透き通る世界を照らす赫き星   作:お茶犬大家族

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ブルアカマンを買い、それで出たキャラで【自主規制】をするというチャレンジが一部で流行っているらしいですね。

2つ買ってアビドス一年組を出した私、さてどうしたものか。






来たれ、開闢の鬨よ

 

 

 

「ぅん……知らない天井だ。なーんてね」

 

 

 重たい瞼を開き、長い眠りからホシノは目を覚ました。青色の仕切りに囲まれたベッドに寝かされていた彼女は瞼を開いた瞬間、瞳孔に差し込んだ白色の光に苛まれる。

 お決まりの台詞を唱えそれを笑い飛ばした直後、前方にあったカーテンが開かれた。

 

 

「おや、丁度お目覚めでしたかホシノ先輩」

 

「まあね〜。ところでアヤネちゃん、今って何時くらい?」

 

 

 その正体はアヤネだった。そのまま彼女はホシノの正面まで寄り、その元気な様子にほっと息を吐く。対するホシノはひとまず現時点の状況を確認しようと、彼女へそう問いかけた。

 

 

「今しがた15時を回ったところです。その間に雨も降ってきましたが1時間も経たずに止み、荒らされたグラウンドの整備を風紀委員会の皆さんに行って頂いております」

 

「それは有り難いねぇ。先生や他の皆は無事?」

 

「はい。先生は別室にて、彼女についての情報はないかと再度調べています。怪我をされた皆さんも、救急医学部の生徒さんによる懸命な処置のお陰で全員の容態は良好ですよ」

 

「なら良かった。私より早く起きた子はいる?」

 

 

 彼女の報告に安堵したホシノはベッドから足を下ろして立ち上がり、肩を回して体を解しながら再度問う。

 

 

「ええ。ヒナさんが最初に起き上がり、今は風紀委員会の方々に顔を出しに行っています。そうしてもう一人のシロコ先輩ですが――」

 

 

 アヤネは言葉を途中で区切ると右側にあった仕切りまで近付き、それをおもむろにスライドさせる。

 

 

「ん。相変わらずお寝坊さん」

 

 

 するとそこには、ベッドに寝そべりながら目線をこちらに向けるシロコ*テラーの姿があった。一見いつもと変わらないように思えるが、ホシノには一つの懸念を抱いていた。

 

 

「シロコちゃん。その……刺されたお腹は大丈夫なの?」

 

「全然平気。このくらいダツに貫かれたみたいなもの。大したことない」

 

「いやそれ結構重症だよね?」

 

 

 起き上がって腹を摩りながら自慢気に言うシロコ*テラーだったが、まったく安心しきれないその表現にホシノは思わずツッコミを入れる。しかしそれでも命あっての物種だと、彼女は胸を撫で下ろした。

 するとアヤネがシロコ*テラーの側に立つ。

 

 

「シロコ先輩、今回は本当にありがとうございました。貴方が来てくださらなかったら、私達は今頃壊めっ――!?」

 

「アヤネ、それ以上は駄目」

 

 

 言おうとしたその台詞は、彼女の両手がアヤネの頬を押えつけたことにより遮られる。そのまま目線を強制的に合わせると、彼女は言葉を続けた。

 

 

「みんな、こうやって確かに生きている。たらればなんて考えないで、目の前の現実だけを見て」

 

「ふぁ、ふぁい」

 

 

 アヤネのどもった返答を受けるとシロコ*テラーもまた手を離し、顔を俯かせ細々と話し始める。

 

 

「……だけど本当は悩んだ、行くべきなのか否か。以前この世界の私にも言ったんだけど、同じ世界で砂狼シロコは二人存在してはならない。極力干渉するべきではないと」

 

「なら、どうして?」

 

 

 アヤネがそう問うと、彼女は自身に被さっていた布団を両手でぐっと握る。そして微かに体を震わせながら、再び口火を切り出した。

 

 

 

「もう二度と、皆を失いたくなかったから……」

 

 

「こっちの私に、同じ思いを味わってほしくなかったから……」

 

 

 弱々しく吐き出されたその言葉にホシノ達は口を噤む。すると突如ホシノは彼女の元まで歩み寄り――

 

 

「シロコちゃん、ちょっと失礼」

 

 

 相手の後頭部まで手を回し、自分の胸中に押さえ込むように抱き込んだ。

 

 

「向こうの私が、一体どんな小鳥遊ホシノだったのかは分からない。でもこのおじさんの胸ならいくらでも貸してあげるからさ、冷たいこと言わずに来たい時はいつでも来てよ。私は勿論、きっと皆も歓迎してくれる筈だから」

 

「……うん」

 

 

 彼女はその抱擁に抵抗する事なく、微かに体を震わせながら受け入れた。

 一時の時間が流れた後シロコ*テラーは顔を離し、自身もベッドから抜け出す。そうして数歩進んだ先で彼女は虚空に手を翳した。

 

