提督と大和の鎮守府日和~あるはずの無かった出逢い~ 作:最上天音
「はあ・・・・」
時刻は10:00。本日何度目のため息かわからなくなってきた。
「どうしたんですか提督。さっきからため息ばかりで・・」
お茶の入った湯呑みを提督の机に置きながら、大和は尋ねる。
「いや、大丈夫だ。君が気にすることじゃ----」
「言ってくれないと余計気になって落ち着け無いんですが・・・」
大和は少々頬を膨らませながら
「というか、艦娘がまだ私しか居ないってのがありますけど、一応私秘書官なんですよ?」
「・・それもそうだな。」
そう言い、私はまだ全然使いこまれていないなと思うほど傷1つない机の上にある書類の中から、1束の書類を大和に手渡した。
「これは出撃に関する書類ですよね?・・・・私の気のせいだったら良いのですが、やけに出撃報告用の書類が多くありませんか?」
「そうだ。恐らく普通の鎮守府の2倍は送られてきている。」
海軍学校に居た時は初回は5枚送られてくると、教わったのだが・・
「何で私達の所にだけなんでしょうか?」
頭に「?」を浮かべているのが見えそうなほど、疑問に思っている大和に対し
「その報告書の束を送ってこい。つまり----」
より一層渋い顔になり
「早く出撃して早く報告してこいって事だ。」
「そのぐらいなら、問題無いじゃないですか!この戦艦大和、あっという間に任務を完遂して----あっ」
大和は分かった。何故提督がさっきから渋い顔なのかを
「そうだ、そういうことだ。」
「ということは、もしこの状態のまま私が出撃なんてしたら間違いなく----」
「「資材の量が大変な事になるな(なりますね)」」
艦娘は出撃(主に前線に行き深海棲艦と戦うこと)や、遠征(主に警備や艦隊支援)をすることによって、燃料、弾薬、ボーキサイト(艦種による)を消費することになる。
なので、鎮守府に帰還したら毎回補給をするのが基本。しかし艦種によって補給量が違う
簡単にまとめると「駆逐艦<軽巡<重巡<空母<戦艦」となる。そして大和はその戦艦の中でも、トップクラス並の資材を消費する。
つまり、この状態で安易に大和が出撃すれば資材がとんでもないことになる。
そんなことを再確認した提督と、大和はお互いの顔を見て
「「はあ・・・・・」」
提督に続き、大和もため息をつき始める始末。
「これは予想以上に難問ですね・・・」
「そうだな・・・」
考え込む2人。
「君を海に出してやりたいのだがな・・やはり資材がな・・・・」
「・・・ごめんなさい。私が---」
「いや、私はそういうことを言いたいんじゃない。」
渋い顔から一転。いつもの凛とした顔立ちになり
「私は君『大和』が来てくれて嬉しい。もちろんそれは君が兵器という意味もある。」
「はい・・・・・」
大和は少しづつ顔が暗くなっていく。
「だけどね」
そっと大和の手を握る。
「私は兵器ではなく人として君が来てくれたことが嬉しいんだよ、大和」
「だからその・・それだけは分かってくれ。私は、 君じゃない方が良かった 何てことは絶対言わない。もちろんこれからも、だ。」
「は、はいぃ・・」
「っと、話が脱線したな。長話になってすまないな・・・ってどうした?」
「い、いえ、何でもないです・・」
いつの間にか大和は顔を俯いていた。 が、すぐに立て直し
「それで、結局この問題どうしましょうか?新しく建造しますか?」
「そうだなあ・・・」
改めて考える提督。
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数分の沈黙の後、結論が出たと思ったらあっさりと一言。
「よし、じゃあ大和。」
「はい」
「少しだけになるが、出撃してくれないか?」
「分かりました。すぐに建造の手配を--------え?今何て言いました?」
目が点になりそうなほど驚いた。今出撃って聞こえた気がしたのですが・・・
「ん?聞いて無かったのか?だから出撃だぞ。と、言っても警備みたいな物だがな」
大和は慌てて提督に詰め寄る
「え、わ、私が行っていいんですか!?」
「行っていいも何も、君以外に海に行ける娘居ないし・・・もしかして嫌か?」
「い、いや、もちろん嬉しいです!でも、その、いいんですか?特に資材面が」
「あぁ、それなんだがな」
そう言って提督はとある紙を見せた。
「これは・・任務表ですね。これがどうかしたんですか?」
