崩壊世界の記録番   作:サイリウム(夕宙リウム)

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第3話 彼の後悔

 

 

教会で一夜明かした後、ピーと共に町の探索を始める。

 

 

(彼女のような存在。宝石と化した人間が他にもいれば、より情報を集められるのだが……。)

 

 

私の“力”は生物には反応しないらしく、その“想い”を読み取るには何かしらの“物”でなければならない。……私が彼女。キティアの記憶を読み取れたのは、彼女が病によって人から宝石に、“生物”から“物”に変化してしまったからだろう。

 

 

(読み取れたのも、彼女が完全にその状態になってしまった“後”の記憶だけだった。)

 

 

今の私たちは、この町を探索しながら手がかりを探している。確かに普段通りの仕事、この町の文化や歴史を記録するために行っている行為ではあるが……。今回はそれに追加して、病の治療法も探している。ピーの前では私たちに移る可能性は低いといったが、発病する可能性が0であるとは決して言えない。

 

既に私、もしくはピーが罹患している可能性もある。それ考えれば、早急に治療薬もしくは治療法を発見しなければならない。

 

 

(……私たちのためだけでも、ない。)

 

 

この先、未来でこの町で生活しようとする多くの人類に対し、私はバトンをつなげなければいけない。これを考えると、よりこの仕事の重要度は増す。彼らが行うべき労働は未来への発展に費やされるものであり、こちらの不手際で失ってしまった技術を取り戻すために使われるものではないのだ。

 

彼らがなんの問題もなく発展に尽力できるように、二度手間にならないように、失われようとする文明を記録できる私が、病の治療法。もしくは病の研究結果を、後世に残す。この力は、そのために存在する。

 

 

(ゆえに、あの病に罹患した他の人物がいれば、違う側面からの知識を得ることができると思ったのだが……、)

 

 

宝石となってしまったキティアの記憶から、『この町はもうだめだ』、『早く逃げよう』『蔓延させるわけにはいかない』という声を汲み取ることができた。つまり彼女が死んでしまった後に、宝石になる病が蔓延した。もしくは文明が崩壊するきっかけとなった何かが起きたことを推測できる。

 

物事を正確に見るには、複数の視点を持つことが重要だ。故に彼女と違う場所で人の想いを受けた存在を見つけることができれば、より調査が進むのだが……。まったくもって見受けられない。

 

もしかすると私が長年追い求めている文明崩壊の理由に繋がる何か、そちらの手がかりも出てくるかと期待していたのだが……。

 

 

「やはりまだ道は遠そうだ。」

 

「……難しいこと考えてる?」

 

「あぁ。……だが今考えるべきことではないな。作業に戻る、何か見つけたら教えてくれ。」

 

 

はーいという彼女の声を聴きながら、私も周囲を見渡す。ピーは私に付いて来てくれてはいるが、彼女は私の仕事に一切かかわりのない存在だ、それこそ全く興味がないと言ってもいい。彼女は私が大切にしている仕事、ということだけでこの活動に付きあってくれている。

 

今も熱心に瓦礫などをひっくり返し、お目当てのものを探してくれてはいるが……。彼女は思考を巡らせるよりも、体を動かす方が好み。傍から見ればただのゴミや破材を集める作業、こんな面白味のない活動に付き合わせてしまい、常に申し訳なく感じている。

 

 

「あ、ジェス。お花あったよ!」

 

「……ん? あぁ確かに。昨日見たものと同じ花のようだな。」

 

「…………きのう見たっけ?」

 

 

そういう彼女のために、カバンから本を取り出し押し花にしていた花を見せる。それを見て『おぉ!』と言いながら喜ぶピー。旅の目的や、私の名前、ある程度のことはしっかりと覚えてくれているのだが……。よくこういう風に記憶が飛んでしまうのが彼女。まぁいつものことだ。

 

にしても……花、か。

 

 

「よくよく見てみれば同じ種類の花が所々に咲いているな。あそこにも。」

 

