獣人転生者は、「無限増殖」スキル使い 作:アルビノシロクマ
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自己複製を繰り返す度、直後に来る虚脱感がマシになっている気がする。あと、複製する度体重が減っていることに今更気づく。等価交換は程々に守られているらしい。ここら辺の、魔力と物質の仕組みは一度勉強するべきなのかもしれない。
最近は、クローンたちとずっと一緒にいるせいで、愛情が湧いてきた。クローンというより、子供という感じだ。親は完全に私ひとりだけれど。ああ、なんだか、これは所有者が現人神として祭り上げられそうなスキルに思えてきた。
まあ、このスキルは間違いなく異端だけれど。複製シーンを見られたら魔物だと思われてしまうレベルのスキルである。情報収集しても、こんなスキルは耳に入ってこない。
さて、村周辺の魔物も把握したところで、今日は一人目の子供(サブちゃん)の初陣である。名前が適当とか言わない。最終的には数百人以上になるんだから、仕方がない。人間はせいぜい二百人までしか覚えられないのだ。もう子供は五人いるし。サブちゃんだけ、背が10cmくらい高い。そして、聞くところによると、兎人族は成長が早いらしい。これは【クローン生成】と噛み合っている。幾らでも殖えれるからって、そうやすやすと死なせるつもりはない。万全の体制でパワーレベリングを行う。
私と同じ『槍兵』を選択したサブちゃんが初心者向けの魔物を突き刺すと、体がレベルアップと同じような感覚を覚えた。どういうことだろう、私はつい昨日レベルアップしたばかりだ。
「ステータスオープン」
ミモリ Lv.7 / 兎人族 / 槍兵
スキル:
【クローン生成】Lv.2
ー【経験値共有】
ー【適性選択】
【獣化】Lv.1
スキルのレベルが上がったらしい。子供が経験値を得るのがレベルアップの条件だったのだろうか?なんか色々増えている。
【経験値共有】は、子供の得た経験値の一部が複製されて私にも与えられるスキルらしい。ようやく強くなれる糸口をつかんだ気がする。しかし、【適性選択】とは何だろう…?
なんと、産まれてくる子供の適性を、ある程度方向付けられるらしい。じゃあ、魔法寄りの子が産めるってこと?素晴らしい。きっと、最強の子供が、産めるようになる。倫理的に大丈夫かは置いておいて。デザイナーベビーは前世では批判が多かった。
まあ、この世界は無法地帯だし。止む無しということで。
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あれ、誰かが家に近づいてくる気配がする。こんな辺鄙な場所に立ち寄る村人は(まだ)いない。
「クエストついでに寄ったんだけど、留守ー?」
この声、友人が来てしまったようだ。さて、この子に秘密を明かすべきだろうか?
いや、まだ秘密は明かさない。彼女は口は固いだろうが、これに耐えられるかわからない。彼女と疎遠になったら、私は孤立する。それに、今は誤魔化せる人数である。兎人族は三つ子以上が当然らしいし。何となく「こいつおかしいぞ」くらいに思わせておくのが丁度良いだろう。しかし、口止めはちゃんとしないと。
「あれ、なんか多くない?」
「…」
「まだ聞かないでおくねー」
友人、モイラは、コミュニケーション能力が高い。勝手に話を続けてくれるので楽だ。人族。魔法剣士を目指しているらしく、将来有望だと思って声をかけたら、向こうも私を気に入ってくれたらしく、関係が続いている。話す速度が速く、有能そうな話しぶり。
ここの家について、生活について、当たり障りのない話をした。モイラが子供の一人に話しかける。この子は私と似ていない、活発な子だ。
「かわいいねー、お名前いえる?」
「…わかんない」
「そっかー、ごめんね」
「…あそんで」
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結局、遊び終わって寝てしまった。私は他の子と穂先の整備をしていた。ひとり遊びをしている子もいる。
「すごい可愛いんだけどー?この子、もらってもいいかな?」
モイラは寝てしまった子の頭を撫でている。ダメです。
でも、異なる環境だと手に入るスキルも違うらしいし、いずれは検討すべきかもしれない。
「みんな可愛かったから、また来るねー!」
また来るらしいので、次は真実を伝えるべきなのかもしれない。
「ミモリも昔はこんなに可愛かったのかな?あ、もちろん今も可愛いけど」
ちょっと照れる。私は彼女に心を許してしまっているのだなぁ。
「帰り道、気をつけて」
「ありがと!じゃあねー!」
モイラは愛馬に跨って帰っていった。彼女も金稼ぎが忙しいし、そんなに頻繁には来ないと思うけれど…。
今日は子供たちがいつもより元気だったので、少し疲れた。【適性選択】を使うのは明日の朝にしておこう。