陸戦道戦記外伝 士魂高等学校参戦ス   作:くろがね四駆

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 こちらは独裁者の転生戦車道Rの外伝作品です。
 オリジナルの学校「士魂高等学校」が主役の物語です、本編でも登場します。


ヒノデハヤマガタトス

 ――士魂高等学校、比較的に小さい学園艦に存在している学校は今、危機が迫ってきていた。

 静かに雨が降っている今日この頃、生徒達は雨にも負けず運動や学問に集中していた。

 

 此処は校長室、珍しく文科省の人間が士魂高等学校に訪れていた。

 校長である樋口藤一郎(ひぐち とういちろう)は突然の文科省の来訪に訝しんでいた。

 それもそのはず、文科省は実績の少ない学校を潰して回っているという噂が各学園艦の理事長や校長などに広まっているのだ。

 

「――いやぁ、本日は雨が降っているのに此処の生徒は元気ですねぇ。」

 

 ニコニコと笑って話す文科省の人間。

 樋口校長は余計に怪しむ、何かを企んでいるのは確信していたからだ。

 コーヒーを置いて、樋口校長は口を開いた。

 

「それで、我が校に何か御用でも?。」

「ええ、実は校長である貴方に御達しがありまして、こちらをどうぞ」

「拝見します…………なっ!?」

 

 渡された封筒、その中には「廃校」という単語と事細かに廃校の理由が記されていた。

 

「貴方の学校は実績が無いのですよ、文科省としては実績のない学園艦は廃校していく方針でして。」

 

 文科省の説明に対し徐々に怒りが込み上げてくる樋口校長。

 そんな顔を見てニヤリと笑みをこぼす文科省の人間。

 もはや文科省に真っ当な心など持ち合わせてはいなかった。

 

「――それが貴方達文科省のやり方か。」

「実績のない学校など費用の無駄遣いですよ。 なにせ私達も金がないですからねぇ・・・・・・。」

 

 文科省に金がないという事実は嘘に等しい、それは確実だ。

 しかし樋口校長は一つ気にかかる事があった。

 

「・・・・・・待て、つまり実績を増やせれば廃校は免れるのか?」

「ふむ、まあ実績が出来るのでしたら廃校の免除も可能ですが・・・・・・。」

 

 その返答だけで樋口校長には十分の証拠であった。

 ソファーからゆっくりと立ち上がり、樋口校長は文科省の人間に視線を移す。

 

「我が校は戦車道を始めます。」

「戦車道を、ですか?」

 

 樋口校長の言葉に文科省の人間は動揺する。

 いきなり戦車道始動宣言をした人物は、この男が初めてだと言わんばかりの顔をしていたという。

 

「夏の高校大会で我が校が優勝すれば、免除してくれますね?」

「し、しかし・・・・・・・資金はどうするのです。 流石にこの学校に戦車を購入するほどの資金があるとは思えませんが。」

 

 実際文科省の人間の言う通りだ。

 資金がなければ戦車道など始められはしない、そもそもいくら競技用とはいえ戦車は価格が高いのだ。

 

「ご心配なく。 資金の提供先を知っておりますし、我が校は生徒の全てが軍隊です。」

 

 そう言って樋口校長は校長室を出ようと扉に近づく。

 くるっと文科省の人間の方の振り向く。

 

「ついてきてください、貴方に我が校が優勝すると確信できる理由を教えてあげましょう。」

 

 生徒の全てが軍隊という、何を言っているのかと内心疑問に思いながらも後をついていく。

 しかし嘘を付いているようにも思えない、一体どこから戦車道の強豪校などに勝てる見込みが浮かぶのだろうか。

 そういった考えもこの後、一気に確信へと変わっていったのだ。

 

「……到着しました。」

「到着と言われても……、此処は放送室ではありませんか。」

 

 後を追い到着した場所、それは誰も居ない放送室であった。

 此処に優勝が確信できる理由があるとは、文科省の人間には理解が出来ずにいた。

 

「説明する前に一つ質問をよろしいですか?」

「え? まあ構いませんが。」

「文科省では第二次大戦の転生者、つまり各学園艦に前世の記憶を持った生徒が多数存在している、という情報は掴んでいると風の噂で聞いたのですが……、事実ですか?」

 

