10年後の勇者部達   作:たかなさん

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序章 旅立ち

天の神襲来から四年経ったある日。讃州市の一角にあるうどん屋かめやで元勇者部と元防人メンバーで貸切で、東郷と友奈の出発式を開催していた。

「皆様お忙しい中。東郷と友奈の本土出発式に集まりありがとうございます。あの東郷と友奈が立派になって」

 泣き真似しながら風が司会をする。それにツッコミ入れる夏凜。

「ハイハイ泣き真似しないしない」

「何よ久々に会ったと思ったらもう少しノリなさよ」

 風と夏凜と漫才を開始するなや否や。

「今日の主役東郷さんと友奈さんの2人よ」

 やれやれと言わんとばかりに2人の間に入る芽吹。

「はい。てな訳で主役前へ」

 すっと元の風に戻り、席に座ってる東郷と友奈を手招きする。2人同時に立ち上がって、風からみて左手に並ぶ。

「この度は私と東郷さんの本土出発の為にお集まり頂きありがとうございます」

「やっと悲願の本土上陸。この東郷美森、任務を全うするべく」

「東郷ストップ。長い話しは無しで」

「せっかく宣誓しようとしたのに」

 熱くなる東郷を見越して風が素早く止める。

「明らかに簡潔に済まそうしてないでしょ」

「皆んなお待たせ、やっと来れたよ」

 がらがらとかめやの入口を開けて出発式の企画者である園子が遅れてやってきた。

「遅いわよ園っち」

「ごめんごめんやらかした政府の人間粛正してたら遅くなりました」

 頭を下げながらとんでもないことを言う。

「洒落にならないことを言わないの乃木」

 風が慌て突っ込む。

「冗談だよ冗談。今後の上陸と復興財源の捻出とか色々話しあってたのが本当」

 園子は現大赦のトップである。元勇者で、乃木家で、最高派閥有してる以上異論唱える人は現れなかった。

 四年前の混乱の最中に突如現れ、滅茶苦茶になった四国を束上げたそのカリスマ性で未だに地位を維持している。

「にぼっしーは連れて来れたけど、安芸先生は大橋再建の準備とかで時間が取れないって、まあ嘘だと思うけど」

 にぼっしーこと夏凜は園子の補佐として手が回らない所で活動している。

 園子と東郷、当時は鷲尾姓だった頃に神樹館小学校の担任で神官だった安芸先生も園子の補佐をしている。ある程度の決定権を与えている為四国各地で活動している。

「もう気にしなくてもいいのにね園ち」

「本当だね。良し辛気臭くなる前にうどん食べよ。全員分よろしくお願いします!」

 園子は厨房に乗り出して注文する。

「乃木家の奢りだ好きに食え」

 

 食事も終わり各自談笑挟む。主役の友奈と東郷に芽吹が話しかける。

「結城さんと東郷さん改めて先行よろしくお願いします」

「ええまかせて」

「後続が到着できるようにちゃんと誘導するよ」

 友奈と東郷の2人は高校進学と同時に本土開拓の準備を進めて来た。

勇者部一同は他の大人に任せれば良いと提案したが、元勇者である私達じゃないと務まらないと言う事で、園子が大赦のトップになって全面にサポートする事で可能にしたのであるが、その噂を聞きつけた。ゴールドタワーで活動していた防人達、芽吹が乗り出して来た。

「第一目標。安全に停止した原発の確認とそこに進めるルート確保」

 奇跡的に残った宇宙軌道上の衛星と旧自衛隊が使用していた偵察機で何度地形を撮影し、大体のルートを確認してるが崩落の危険性やら陥没の事も考えると人の目による確認は絶対である。

「私もささやかながら応援してます」

 芽吹と一緒に着いてきた亜耶が微笑みながら言う。

「ありがとう頑張るよ」

「期待に添えるように努力するわ」

 亜耶は園子から大赦に再び力を貸して欲しいとお願いされたが、巫女を辞めて芽吹達の方に行くと断った。

「私もちょっといいかな」

 芽吹の後ろにしずくが立っていた。

「今日はしずくちゃんだね」

 山伏しずく。元防人の一人で芽吹達と一緒に行動していた。

「頑張ってだって、シズクから」

「ありがとう頑張るわ」

 シズクとは山伏しずくのもう一つの人格で本人格とは真逆の性格だ。たまに出てくるが最近は大人しくなってる。初めて会った時驚いたが、何度も会ってるうちに慣れて大切な友達である。