 

「それじゃあ、私はもう行くね。服はまた今度取りに来る」

 

「あれれ、もう行っちゃうの?」

 

「うん。私も先輩も動けるようになった以上、長居する必要もないから」

 

「うーん、そっか。無理に引き留めはしないけど、これだけは言っておくよ」

 

 

 

 

「シロコちゃん、()()()

 

「……ん。また」

 

 

 シロコ*テラーはそう答えるとゲートを開き、真っ暗なワームホームの奥へと消えていった。やがてその穴が閉じ暫しの静寂が流れると、出入り口のドアがノックされた。

 

 

『"アヤネ、入っても大丈夫かな?"』

 

「問題ありません。ホシノ先輩も目を覚ましていますよ」

 

 

 アヤネがその声に応答した直後、扉が開かれ一組の男女が室内に入る。それは先生とヒナであった。

 

 

「ありゃ、風紀委員長ちゃんも一緒だったの?」

 

「丁度保健室の前で落ち合ってね。それにあの子からは、私からも色々と聞きたい事があるもの」

 

 

 彼女はそう言うと一つの仕切りまで近付くと、それを手で軽く払い顔を少し覗かせる。そして問題ないと判断したのか、今度は強めにカーテンを開く。

 

 

「うん。この子も元気そうで良かった」

 

 

 その中にあるベッドに寝かされていたのは、つい先程まで自分達と敵対していた少女であった。しかしそれに対してホシノは何も言わず、ただただ彼女が健やかに眠っている事に安堵していた。

 

 

「それで先生、彼女に関しての情報について収穫はあった?」

 

「"いや……シッテムの箱やその他の方法で調べてみても、どうにも彼女はどの学園にも所属していないらしい。出身はおろか、名前さえも不明だとされている"」

 

「本当に得体が知れないわね。早めに捕えることができて良かったわ」

 

 

 望んでいた答えを得られなかった事にヒナは手を額に当て、頭を悶々と悩ませる。

 

 

「ところでヒナさんはアビドスの境目付近でパトロールをしていたそうですが、それは何故なんですか?」

 

 

 そんな彼女にアヤネが疑問を投げかけると、ヒナはあぁといった反応を見せた後それに答えた。

 

 

「昨日、キヴォトスの至る所で赤い彗星が観測された事。貴方達は知っているかしら」

 

「はい、存じ上げておりますが……」

 

「それなら話は早い。本人が言っていたから分かっているでしょうけど、彼女は先日私達風紀委員会とも交戦をしていたの。その後彼女は行方を眩ませ、アコが動けるメンバーを総動員させて捜索を行なったものの見つけ出す事は出来なかった」

 

「彼女がどうやって逃走を図ったのか、意識を刈り取られた私には皆目見当がつかなかったわ。そして今日改めて彼女の捜索にあたろうとした時、イオリを始めとした風紀委員や、捕縛したヘルメット団員からこんな証言が取れたの」

 

 

 

 

『アイツ、翼から炎みたいなのを出して滑空してたんだよ。ジェット機と形容してもいい程だぞあれは』

 

 

『姐さんを見つけられないのも仕方ないかもな。だってあの人、戦闘機よろしく天高く飛んじまうんだからよ』

 

 

 

「私の前ではそんな芸当を見せていなかったから、今日実際この目で見た時は流石に圧倒されたわ」

 

「そりゃそうだろうねぇ。人間離れし過ぎだもんあれ」

 

 

 少女の戦いぶりを思い浮かべ、苦い顔をしながらホシノはその意見に同調する。

 

 

「話を戻しましょうか。もしかするとその光は彼女ではないかと私は思い付き、調査に加わった。そうするとインターネット上で紅い光の目撃情報が確認されたのだけれど、やはりSNS上での証言はイマイチ信憑性に欠ける。ならば身近な人間からの情報はないかと考えていた時、万魔殿からこんな報告を受け取ったの」

 

 

 

『キヴォトス各所で観測されたという彗星、どうやらそれをイブキを始めとした数人も見ていたようでな。奴の描いた絵と口振りを参照するに、アビドスの方面に向かったのは間違いないだろう。純粋無垢な私達のイブキが嘘をつく筈がないからな』

 

 

 

「――とね」

 

「しかし、風紀委員会と万魔殿の仲はあまりよろしくない筈では?」

 

 

 そのアヤネの疑問にヒナは静かに頷く。

 

 

「ええ。だけどマコトがイブキをダシにしてまで、そんな低俗な嘘を吐くとは思えなかった。無論これらの話だけで彼女と結び付けるのは早計だと考えたけど、万に一つの可能性でもあるなら……とね」

 

「だから比較的アビドスに近い地域で捜索をされていた。という事ですね」

 

