トリニティ4兄弟   作:Utena(臺)

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お待たせしました。初投稿です。
前話からクロード以外の視点も入れる試みをしています。うまくいくといいな。


第6話 統一されゆく世界 後編

タクラマカン砂漠に日が昇り始める時間。ソレスタルビーイングのガンダム達が各陣営に鹵獲され、ガンダムエクシアがアグリッサと遭遇する少し前に時は戻る。

 

「ミッションが通達された。」

「やっとかよ!!待機が長すぎて体が固まっちまってるよ!!」

「ミッションに不満を持つな、ミハエル。我々はソレスタルビーイングを()()、力を見せる必要がある。圧倒的な力をな。」

「それが俺達トリニティの使命だからな。」

「ネーナ、難しいことはどーでもいいわぁ。ようやく暴れられるのね♪」

 

タクラマカン砂漠に分布された双方向通信システム網にかからぬ場所に集結しているトリニティ一行は、長い待機時間で固まった体をほぐし、機体を起動させた。長兄のヨハンは、兄弟達の戦力を各ガンダムの救出へ割り振る。

 

「俺はガンダムヴァーチェを移送中のAEUヘリオン部隊を襲撃する。ミハエルはガンダムキュリオスを移送中の人革連部隊を叩け。クロードはガンダムデュナメスを抑えているユニオン部隊を襲撃しろ。ネーナは撤退中のガンダムエクシアの援護に迎え。」

「「「了解!!」」」

 

揃った応答とともに、ガンダムスローネ4機が浮上、急速に散開していく。

スローネフィアーの中にいるクロードは、ロックオンとの対面、そして初の実戦に気分が高揚しており、無意識に口角が上がっていた。

 

(ロックオンとの対話、そして、俺のガンダムの存在する意味を遂に世界に知らしめることが出来る……。こんなに嬉しいことがあるか!?)

 

クロードの逸る気持ちにのせられるように、スローネフィアーの速度はどんどん上がっていった。

 

そして、タクラマカン砂漠の渓谷に辿り着いたスローネフィアーは、そのとてつもない速度のままユニオン部隊に突貫。一機のオーバーフラッグを切り裂いた。

 

「なに!?敵襲っ!?」

「ランディがやられた!」

「これは!?ガンダムと同じビーム兵器か!?」

「追撃くるぞ!」

「散開!!」

「まさか他にも機体があったとは……!!聞いてないぞ、ガンダム!!」

 

部隊を切り裂くように現れたスローネフィアーはガンダムデュナメスの傍に立ち、散開したオーバーフラッグを1機、左手のソードライフルで撃ち抜いた。続いてデュナメスの最も近くにいたオーバーフラッグを狙うも、それは避けられた。

 

「フォーメーションをズタズタにされた!一時撤退する!」

 

「流石に動きが速いな、流石グラハム・エーカー!俺の腕もまだまだか!」

 

飛び去っていくオーバーフラッグス隊を射撃しながら、スローネフィアーはデュナメスの傍らに立つ。

 

「くっ……誰だ……?この機体は……。ハロ、知ってるか?」

「データナシ!データナシ!」

 

クロードはデュナメスとの直接回線を開き、ヘルメットのスモークを晴らす。

 

「間に合って良かったよ。」

「!! あんたは……。」

「ガンダムスローネ4号機、スローネフィアーのガンダムマイスター、クロード・トリニティ。」

「クロード・トリニティ……??」

「あなたの仲間のマイスターのところにも、俺の兄弟達が既に救出に向かってます。」

「どういう事だ……?」

 

 

 ガンダムヴァーチェを輸送中のAEUのMS隊を率いるコーラサワー隊にて。

 

「全機、フォーメーションを崩すな。このままガンダムを本部へ連行する。指揮を執ったのはこの俺、パトリック・コーラサワーだ!そうさ、ガンダムが手に入れば、大佐の気持ちだって……。」

 

 突如、黒い雷をまとったビームがコーラサワーの駆るイナクトに接近する。そしてそのままイナクトの上半身と下半身の結合部を撃ち抜いた。

 

「うわぁぁぁ!?」

 

 突然の攻撃にコーラサワー隊は反応できず、ガンダムヴァーチェの四方を囲み制圧していたヘリオンが続く2射、3射で続けざまに2機撃破される。

 

