みになんスけど、顔の認識を完全にシャットアウトすると逆に違和感が強く出てしまうので、ある程度出力は抑えてあるんス。例えるなら「そっくりさん」から「言われてみれば似てる気がする」くらいの認識にはなっているでしょう』

 

『それって俺にも影響あるんですかね? 流石にアイの顔が分からなくなるのは困るんですが……』

 

『え? レンってば私の顔を見れなくなるのは寂しいって?』

 

『言ってねえよバカ』

 

何やら隣でアイが都合よく解釈して茶々を入れてくるが、それに対して冷静にツッコミを入れるレン。

 

『その点は問題ないっスよ。その認識阻害はある一定レベルの霊力を持つ人には効かないようになってますんで。目安としてはそうっスねぇ……死神が見えるレベルっスかね』

 

浦原はさらっと言っているが、それは並大抵の事ではない。

現世の人間にも(プラス)などの霊体を視認できる者は居る。所謂霊感を持つと言われる人間がそれに該当する。しかし幽霊が見えても、死神や虚も見えるとは限らない。彼らを視認出来るのは同じ霊体か、彼らと同等の強い霊力を持っているかのいずれかである。もちろんそんな人間は滅多に存在しえない。

 

『ま、双子にそれほどの霊力が無い事は確認済みですし、その周囲にもそんな人間は居ませんでした。なので、安心して学校に通えますヨン♪』

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

「──って言ってハズだよなぁ、浦原さん」

 

そして現在……レンとアイが住むマンション。

そこではダイニングテーブルに座って夕食を取りながら、レンはひと月ほど前の浦原とのやり取りを思い出していた。

 

「なぁアイ……」

 

「ん~♡ 美味しぃ~♡」

 

ふとレンがアイに話を振ろうとして目を向けると、向かいに座る彼女は至福そうな表情でレンが作った夕食を頬張っていた。

 

献立のメインはレンが作ったオムライス。

要となるチキンライスはケチャップとバター、そしてウスターソースや各種調味料よってコク深い旨味が引き出されるように味付けされている。更に一緒に炒められた鶏もも肉、玉葱やマッシュルーム等の具材が食べ応えを感じさせる大きさで散りばめられており、それらを優しく包み込む半熟状の卵と非常にマッチしていた。

 

余程美味しいのか、それを食すアイがご満悦そうに笑っているのを見て、話を振ろうとしたレンも思わず釣られて口角を上げる。

 

「現世に来てからレンの料理、どんどん美味しくなるよね~」

 

「いや、ほとんど料理本のレシピ通りに作ってるだけなんだけどな」

 

現世に来てからレンがサブカル以外にハマったのが、料理である。

尸魂界の食事事情は決して悪い訳ではないが、現世と比べると見劣りしてしまうのも事実。

こちらの方が食材や調味料が豊富で、料理の種類も多種多様。調理法も千差万別で奥が深く、レンはそこに面白さを見出したのである。なので暇さえあれば料理本を読み漁って日々その腕を磨いている。

 

「夜一センセも食べて行けばよかったのに」

 

「あー…まぁ、あの人も色々あるんだろ」

 

あれからアイの猫可愛がりから復活した夜一は、早々に「喜助に用が出来た」と言い残して夕飯前に出掛けてしまった。その際、レンは彼女の言葉から並々ならぬ怒気を感じていたが、それについて深く考えるのは止めておいた。取り合えず夜一の分の食事は取り置きつつ、ついでに浦原の無事を祈ることにする。

 

「次は中華料理を試してみるか……」

 

「あっ、じゃあ私あれ食べてみたい! エビチリ!」

 

「わかった、調べとくよ……ってそうじゃねえよ!」

 

アイとの会話で危うく本筋の話を流されそうだったが何とか踏み止まり、レンは思い出したように話を戻す。

 

「ん? 何の話だっけ?」

 

「アイの義骸の話だよ。認識阻害の仕掛けがあっただろ」

 

「あーうん、アレね。ちゃんと機能してたよね、教室でも特に騒がれなかったし……」

 

「あの双子を除いてな」

 

浦原がアイの義骸に仕掛けた認識阻害は確かに機能していた。現に二ヶ月の準備期間の間も義骸に入って街を散策した事もあるが、特に騒がれたりはしなかったし、学校に入学してからも〝アイ〟だと指摘される事も無かったので、人間の目を誤魔化せているのは明白である。

 

──アクアとルビーの双子以外は……。

 

「どうにもあの二人には認識阻害が効いているようには見えない。アイの顔がアイドルの方にそっくりだと言い切ってたからな」

 

「一緒に居たえなみちゃんとプリムちゃんには効いてたっぽいのにね」

 

「みなみとフリルな」

 

あの場に居合わせた寿みなみと不知火フリルの二人は、〝アイ〟に似ていると指摘されても「似ている気がする」「似ているような…」で済んでいた。しかし双子の方はレンが「似ているか?」と問い掛けた際にもそっくりだと断言している。この反応の違いだけで、双子には認識阻害が機能していないのだと判断出来る。しかしそうなると疑問が残る。

 

「霊力の無い人間には有効なハズなんだがな……」

 

「本当は霊力を持ってたとか?」

 

「ああ…俺もそれが気になって探ってみたんだが、あの双子から霊力は感知出来なかった。どこにでもいる普通の……」

 