「その通り。しかしやはり彼女はそう簡単には見つけられなかった。だから先生に申し込みを入れ、アビドスへの侵入を認可してもらおうとした矢先にモモトークを介して応援要請が届いた――というのが今回の顛末よ」

 

「なるほどねぇ。どうりで来るのが早かった訳だ」

 

 

 こうしてヒナが長々とした状況説明を終え、ホシノが腑に落ちたといった表情を見せた時だった。

 

 

「ぅっ……」

 

「あら、丁度本人もお目覚めみたいね」

 

 

 その話の張本人である少女が、固く閉ざしていた瞼をゆっくりと開いたのだ。次第に体を起こした彼女は辺りを見渡し、現状を把握し始める。

 

 

「まさか……私を生かしたというのか? 何故……」

 

「貴方からは聞き出したい事が山程ある。そんな理由じゃ駄目かしら」

 

「それでも拘束の一つもせんとは感心しないな。何を考えている」

 

「今の貴方なら大丈夫と、先生がそう判断したのよ。貴方を信頼してね」

 

 

 そう言われた少女は先生のほうへと顔を向けるが、鼻を鳴らすと即座にそっぽを向いた。

 

 

「でも別に、拷問じみた事をするつもりはないから安心しなさい。だからなるべく正直に話して」

 

 

 その台詞と共にヒナは彼女の側まで近付くと、身を乗り出すように相手の顔を覗き込む。

 

 

「あなたは一体、どこの誰なの?」

 

 

 

「……もう包み隠す必要もないか」

 

 

 するとそのまま目線を合わせて凄みを利かせ、お前は何者なのかと問い詰める。猜疑心だだ漏れの彼女の目付きを受けて少女は意を決したのかそう呟き、固く目を閉じる。

 

 そうして深く息を溜め込んだ後、こう言葉を返した。

 

 

 

「私の名は『バルファルク』 天彗龍(てんすいりゅう)とも呼ばれ、かつてこの世界とは異なる時空を生きていた太古の龍だ」

 

 

 

 彼女が躊躇いもなく発した宣言。それは先生達にとってまさしく青天の霹靂であった。それによりヒナの顔は一層険しくなる。

 

 

「……それは本気で言っているの?」

 

「ああ。私からしても突然キヴォトスなどという別世界に飛ばされ、自慢の肉体もまるっきり変えられて、何がなんだか分かっていないくらいだ」

 

 

 しかし当の本人は至って真面目な表情のまま、ヒナの瞳に視線を返す。確かにいきなり「異世界からやってきました」なんて言われたら、荒唐無稽な話に思われるのも仕方ないだろう。なんなら最初に想定されていた異星人という線のほうがよっぽど信憑性があると言える。

 だが先生達としては、彼女の言葉が心の何処かでは嘘でないように思えている。それもそのはずで、シロコ*テラーという前例がいるからであり、故に彼らが気になっているのはそこではなく()()()()という部分。

 

 

「まるっきり変えられた……ね。その辺りを詳しく聞かせてもらおうかしら」

 

「私の背中に、ごつごつとした翼があるだろう? 以前の私はこんな小娘のような風体ではなく、これのように頑強な鱗や甲殻に覆われた龍の姿であってな。体長が14(けん)程あった巨大生物だった」

 

「けん? ちょっとおじさんには聞き馴染みのない単位だねぇ」

 

「間は尺の6倍の長さ。つまり14間は約25mです」

 

「おっ、アヤネちゃん流石ぁ〜」

 

 

 そんなやり取りをするアヤネとホシノを他所に、ヒナは質問を続ける。

 

 

「なるほど、ひとまず納得しておくわ。因みにバルファルク、その『てんすいりゅう』とは一体どういう意味なの?」

 

「天の彗星の龍と書いて天彗龍だ。これは私を表す異名の代表例であり、バルファルクというのが真名らしい。私は元来野生に生まれ、野生で育った存在。故にお前達のように、名前なんてものは最初から有している訳ではなかった。バルファルクという名は私の命を狙いに来た人間達がそう呼んでいたため、便宜上そう名乗らせてもらっている」

 

「"命を……狙いに来た? それはどうして?"」

 

 

 彼女の言葉に先生は息を呑み、剣呑な顔付きで問いかける。

 

 

「私はただ自身の思うが儘に生を送っていただけなんだが、人間達には『銀翼の凶星』なんて異名でも忌諱され、畏怖の対象とされていた。人間達が唱えた伝承によると私は数千年周期で姿を現し、世界の文明を終わらせる存在とされていたようでな。禁忌とまではいかないが、それに限りなく近い扱いを受けていた」

 

「いやいや数千年周期って、どれだけ長く生きたのさ君」

 

 

 そのホシノの問いに深い意味は無かった。だが次の瞬間返された言葉に、彼女達は度肝を抜かれる事になる。

 

 

「まあ、ざっと六十万は生きたかもしれんな」

 

ろっ……!?