「っ!なんだ……!?」

 

 この攻撃と、それによるガンダムヴァーチェの制圧からの解放驚いたのはティエリア・アーデもまた、コーラサワー隊と同じであった。攻撃は続き、浮遊していた残りのヘリオン5機をすべて撃破した。

 

「目標へリオン部隊、破壊確認。こちらはスローネアインのガンダムマイスター、ヨハン・トリニティ。」

「スローネ……アイン……?」

「君と同じガンダムマイスターだ。他のマイスターのところにも兄弟たちが救援に向かっている。わかりやすい撤退の合図がやがて見える。そしたら仲間たちと合流するといい。」

「くっ!君は一体!?」

「同じガンダムマイスターだ。話す機会は必ず訪れる。」

 

 その時、ティエリアとの通信に被さるように、スローネアインのコックピットにはネーナが映し出される。

 

「ヨハンにぃ、」

「ネーナか。」

「こっちのミッションはクリアしたわ♪」

「そうか。ネーナ!GN粒子を最大領域で散布。現空域より離脱する!」

「了解ネ♪」

 

 通信の直後、空が赤く染まっていく。GN粒子によって。

 

「この散布領域は……!?」

 

 

 

 砂漠を滑走するティエレン隊は、ガンダムキュリオスをネットで捕らえ、引き擦りながら猛スピードでけん引していた。大仕事を終えたように感じる隊員の気を引締めるように、セルゲイ・スミルノフの喝が入る。

 

「総員油断するな!羽根付きがいつまた暴れだすやもしれん!」

「「「了解!」」」

(何故超人機関を襲ったの……、あなたも超兵の……!何!?このプレッシャーは!?)

 

 その刹那、迫りくるファングに最も早く気づいたのはソーマ・ピーリスであった。

 

「敵襲だと!?」

 

 スミルノフとピーリスはガンダムキュリオスから離れるように素早く散開した。しかし、ガンダムキュリオスを捕えていた6機のティエレンは何ら反応できずにファングに食い破られ、爆散した。

 

「なんだこの武器は!?」

「ミサイルじゃない!?」

 

 不自然な軌道で襲い掛かるファングを最小限の動きで回避するティエレン・タオツー。ファングはその顔のすぐ脇を通って行った。そしてセルゲイとピーリスは背中を合わせる位置取りをし、ファングを撃ち落とそうとする。

 

「他の部隊がしくじったのか!?」

「!?あの機体は!?」

 

 その横の空中に、赤い翼を広げる天使が佇んでいた。

 

「ガンダムスローネ2号機、スローネツヴァイ!ミハエル・トリニティ……!エクスターミネート!!いけよ!ファングぅ!!」

 

 スローネツヴァイに回収され、粒子を貯めたファングはビームを放ち、スローネツヴァイに突貫するセルゲイのティエレンを機動不能にした。

 

「中佐!!」

「ハッハッハッハァ!!脆い!脆いぜぇ!」

 

 ティエレン部隊を撃滅したミハエルは、地上で倒れ伏しているガンダムキュリオスを見守りながら待機していると、遠方から空がすごい速さで赤く染まっていくのを確認した。

 

「い……いったい何が……。」

「おっ!ネーナか!」

 

 赤い光はすぐにスローネツヴァイとガンダムキュリオスの上空にも届き、2機を光の下に包み込んだ。

 

 

 

「へへ……逝っちまいなぁ……」

「うわぁぁぁぁぁああ……!!!!」

「どうだぁ?アグリッサのプラズマフィールドの味はぁ?機体だけ残して消えちまいな!クルジスのガキがぁ!!」

「ガン……ダム……」

 

 ガンダムエクシアはアグリッサのプラズマフィールドに捕らえられ、刹那は今にも細胞を焼き尽くされようとしていた。しかし、アグリッサのプラズマフィールド発振機は突然、上空からやってきた三発の赤いビームによって破壊される。

 

「何!?」

「!!あれは……!!」

「何だと!!??」

 

 アグリッサから退避したサーシェスの駆るイナクトは赤いガンダムの横をそのまま通り過ぎ、撤退する。刹那とガンダムエクシアは、自身を助けたガンダムに手を伸ばす。

 