「あ、ほんとだ!」

 

 

昨日見つけた水色と白の小さい花。植物は力の対象外であるため見落としていたのだが、意識してみれば同種の花がいたるところに咲いている。確か昨日見つけた花の近くには壊れた植木鉢が置いてあったが……。

 

 

(あそこから町中に広まったのだろうか。)

 

 

少なくともこの都市が放置されてから、10年以上の月日が経過していると考えていいだろう。もしかするともっと長いかもしれない。それだけの時間があれば、この町を埋め尽くすことができるほどに繁殖していてもおかしくない。しかしながらここから見えるのは、ほんの少し固まって、ぽつぽつとある程度。

 

 

「そういえばあの花以外の植物を見ていないな。」

 

「そうなの? ……あ、なんかあったよ!」

 

 

一瞬だけ記憶を手繰り寄せ思い出そうとしてくれる彼女だったが、残念ながら違うモノへと興味が移ったようだ。そ地面に落ちている不思議な白い石を私の元へと持ってきてくれる。確かに色は教会の彼女の肌色と似ているが……、少し触り心地が違う。これは宝石ではなく、ただの建材の一種だろう。

 

 

「これは……、残念だが何も感じられないな。」

 

「えー! そっかぁ……。」

 

 

“力”を行使してみるが、やはり何の反応も帰ってこない。

 

先ほどから何度かこのようなやり取りを行い、私も個人で見つけたものも拾い上げて記憶の確認を行っているのだが……、その多くに“想い”は残っていなかった。運よく倒壊せずに残っていた家屋を見つけ、その中にあった物も粗方触ってみたのだがこちらも結果は芳しくない。

 

 

(ほとんどが何も残っておらず、“読み取れた”としても何気ない日常の一コマしか無かった。普段であればこれだけでも収穫があったと言えるのだが、今回は求めるものが少し違う。……それにしてもやはり、この町には“想い”が残るものが少ないようだな。)

 

 

他の町には、もっと多くのモノが残っていた。この町のようにバケモノの被害をそれほど受けていない町ほど、より多くの“思い”が眠っているものだ。家財全てがそのまま残っており、家族の日常が見ただけで思い浮かぶような場所すらあったこともある。

 

つまりこの町と、他の町を比べた場合……。明らかに“想い”が少ない。過去の人類にとって重要、もしくは大切な品々がほとんど残っていないのだ。

 

 

「全員で引っ越してしまったのかもしれないな。」

 

「ひっこし?」

 

「あぁ。病の蔓延でこの町にはいられなくなり、必要なもの、大切なものをもってこの町から出る。そうすればこの状況に説明がつくだろう? まぁ逆に言えば、これまでの都市は何か一瞬の出来事によって文明が消失したのではないか? と考えることも出来るが。」

 

 

外的要因によって急に町が崩壊したのならば、人々の生活はそのまま残りやすいだろう。しかしながら町から出るのに準備期間がある“引っ越し”であれば別だ。私が記憶を読み取れるようなものはすでに、過去の人間たちによって持ち出されてしまった、と考えてもいいかもしれない。

 

この町で起きたことを実際に見たことがない私では推測程度にしかならないが、そう間違ったものではない気がする。他の場所。彼らが引っ越した先の地で、その記憶が読み取れる品々に会えることを願っておくとするか。

 

 

「……宝石、いや人の亡骸も残っていない。少し場所を変えよう。」

 

「どこにいくー?」

 

「町の外周だ、服の記憶によく出ていたあの場所。そこを探そうと思ってな。」

 

 

町の中をやみくもに探しても、めぼしい情報は残っていなかった。ならばアプローチを変えて、探索を進めるべきだろう。脳裏に浮かぶのは、昨日に見たキティアの服の記憶。あそこの家からは防壁が近くに見えたはずだ。おそらくそれが薬師となった彼の家なのだろう。次の目的地をそこに設定し、足を進める。