 

「バルファルクさんの1歳が一千年と仮定しても、600歳にはなりますね……」

 

 

 文字通りの桁外れなその実年齢。ホシノはたまらず目を見開き、アヤネは気圧されつつも冷静に解析する。

 すると彼女達とは対照的に落ち着いていたヒナが再度口を開く。

 

 

「それにしても銀翼の凶星とは、御大層なネーミングね」

 

「ああ。私は随分と忌み嫌われていたらしく、様々な呼ばれ方をされていたよ。確か他には『大地を絶望に染め上げる凶兆』やら『決して抗えぬ運命の証』やら、それと『絶望と災厄の化身』なんて言われたりもしていたな」

 

「"どうしてそこまで……。そんな風に言われ続けて君は悲しくなかったの?"」

 

「どうでもいい」

 

「"……え?"」

 

 

 悍ましい異名の数々に先生は慄くが、平然とそう返した彼女の言葉に呆気に取られる。

 

 

「古龍は基本的に、人間を含めた他の生物の事を取るに足らない存在と考えている。好きの反対は無関心だとよく言うだろう? まさしくそれであり、私も例に洩れず人間なんぞ塵に等しい存在とさえ思っていたよ。こちらから襲うなんて事も極めて少ない」

 

「"それなら一層、何で君は――"」

 

 

 

「先生、考えてみて。全身をあの固い甲殻で覆っていた彼女が、音速をも超えるスピードで飛行し続けるとしたら?」

 

 

 いまいち辻褄が合わない事に先生は頭を悩ませるが、そんな彼にヒナがヒントを与える。それを頼りに再度考察すると、彼もはっとした表情で答えを導き出した。

 

 

「"空力加熱によって、それが焼け落ちる事になる……?"」

 

「大方その通りだが、もっと正確に言うなら噴出した龍気にも灼かれ、その相乗効果で剥がれ落ちると言ったほうが正しいな」

 

 

 彼らの答えに少女が補足を付け、ヒナもまた言葉を続ける。

 

 

「超航空域かつ超高速で、あの強度の甲殻が落ちてくるのよ。落下地点は言わずもがな、周辺地域もただでは済まないでしょうね」

 

「まさしく。通りすがった人里や自然の動物達が滅びの一途を辿ったのも、私が深く関係しているとされた。しかし知らぬ存ぜぬとはいえやり過ぎてしまったのだろうか。幾多ものハンター……もとい人間達が我が命を討とうと襲いかかってきた」

 

「"ハンター。最初に君と会った時に言っていた言葉だね。それは一体どういう人達なの?"」

 

「奴らは生態系の均衡を崩しかねない存在を狩猟・討伐し、世界に調和をもたらす事が使命なのさ。それは老若男女問わず数多くいた」

 

「それはおじさんも気になるなぁ。その人達が一体どんな方法で戦っていたのか」

 

 

 興味津々なホシノの台詞に少女もまた不敵に笑い、その疑問に回答する。

 

 

「そうだな……たとえば自身の体格よりも巨大な剣を担いだ者。長大な槍と堅牢な盾を携えた者。虫を使役できる棍棒を振り回しながら縦横無尽に空を舞う者など、多岐に渡ったよ。まあ中には凍らせただけのカジキマグロを持った人間や、身の丈ほどのぬいぐるみを振り回す人間などの変わり種もいたがな」

 

「うへぇ。何をトチ狂ったのかは知らないけど、変わった人達もいるんだねぇ……。そんなので戦えるわけが――」

 

 

 

「いや、案外普通に戦えていた気がするぞ?」

 

「どゆこと!?」

 

 

 そんなホシノのツッコミも気に留めず、少女は話を続けた。

 

 

「武器だけでなく防具も同様で、様々な衣装で挑んできたな。絢爛豪華であったり、ずんぐりむっくりであったり。場合によっては下着一丁だった者も珍しくなかったな」

 

「"いや、色んな意味で頭大丈夫なの? 最後の人"」

 

「そういえば……奴らの中には何を血迷ったかは知らんが、私と対峙する前に二回ほど自爆を遂げる輩もいたよ。心なしかそれをしない連中よりも数段手強かった気がする」

 

「"なんなのそれ! どういう理屈!?"」

 

「そんなの私が知るか。奴らは火事場がどうこう言っていたがな」

 

「"火事場というか、生きるか死ぬかの瀬戸際じゃないかな……"」

 

 

 彼女がいたという世界の事象に自分達の常識では理解が追いつけず、彼らはただ圧倒される事しか出来なかった。

 

 

「……一つ聞いていいかしら」

 

 

 すると最初に平常心を取り戻したヒナが、今まで以上の張り詰めた表情で彼女に問い質した。

 

 

 

「襲いかかってきたという人間達は、まさか殺したの?」

 

 