「ガン……ダム……!ガン……ダム……!ガン……ダァァァム!!」

「生きてる?大丈夫してる?エクシアのパイロット君?」

「!!お前は……。」

「ネーナ・トリニティ、君と同じガンダムマイスターね♪」

「ガンダムマイスター……その機体!?」

「ガンダムスローネ3号機、スローネドライ。」

「3号機……?」

「1号機と2号機と4号機にはね、にぃにぃズが乗ってるよ。今頃きっと。」

 

 そしてネーナはヨハンと通信をつなげ、エクシアの救出が済んだことを伝える。

 

「ヨハンにぃ。」

「ネーナか。」

「こっちのミッションはクリアしたわ♪」

「そうか、ネーナ!GN粒子、最大領域で散布。現空域より離脱する!」

「了解ね♪いくよ、ハロ。」

「シャーネーナ!シャーネーナ!」

「GN粒子、最大散布!」

 

 浮かび上がり、満ち足りたGN粒子がスローネドライの胸部を赤く染める。

 

「いっけぇーー!!ステルスフィールド!!」

 

 スローネドライの肩部や背部に装着された粒子貯蔵タンクが展開し、大きな赤い翼を広げる。急速に空を埋め尽くしていく赤い光は、昇る朝日と混じりあい、禍々しくも幻想的な色彩をタクラマカン砂漠に広げていく。刹那はその光に驚きを隠せなかった。

 

「この光は……。」

 

 

 

「ヨハンにぃ、こっちの救出は完了した。ミハにぃ達は?」

「了解した。ミハエルもネーナもマイスターを救出し終えた。すぐにネーナがGN粒子を散布させる。クロードも空域を離脱しろ。」

「了解!」

 

クロードが返答してすぐ、スローネドライのステルスフィールドが広がってくる。朝焼けに萌えた空は、一転して赤く染まっていく。

 

「GN粒子……!?」

「あれをしているのは俺の妹のネーナです。ガンダムスローネ3号機のガンダムマイスター。」

「!」

「これで我々の撤退が容易になります。」

「あ、あぁ……。」

「それでは、きっとすぐまた会える。積もる話はその時にしましょう。そちらのマイスター達と合流してすぐに撤退して下さい。私達兄妹も退きます。ご無事で……」

 

クロードは万感の思いを敬語の裏に隠し、ロックオンとの別れの言葉を述べると、スローネフィアーを浮上させ、ヨハンにぃの元へ向かう。

 

「これでミッションコンプリートだ。」

「ケッ!味気なかったぜ。」

「奇襲だから上手くいったんだよ。あんまチョーシ乗らない方がいいよ、ミハにぃ」

「あんだとぉ!?クロード!!このまま本部に急襲しに行って勝負するか!?」

「もう!!初めてミッション達成したからって舞い上がりすぎよ!!にぃにぃ!!」

「ミッション中は動きに何も問題はなかった。それで上出来だ。帰投しよう。」

「「「了解!!」」」

 

 赤い空の元飛び上がった4機のガンダムスローネは、砂漠の朝焼けの中に消えていった。

 ソレスタルビーイングのガンダムたちもまた、疑念と驚きを抱えながらも撤退を開始した。ロックオンはハロに指示を出す。

 

「ハロ、待ってるみんなに連絡してくれ、俺たちは太平洋第6スポットに撤退する。」

「リョーカイ!リョーカイ!」

 

 戦闘空域を離脱し、オートパイロットでの飛行中、ソレスタルビーイングのガンダムマイスター達は、自分たちの身に起こったことを受け止めていた。

「新たなガンダム……。」

「ったく、聞いてねぇぞ……。」

「あの機体は……一体……。」

「ヴェーダの計画プランにあんな機体は存在しない!何なんだ!あの……ガンダムは!!」

 

 

 

 クロード達、トリニティのガンダムマイスター達はファーストミッションの達成と戦闘で、退屈の果てに溜めこんでいた鬱憤も晴らし、非常に和やかな雰囲気であった。

 

