偏見だけど過去おじは目付きの悪さと素行のせいで子供から怖がられててほしい
人間は死の直前に走馬灯を見ると言うが、それは今まで生きてきた経験の中から死に瀕している今の状況を打開する術を探しているのだという。しかし、俺の頭はそれすら出来ない程に悪かったらしい。
簡潔に言おう。俺はつい先程死んだ。テスト中寝落ちし、起きたら終了五分前。案の定補修になり、帰りに友達と飯を食べに行こうとしたら俺だけ車に轢かれた。
いやなんで?
おかしいだろ。横並びで歩いてたのになんで俺だけ轢かれるんだよふざけんな。まだクロコ引けてねえんだよ復刻待ちだったんだぞどうしてくれる。
そう、何を隠そう俺はブルーアーカイブのプレイヤーだ。ストーリーはあまり見れていないがキャラ目当てで始めてハマっている。PVで見たクロコに一目惚れし、お迎えするために石を貯めたは良いものの、水着カンナに石を溶かしついぞクロコお迎えに失敗した哀れな自制心皆無初心者先生なのだ。
そうして自虐もとい唐突な人生終了への悪態をついていると、急激に眠気が襲ってきた。ああ、俺は死んでも尚眠りこける運命なのか。
僅かにまぶたの裏に届く光で目を覚ますと、そこは僅かな隙間からこぼれる太陽の光が反射し淡く光る水晶が氷柱のように垂れ下がっている洞窟の中だった。
まて、俺は死んだのではなかったのか?そもそもここはどこだ?改めて確認してみると俺は小学生くらいの背丈まで縮んでいた。なので当然高校の制服はダボダボだし、おまけに荷物もない。つまり、文無し現在地不明状況不明という極めて終わっている状況なのだ。
もうどうしようもないからもうゴールしてもいいよね?いや一回ゴールしたんだよ俺は。現実逃避してないで打開策を見つけなければ。
あれ?よく考えたら俺って異世界(?)転生したんだよな?なら転生特典とかご都合チートとかあるんじゃないか?その浅はかで魅力的な考えの元、思考停止した俺はステータスやらファイヤーボールやら色々口に出してみたが、勿論何も起きず、俺は半ば生きることを諦め角で地面を掘り進めていた。
ん? 角で?角で地面を掘り進めていた!?
とりあえず落ち着こう。持ち前鋼メンタル(笑)で落ち着きを取り戻した俺は、いま起こっていた事象について整理することにした。まず俺にチートが備わってない事を確認してから気分転換にディアブロスになって地面を……ん?んん??
なる?ディアブロスに???はにゃ?????なんで俺は当然のようにそれを受け入れた?そしてなぜ出来た?
………………あ、思い出した
先程の一件で思い出した。というより、
その一 俺はモンスターハンターのモンスターの名前を口にすることで、そのモンスターに変身できるという能力があるらしい。ただし、それは俺がある程度そのモンスターの姿、能力、強さを理解していなければならないらしい。
その二 上記と同じく、対象となるモンスターの名を口にすることで、そのモンスターの装備を装着する事ができる。これもある程度姿と特性を理解している物に限り使う事が出来る。
ここで一つ問題がある。俺はモンスターハンターをやっているし大好きでやりこんでもいた。しかし、俺がやっていたのはダブルクロスまでの世代で、サンブレイクやワールドはほぼやっていなかった。友達の家で少しだけやらせてもらっただけで、有名なモンスターしか知らないのだ。つまり、俺が知らない強いモンスターと遭遇した場合、呆気なく死ぬ可能性があるのだ。
「まあ…なんとかなるか。」
そう。この男、
しかし、この男の楽観はあながち間違いではなかった。なぜなら、この世界に
アマタは考えていた。この力を使えば地上に出られるのではないかと。しかし何が起こるかわからない以上、どうするか決めあぐねていた。しかしここでアマタはあることに気づいた。それは、モンスターの中にも強さの序列があり、あの世界のなかにも独自の生態系があるということを。そこでアマタはある一つの作戦を思いついた。
「古龍になれば良いんじゃね?」
それは、生態系の上位に位置するモンスターになれば、大体のモンスターは脅威にならないというものであった。それは弱肉強食の世界において、限りなく正解に近いものであっただろう。
「なら図体でかくて威圧感もあった方が良いよな…よし!あいつにしよう!」
そしてアマタはその名を口にする。
千の剣を携え、大地の全てを覆す。遥か昔のお伽噺に語られる伝説の古龍。これまで発見されたどのモンスターよりも巨大で、原始より悠久の時を生き続け、お伽噺において「千古不易を謳う王」もしくは「蛇王龍」とも称されるその龍は、その巨大さ故に、生物ではなく天変地異そのもの見なされていた超巨大古龍。まさしくその王の名前を。そのスケールの大きさを考えもせずに。
「ダラ·アマデュラ」
直後、視界がすごい勢いで上に上がっていく。
「おおっ!これなら天井にも届くぞ!!」
そう思ったのもつかの間、アマタの頭にはある疑問が浮かんだ。これ、いつ終わるんだ?
