機動戦士ガンダム AWAY TO THE DESTINY 作:くまたいよう
【ペガサスIII】
アーガマと同じくペガサス級に属する戦艦であるが、その実態は【ある事情】で艦長であるブライトすら知識でしか知らなかった艦だが?
【クルー達はカラバやエゥーゴの関係者である事は事実であった】
その一室において、殆ど【軟禁】されているのが元々ティターンズ寄りの部隊に所属していた【セツコ・オハラ】だった。腰辺りに伸びる亜麻色寄りの茶髪をした気弱な学生に見える女性はこう思っていた。
【居場所が無い】
元々いた世界で長い間思っていた事だ。
セツコは【バルゴラ】と名付けられた特殊兵装を運用するMSを扱うチームに配属となったが、上官二人は戦死。情勢が逆転し始めた時期にティターンズかそれ寄りの連邦の部隊が慌てて編成した部隊へ数合わせ配属されたが、相手が悪過ぎた。
【カミーユ・ビダン】
エゥーゴの若きエースとなった彼はフォウ・ムラサメを救った件で戦意が最高潮に達していた。敢えなく撃破され掛けたが、それがセツコにとっての分岐点になったとは思わずにいたのだ。
損傷したバルゴラが爆散せず謎の光が広がったと認識したらコズミック・イラと呼ばれる異世界にSFのように飛ばされていたと理解して以来、救助してくれた少年であるシン・アスカや自分同様に転移して来たカミーユを始めとしたメンバーに比べて実力が劣り、バルゴラに搭載された未知のシステムの副作用とされる現象で五感を損ない始めた自分を戦わせまいとしてシンに無理矢理に軟禁された。頭を冷やして下さいと涙を浮かべて訴えるシンには返せる言葉が無かった・・・・せめて、度々シンが会いに来てくれればと思ったが、シンはカミーユと共に出撃か待機な日々でもある。10日目になると、徐々にねじ曲げる思考となっていた。
【妬み】
厄介者としての自分とカミーユ達との落差に負の感情を抱いた時、セツコの身体とMS格納庫に安置されているバルゴラが呼応するように一瞬光った。
そして、振り切らざるを得なかった部分の皺寄せが来た。
「何だ。所属不明機?」
「またジャンク屋ギルドの回し者か?」
接近して来た部隊に先陣を切るのはカミーユとシンだ。付き合いが長くなり始めたので現存では最強を争うコンビである二名が空中の敵を担当しながら後衛と地上部隊に別れて迎撃が開始された。
「また追撃隊、何故こうも戦いたがるんだ」
「カトル様、本当に向こうは我等の機体を手に入れたいだけなんでしょうか?」
「今更でしょ!要は向こうは私達の機体や戦艦見せないから頭に来てるのよ」
スーパーガンダムのロングライフルで前衛を援護するルーがカトルとラシード達に呆れ混じりに叫ぶ理由はわからないでもない。
【ジャンク屋組合のマークをつけた艦船等はいかなる国家も入国を拒否出来ず、それに対して攻撃する事は許されない】
異世界の人間達には噴飯物だ。つまり、自分達の機体を見せなければならない、そうなればどうなる?