「レン? どうしたの?」

 

そこまで言いかけて突然言葉を止めるレンに、アイは首を傾げる。

 

「いや…よく考えたらあの双子は〝転生者〟で、魂魄そのものは普通じゃないんだよな。もしかしたらそれが何か関係しているのか……?」

 

「うーん…難しい事は分かんないけど、とりあえず喜助さんに報告してみたら?」

 

「……それもそうだな。こればかりは考えてもしょうがねぇし、浦原さんに調べてもらうか。隊長宛にも後で報告書を纏めておかないとだな」

 

とりあえずこの件に関してはレンとアイだけでは結論が出せない為、義骸の開発者である浦原に後日報告して調べてもらうという事にして、一旦保留とすることにした。

 

そうして話し合っている間に夕食も食べ終わったので、レンは空になった食器を纏めてキッチンの流し台へと運んでそれらを洗い始め、アイはその横で洗い終わった食器の水気を拭き取っていく。

 

そんな流れ作業を共同で行っている中で、レンはふと横目でアイを見ると、ある考えが浮かび上がる。

 

「(そういえば……流魂街の住民は生前の名前をそのまま使うから、こいつは今も昔も『星野アイ』なんだよな。設定上、双子とは同姓の他人で通してるけど……やっぱりアイと双子には生前から何かしらの関係があるんだろうか)」

 

レンが気になったのはアイと双子が持つ『星野』の姓。現世において『星野』という姓自体は特に珍しいものでもないのでただの同姓と言えばそれまでなのだが、どうにもレンには偶然だとは思えなかった。

 

「(俺にアイとの関係を問い詰めてきた時の双子の反応……〝アイ〟のファンって感じだけじゃなかったよな。まるで身内のような……まさか肉親か? 親戚…歳の離れた兄妹…もしくは親子──は無いな)」

 

アイと双子の肉親関係を疑って思考を巡らせるレンだが、流石に親子関係だけは否定した。生前の〝アイ〟の享年を踏まえて年齢を逆算すれば、十六かそこらで出産したことになる。それは現世の法律的にも常識的にもありえないだろうと結論付けようとするレン。

 

「(……アイの子供か……)」

 

だが万が一、もし本当にそうだったとしたらと考えてしまうレン。それはつまり、生前の彼女にはそういう『相手』が居たという事になるだろう。

 

そこまで考えた途端、レンの胸の内にモヤっとした感情が湧き出る。

 

「……………………」

 

「レン~? おーい! レンー?」

 

「!」

 

レンが思考に没頭していると、そんな彼をアイが顔を覗き込みながら呼び掛ける。そこでようやくレンはハッと我に返った。

 

「どうしたの、ボーっとして? 洗い物の手が止まってるよ」

 

「あ…ああ悪い……ちょっと考え事をしてた」

 

「考え事って?」

 

そう問われてレンは返答に困った。実はアイと双子の親子関係を疑って、更にはそういう相手がいたという事まで考えていた…などと正直に言える訳がない。

なのでレンは若干言葉に詰まりながらも誤魔化す事にした。

 

「あー…ほら、アクアも妹さんも随分アイドルの方の〝アイ〟に入れ込んでたみたいだったからさ、生前のお前の相当なファンなのかなってさ」

 

「あはは、そうかもね! いやー二人とも見る目あるよね! まぁ天才アイドルだった私なら当然かもしれないけどね!」

 

「お前覚えてねーだろ」

 

自信満々に笑いながら自画自賛するアイに冷静にツッコミを入れるレン。同時に内心で話を逸らせたことにホッとする。

 

「もしかしたら私、現世でもアイドルにスカウトされちゃうかもね。そしたらやっぱりマネージャーはレンで!」

 

「アホ言ってねぇでさっさと食器片付けるぞ。このあと街の見回りとかあるんだからな」

 

「ボーっとして手を止めてたのレンの方じゃん!」

 

そんな冗談を言い合いながらも二人はその他の雑事も分担作業でさっさと終わらせたあと、義骸を脱いで死神としての業務の一環である魂葬や虚退治の為の街の巡回へと繰り出して行ったのであった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

そして翌日……

 

「──という訳でアイちゃん! 私と一緒にアイドルやろ!!」

 

「どういうわけかなぁ!!?」

 

 

 

 

 

To Be Continued




早く斬魄刀を始解させたいですね。もう名前も能力も決めてるので。





【星野アイ】
生前の記憶は無いが、流魂街に居た頃に〝アイ〟のファンと出会って騒がれた事は覚えているので、自分がアイドルだったという自覚はある。その出会ったのがかなりの強火ファンの女の子だったので特に記憶に残っていた。それもあって死神になってからも現世のアイドルには興味があり、八番隊経由でB小町のCDや音楽プレーヤー等を購入したり、ゲリラライブでその真似事もやってみたりするほど。

【夜代レン】
料理系男性死神。基本的に作る料理はアイのリクエストから選ばれる。もちろんそれだけでなく、栄養管理もしっかり意識して作るようにしている。
アイの生前に関してはアイドルをしていた事しか知らない。それも本人から聞いたのではなく、流魂街に居たアイの強火ファンの女の子から力説されたから。
生前のアイにそういう『相手』が居たかもしれないと考えてちょっとモヤる。この感情は一体……?

【浦原喜助】
多分なんか色々隠してる。夜一にはボコられた。
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