 

 

「道中、他に残っている家があればその中も確認していく。」

 

「はーい!」

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

その後いくつかの家を回ったが、めぼしいものは見つからなかった。進展と言えば、ピーが何かの飲食店であったのだろう場所から、鍋を発見。ちょうどよいサイズだったせいか、頭に装着してご機嫌になったぐらいだろう。つまり“仕事”の成果は0、新しい情報を得ることはできなかった。

 

だが、まだ本命が残っている。

 

 

「ここ……、だな。」

 

 

周囲の光景を“記憶”と照らし合わせながら、場所を確認する。間違いない、ここが薬師の家だ。

 

家屋の状態は非常によく、外観だけ見れば何の問題もない。さすがに中までは解らないが、他の廃墟と化している家々と比べれば、十分に住むことができるだろう。教会と同様に、非常に堅牢なつくりになっていると推測できる。彼女の“記憶”ではここまでしっかりした家ではなかったが……、建て替えたのだろうか。

 

そんなことを考えながらもう一度周囲を見渡すと、庭に花壇らしきものが残っているのが見える。確か彼の家の周囲は花畑になっていたはず。けれど見渡す限りそれらしき存在はなく、この花壇にも植物は一切生えていない。

 

 

(花壇自体手入れされた形跡はあるが……。)

 

 

人の手が加えられていた花壇が放置されると、周囲よりもより多くの植物生えることが多い。

 

おそらく人の手によってより多くの栄養を注がれ、土壌が他の場所と比べてより豊かになっているからだろう。雑草などを処理する人間がいないために、生え放題になってしまうのだ。しかしながらこの花壇には、不自然なほど何も生えていない。

 

薬師の家ともなれば薬草など常にストックしておくために、何かを育てていそうなものだが……。

 

 

「あ、ジェス~。これ見て。へんな石!」

 

「ピー、それは墓だ。ほらここに……。『レニ』と彫られているな。やはりここで間違いなさそうだ。」

 

 

彼女が見つけてくれたそれに目をやると、確かに不思議な形の石が置かれている。過去の人類たちは墓地にその亡骸を埋葬していたという知識はあるが……、この辺りの文化は違うのだろうか。そう思いながら墓石の前へとしゃがみ込み、彫られた文字をなぞる様に手を当てる。

 

……墓石から“記憶”を読み取ることはできなかったが、ここに刻まれた『レニ』という名だけで十分な情報だ。深く一礼をしたのちに、人生を終え眠る彼に、話しかける。

 

 

「すまないが、家を見させてもらうぞ。……ピー。」

 

「はーい! いくいくー!」

 

 

最低限の礼儀を澄ました後、私の真似をしていた彼女に声をかけ、彼の家へと向かう。

 

 

(薬師となれば確実に病についての情報を探し求め、何かに残していたはずだ。)

 

 

“記憶”の中の彼は死に物狂いで治療薬の製作に取り込んでいた。彼女が死んだ後も研究を続けたのかどうかは解らないが、その過程をまとめた資料程度は残っているはずだろう。そしてその資料には、彼の“想い”が残っているはずだ。彼の“彼女への想い”を横から掠め取るような行為であり、気は引けるが……。

 

それを心の中に押し止め、彼の家の中に入る。

 

 

「これは……。」

 

「くさーい! あとなんかいっぱいあるー!」

 

 

扉を開けた瞬間に感じるのは、強い植物の匂い。そして目に入ってくるのは、視界一杯に広がる薬品たち。

 

どうやら生前の彼が手を尽くして揃えた薬草のすべてが、ここに集結しているようだ。薬草などに詳しくない私でも、少しでも長く保存するために様々な手を加えられているのが解る。わざわざガラスの瓶に入れて密閉している品々ばかり、相当な手間がかかったのだろう。

 

 

(頑丈な家の作り、そして窓すらないこの部屋。薬草の保管が目的だろうな。)

 