未知の機体を解析して得たデータを他に流せば、アッと言う間に戦乱の種が広がってしまうではないか。
「ジャンク屋で噂になってる箒頭の名物男は機械の心とやらを語ってたらしいけど、私達の機械の技術が他の世界に広まったり、逆に取り入れたりで戦争を活発化させたがってるなんて部分あるとか言うの?そんな心なんか無い方が良い!ブライト艦長に賛成したでしょ。ロマンチスト気取りは後でやりなさい!」
カトルもルーの苛烈な言い方がわからないでもない。異世界からの来訪者達にはジャンク屋ギルドの次に問題になるのは【ロゴス】だ。
ロームフェラ、OZ、アナハイム。
お互いの世界の暗部は語り合った間柄だがロゴスを悪と見なしたギルバード・デュランダルの話には首を傾げざるを得なかった。自分達が頼ったりしてやられたりした者達は決して戦商のみやってるわけではない。兵器開発をする企業から組織は【表向き】の顔もある。現にそれの従業員の確保すら一苦労であるのに・・・・そもそも、コズミック・イラの成り立ちはジオン・ダイクンのコントリズムよりも必然性が希薄なのだ。
性急にロゴスを黒幕とするデュランダルのやり方は一理あるようで後をどう考えているのかが不安に感じられるものなのがザフトとの同盟を解消した一因である。
ルーやフォウにとっては、自分達のエースであるがどこか危うげなカミーユの友人であるシンが残ってくれたのは嬉しい誤算であったが、今は目の前の驚異に対処するのが先、交戦に入って三分ほどしてから違和感が増していた。何やら積極性に欠ける。
「けど、今回は何か妙ね。足留めしているようでもある」
マークⅡとドッキングしたディフェンサーのコックピットで周囲を探るフォウが言うように足留めと言うより、後方を気にしているようでもあるとした時。
「シン、奴等は後方の何かを回収したがっているようだ。先行してみる!」
状況を理解したカミーユがウェイブ・シューターで先行した。重力下では最大速度がムラサメを始めとしたコズミック・イラ世界の空戦機体を遥かに上回る速度を出せるので対応出来ないジャンク屋部隊の戦線を切り崩せた。敵側は追撃を掛けたくてもシンのジャスティスを始めとした隊に背後を狙われては一溜りも無い、一気に決着を迎えた。
そして、カミーユの到着した場には異様な光景があった。多少入り組んだ岩山の麓には大きな青い光の繭のようになっている物体があるが、カミーユがゼータをMS形態にし、引き寄せられるように着地した時、光が消えて現れたのは?
「ガン、ダ・・・・ム」
ガンダムタイプは珍しくなくなってしまったが、カミーユは倒れている機体には見覚えがあったのでブライトに報告をしてペガサスIIIに運び込んだ。向き合わないといけないとして。
「また【お客さん】かしらね」
ルーは異様な緊張感が漂い始めたので何とか空気を変えようとマイペースに振る舞うが、特にカミーユとフォウが意に介さないので無意味になる。そして、ガンダムタイプのコックピットが開くと、中では額から僅かに出血している女性が意識を失っていたので外に出された。二十代になるような外見のやや短めな髪だが、目にした全員が息を飲んだ。生来や染めているのとは違うと感じる形で【白くなっていた】・・・・ストレッチャーに乗せた時に意識を取り戻したようで、うめき声を漏らす。
「う、うぅぅ・・・・」
「お、おい・・・・【カミーユ】」
「カミ、カミー・・・・、カミーユ?」
知っている人のように近付いてたカミーユに呼び掛けるシンだが、女性は名前を聞いて必死に身体を動かした。周りは知り合いかと思ったが少なくとも女性がカミーユに対して見せた表情が生温いものではないので息を飲んだ。
「そ、そう・・・・貴方がカミーユ・・・・カミーユ・ビダンね。生身で顔を合わせるのは初めてだけど、わかる?私が誰だか・・・・わかる?」
異様な空気と光景にシン達が介入しようしたが、フォウが両手を広げて静止した。以前の自分のようで、遥かに刹那的だからだ。そして、カミーユは知らないハズの名前を口にした。
「・・・・【ペッシェ・モンターニュ】」
「そうよ・・・・【ロザミィのお兄ちゃん】になってくれてありがとうね・・・・あの子のお兄ちゃんなら、さしずめ私、は・・・・私は、ね・・・・【貴方のお姉ちゃん】よ」
詳細は続きでにしても、例のゲームでロザミィのお姉ちゃんだからカミーユのお姉ちゃん?なのが私作なペガサスIIIに新入りとして来ました。