トリニティ4兄弟   作:Utena(臺)

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第2話 天使降臨

母艦とガンダムを受領した俺達、チームトリニティは、母艦の作戦会議室にて、ラグナ・ハーヴェイとのコンタクトを取り、これからの自分達の動きを説明されることになった。

 

「君達トリニティは、アレハンドロ様によって設立された独立作戦部隊であり、ソレスタルビーイングとは別の組織として活動することになる。そして、我々が動くのはソレスタルビーイングが本格的な武力介入活動を開始した後、さらなる世界の意思統一の手助けが必要とされた時となる。それまでは、各々の訓練及び学習を進めていてくれ。」

 

要は、俺達はソレスタルビーイングが武力介入に混迷し始めたら、更なる脅威として世界を荒らせ、ということだった。

 

俺達の存在はヴェーダ上に存在しない。また、俺達はヴェーダとのリンクも持っておらず、指示を受けて作戦行動をするしかない。

無論、ヴェーダ上に存在しないガンダムを持った俺達が、ソレスタルビーイングと共に突然武力介入を始めたとして、ソレスタルビーイングは俺達に疑念を持つか、正体不明の脅威的な敵対組織そして認識せざるを得ない。

ならば、ユニオン、AEU、人革連の三国演習にて、()()()窮地に陥るソレスタルビーイングへと助力し、同じ理念の組織であると偽って接近しなければ、余計なリスクを負うというアレハンドロの計画参入に関わる判断が、現時点での俺達の飼い殺しという結果に繋がったのだろう。

 

俺達兄妹は、母艦を入手してから、凡そ3ヶ月もの間、戦闘シミュレーションなどを繰り返しながら、実戦へと赴くことのないままだらだらと過ごしていた。

 

「ねぇ、にぃにぃズ!アタシ、アメリカのこのバーガー屋に行ってみたいわ!いいでしょ?」

「しゃーねぇなーネーナは!それじゃユニオンの軌道エレベーターにでも行くか!」

「やった♡ミハにぃだーい好き♡」

「一応俺達は作戦で待機してるだけなんだからな、地上にMSをちゃんと持っていけよー、大西洋上に小規模だがコンテナ基地があるから、そこにちゃんと機体を持って行っておけ」

「わかってるわよぉ、うるさいわね、クロにぃは」

「心配してんだよ」

 

そんなやり取りをして、ネーナとミハエルは地上に降りていった。

そして俺とヨハンにぃは、地上の紛争地帯の情報や、各陣営の兵器や地域の開発情報などを漁りながら過ごして、数日が経った。

そして、俺は天使が降りる日が近いことを知った。

AEUで新型MSのデモンストレーションが、アフリカの軌道エレベーターの近くで行われる情報が入ったのだ。

これこそ、AEUイナクトのお披露目パーティだろう。ここに、空から降りてきた天使が破壊を齎すのだ。

俺は、そのアーカイブを見て、気持ちが高まるのを抑えきれなかった。

 

「クロード、何かそわそわしているようだな。何があった」

「あぁ、ヨハンにぃ、これから、最初の武力介入が始まるのさ。AEUの方面のカメラを開いてくれ」

「わかった……何も映らない……?これは……」

「あぁ、GN粒子が散布されたんだ」

「何故これから武力介入が行われることを知っているんだ?」

「なんてことない推理だよ。AEUが軌道エレベーター内に戦力を配備しているのは知ってるだろ?この新型のお披露目パーティに乗じて、その戦力をおびき出し、条約違反を公にしてやろうとしてるんだ」

「本隊はなかなか趣味が良いようだな」

「さぁミハにぃ、Eカメラを展開するよ、最初の武力介入、しっかり見届けよう」

 

大型モニターに軌道エレベーターの外壁と広大な地面が映る。そして、画面が切り替わる度に地面が近くなり、コンクリートの上に立つ薄緑色の機体が見えた。

 

「これがAEUの新型か」

「そうらしい」

 

薄緑色の機体は、巡航形態への変形やリニアライフルの的当てなどをしながら、縦横無尽に動いている。

そして、ふと映る白い影。俺は、興奮せざるを得なかった。

 

「本物のガンダム……!」

 

俺の呟きに、ヨハンにぃは少し訝しげな目を向けた。

 

白い影が地上に降りたって数瞬のうちに、薄緑色のMSは細切れになり、観覧者は逃げ出し、軌道エレベーターから発進したヘリオンが1機、また1機と落とされていった。

 

「どうだ?クロード。お前はこのガンダムを堕とせるか?」

「痛み分けってとこかな」

「堕とせないと?そこまでパイロットの動きは良い訳じゃなさそうだが」

「俺達のガンダムと向こうのガンダムは違うってことさ」

 

