機動戦士ガンダム AWAY TO THE DESTINY 作:くまたいよう
コズミック・イラ73。
正確にはそうであったハズな年号だが、後にブレイク・ザ・ワールドと呼ばれた事件により改めるか否かの余裕も無い。
嘗て、ユニウス7と呼ばれたコロニーの落下を防ぐ為の戦いにおいて、大気圏突入し始めたユニウス7が何故か消滅しただけではなく、ユニウス7から突如発生したエネルギーが大気圏から宇宙を覆い、地球と宇宙の行き行きすら困難となる事態となっている。
ナチュラルとコーディネーターの争いが起きていた世界は、結果的に双方の干渉すら困難となり、更には異なる世界から少数ずつ現れたと知る迄に時間を有した者達を巻き込んで更に混沌とした世界になり始めた。
そして、半年が過ぎた頃に本来の歴史で有り得なかった事態が起きた。
【俺はZEUTHに残る】
それがシン・アスカが言い残した事だ。
プラントに戻るミネルバのクルーは正にお通夜状態である。艦長であるタリアは地球を離脱出来るタイミングだったにせよ何故か唐突だった帰還命令に従ったが、シンがフリーダムを倒した功績で得たFAITHの権限を使い、その時の乗機であるインパルスすら置いて去ったのだ。今のミネルバはシンと言う頼みの綱を無くしてザフトの新世代の象徴と唄われた面影は無い。
「お、おい。レイ・・・・」
「何だ?」
「い、いや・・・・」
ミネルバの整備士達は唯一の戦闘パイロットとなってしまった存在に縋るようにしていたが何事も無かったように自室に去って行った。その挙動には全てを拒絶するような冷たさを感じたのだ。
「ふん、ハッキリ言ってもらわないとわからないのか・・・・【立場より女や友達にうつつを抜かした裏切り者】・・・・つまり!【あのアスラン隊長に不平不満丸出しにしながら同じような事をした奴】なんか知らねえとかよ!」
「主任・・・・」
あんまりな言い方に抗議しようにも整備主任であるマッド・エイプスはアスランの脱走の手助けをしたホーク姉妹は勿論、ミネルバクルーより異邦人達を優先するシンの理解者でもあったからだ。
しかし、マッドは然り気無くヒントを与えていたのだとは知る術は無い、自分なりの正義を掴んだ経緯以前に原因を。
そのシンは、ミネルバ以上に馴染んだ場に置いて受け取った新型に乗って慣らし運転を兼ねた偵察任務に就いていた。
「この辺りは、無事のようだね」
「はい」
ユニウス7が落ちなかったが、元々は前大戦で地球各地は荒れていた。荒野とすべき場でシンは自分に地上から通信を送る【レーベン・ゲネラール】に応えた。連合の非戦争派に属してZEUTHに協力してくれる容姿端麗の好青年は乗機であるカオス・レオーという獅子の皮を被ったような形状の機体が地上戦用であるので陸と空を分担している。
「シン・アスカ君・・・・私も個人的に聞きたかったのだが、後悔していないのかい?」
「はい、俺は元々生粋のプラント人では無いので」
「そんな言い方はいけないな、移民の君に便宜を図ってくれた国だろうに・・・・」
「すみません・・・・」
袂を分かったが、確かにそうだとシンは自省した。オーブの戦災孤児である自分を軍のアカデミーに入れてくれたのは事実なのだから、そう考えた時に反応があった。
「む、ザフトの・・・・」
『そこの機体、我等のものであるべき機体を強奪して乗り回すとは・・・・直ちに返して貰う!』
「此方は独立部隊ZEUTH所属の者だ!交戦の意・・・・は?」
尤も過ぎる内容なので義理を通そうとするシンだが、通信を送って来た機体の後方から砲撃の反応があったので大きめな動作で回避した。この機体は万が一には不安が多いとしたのだ。
「シン君、向こうは問答無用なようだぞ、やるしかない!まだ不馴れな機体のようだがいけるか?」
「やります」
そう、不馴れで何より思い出しなくない事ばかりが過る機体だが、幸いにして今は相手を殲滅すべき時ではない。
(カミーユ・・・・お前に【ゼータ】をいじらせてもらった経験が役立つとは思わなかった!)