 殺人経験の有無。その彼女の問いに、室内の空気もまた息苦しいものへと一気に豹変する。しかしそんな状況下でも少女は動じるどころかケタケタと笑い始め、こう言い返す。

 

 

「愚問だな。当然生かして返すはずがないだろう。相手を始末しようとするならば、逆にそいつに始末される覚悟もしておくべきだ。違うか?」

 

 

 答えはなんとなく予測できていたものの、少女はさも当たり前と言わんばかりに言い放ち、その台詞に彼女を除く全員の顔が強張った。

 

 

「……だから私も命乞いなどする気はない。敗者である私に意見する権利などないのだから」

 

 

 しかしそう続けた彼女の顔色もまた暗くなる。その姿は夢破れ、生への活路を見失った哀れな少女のようだと先生の目に映った。先程までの威勢からは想像つかない程に意気消沈する姿に、どうにかできないかと彼が考えあぐねていた時だった。

 

 

 

「ねぇ、それってなんか可笑しくない?」

 

 

 何かに引っ掛かりを覚えたのか、ホシノが彼女にそう聞いたのだ。

 

 

「何がだ」

 

「君のライバルだった人の話だよ。君さっき、先生の事を『そこの男も成長するかも』って言ってたよね? もしかしてその人、最初から強かった訳ではないんじゃないの?」

 

「……聡いな」

 

("たった一人だけ生かされた人間? 何かしらの理由があるのか?")

 

 

 そんな彼女の反応を受け、先生は一筋の光明を見出す。

 

 

("これは……もしかするかもしれない!")

 

「"その人の話、もっと聞かせてもらっていいかな?"」

 

 

 彼女が話してくれるかどうかは、彼にとって一か八かの賭けだった。だが意外にも相手は朗らかな表情で、口を開き始める。

 

 

「……奴はとある村に住む若造だった。私と出会った当初は狩人になって日が浅かったようだが、破竹の勢いで数々の功績を収めたため、晴れて私の討伐任務が課せられたようだ」

 

「それでもホシノの推察通り、当初は私に遠く及ばなかったがな。それもそうだ。人間風情が多少力を付けた程度で、この私に追いつける筈もない」

 

 

 

「だが……なんだろうな。戦う前に見せた奴の瞳から伝わってくる博愛の精神が、息の根を止めることを躊躇わせた。初めてだったよ、この私が敵をみすみす逃すなんてのは」

 

 

 その瞬間、先生は何かに勘付きはっとを目を見開く。

 

 

「"ねぇ、もしかして君が言っていた生き甲斐というのは……"」

 

「ああ。元々好戦的でなかった私に、猛者と戦う悦びを植え付けたのも奴だ。再度現れては完膚なきまで潰したのに一向に懲りず、またやって来ては伝統芸のようにタコ殴りにしてみせた。始めは鬱陶しくて堪らなかったが、次第に私と渡り合えるように成長していく小僧に段々と惹かれていった」

 

「やがて初めて対峙した時とは見違えるように小僧は強くなり、ついに私は殺された。だが奴に殺されるなら悔いはなかった。あの男と出会えたことで、永遠とも思える白黒の日々に彩りが宿ったのだからな」

 

「殺された……? つまりバルファルクさんは――」

 

「そう、何故か私は()()()()()()()()()()()()()()()のだ。最初のほうでも言ったように、私からしても奇想天外としか言いようがない」

 

 

 死した龍が人間の形として蘇ったというとんでもない話に、その場の全員が仰天する。しかしそんな彼らを置き去りにするように、彼女は言葉を紡ぐ。

 

 

「だが奴は最後の最後まで変わった人間だった」

 

「"と言うと?"」

 

 

 

 

「何故かあの男は、私の死に際に泣いていたんだ。不思議だろう? 災禍とされた私のために涙を流せるなど。心残りがあるとするなら、せめてあの男の名が知りたかった事だな」

 

 

 その人物に想いを馳せるかの如く虚空を見つめる少女の姿に、先生はとある可能性を思い浮かべ今一度問う。

 

 

「"ねぇ、君は悪意をもって人間達を襲ったことはあるの?"」

 

「だから言っただろう、私はただ己が儘に生きていただけだ。大自然の中何者にも縛られずに水を飲み、肉を喰らい、自由気ままに空を飛ぶ。そんな生き方を。だが人間、いや世界にとっては何かと都合が悪かったようでな。数多くの狩人達が私を討とうと躍起になっていたよ」

 

 

 

 

生きていること自体が天災。なんて扱いをされる事は珍しくないんだよ、私達古龍はな」

 

 

 

 そう締め括った彼女はベッドに寝転び、ふぅと息を吐くと吹っ切れたような雰囲気で再び口を開く。

 

 

「さて、長話もここまでだ。私を脅威と判断したならば首を刎ねるなりなんなりすればいい。どうせ一度は散らした命、未練なんてない」

 

「"君は本当にそれでいいの?"」

 