実際は、今の刹那となら一方的な戦いが出来る自信が自分にはある。俺のスローネフィアーの武装は実体剣が主武装だし、エクシア程度のGNフィールドなら問題なく貫通出来るだろう。しかし、刹那を前にして、躊躇なく剣が振れるかというと微妙だ。

つまるところ、俺自身のメンタリティの問題で、勝つことが出来ないように思うのだ。

 

映像を眺めていると、スクランブル発進したヘリオンが地上からの狙撃で堕とされていく。

 

「もう1機、狙撃型か」

 

前もって布陣されると厄介だな……とヨハンにぃは小さくこぼす。この兄は落ち着いた雰囲気こそ持っているが、()()()()()らしくまぁまぁ脳筋だ。俺は苦笑いを小さく浮かべた。

 

モニターの画面を分割して、人革連の静止衛星軌道ステーションを映す。

「こちらは人革連のパーティ会場か。」

「あぁ。軌道エレベーターに携わるお偉いさん方が集結してるんだ。テロリストからしたら、最高のイベントだろう」

「モニターに映したということは、ここでも武力介入が同時に行われるのだろう?」

「まぁね」

 

モニターには、スクランブル発進したティエレンとテロリストの駆るヘリオンが追いかけっこに興じている様が映し出された。

テロリストはティエレンからの射撃を無視し、ポッドに搭載された大形のミサイルをステーションに発射した。

しかし、ミサイルが直撃するすんでのところで、ビームがそれを撃ち抜いた。

 

「ガンダム。ガンダムキュリオス」

高速機動でテロリストの射撃を回避し、一方的にテロリストをビームマシンガンで破砕するキュリオス。しかし、テロリストの1機がステーションへの特攻を試みる。

そして、その眼前に何処からか上昇してきた機体。ガンダムヴァーチェ。

 

「かなりの重装機体のようだ」

「あぁ、運用はアインと似たようなものだと思う」

 

ヴァーチェが放ったビーム砲は、テロリストの機体を飲み込み、消滅させた。

キュリオスとヴァーチェは、ミッションの完了を告げたのか、わずかにとどまると、すぐに何処かに飛び去って行った。

 

「クロード、ソレスタルビーイングの本格的な活動が始まったんだ。何みょうな顔をしている。」

「ヨハンにぃ、キュリオスはテロリストの機体を戦闘不能にしていた、そしてヴァーチェは消し去った。ヨハンにぃはヴァーチェのパイロットの攻撃にどう思った?」

()()()()だと思うか聞いているのか?むしろ、俺はキュリオスのパイロットの甘さが気になったがな」

「そうか、それならそれでいいんだ……」

「クロード、お前はシミュレーションでも基本的にコックピットを避けた攻撃を図る。それは不必要な甘さだ。的確に武装を狙う技術は確かなものだが、そんな調子では窮鼠に噛まれるぞ」

「分かってるさ……」

 

 

 

数刻、地上にいるミハエルとネーナと通話を繋げ、母艦のモニターに映る2人と、ヨハンにぃと俺の4人で話しながら、イオリア・シュヘンベルクの演説を見るため、ニュースの映像を流していた。

 

「……ノーカットで放送しますので、どうぞご覧下さい」

「地球で生まれ育った、全ての人類に報告させて頂きます。私達は、ソレスタル・ビーイング。機動兵器ガンダムを所有する、私設武装組織です。私達、ソレスタル・ビーイングの活動目的は、この世界から戦争行為を根絶することにあります。私達は、自らの利益の為に行動はしません。戦争根絶という大きな目的の為に、私達は立ち上がったのです。ただいまをもって、全ての人類に向けて宣言します。領土、宗教、エネルギー、どのような理由があろうとも、私達は全ての戦争行為に対して、武力による介入を開始します。戦争を幇助する国、組織、企業なども、我々の武力介入の対象となります。私達は、ソレスタルビーイング。この世から戦争を根絶させる為に設立された、武装組織です。繰り返します。私達は、ソレスタル・ビーイング。機動兵器ガンダムを所有する、私設武装組織です…………。」

 

ビデオ越しのネーナが、目を細め底意地の悪そうな、妖艶な笑みを浮かべる。ミハにぃは不敵に笑い、ヨハンにぃは真顔でイオリアを見つめている。

 

「うふふ♪これからが楽しみね♪」

「世界に変革を齎す……俺達の存在意義を果たすぞ」

「ようやく暴れられるぜ!!」

 

「始まった……。世界の変革が……!」

 

クロードの表情は、苦虫を噛み潰したような、きついものだった……。

 

 

遂に動き出したソレスタルビーイング。

トリニティのガンダムマイスターとして課せられた役割を理解しているクロード。兄妹の虐殺行為を予防することは出来ないのか……、物語の登場人物として割り切るには、家族としてクロードは彼らと関わり過ぎた。

スローネのガンダムマイスターは、一人懊悩していくことになる。

 




次回、ガンダムマイスター
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