「これは今さっき思いついた事なんだが・・任務を達成すると報酬としてある程度の資材が送られてくるのは知ってるだろう?」
「あ、はい。それならわかります」
「それで、ここからが本題なんだが・・」
そう言うと顔を俯き、濁しながら
「その、あの、あれだ。ちょっとその任務の報告をな・・・・するの忘れていたんだ。」
「・・・・・・・・・・・・」
大和は恐る恐る聞いてみた。
「じゃあつまり、今までの検討や時間は・・」
「まあ、結果から言うと意味なかった。」
「て、提督・・・・・・・」
何となく分かってたとは言え、やっぱり言われると多少は落ち込むものですよね。
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「それで、出撃でいいんですね?」
大和は最後の確認をする
「あぁいいぞ。さっきも言った通り警備ぐらいしか出来ないのだがな・・」
「いえ、それでも私は嬉しいですよ」
そんな可憐に微笑んだ大和の顔に見惚れた提督であった。
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そんなこんなで大和に初めての出撃をさせ、私は工廠に行くことにした。
「そろそろここを綺麗にしないとなぁ」
工廠を見上げながらつい口に出してしまう。
壁には植物はびっしり付いていたり、所々補修が必要そうな所も見受けられる。
「そうじゃよ、早いとこ改修してくれないですかな?提督さん」
「そうだな、来月の予算内に組み込めるように努力す・・・・・あんた誰!?」
あまりにも自然すぎて普通に返答してしまった。
バッと後ろを向くと、身長は低め黒の作務衣を着たおじいさんが居た。
「誰って・・儂の事わからんのか?この工廠の長。工廠長じゃよ工廠長」
「工廠長」という言葉について、必死に頭の中の記憶を巡らせる。
「あぁー、聞いたことあるような・・無いような・・・・」
「お主その言い方はもう覚えてないじゃろ・・」
工廠長がジト目で冗談交じりに睨んでくる。
「儂の事気づきもせずに、勝手に建造しおって。」
「うっ」
返す言葉も無かった。
「・・・・まあ、そのことはいいじゃろう。んで?今回は何がしたいんじゃ?」
「はい。今回は・・というよりかは今回もですかね。新しく建造をしたいと思って。」
「分かった。資材配分はどうするかの?」
「そうですね・・・」
迷った。駆逐艦を改めて狙うか、軽巡等を狙うか・・・
「オール30でお願いします」
「駆逐艦系統じゃな?まあ分かっているとは思うじゃろうが、駆逐以外の娘も生まれることもある。それは承知しておるな?」
工廠長はふっと目を細め確認をとってきた
「大丈夫ですよ」
「ならいい。・・建造が終わったら呼びに行く。それまで待っとれ」
「は、はい・・」
仕事モードになったのか、先程の緩い顔とは打って変わり厳しい顔つきになり半ば強制的に工廠を後にした。
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提督室でいつも通りの書類作業に追われていた。
「あぁー、やっと終わった・・・」
吐き出すように言い、椅子に体を預ける。
ふと時計が目に入った。時刻は16:50
「大和、大丈夫だろうか・・・」
初めての出撃ということもあって、何時までには帰還くるように、とは言ってないが
「何かあったのか・・」
つい口に出してしまう
そんな時、提督室のドアが開いた。
「提督、ただいま戻りました!」
可憐な笑みを浮かべながら、大和は戻ってきた。
「何かあったのかと不安になっていたんだが・・大丈夫で良かった」
そう言い、ふっと笑う
「ご心配をおかけしてすみません。つい夢中になっちゃって・・・」
「いや、いいんだ。初めての出撃だったんだ。気にしなくていい」
先程まで少し暗くなっていた大和の顔はパッと明るくなり
「・・は、はい!」
そして改めて思った。こういう時の大和の笑顔は反則級だと。
投稿遅くなってすみません。
体育祭で体ボロボロだったんです(言い訳)
と、いうことで最近眠気が取れない最上です。
時期に中間考査あるから、書き溜めておかなきゃンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙
と、思いながら今日も投稿に向けて頑張ります