「結城さんと東郷さん。ちょっとよろしです」

 しずくの次は弥勒夕海子が友奈と東郷の席に来る。

「コレを渡したくて、向こうでもよろしくお願いします」

 『芸人夕海子と大赦代表園子の地獄のコンビ!大赦カチコミ編!!』と名されたDVDを渡して来た。

「聞いたよ園ちゃんとコンビ組んでいるって」

 ひょんなことからお笑い芸人になった夕海子は新たな大赦のイメージを作りたい園子とたまに組んで四国笑いの渦に沈めている。

「たまにですわ。まあ、おかげ弥勒家を復活させる事ができましたわ。次は夕海子本土カチコミ編、一から町を作るでしてをよろしくお願いします」

 一礼して去って行く。芽吹と夏凜いわく性格が変わりすぎて怖いそうだ。勇者選別にあった夏凜と防人として活動していた芽吹はこんなしっかりして無かった。と言う。

「次は私の番かな」

「お久しぶり雀さん」

 芽吹の後ろから加賀城雀が出てくる。相変わらず芽吹と一緒に居るみたい。

「なんだかんだでこの中で1番長い付き合いだよね」

 雀と勇者部の出会いはまだまだバーデックスと戦いが始まったばかり。雀は勇者部の噂を聞いて来たと言ったてたが、本当は勇者はどんな人達か知りたかったからだ。

「あの時はお世話になりました。まあ、すぐ接触禁止になりましたが。会えてよかった。えーとあっちでも頑張って」

 再び芽吹の後ろにもどる。

「うん頑張るよ雀ちゃん」

「期待にそう結果出すわ」

「東郷さん。ちょっと良いですか」

 どうやら次は樹みたいだ。店内ライブの準備を中断して、2人のもとに来る。

「東郷さん。二輪の免許見せて下さい」

 意外なお願いで東郷が口を開いて驚く。

「良いけど。どうしたの?」

「私も二輪の免許取って、バイクで四国一周ライブの旅したいなと思って。モチベーション上げる為に見たいかなと」

「良いね樹ちゃん!!それかカッコいいよ」

 樹の新たなチャレンジを聞いた友奈は目を輝かして、樹の両手を握る。

「先ずは普通車免許取ってからね。頑張って一ちゃん」

「ありがとうございます友奈さんと東郷さん」

 樹は最近ソンガーとして新たな四国の希望になりつつある。混乱の最中、無事デビュー、各地街頭ライブしながら着実にファンを増やしている。

 そして準備を終えてかめやのテレビの下に椅子置いて座る樹。

 皆んなも席に戻り、静かになる。

「聴いてください、新曲地平線の向こうへ」

 

出発当日の大橋市の港。

「で、誰も来ないかー!」

 夏凜が専用のドックから輸送用の小型船を持って来て、乗り付け様に大声をだして叫ぶ。

「皆んな忙しい見たい、ほら夏凜ちゃん」

 連絡用SNSのグループに仕事を理由にして、見送りを辞退すると夏凜の以外のお断りが連絡が来てる。

「私は連れて行くから絶対だけど、アイツら!」

「まあまあ落ち着いて、皆んな四国の為に頑張ってるから許して上げて」

「薄情よ、ったく」

 腕組みしながら夏凜が怒り、東郷がなだめる。ニコニコの友奈。久々に勇者部時代を思い出すやりとりに懐かしむ。

「じゃ忘れ物ない?」

「バッチリだよ夏凜ちゃん」

「ええ大丈夫よ」

 乗船はスムーズに進み、夏凜が操舵する船が静かに港を離れて行く。

「2、3人ぐらい見送り寄越しても良かったじゃない園子」

「今回の上陸はコッソリやろ!って言ってたからね園っち」

「まだ一般人の上陸許可して無いからね。コレを理由にして乗り込まれたら大変だからね」

 穏やかな海を進む船。かつてこの辺一体に色々な船の往来があった場所をたった一隻の小型船がさみしく進む。

「またしばらく会えなくなるね夏凜ちゃん」

「そうね。高校も別になったし、折角園子が大赦の高校の枠用意したのに蹴って、復興に協力したいなって・・・まあ友奈らしい」

「ありがとう、お土産期待してて」

「はいはい。期待してるわ」

 夏凜は振り返る事しないで前を向き続けて舵を持つ。見なくてもどんな表情なのか分かる友奈と東郷。

 かつて壁があった場所を通過した所で、無線に反応がある。

「こちら大赦所属大橋監視艇、そちらの所属と目的をどうぞ」

「こちら三好夏凜。大赦乃木家所属、本土輸送艇定刻通りの通過、荷物変更無し」

「了解です。浮遊している船の残骸に気をつけて下さい」

「ありがとう」

 勝手に本土に入られては元子もない。大赦は旧海上保安庁の船を使い、24時間体制で海上を監視している。

 「もう少しだね」

 「気をつけて、良い報告待ってるから」

 短い船旅、生きているうちにこの四国を離れるとは夢にも思わなかった。近づく小さな港。

 ゆっくりと左舷に乗り付け、3人で協力して橋をかけて、バイクやら荷物を船から降ろす。

「じゃ!頑張りなさいよ」

 手を振りながら夏凜は港を離れていく。

 その姿を皆えくなるまで見送る友奈と東郷。

「行こ東郷さん」

「ええ友奈ちゃん」

 世界に2人きり、荒廃した日本に向けて走り出す。そしてコレから元勇者達の新たな戦いが始まる。

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