 ――ピタリと、文科省の人間が一瞬硬直した。

 なぜその情報を知っているのか、どうしてごく一般的な学校の校長が聞いてきたのか、頭がいっぱいになっていた。

 

「どっどうして……、その事を?」

「ああ、そういえば言ってませんでしたね。 ()()()()()()()()()()。」

「えっ……!?」

 

 衝撃的な事実を文科省の人間は知った。

 そして前世の名前を聞いた途端、この一般人(文科省)のこれまでの侮りや疑問は崩れ去った。

 

「私の前世での名前は()()()()()。 所属は大日本帝国陸軍中将でありました。」

「まさか……!? 校長の貴方が、歴史書に記されている樋口季一郎中将なんですか!?」

「私だけではありません、それを今から証明いたしましょう。」

 

 樋口校長は放送室のマイクをオンにして、口を開き勇ましき声を出す。

 

【私は樋口校長である。 これより全校生徒、各教員にこの放送で連絡する。 我が校はつい先ほど、実績のない理由で廃校を言い渡された。 だがこのまま一方的に廃校にはさせない、前々から告知していた戦車道を遂に始動することを決定した! 我等には他の学校の生徒には無い戦争での実戦経験がある、我が士魂高等学校並びに学園艦に住む人々は全てが皇国の為に戦っていた元将兵や兵士だからだ! だが強豪校侮るなかれである! 転生者である全校生徒並びに各教員、すぐに戦車道の準備をしろ!! 我が校初めての戦車道の始まりだ!!】

 

 放送を終えた途端、校庭から大きなラッパの音が聞こえる。

 それを合図に全校生徒の足音が次々と聞こえてきた。

 

「あれは……!?」

 

 文科省の人間は放送室を出て廊下の窓から校庭を覗く。

 そこには全校生徒並びに樋口校長覗く教員全てが既に集まっていた。

 先程と表情が違い、一人一人が凛としていた。

 

「遂に準備していた戦車道を、いよいよ始めることが可能になりました! 我等、元は帝国の英霊ではありますが。 今は帝国とは違った、もう一つの故郷である学園艦を守るため、各教員も全校生徒も一致団結して強豪校と戦う事を決意した所存であります! そして最後に、既に崩御なされた大元帥陛下に、万歳を三唱する。」

 

 

 

 

「天皇陛下、ばんざーい(万 歳)!!」

「「「万歳! 万歳! 万歳!」」」

 

 

 

 ――廊下からこの時代では異質な光景を、文科省の人間は見てしまった。

 そして先程の樋口校長の放送での言葉を思い出す。

 

「全校生徒、それに各教員……さらに学園艦に住む人達も、全てが転生者なのですか……!?」

「はい、そして校庭で全校生徒に演説していたのが、我が校の教頭であり元内閣総理大臣の東條英機殿です。」

「東條英機……!? 教頭をしていたのですか。」

「はい、更に我が生徒には一人、あの西住家と同じ姓を持つ生徒が我が校におります。」

 

 戦車道三大流派と呼ばれている西住家と同じ姓、それだけ聞けばただ同じ苗字なだけだと普通の人間なら思うだろう。

 しかしこの文科省の人間は違った。 彼は近代日本史が専門だったのだ。

 それに軍事も嗜むミリタリーマニアでもあった。

 だから西住家と同じ姓と聞いた時、一つの考えが頭をよぎった。

 

「ま、まさか……!?」

「気づかれましたか、どうやら貴方は歴史が好きなようだ。」

 

 

 

「――そう、姓は西住、名は小次郎。 戦車道三大流派の一つ、西住家のご先祖であり軍神、西住戦車長です。」

 

 ……この日、士魂高等学校の学園艦に日の丸の旗が翻った。

 そして一か月後、数々の準備を終えて学園艦全体に放送が響き渡った。

 

 

 

【ヒノデハヤマガタトス】

 

 

 ――時刻は朝方。 東の海から日の丸が昇りだした時、士魂高等学校の戦車道が、今始まったのだ……!!  

 

 

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