提督と大和の鎮守府日和~あるはずの無かった出逢い~ 作:最上天音
工廠長、叢雲、そして大和と歓迎会をした後の2200。
もうじき就寝時間なので、机に散らばっている書類やら筆記用具やらを片づけていた。
(さて、そろそろ寝るか。)
そう思った時。
コンコン、とドアをノックされる。
「どうぞー」
ドアをノックした人物が現れた。
「ふむ、あれだけ飲んでおきながらまだ寝てなかったのかい?」
「それはこちらのセリフですよ・・工廠長。」
思わず呆れてしまった。
歓迎会の時に私は瓶1本が限界だったのだが、工廠長は2本・・3本・・と目を離せばすぐ瓶の栓を開けようとするので、叢雲、大和の3人で無理やり止めさせたのであった。
「それで、こんな時間にどうしたんですか?」
そう聞くと、工廠長はにやり、と、笑い
「なぁに、少し老いぼれと飲まんかの?」
そういいながら取り出したのは・・1本の焼酎の瓶だった。
「それ以上は身体に毒ですよ・・」
「大丈夫、2人で飲むんじゃよ。心配なんぞせんでいい」
「何が大丈夫なのか、分かりかねますが・・まあ、こういうのも1回ぐらい良いですよね?」
「そういうことじゃ」
そうしてベランダに出ることになった。
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「どうじゃ、美味いじゃろう?」
「はい、とても美味しいです。・・・・・少し辛いですが」
会話を弾ませながら、おちょこにある焼酎を一気に飲み干す。
飲み干した勢いで質問をぶつけてみる
「しかし、どうしていきなり?」
「なに、特に何かあるわけでもないわい。色々な不安を抱えて思いつめて居ないか..と思ってな。」
「不安・・・ですか」
「ま、誰でも初めてには不安が付き纏うもんじゃ。そう重く抱え込むでないぞ。」
工廠長はそういいながら一杯、また一杯と私は辛いと思った酒を体に染み通らせていった。
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ほとんどの人は真夜中だと即答するであろう0200。
盆の上にあった瓶の中身はすっかり空になり、お開きを迎えようとしていた。
「のぉ、提督よ」
「はい?」
「..........」
「?どうしました?」
工廠長はドアの方を1度チラっと見てから黙りこくってしまった。それを見て、ひとつの予想が浮かび上がったが
「もしかして結構酔いが回っていましたか?」
「ん、あーいや、そういうことじゃないんじゃよ」
あえなく撃沈してしまった。
なら、どうしたのか?
そう聞こうと口を開きかけた所、
「儂がもう少し助言というか..激励というか、言葉を投げかけようかと思ったんじゃがの」
ニヤリとなにか企んでる笑みを浮かべたのを逃さなかった。
そしてその企みの顔はドアの方に向いたと同時にドアが開いた。
「儂より良い言葉を投げかけてくれそうな奴がおったのでの」
視線の先には白のパジャマ姿の大和が立っていた。
その普段の服とは違う妖艶な姿に思わず見とれてしまい、声をかけられるまで意識は彼女に釘付けだった。
「あ、あのー..提督?」
「ん!?あ、ああ、どうした?」
「い、いや、その、喉が渇いたので給湯室でお茶を飲んでいたら執務室から談笑が聞こえたのでつい・・」
言葉を連ねていく程にみるみる紅潮していく大和。
「まあ、私は気にしないさ。とりあえずそんな入口に居ないで入っても良いんだぞ?」
「は、はい・・では、失礼します」
そうして私の隣に座ってきた。
何か変な雰囲気になったのを察した工廠長はニヤニヤと笑い
「あー、何か急に暑くなったのぉー、ということでわしゃ寝るわい」
私と大和の返答も聞かずそそくさと執務室をあとにしてしまった。
「・・・・」「・・・・」
深夜2時の沈黙。正直かなり重いです。
その暗さを破るように大和は聞いてきた
「あ、あのっ!」
「ど、どうした?」
「不安・・・ですか?私では。いえ・・」
「私達では・・不安ですか?」
その質問はまるで彼女自身にも問いただしているかのように聞こえた。
「不安・・・か。無いかと言えば嘘になるかな。」
「やっぱり私じゃダメなんですね・・」
彼女の顔がみるみる暗くなっていく。恐らく大和が感じた「不安」と、私が感じた「不安」は違っている気がした。
「ああ、いや、能力だとか装備だとか、そう言う意味の不安じゃないんだ」
「私は君達をあんな海の底に送り出すような提督になってしまうんじゃないか・・とな」
「・・・」
2度目の沈黙。しかし、今回はそれほど暗く、重くなかった。
なぜなら、大和が私の手に自分の手を添えていたからだ。
「私は・・」
「私は、沈みません。絶対に」
揺らぎなんて微塵も感じさせない瞳だった。
自分に言い聞かせている様にも聞こえた。
「もしかしたら、俺がダメコン積み忘れた状態で無茶な命令出すかもしれないぞ?」
「その時は何とかして大破しないように調整しますし、こんなこと言う時点で提督なそんな無茶な命令はしないと思います。」
「もしかしたら、俺がお前を酷使させるかもしれないんだぞ」
「私は提督のすることに基本反対はしません。でも、私達も兵器とはいえ感情はあります。その時はちゃんと意見します。」
「もしかしたら、俺が__「提督」」
頭の中から溢れ出てくる言葉を大和が遮る。
「私は大丈夫です。だから、心配しないで下さい。」
「・・わかった。改めてよろしく頼むよ」
「はい!」
この時見た笑顔は生涯忘れる事は無いだろう、と思った。
「時に提督」
「ん?」
まだ何か不安要素があったのかと思い返していると
「提督が、自分の事 俺 って言うの初めて聞きました」
そう言いながら面白可笑しく笑っていた
「私 の方が箔が付くと思っていたんだが・・変か?」
「はい。とても変です」
即答されたので、おもわずうなだれてしまう。
「俺・・というか、普通の喋り方の方が似合っていると思いますよ。私は」
「そ、そうなのかぁ」
「はい、そうなんですよ」
またもや即答されてしまった。
「なら、それでいいかもな。・・おし、大和。」
「?はい?」
彼女はぽかんとした顔をしていたが
「そろそろ寝たほうが良いぞ。0230過ぎてる。」
彼女はすぐ時計を見るなり、あっという間にその綺麗な額に水滴がつき始める。
「ほ、本当ですね・・早く寝ないと寝坊しそうです。」
「もし、寝坊したら大和に朝食作ってもらおうかなぁ」
「睡眠不足の状態で朝食作りさせられるってどんな苦行ですか!」
「まあ、とりあえず早く寝よう。な?」
変な事言われる予感がしたので予防線を張っておく。
「そうですね。そうしましょう。」
そう言うなり、自室に戻ろうと足を運び始めたので、上手くやりこめたかと思ったが
「あ、提督」
「?どうした?」
「もし提督が寝坊したら、提督が作ってくださいね?」
「は、はい・・」
「それでは、おやすみなさい提督」
「大和こそ、おやすみ。」
予防線なんて一撃で轟沈したのであった。
長期間休止に関してはもうエクストリーム土下座します。色々諸事情によりできませんでした。
今後はスムーズに投稿できるようにします。( p_q)
深夜テンションで作品書くもんじゃないなこれ(戒め)