シンが乗るのは初陣で整備は万全であり、システムは全て良好である機体、このまま空中を担当しながら戦闘に入る事にした!
(インパルスとは違うけど、やってみせるさ!予定通りに動いてくれ・・・・【イモータルジャスティス】!)
異なる時空軸から流れて来たデータを元にZEUTH内でザフトとエゥーゴ関係者の手により製造された【赤い可変機体】が高起動形態のまま全速力で空を駆けた。
対応仕切れないザクの頭部カメラをビームで撃ち抜き、僚機の爆散に動揺した機体は変形しながらの変則起動で肉薄しつつサーベルでカメラを突き刺して、念入りに脚部のビームブレイドでライフルを斬る。グゥルに乗らなければならないにしても基本的に性能が違いすぎるのだ。
『凄いな、流石はザフトのスーパーエースと呼ばれた男だ。私には加減をしてやれる余裕が無い』
地上では、ガナー・ウィザードを装備したザク四機が無残な姿になっていた。自分の攻撃した機体もそうだが、先日迄は味方だったハズな機体。色が通常のものだが、同期である【ルナマリア】が好んで選択する機体なので嫌な光景であった。つい先日迄は味方だったハズな機体のこれが自分の選んだ道なのだ・・・・いずれ、レイにルナマリアの乗る機体も自分がこうするかもしれないとしても。
『機体は爆発していないが、パイロットは無事かもしれない』
「じゃあ、俺が調査をしてみます。周りを警戒してて下さい」
着陸して、コックピットハッチを開けた時である。
『もらったあああっ!』
背後からカオス・レオーが腕部のクローを振りかざしてジャスティスに襲い掛かる。レーベンは勝利を確信したが?
『うなっ!?』
「甘い、漸く尻尾を出したな!」
ジャスティスのハッチを開いたが、それだけだ。そのまま後方からの不意討ちを横に回避しながらカオス・レオ-の腕を斬り落とした。そのまま背部ユニットのビーム砲を撃ちながら徐々に距離を取り、致命傷を避けた相手と再度向き合う。
「き、貴様!何故・・・・」
「頭の悪い俺が言えた事じゃないけど、セツコさんはお人好しだから騙せてもカミーユにフォウにルーがお見通しだったんだよ!」
言った通りの内容だ。シンは知る術は無いが元の世界の歴史上で最高のNTとまで言われる能力を持つカミーユ・ビダン、元々素質があったから強化人間とされたフォウ・ムラサメにNTを信じる場で密かに適性を見出だされてたかもしれないとされるルー、その三名と自分なりに親好を深めた成果だ。この場を収めるべく両手にブーメランともなるサーベルを構えたシンだが?
「ぬ、ぐくふふ・・・・女! 女! 女ぁ! かあああああっ!?」
「え、え・・・・」
「『エーデル准将』以外の女等、死んでしまえば良いと思いとしていた私が、女に正体を見抜かれて・・・・吹き込まれて失敗だとおおっ!?」
シンは唖然としていた。婚約者がいるのにルナマリアにメイリンに言い寄られて流されているアスランよりは誠実としていた男が何故か理解出来ない豹変をしていた。
「丁度良い!貴様のような女にちやほやされる犬に相応しい末路をお見舞いしてやる!あのセツコの前に八つ裂きにした貴様の死体を持って行って泣きっ面にさせてやるぜええっ!」
シンから見て、レーベンの機体が既に負ける気もしない状態であったから冷静になれたが、セツコを泣かせようとする罵声にはやはり怒りが滲む、自分がここにいる理由の一角に気を取らまいとしつつジャスティスの両手のサーベルを構え直して向き合った。
(けど、やっぱ嫌な事を連想するな。敵から見た俺ってこんなんと変わらないんだろうな)
機体が何度も交錯する。冷静に手足を切り落として無力化したカオス・レオーを見下ろしながらシンは改めて、最初にインパルスに乗って以来な日々を思い起こしてしまった。
シンの乗機はスパロボZのサイコフレームみたいな経緯で流れて来た情報を元に製造されたイモータルジャスティスだけど、戦意高くてまだデスティニー乗ってなくてカミーユのお陰で可変機への興味は高いシンが乗ってくれてます。
映画版シンのイモータルジャスティスと戦ったら、今の段階で多分勝ちます。