 

 そんな台詞を放つ彼女に対し、先生は淡々と追求する。

 

 

「ああ。なまじ戦う事に生を見出した結果、こんな痴態を晒す羽目になったんだ。一族の最高傑作が聞いて呆れる。それならいっそ――「"駄目だよ"」……なに?」

 

 

 

 

「"ねぇバルファルク。君さえ良ければシャーレに来てくれないかな? きっと今の君なら、キヴォトスにとっての希望として生きていける筈だから"」

 

「……はぁ? この私が希望だと? 頓珍漢も甚だしい。ここで私を討たねば、この先何が起きるか分からんのだぞ」

 

 

 彼の自信ありげな言葉に対し、彼女は呆れたようにため息を吐く。しかし先生が退く事はなかった。

 

 

「"大丈夫だよ。君には心がある、誰かの為に戦える気高い信念が"」

 

「何の根拠があって……! 貴様、この私がどれだけの人間――いや、幾多の生物の命を奪ってきたのか。それだけでは飽き足らず、その者達が暮らしていた環境すら破滅させた事を聞き逃していたわけではないだろう! そんな私に人心など――」

 

 

 

 

「"根拠ならある。そのハンターという人の為に、君は戦っていたんだろう?"」

 

「……え?」

 

 

 絶対的な自信を持って返された彼の言葉に、少女はたまらず呆気に取られる。それは彼女にとって図星でしかなかったのだ。

 

 

「"出会った時の君は、確かに自分の欲望の儘に行動していたのかもしれない。だけど君はあの瞬間を境に、その人の名誉の為に戦った。その気持ちは決して嘘じゃない"」

 

「だが……以前の私が血に塗れた生を送っていたのもまた事実なんだぞ」

 

「"それなら君は、どうしてキヴォトスでは誰一人手にかけていないんだ? ヘルメット団の子達も、風紀委員会の皆も全員生きているらしいじゃないか。アビドスの皆にも敵意はあれど、殺意は無かった"」

 

「っ、それは……」

 

 

 悉く反論された少女はたじろぎ、その挙動を見た先生は確信を持って再度彼女を諭す。

 

 

「"君は無意識だったのかもしれないけど、きっと心の何処かで相手を死なせないように制御していたんだ。本来好戦的ではなかったとは言っているけど、その人の慈愛の精神も受け継がれているんだよ。だからその授かった命も精神も、どうか無駄にせず大切にしてほしい"」

 

「貴様……! この私に生き恥を晒せとぬかすつもりか! 志を全うできず、無様な敗者に成り下がった私に!!」

 

「"生き恥なんかじゃない。それにその人だって、きっと同じ事を言う筈だ"」

 

 

 そう言った刹那、彼は胸ぐらを少女に掴まれ、互いの鼻が触れ合いそうになるまでに引っ張られる。 

 

 

 

「おい、これ以上私を苛立たせるな。お前が奴の何を知っているというのだ? 返答次第ではただでは済まさんぞ」

 

 

 

 すると目の前の人間から尋常ならざる気迫を浴びせられ、お前を喰い殺さんばかりにギラついた眼光が宿る。だがその圧力を受けても彼は眉一つ動かすことなく、こう続けた。

 

 

 

「"それは当たり前だよ。私はその人じゃないし、その考えを全て理解できる訳がない。ただし、これだけは確実に言える"」

 

 

 

 

 

「"君の為に涙を流せる人が、もう一度君に死んでほしいなんて願う筈がない。そうだろう?"」

 

 

 

 最初に邂逅した際の怯え切った人間とは別人かの如く、不動の心で返した彼の台詞に彼女は唸り続けながらも手を離す。開放された彼は何も言う事はなく、ただ静かに襟を正した。

 そうしてある程度整え直すと、彼は言葉を続ける。

 

 

「"『バルファルク』が前の世界でどんなに悪い事をしていても、違う世界の住民である私達がそれを裁く権利は無い。ならば此処で生徒として生まれ変わった『君』は、大人である私に預らせてほしいんだ"」

 

「何の為に?」

 

「"その人の為、そして何より君の為だよ。君が忌み嫌われない存在にさせたくはない"」

 

 

 清らかな心で唱えられた彼のそんな台詞に、少女は何も言えなかった。すると今まで黙っていたヒナも再び口を開き始める。

 

 

「もし今日、私達を討ち果たしてそのまま先生を攫った――なんて事が本当に起きていれば、どうなっていたと思う?」

 

 

 

「ほぼ間違いなく、シャーレの生徒総出で貴方を殲滅せんと躍起になるでしょうね。それさえも跳ね返したとすれば、またもや人類の敵だとされかねない所業だったのよ」

 

「はっ、たかが一人の人間くらいで大袈――」

 

 

