透き通る世界を照らす赫き星   作:お茶犬大家族

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やっとのこさ本編に突入。これからモンハン要素も強くなっていくかも?

また二次創作という都合上、今後の公式のストーリーにてオリジナルキャラに付けた名前と同名のキャラクターの登場。他の二次創作の作者様と被ってしまう場合があるかと思われますが、何卒ご了承ください。




vol.4 カルバノグの兎編「Strong!Advance!Victory!Extra!」
戦場の子狐は青春の夢を見るか?


 

 

 

『こちらFOX4。引き続き監視塔から周囲を見張っているけど、特にこれといった異常は確認できず。()()()からも緊急の知らせは届いてないよ』

 

「ご苦労。こちらも一度地上から外の様子を伺う、FOX4はFOX3が休憩を終えるまで監視を頼む」

 

『FOX4、了解』

 

 

 隊員の返答を受けたと同時、プツリという電子音が鳴り彼女との通信が途切れる。

 

 

「さて、こちらも持ち場へ行くとする。FOX2は救助者達への物資の至急と、建物内の警護を任せた」

 

「FOX2、了解しました」

 

 

 FOX2からも了承を得たため、自分は建物の外へ出た。外には集会用のテントが複数設置され、今の私が非日常の状況に置かれている事を改めて認識させられる。

 

 

「今回の大規模の洪水により多くの人々が避難を余儀なくされましたが、こちらの施設にて――おや、あちらの方はもしかして七度ユキノさんでは!?」

 

 

 すると近くに立っていた、テレビ局の人間と思われる女性がこちらに気がつく。確か彼女は以前、カイザーPMCの工場を制圧した際にお会いした方だ。

 

 

「お久しぶりです、ユキノさん。カイザーインダストリーでお会いした日以来ですね!」

 

「覚えていてくださって大変嬉しいです。今回もテレビ局の取材ですね?」

 

「はい。ただ以前ユキノさんとお話しした際は戦闘部隊としての印象が強かったため、こういったレスキュー隊のような一面もあるとは考えていませんでした」

 

「何も武力だけがSRTではありません。未曾有の災禍に見舞われ、傷心した市民の皆様の心に寄り添うのも我らの使命なのです」

 

「なんて崇高な信念……! やはりFOX小隊の皆さん()素晴らしいです!」

 

「ああいや、今回の任務は我々だけでなく――」

 

 

 彼女の言葉を一部訂正しようとした、その瞬間だった。

 

 

 

「ユキノくーん、炊き出しの準備完了したよ。おっと、テレビ局もいつの間にか来てたんだね」

 

 

 

 私の後方から聞き馴染みのある声が届く。振り返った先にいたのは180cm近い長身の黒髪の少女であり、その前髪には一本の黄色いメッシュが入れられているのが確認できる。

 

 

「ユキノさん。そちらのお方はご学友で?」

 

「ええ、彼女は――「大丈夫だよ、僕が自分で言うから」 ならそうしてくれ」

 

 

 すると彼女は一歩踏み出す。そうしてカメラの前に立つと左胸に手を当て、頭を下げた。

 

 

 

「テレビをご覧の皆様初めまして。どうも私、SRT特殊学園所属にしてBEETLE小隊の隊長を仰せつかっている『蒼鶏(あおいどり)ツキノ』と申します。以後、お見知り置きを」

 

 

 

 そう、彼女は私と同じくSRT特殊学園に所属する生徒であり、私達FOX小隊と同期である。数拍置いてツキノが頭を上げたため、こちらは彼女の事柄について補足を入れる。

 

 

「今回の救助作戦が5分足らずで終えられたのも、BEETLE小隊の貢献によるものとも言えるのです。レスキュー隊といえばヘリコプターを使い、被災者の上から縄梯子を下ろして被災者を抱えるという図が思い浮かぶでしょうが、彼女達の場合は少し違います」

 

「と言うと?」

 

「僕の背中に半透明の翅があるのが見えますよね? 実は僕達、生まれつき持ったこれを用いることで空を飛ぶ技術を会得しているのですよ」

 

 

 私が煽てたためか、どこか誇らしげなツキノはキャスターに見せていた細長い翅を扇子の如く勢いよく広げる。そしてそれを高速で羽ばたかせ――

 

 

「そう、こんな風に!」

 

 

 一瞬にして避難所の建物よりも高く上昇し、縦横無尽に空中を舞い始めたのだ。その光景にキャスターだけでなく、隣でカメラを抱えていたスタッフも口をあんぐりとさせていた。

 

 

「凄い……本当に空を飛んでる……」

 

「彼女達の存在があることで、ヘリコプターでは難しい軸合わせによるタイムロスを発生させず、プロペラのような激しい駆動音を鳴らさないため騒音トラブルも生まれないのです」

 

 

 この類稀なる能力を持つからこそ、BEETLE小隊が今回の作戦に抜擢された理由なのだ。当の本人は一定時間飛行して満足したのか、再び地上へと戻ってくる。

 