もっとよく考えていれば、詳しく言えば、この洞窟はとても大きいが、ダラ·アマデュラは超巨大古龍であり、この洞窟よりも遥かにデカイことを考慮していれば、アマタはもっと慎重になったかもしれない。
「ぶつかる!!」
そうして洞窟をぶち抜き、アマタは転生して始めて太陽を見た。しかしその感動は、アマタの頭上近くにいたがために吹き飛ばされた哀れな機械によって吹き飛ぶことになる。
「ん?」
アマタは心配していたが、古龍である以上、洞窟をぶち抜いた程度では傷一つつかないし、衝突した障害物など気づきもしないのである。
「ここは………砂漠か?」
辺りを見回すが目下脅威になりそうな生物はいない。しかし何もいないわけではなかった。
「あれは…白い蛇?さっそく知らないモンスターじゃねえか!」
「ん?待てよ?あの姿形……どこかで…………」
「…………………………ビナー?」
「いやいやいやそんな訳ないだろ!だってここは………」
そこまで言いかけて気づく。ここがモンスターハンターの世界である確証はどこにもないと。そして気づく。もし奴がビナーなのであれば。もしここがあの世界ならば。空にあれがあるはずだと。その瞬間、龍は跳ねたように空を見上げる。そこにはあった。大きな光の輪が…否、ヘイローが。
そして龍は叫んだ。だかその叫びは遥か遠くまで木霊する咆哮となって発声された。
「GUGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!(ここブルーアーカイブの世界じゃねぇかぁぁぁぁ!!!!!!)」
数分前 アビドス砂漠
「きゃあ!!」
そこでは、一人の少女が巨大な機械と戦っていた。
機械が放ったビームによって片手を失い、力尽きて倒れる少女がそこにいた。
「もう無理かも……ごめんね……ホシノちゃん……」
少女が諦めかけていたその時だった。突如、僅かな振動を感じたかと思いきや、その振動は一瞬にして天地がひっくり返るのではないかという程大きな地響きとなった。だか力尽きた少女はどうすることもできず、少女にトドメをさそうとした機械も困惑したように辺りを見渡している。
その時だった。突如機械がいる部分の地面がひび割れたかと思うと、機械を吹き飛ばし、
「なに………あれ………」
少女は安堵した。機械の脅威から逃れたことに。次に少女は考えた。何が起きたのか、砂煙の中、地面から何が現れたのか。砂煙が晴れるとき。次に少女は恐怖した。怪物の姿に、その圧倒的な存在に。まるで天に届くかのような体躯は少女を再度絶望させるには十分だった。
「ひっ………」
怪物は辺りを見渡し、その少女に一瞥もせず、あの機械を見た瞬間動きを止め、そのあとすぐに弾かれたように目を見開き空を見上げた。そのあとの事象は少女にとって一生忘れられない思い出、あるいはトラウマとなるだろう。
「GUGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA 」
怪物が、吼えた。そう頭では理解した。しかし体に伝わる重圧が、己を吹き飛ばさんとする暴風が、それを否定していた。
「きゃあああ!!!」
なんとかその咆哮に耐えた少女だったが、なけなしの体力も使いきり、もう一歩も動けない。あとはあの怪物が私に気づかなければ……そう思っていた時だった。不意にその怪物を観察しようと怪物を見上げて、固まった。
「え…?」
見ている。怪物がこちらを見ている。気のせいだ。そう無理やり結論づけようとする。しかし現に今怪物と目が合っている。その事実に気づいた瞬間。少女は限界を迎え、遂に意識を手放した。
「やっべ……叫んじゃったよ……」
自分が龍の姿であることを忘れて咆哮した自分を恥じる。
「ここがブルーアーカイブの世界ならここは…アビドス砂漠か?なら次は今がいつの時間かだが…ん?」
不意に視線を感じ、その視線の主を探すと、傷だらけの一人の少女が自分の足元にいることに気づいた。しかし、目線があった瞬間、その少女は倒れてしまった。
「(殺っちまった………いやまだ死んでない可能性も、でもあの怪我じゃ時間の問題だよな…病院まで運ぶか?だが現在地もわからんし……古龍なら人の気配くらい分かるんじゃね?)」
適当な思いつきを信じて感覚を研ぎ澄ませてみる。
「ん?あれか?え?ほんとに分かるの?古龍すごくね?」
「助けられると分かった以上、助けるしかないわな……よし、じゃあ……ドスガレオス。」
瞬く間に巨大な龍は姿を消し、倒れた少女の目の前に一匹のモンスターが現れた。
「これなら運べるな…間に合ってくれよ…」
