機動戦士ガンダム AWAY TO THE DESTINY 作:くまたいよう
【無意味】
アンドリュー・バルトフェルドにとってのヤキン戦後の2年はその一言だった。
運良く生き延びたが恋人が死んでからの決意を満たしたかと言えば違うとした。だからこそ密かに動いていた者達に理解を示したのだ。クライン派とされる者達はキラとラクスをオーブで隠居させてあげる為に祖国を飛び出して知人や隣人を含めた者達と戦ったワケではない、戦後になれば自分達が誰を死なせたかある程度はわかってしまうのだから。
それでもやるべき事をとしたが、キッカケが他の世界の住人から地球と宇宙の行き来が困難になる事態だったのが皮肉としていた。仮にユニウスが落ちていても即座に行動できていたかと懐疑的だった。現に混乱から半年の時期にフリーダムが漸く修復されたが、事故に巻き込まれたマリューを救出しに漸く動いたキラを見れば明らかだ。
ミネルバがオーブに寄港した時、密かに通信を送って脱出させた時もその後が問題だ。アレでは国内に攻め込ませるのではなく外でミネルバを沈めさせる為のようだった。あの時にキラをオーブから出撃したとバレないよう遠回りさせながら無理矢理にでもミネルバの救援に向かわせれば良かったのかもしれない。
その後は予想外の事態となった。正に阿鼻叫喚の地獄であったのだ。豹変したインパルスが増援を撫で斬りにしてミネルバは脱出した。
あの時が分かれ目だったのかもしれない、ミネルバに偽の帰還命令を伝えるような事をやらないで済む事への。
(問題は、来訪者達は多忙で人員が足りてない事だが・・・・もしも、彼等に戦闘ではなく情報戦やらで危機を判断する為に特化してるようなのから大人びたのが、今はいないにしても新規に来たら厄介と言うより僕らのアドバンテージが無くなりかねない事か)
その危惧は実証される芽が既にあるとは知らずにいたのだ。
ーーーーーー。
ミーア・キャンベルは地球にいた。
ラクスが動き出したので隠れているようにとの通達が来たからだが、ミーアは暗い感情のみが積み重なる日々であった。
「私はラクス・・・・」
影武者や代役をしてでもプラントの為になりたいとした気持ちは本物であるが、ミーアには必然であるものが芽生えてしまった。
【欲】
売れないアイドル時代には有り得なかった甘い汁に酔ってしまったのだ。カミーユが指摘した時はヒステリックにはね除けたが、それを聞いておけば良かったし、デュランダルを始めとしたプラント側の知っている者達が指摘しない理由を考えられないのが致命的であった。鬱屈を紛らわせるように歌うが?
「嫌な歌だね」
突如掛けられた声にビクっとしながら背後を向くと、コート姿で金髪をオールバックにして額まで隠れる奇抜なサングラスを掛けたホスト風の美男・・・・気になるのはデュランダル議長と同じ声だった事。
「ぎ、議長・・・・?」
「違うな、声が似ているだけだよ。それよりお嬢さん。この辺りは、もう少ししたらブルーコスモスの襲撃が来る」
「な、何故っ!?」
「【君がラクスだから】・・・・そうだろう?」
【自分はラクス】
だが、護衛がとした時に自分の立場を漸く考えるようになれたミーアは理解していた。ラクスをやっていた者は寧ろ消えてもらう方が良いのだ。
「どうする。生きていても・・・・良くて籠の中の鳥として鑑賞される道具でいたいかね?」
「あっ、貴方は?」
「私は【クワトロ・バジーナ】・・・・【チャンスは最大限に生かす】べきだ・・・・行くかい?」
名前は知っている。カミーユ・ビダンが複雑に語った名だ。もしもチャンスだとしたらと差し出された手を取る。
連れられた先にあったのは思わぬものであった。
「私が操縦するのでシート横に掴まっていると良い」
案内された先の地下に隠してあったのはトリコロールの大型戦闘機にしては違う、ミーアにはどこか既視感があった。
「ゼータガンダムとは違いますね、何やら重厚感があります」
「それは向かった先で・・・・しっかり掴まっているように」
エレベーターが上がり、発進したがミーアからしたら以前乗せてもらったザク等は比較にならない速度だ。しかし、負荷が少ないしザフトのMSとは全然違うコックピットだとした時。
『て、停止せよ!その機体を・・・・うわああっ』
前方に向けてクワトロが撃ったビームは余波だけでウィンダムの片腕や背部ユニットを吹き飛ばす威力であり、ミーアはその威力に目を丸くした。自分から見てもザフトや連合をのものを上回るゼータガンダムより段違いなパワーなのだ。暫く飛んでいた時に新手が来た。
「まっ、また新手が・・・・クワトロさん、さっきのを!」
「いや、どうやら先程のようにはいかないな。パワーの違いを考慮して決して正面には位置しないようにしている。この機体は小回りには欠けるから簡単にはいかない」
実際はミーアに負荷を掛けるのを避けているからだ。そもそも最大速度にすらしてない、あたふたしているミーアに構わず。そろそろとした時に追撃部隊が二機、ビームで撃ち抜かれていた。前方から来た赤い機体にミーアは既視感がある。
「セ、セイバー・・・・いえ、違うようだけどアスラン?」
『救援シグナルを確認した。ブライト艦長の知り合いですね?』
「あっ、貴方は確か【シン】!何で貴方がその機体に・・・・」
『へっ?まさか、影武者さんかよ!』
クワトロは何となく察したが、後にするように言ってシンに任せてペガサスIIIに着艦した。何となくシンの戦いを見てしまうのは悪い癖と自重しながら、雲を使って堅実で正確な戦い方を取り入れている操縦には危惧されているものが薄れているようだとしながら追撃部隊の全滅を確認した時、デッキには関係者達が集まって来た。特にエゥーゴ関係者にはこの上なく嬉しい男が来てくれたのだ。
「大さ・・・・じゃなかったクワトロ大尉、貴方も来ていて影武者さんを連れ出して来たんです・・・・か?」
「お、おいどうしたんだよスミレさんもカミーユも」
「違いますね・・・・」
「上げ底とやらを使っているけど、流石に誤魔化しきれ、ああ、その前に・・・・よし、ごめんね。ワケありで造られた【変声装置】を使っていたの」
何をしたのか、大人びた【女性の声】となった。それに、コートで隠していたがクワトロにしては髪が長いとも気付いた時、重々しく降りてきたブライトが事態を察した。
「すみません、わざわざ・・・・」
「き、君も来ていたとはな」
「ええ、初対面の御方が多いので紹介をしますね。私の名は【セイラ・マス】・・・・シャア・アズナブルと呼ばれた男の【妹】です」
サングラスを外した顔は影がある金髪の美女であった。
この日、事態の収束に向ける為の鍵を握る人員が揃ってしまった。
多分、一番~~なのが来てキャスティング完了?