 彼女が小馬鹿に返そうとした瞬間、部屋に常軌を逸した緊張感が走る。それは彼女と先生を除く三人が、鋭利な眼光を少女に浴びせたためだった。それを瞬時に理解した彼女は口を噤む。

 

 

「"高みを目指そうという、その思想をやめろなんて事は言わない。ただ、その手段だけは見失わないでほしい"」

 

「手段か。大自然を幾星霜生きた私には、今までのような野蛮な方法しか思いつかんよ」

 

「"分からないなら、私達と一緒に学んでいけばいい。聡明な君ならきっと出来る筈さ"」

 

「……どうしてそこまで私を生かそうとするんだ。私は貴様を攫い、嬲ろうとしたんだぞ」

 

 

 わけが分からないといった心境で少女は再度問いかけるが、それに答えたのは先生ではなく――

 

 

「さっきから聞いていたら、ああ言えばこう言う。敗者の意見だの何だの言うわりには随分と口答えするのね」

 

 

 ヒナであった。彼女のその冷淡な台詞に少女は口籠り、次に吐かれるであろう言葉に備え身構える。

 

 

「それに、不撓不屈の精神はどうするのよ。まさか貴方とあろうものが、一度負けたくらいでおめおめと引き下がるつもり?」

 

「……は?」

     

「そうそう、リベンジしたいのならいつでも受けてあげるよ。まあその時もおじさん達が勝っちゃうけどね〜」

 

 

 しかし少女の予想を裏切り、ヒナは彼女に再起をかけるような言葉を言い放つ。続けてホシノもはにかんだ笑顔で鼓舞を打ち、アヤネも見守っているだけではあったのの、その明るい表情からして二人に対して否定的ではないのは一目瞭然であった。

 

 

「"彼女達もこう言ってくれている。もう深く気負う必要はないんだよ"」

 

 

 そんな三人と同じように彼もまた励ましの言葉を送り、彼女の返答を待ち続ける。すると――

 

 

「このキヴォトスという世界の景色は実に美しかった。それを消し去ろうとする者――ましてやそれに私がなりかねないとすれば、捨ておけんな」

 

「"っ! なら――「故に問おうか」……なんだい?"」

 

 

 肯定的な雰囲気を匂わせ始めた少女に目を爛々と輝かせる先生だったが、彼女はそれを手で制して言葉を紡いだ。

 

 

「貴様の言う通り、私の力はこの世界に安寧をもたらす事ができるかもしれない。だが偉大なる力というものは、ひとたび用途を見誤れば世界を滅ぼしかねない諸刃の剣だ。現にそうしてきた私を、貴様が掌握できる器があるというのか? 生徒達に守られてばかりの脆弱なお前が」

 

 

 そして獰猛な眼光を放ち、その視線で貴様の心臓を撃ち抜かんとばかりに彼を睨む。

 

 しかし今更その程度の事で気圧されるシャーレの先生ではなかった。

 

 

「"……今の私にはそんな大した器はないよ。だけど――"」

 

「だけど?」

 

 

 

「"言っただろう? 一緒に学んでいこうと。君がこの世界をもっと知りたいように、私達にも君という存在を教えてほしい"」

 

 

 

 軽やかな笑みを浮かべながらそう答えた先生に、彼女は目を少し見開く。

 

 

「『私がお前を導いてやる』とでも言うと思うたが――まさか共に歩んでいこうとぬかすとはな」

 

「"大して素性も知らない子に向かって、頭ごなしに指図するほど私は思い上がっていないよ"」

 

 

 不適な笑みを崩さない彼のそんな言動を受けると、少女はつらつらと話し始める。

 

 

「何故ホシノ達があれほどの決死な思いでお前を守ろうとしたのか、少し合点がいった気がするな。猛者どころか貧弱な人間そのものであるのに、この人徳――実に興味深い」

 

 

 

 

「いいだろう、お前を試してやる小僧。この私を飼い慣らし、絶望とされた龍を希望とやらに変えてみるがいい。精々失望されないように励むんだな」

 

 

 

 そうして先生のほうへと少女は振り返り、傲岸不遜なその台詞で彼に付き合う事を決心したのだった。

 

 

「"ああ、どうか手柔らかにお願いするよ"」

 

 

 良くも悪くも彼女らしいその受け答えに、先生もまた満面の笑みを返す。しかしそんな時――

 

 

「どうやら一通り話はついたみたいだし、少し話を戻していいかしら」

 

「"あれ、ヒナ。何か気になる事が?"」

 

「彼女の名前よ。いくら人名は千差万別だと言っても、バルファルクのままでは些か浮いてしまうわ。人間としてこの世界で生きていく以上、違和感を持たれない名前を考える必要がある」

 

 

 ヒナのその懸念は至極当然であった。それを理解した先生は何かいい案はないかと、ホシノ達にそう聞こうとした刹那――

 

 

「よし小僧、貴様が名前を付けろ。そうだそれがいい」

 