「ファーストミッション、よくやり遂げた。これから俺たちはまた宇宙へ上がる。準備しておけ。」

「あいよ!」

「また宇宙に戻るのぉ?全然遊び足りなぁーい!」

「ヨハンにぃ、次のミッションプランは?」

「まずは宇宙でソレスタルビーイングに挨拶しに行く。我々の計画参入の準備は進めてあるらしい。前任者とのスムーズな引継ぎの準備は重要だからな。」

 

 

 

 後日、コンテナにガンダムスローネを格納して偽装したパッキングと連絡を施し、トリニティは軌道エレベーターで宇宙へ上がり、停泊していたトリニティ母艦への詰め込みも終え、こちらの指定したプトレマイオスとのランデブーポイントへと向かっていた。

 

「それにしても彼らは無駄な動きが多い。彼らが計画を変えるような動きをしなければ、俺たちが動くことはなかっただろうな。」

「アメリカとタリバンの介入だったり、モラリアの介入のことだね?」

「エクシアの敵前でのコックピット御開帳か!あれは良かったな!俺よりイカれてるぜ!」

「ふふふ……それどんなバカぁ?」

「まぁ、世界の敵視は確実に起きていたんだ。」

「計画にそぐわず無駄も多ければ不十分だったことが問題だ。」

「おかげで俺たちが暴れられるんだ!その点は奴さん等に感謝だな!」

 

 兄さん達とソレスタルビーイングについて雑談をしていると、母艦はランデブーポイントにかなり接近していた。

 

「ランデブーポイントに近づいたようだな。」

「来ると思う?ヨハンにぃ?」

 

 ランデブーポイントに接近し、俺たちの意識はこれまでのソレスタルビーイングの活動から、これから会うソレスタルビーイングへと向かう。ミハにぃは自身の肩を抱き、身をよじりながら小馬鹿にして茶化す。

 

「案外ビビってんじゃねぇのぉ?」

「そんなんでビビってたら、それこそ世界を敵にするには肝が据わってないんじゃないかな……。」

 

 俺は革新の担い手としてソレスタルビーイングが存在していることを知っているが、そのことを抜きにし、計画の実行者、ガンダムマイスターとしてソレスタルビーイングを評価すると、情けないところが多いと思うようになっていた。兄妹たちとの生活と受けてきた教育は、俺をすでに単なるガンダムOOが好きな人間から、この世界に生きるクロード・トリニティへと変えていることをこの時少し実感した。

 ミハにぃと俺がソレスタルビーイングを小馬鹿にしていると、ヨハンにぃが話始めた。

 

「いいや、来るさ。彼らがガンダムマイスターなら、我々にも、ガンダムスローネにも興味を抱くだろうからな。」

 

 すると、遠くに小さな光が見えてきた。真っ先にネーナが反応する。

 

「あ!見えたよ!」

「ふっ、では挨拶と行こうじゃないか。ガンダムマイスター同士。」

「へいへい。」

「りょーかいっ」

「楽しみだな……!」

 

 ここからのソレスタルビーイングとの顔合わせが、俺たち兄弟と、そして、クロード・トリニティの運命を決める予感を、俺は確かに感じた。

 俺は、兄さんたちやネーナとは動く動機も理念も違う。それを俺はいまだ打ち明けられずに、この時を迎えてしまった。兄妹の本質や振る舞いを改めることはついにできなかった。それは、好きなキャラを、いや、兄妹達を否定することだと、関わって、愛されて感じてしまったからだ。俺の行いはきっと、トリニティや計画からすると裏切りになるんだろう。だが、兄妹達を守るために、すべき最善のことをするのだと、俺は決意を新たにした。




 ソレスタルビーイングとトリニティ、運命の邂逅が訪れる。兄妹達の野望、ソレスタルビーイングとの関係、信頼をかけ、命をベットする。覚悟の果てに望む未来を築けると信じて。
―――次回、天使達の邂逅





 dアニメストアにOOが復活したことで、続きを書けるようになりました。どうしても凝り性で、資料を観ながら書きたくて……。

 ずっとファーストシーズンラストの戦いでのクロードの立ち回りを妄想していますが、まず先にトリニティVSジンクスなどの考えてない部分を考えなきゃですよね……。ライブ感マシマシなのに最高におもろくて話がつながっているドラゴンボールって本当に傑作だなって思いますね。
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