「外気に触れすぎると劣化してしまうかもしれん。ドアは閉めておこう。匂いは……、すまないが我慢してくれ。」

 

「はーい。」

 

 

そう言いながらドアを閉め、もう一度彼の部屋の中を眺める。年季を感じさせるベッドに、多くの薬草が収められたずらりと並ぶ棚。そして先ほどまで作業していたのかと錯覚するような、様々な器具がそのまま放置された調合台。おそらく文明が滅びてから一度もあの扉は開かれなかったのだろう。かなり状態がいい。

 

軽く目を通せば、配分のメモや、材料の帳簿、また病についての考察が書かれた紙も広げられていることがわかる。

 

 

「あたり?」

 

「あぁ、探していたものだ。まずは普通に読む、少し待っていてくれ。」

 

 

いつの間にかベッドを占領していたピーにそう声をかけ、資料を読み進めていく。

 

どうやらほぼ0の状態から試行錯誤を続けていたようで、彼の研究メモには様々な可能性が述べられていた。過去に遡るほどその可能性に刻まれた×は多く、新しい記録に行くほど〇が書かれている。彼の資料によるとどうやら、病の進行は肌から体内へと変移していくようで、それを打ち破るために両方から病の元凶を攻撃する手段を追い求めていたようだ。

 

 

(書き方的に……、飲み薬と、塗り薬だろうか?)

 

 

日付を見る限り、記録が残っていない時期があるが……、おそらくこれは救うと誓ったはずの“キティア”という少女を死なせてしまった時期だろう。しかしすぐに立ち直った、いやこれは彼女の願いをどうにかして成就させようと思ったのか、その後精力的に研究が再開されたことが解る。

 

 

「執念というべきか。ほぼすべての時間を薬のために費やしたようだ。そのおかげか、ほんの少しだけ病の進行を遅らせる薬の開発に成功したようだが……。」

 

 

その薬のメモ書きの上に、不十分と大きな文字が書かれている。そしてそれ以降に、薬の試作品らしきレシピは残されていない。最後に書かれているものは、作成段階のものだ。……これを見る限り、完治させる薬は彼の手で作ることができなかったのだろう。

 

……しかし、遺された資料の膨大。日付から見て50年を超える作業の日々。

 

彼は人生をかけて、“彼女”を救おうとしたのだ。

 

決して、無駄にしてはいけない。

 

 

「……“記憶”を、見てみるか。」

 

 

メモから読み取れることはある程度見れた。後は“記憶”だけ。

 

そう思い先ほどまで手に取っていたメモに“力”を行使しようとした瞬間……。

 

 

「ッ!」

 

「ジェス!」

 

 

私の脳内にあふれ出す、狂気とも呼べる強い執念。

 

強すぎる想いが腕を貫き、破裂しそうになるほどの濁流がそのまま脳に流れ込んでくる。『何としてでも薬を完成させなければ』、『彼女を助けなければ』という強すぎる意志。

 

彼の人生のすべてが脳内に流れ込んでいき、これまで私が積み上げて来たものすべてが流されていく。記憶どころか自我すらも押し潰し、書き換えてしまうような圧力。この体が私のものではなくなるような、他のものに支配されるような感覚。

 

 

「ジェス! ジェスッ!」

 

 

ピーの声がきっかけとなり、何とか消えかかった意思で“力”の行使の中断。手を離すことができたが……、危なかった。

 

 

「大丈夫!? 大丈夫ジェス!?」

 

「あ、あぁ……。心配をかけた。すまない。」

 

 

理解していたつもりだったが、想像よりも彼の。『レニ』という名の男の執念は強かった。寝転んでいたはずのベットら飛び起き、倒れそうになる私を支えてくれた相棒に礼を言う。心配そうな目で私の顔を覗き込んでくれる彼女を安心させるためにも、大きく呼吸し思考を整えていく。

 

 

(私は、私だ。君の無念は理解できるが、この体を差し出すことはできない。私にもやらなければならないことがある。)