モンスターは少女を背に乗せて人里があるであろう方向にものすごいスピードで砂のなかを泳いでいった。
龍は焦っていた。理由は二つあり、一つ目は背に乗せた少女が助かるのかという心配。もう一つはある懸念だった。その懸念とは…
「この子……梔子ユメじゃね?」
緑色の髪、持っていた大きな盾、そしておおきなおっぱい二つのメロン…どれをとっても梔子ユメの特徴と一致するのだ。であれば問題はもう一つあり、それは原作を変えてしまってもいいのかという心配。しかしそれは梔子ユメが美人であること、そして助けられるかもしれない命をそんな理由で見捨てていい訳がないという思考によって頭から消滅した。
「(あれ…街か?よく見たら周りもビルっぽいものの残骸がいっぱいあるし……って、んん?)」
よく見ると、こちらに向かってくる一つの物体が見えた。
「あれは…小鳥遊ホシノか!!やった!これで助かる!!」
「(…待て、なんだこの違和感は?なにか………あ、やっべ)」
そこで今の状況を思い出した。小鳥遊ホシノからみると今の状況は、瀕死の先輩がよく分からない生物に乗せられてこちらに向かっている。つまり……
「……俺殺されるのでは?」
ならばとる行動は一つ。梔子ユメを地面に置いて一旦離れる。
「ユメ先輩っ!!!!!!」
私はユメ先輩に駆け寄ると、すぐに救急箱を取り出し止血を始めた。先程までユメ先輩を乗せていた生物は幸運にももういなくなったようだし、辺りを警戒しながら応急措置を終える。怪我が酷すぎる。すぐに病院に行かなければ。
「………っ!」
振り返ると、そこには一人の子供がいた。キヴォトスでは珍しい男の子だ。しかし今はそんなことに構っている余裕はない。だがこの砂漠の中にこの子を置いていくのも忍びない。咄嗟にその子を脇に抱えておぶっている先輩に負担をかけないように走り出す。少年が何か言っていたようだが今の私にそれを聞く余裕はない。
幸い、ここから都心部までそう遠くないので私の足なら数分で病院についた。すぐにユメ先輩を治療してもらい、一命は取り留めたらしい。一段落したところで少年の事を思い出す。まずは名前を聞こう。彼ならなにか知っているかもしれない。
「ちょっといいかな?」
「…え?」
「名前、聞いてもいい?」
「あ…アラタ…です…(なんだ…?うまく声が出せない?)」
「アラタ君だね。私は小鳥遊ホシノっていうんだ。よろしくね。」
「よろ…しく…」
「それで早速なんだけど、君はあんな砂漠でなにをしてたの?あとユメ先輩…さっきの怪我した女の子についてなにか知ってる?あっ、少しずつでいいからね。」
しまった。一気に質問しすぎたかもしれない。答えてくれるだろうか。
「ユ…あの人…白い蛇…戦ってた…白い蛇…どうかいった…その隙に…背負って…逃げた…」
白い蛇?背負って逃げた?でも自分が見たのは砂の中を泳ぐ怪物がユメ先輩を乗せて…まさか。
「じゃあ…あの怪物は……君なの?」
しばらく俯いていた少年やがて震えながら泣きそうな声で懇願した。
「…お願い……殺さないで……っ」
この反応を見るに、あの怪物はこの少年で、少年は何らかの手段であの生物に変身し、ユメ先輩を町まで運んでいたということだろう。
「(はっ…しまった。怖がらせてしまった。)」
咄嗟に少年を抱きしめ頭を撫でる。
「ごめんね…怒ってる訳じゃないんだ…なにもしない…私は君の味方だよ。」
少年……もといアラタは困惑していた。事情を説明しようとしたら急に脇に抱えられてそのまま爆速で走り出したからである。そしていつの間にか病院らしき所の待合室にて小鳥遊ホシノと二人で梔子ユメの安否確認を待っていた。
「(これ…もし俺変身能力がバレたら殺されるんじゃないか?ドスガレオスの姿も見られてるし…もし変な方向に勘違いされたら……)」
普通ならば反撃すれば古龍にも変身できるアマタはホシノであろうと難なく無力化できるのだが、アマタはキヴォトスの生徒に危害を加えるという考えがないので必然的に戦闘になれば小鳥遊ホシノにはなす術がないのである。
「ちょっといいかな?」
終わった…絶対気づかれてる。ならばここは泣き落とししかあるまい。幸いまは子供の姿だし、なんとかなるんじゃないか?
結果としてこの作戦はうまくいった。どうやら小鳥遊ホシノの信頼も得られたみたいだし、あとはユメパイが目覚めたら改めて話そう……なんだ…眠い?……まさか……体に引っ張られて……
「あれ?寝ちゃった?」
どうやら少年は泣きつかれて眠ってしまったらしい。起こすのも申し訳ないし、このまま寝かせてユメ先輩が目覚めたら改めて話を聞こう。