「"ええっ!? 私!?"」

 

「あんなに熱烈なアプローチをしたもんね〜、相応しい指名じゃないかな?」

 

「"ホシノまで……"」

 

「ふざけた名にしようものなら承知せんぞ?」

 

 

 少女直々の指名を受けた上にホシノからも援護射撃を喰らい、彼は引くに引けない状況となる。そうして全員の視線を受ける中、真剣に思案を巡らせ始めた。

 

 

(天を翔ける彼女の姿は、まるで流星のように空を裂き、猛る炎の如く赤光を輝かせて――)

 

 

 

 

 

(……よし、ひとまず良さそうなのは思い浮かんだ。しかし本人が受け入れてくれるだろうか……)

 

「おっ、その表情からして何か思いついたようだな。言ってみろ」

 

 

 発案したものが本当に良いものか、悶々と悩む先生の顔から察した少女が発言を催促する。すると彼は覚悟を決め、それに答えた。

 

 

「ああ、星流ホムラ。なんていうのはどうかな?」

 

 

 お伺いを立てるように提案されたその名を聞き、少女はゆっくりと顎に指を当てる。

 

 

「なるほど。即興にしては響きは悪くないわね」

 

「どことなく安直な気はするけど、おじさんもいいと思うよ〜」

 

「私も素晴らしいと思います。後は本人がどう言うかですね」

 

 

 ヒナ達も様々な反応を見せ、アヤネの言うように彼らも少女の顔色を伺う。するとふと、彼女はくすりと笑い――

 

 

「ああ私も気に入った。貴様の考案したその名前、有り難く頂く事にするよ」

 

 

 感謝の意を込め、その名を受け入れるのだった。ホシノ達の面持ちも明るいものとなり、先生はほっと息をつく。

 

 

『ふふっ、どうにか丸く収まったみたいで何よりですね!』

 

『同意。これこそ大団円のハッピーエンドな有終の美の掉尾を飾っためでたしめでたしです』

 

『……どうして同じ事を何度も言ってるんですか? プラナちゃん』

 

『いつもの貴方なのですが?』

 

 

 すると手に持っていたシッテムの箱の電源が点き、漫才のようなやり取りをするアロナ達の姿に彼もまた微笑んだ。

 

 こうして彼らは少女を新たな仲間として迎え入れ、天彗龍の一件は幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし古龍による騒動はまだ序章に過ぎないという事を、この時の彼らは知る由もなかった。

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

 

 真っ白な長袖の服とズボンに体を通し、姿見を頼りに身なりを整える。こうして朝の準備を終えた私は居住区の玄関を開き、とある場所へと向かった。

 

 

 エレベーターでシャーレのオフィスがある階まで上昇し、そうして長い廊下を歩いて到着した先は水色のガラスが貼られた観音開きの扉。中にいた人物も私の存在に気が付き、こちらに駆け寄って扉を開く。

 

 

「"やあ、いらっしゃい"」

 

「ああ、今日から世話になる」

 

「"こちらこそよろしく。さあ、中に入って"」

 

 

 彼の言われるまま室内に入り、机や書類の山々でインテリアされた光景を一望する。すると彼はこちらに再度顔を向け、私の服装をまじまじと見る。

 

 

「"それにしても、その()()()()()()()()も良く似合ってる。首元のスカーフが相まってなんだかCAみたいだ"」

 

「お、気が付いたか。実はこれはモモカの考案で意匠されてな、中々に洒落ているだろう?」

 

「"ああ、可憐さの中に勇ましさもあって実に素晴らしいよ"」

 

「ふっ、褒め言葉として受け取っておこう。では改めて――」

 

 

 そして私は目の前の人物が授けてくれたその名を宣言するべく、胸に息を溜め込んだ。

 

 

 

 

「シャーレ専属『星流(せいりゅう)ホムラ』。本日よりここに着任致す」

 

 

 

 名も知らぬ狩人よ。不器用ながらも私は、貴様と同じ人間としてこの世界で上手く生きてみせよう。

 

 

 

 






 終わりっぽい雰囲気であるが、プロローグ編はもうちょっとだけ続くんじゃ。という事で次回上げる後日談的な話で、本作は一旦区切りとなります。今後の流れもそちらの後書きにて申し上げるため、どうぞよしなに。




以下、存在しない記憶


妖星「ブルーアーカイブにおける名付け親三銃士を連れてきたよ」
ユーザー「ブルーアーカイブにおける名付け親三銃士!?」


「黒服の命名者。小鳥遊ホシノ」
「ククッ、誉れでございます」
「肋骨引き摺りだすよ?」


「アリス、そしてケイに名前を授けた才羽モモイ」
「つまりモモイを殴れば良いのですね!」
「どうしてそうなるの!?」


「ホムラの名付け親となった先生」
「"父親みたいで感慨深いなぁ"」
「ほざけ」


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