獣人転生者は、「無限増殖」スキル使い 作:アルビノシロクマ
その日は平凡な一日だった。いつも通りの仕事を終え、帰路につく。
ふと心臓に痛みを覚え、そして、目の前が真っ暗になった。
体の力が抜けていく。
こんなことなら、今日は豪華な食事をしたかった…
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しかし、私の意識は消滅せず、こうして異世界で生を謳歌している。これもひとえに、私の逆張りのおかげだ。神は、変な奴を転生させたかったと言っていたから。
「ステータスオープン」
転生するときに、強力なスキルをひとつ手に入れることができた。私は、誰も選ばないような、それでいて強力なスキルを探し、その結果、これを見つけたのだ。
ミモリ Lv.1 / 兎人族 / 放浪者
スキル:
【クローン生成】Lv.1
なぜか兎人族らしい。耳がある。前世ではただの人間だったのだが。
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どうやら言語は通じるようだ。
所有していた一週間分の路銀。その一部で中間グレードの宿屋に宿泊し、ベッドに仰臥して早速スキルを使用する。
「【クローン生成】」
すると、頭から上半身にかけて皮膚が張り出してきた。張り出した皮膚は成長を続け、人型を形作っていく。やがて、クローンは私の上で完全に分化した。
激しい虚脱感に襲われる。魔力を大量に使ったのかもしれない。
少し経ち、隣に下ろしたクローンを見ると、こちらを見返していた。兎の耳の生えた少女。人間ならば五歳程度の見た目をしている。どうやら私の属する兎人族というのは『早成型』のようだ。発達した状態で生まれてくる。子守りの過酷さを考えると都合が良い。この子も(前世でいう)昔の私に似て大人しそうだ。
ところで、宿泊料はひとり分で大丈夫だろうか?
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この世界では職を選択する・選択後にレベルを上げるとスキルが獲得できるらしい。定番のスキルも、稀にしか得られないスキルもあるそうだ。この情報は盗み聞きで得たものである。別に秘匿されている情報ではないだろう。私は『放浪者』を『槍兵』に変更した。数を生かすならば、これだろう。兎人族の素早さも役に立つはず。魔術師も候補ではあったが、私の魔力量は平均程度だろうし。
槍兵として初心者向けの訓練を受け、初心者向けの魔物を狩る。この世界では性差より種族差の方が重視されるので、私のような戦闘職の女も少なくない。
仲のいい相手もできたが、私はひとりで長時間戦闘を繰り返している。生活費を稼ぐためには働かなければいけないのだ。
まさか自分のクローンを売るわけにもいかないし。
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一ヶ月が経過した。
『槍兵』はレベルが5になり、スキルは【獣化】を引き当てた。ケモノ度合いが増すスキルだ。時間制限があるが有用。これのお陰で命を拾った。成長が遅いのは、まあ仕方がない、これから。
ところで、私が死んでもクローンは生き続けるのだろうが、彼女に【クローン生成】のスキルはない。軍隊形成は諦めなければならないだろう。
人目を気にせず経験値を稼げる場所が欲しかったので、田舎に引っ越すことにした。それに、ボロ家でも家を持てば人目を気にせず殖えられるし。冬までに補修が必要だろうと言われたが。
見送りの際、私に気があったらしい男は私のクローンを見て驚いていた。結婚していたのかと聞かれたが、もう別れたと嘘をつくと落ち着きを取り戻していた。
ちなみにクローンはまだ一人だけだ。体感、数日おきに殖やせるはずだが、食費もバカにならないので延期。
友人は遊びに行くと言ってくれた。こんな私の友人なので、変人である。私のクローンが大量にいるのを見ても、正気でいられるかもしれない。彼女には期待している。
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道中賊に襲われ囚われかけたが、クローンが助けてくれた。私は彼女の考えていることが大体わかるが、彼女も私が考えていることがわかるようだ。私たちは良い軍隊になれるだろう。
建物は廃屋一歩手前だったが、問題はない。人手はこれから幾らでも増えることだし。この建物は村の離れに建っている。村の治安は良いが、所詮は村だ。早く自己防衛のための戦力を整えなければならない。
しかし、自己複製中から直後は無防備だが、自己複製しなければ強くなれない。