 

 

もう少し長く彼の“想い”を汲み取っていれば、私の自我は塗りつぶされ、新しい“彼”になってしまっていただろう。確かに私の目的と、彼の目的は一致している。可能であれば病の治療法を手に入れる、だがそれを行うのは、“私”でなければならない。

 

……似たような経験、強い想いを読み取り、その強さに圧倒されるということは何度かあったが、私の自我が危うくなるまでの強い想いは今回が初めてだ。人の“想い”の強さを、私はどこか見くびっていたのかもしれない。今後はより気を付けなければ。

 

 

(それほどまでに、彼の『病を治さなければいけない』という思いは、本物だったのだろう。)

 

「他の物を“見る”にしても、少し抑えなければならないな。」

 

「ジェス、ほんとに大丈夫?」

 

「あぁ、大丈夫だ。それに、手がかりは得ることができた。」

 

 

私の脳を埋め尽くすほどに強い想い、未だ脳に強く残っている彼の感情の中に気になるものがあった。

 

『あともう一つ、何かが足りない』や『もう少しで完成するというのに!』という彼の強い『焦り』の感情だ。おそらく、彼が死ぬ直前の記憶だったのだろう。寿命という終わりを迎える前に、どうにかして病の治療法を見つけたかった。最後のピースが足りないことは理解できたが、それを見つけるのには自身の寿命が足りない。

 

その思いは、筆舌に尽くしがたいものなのだろう。だからこそ、あれほどまで強い“想い”が残ったのだろうか。

 

 

(確かに少し危なかったが……、他にも多くの得るモノはあった。その中でも大きいのは、彼らが生きた時代についてだろう。)

 

 

彼が遺した『50年』という記録で、すでに私の予想が間違っていたのはなんとなく理解していたが……。“記憶”を読み取れたことで、その裏付けもできた。おそらく、こういった順序で物事が起きたのだろう。

 

 

「まず、キティアの発病と死。そこから彼女以外への発病と蔓延、病にかかることを恐れた者たちは次々と外へ出ていったが……。彼、レニのように残るものもいた。その中で彼は治療薬を試作し続けていたが、道半ば死んでしまう。そして彼の墓が作られていたということは……、当時まだ人は残っていたのだろう。」

 

「?」

 

「端的に言うとすれば、全て文明が崩壊する前に起きていたことなのだろう。……ピーには少し説明が長かったか?」

 

「……うん!」

 

 

レニという薬師が残した資料を見るに、教会にいた彼女は100年近く前の存在なのだろう。彼の時間と、すべてが崩れ去った後の時間。私が生まれるよりも前に“彼”は死んでいただろうから……、もしかするともっと長いのかもしれない。そんな時間をずっと、彼女は教会で祈りを捧げていたのか。

 

 

「100年、ずっとひとりぼっちだったのかなぁ。」

 

「だろう、な。……ともかくこれで、ある程度の情報はそろった。少し、やってみるか。」

 

 

そういいながら、彼が遺してくれた薬草棚の方へと体を向ける。

 

資料と“記憶”。この二つのおかげで何が必要なのか、どのような方法で作ればいいのかについて、ある程度理解することができた。彼のいう『残り一つのピース』が何なのかはわからないが、とりあえず彼が遺した薬のレシピを、再現してみる他ないだろう。

 

私に薬学の心得など一切ないが……、彼の執念が非常に大きかったおかげか、調合台にある全ての機器に“記憶”が残っている。くみ上げる量を調節しなければ、またさっきのように塗りつぶされてしまうだろうが……。一度失敗した今ならば、最適に読み取ることが可能だ。

 

使い手の記憶が残っているのならば、“彼”と同じことを、“彼”の動きを再現することが、できるはず。

 

 

「すまないピー。もう少しだけ待っていてくれ。」

 

「いいけど……。また変になったら止めるからね!」

 

「あぁ、頼む。」

 

 

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