 

「――と、このように僕らはこの技術を最大限に活かす事で戦闘面では航空部隊として駆動し、屋外や自然界にて日々奮闘しているのです」

 

「そんなとんでもない方にお会いする事ができるなんて感無量です! 貴方達がいてくださればキヴォトスの空は――」

 

 

 彼女の一芸を見終えたキャスターが目を煌々と輝かせ、何かを言おうとしたその刹那。

 

 

「そしてこのツキノ、涙を流す女性がこの世にいる限りたとえ火の中、雲の中。ラブホテルの中だろうと何処へでも参ります!」

 

「……ら、ラブホテルの中?」

 

 

 今まで真摯に受け答えしていた人間が発した衝撃の単語に彼女は顔を引き攣らせる。ああ、またいつもの悪い癖が始まるな。

 

 

「それにしてもキャスターさん、貴方はとてもお美しい。今度このスパークリングナイトツキノとホットな夜を――」

 

「……えーと。なんだかキザったらしいのでごめんなさい」

 

「ひぃぃぃん! どお゛じでぇぇ!」

 

 

 どうしても何も当然の返しだろう。この後テレビスタッフ達は別の場所へと向かったため、こちらも両手をついて項垂れる同期を呼びかける。

 

 

「そうやっていきなり口説こうとする癖も平常運転だな。SRTの人間が市民を尻込みさせてどうする」

 

「ちょっとぉ、僕が見境なくナンパするチャランポランだと思ってるなら心外だね。あくまで気になった子にしか仕掛けないよ」

 

「そういう問題ではない。それに美醜に関わる発言はルッキズムと非難される可能性があるぞ」

 

 

 私がそう苦言を呈した瞬間、ツキノは引き締まった顔つきに変わる。そしてすっくと立ち上がり――

 

 

「僕が面食いだって? それは違うよユキノくん」

 

 

 

「僕が言いたいのはシンパシーを感じるかどうかってこと。この世に可愛くない女の子なんて存在しないのさ。自分の魅せ方がイマイチ分かっていない子達がいるだけだよ」

 

 

 

 彼女はその台詞を一点の曇りもない表情で言い放った。日頃からナンパに勤しむ彼女ではあるが、女性には人一倍優しく接するのも確かなのだ。

 

 

「君にもそういった真心があるからいまいち憎めないんだ」

 

「おっ、まさかのユキノくんと脈アリ?」

 

「寝言は寝てから言ってくれ。それと炊き出しの準備が済んだと言っていたな。配膳するのなら私も手伝おう」

 

「それは助かる。じゃ、行こっか」

 

 

 そうして彼女と共にテントへと向かった後、救助者に温かい食事を渡していった。

 

 学園での生活は決して楽ではなく、それどころか何度も心が折れそうにもなった。しかしFOX小隊の心強い仲間や、ツキノ達のような信頼なる同期がいたからこそ私は私でいられるのだ。

 

 

 たまには私にも学生らしく、皆と青春の日々を送っても――

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

(……随分と、懐かしい夢だったな)

 

 

 未熟者らしくぬるま湯に浸っていた頃の、淡い日々の記憶。今更あんな夢を見るなんて、私にもまだ甘さが残っていたのだろう。

 

 

「あっ、起きた? おはようユキノちゃん」

 

 

 無心に廃墟の天井を見上げていた私に気が付いたのか、こちらを呼びかける声がする。声の主は夢の中でも会話していた桃色髪の少女、FOX2こと『ニコ』だ。

 

 

「今の時刻は?」

 

「0315。不寝番までもう少し時間あるけど、寝なくていいの?」

 

「構わない。睡眠は十分にとれている」

 

 

 遠慮がちなニコを諭し、重たい体をゆっくりと起こす。外していた武装を再度身に纏い、彼女と共に古惚けた薄暗い廊下を歩く。

 

 

「ふふ、とてもいい夢を見たんだね」

 

「なぜそう言い切れる?」

 

「なんだか楽しそうな顔していたからさ、よっぽど素敵な夢なんだろうなって。良かったら教えてくれてもいいかな?」

 

 

 話すかどうか少々躊躇ったが、教えたところで減るものでもないだろう。

 

 

「昔の記憶を見ていた。我らがSRTの誇る卓抜な航空部隊との」

 

「そういうことか。あの子達との思い出は、忘れたくても忘れられそうにないもんね」

 

「……否定はできないな」

 

 

 なんてやり取りをしている内にようやく屋外へと出た。当然空は未だに青黒いままだが、そんな事は関係ないと通信機を起動させる。

 

 

「FOX4、報告を」

 

『はいはい、FOX4さんですよっと。連邦生徒会の現状は依然として混乱続きといったところかな。巨大な塔の崩壊から日が浅い内に、奇怪な彗星の出現が重なれば必然的とも言えるけど。後者に関してはすぐにその正体が判明したとはいえ、どうして彼女の存在が今まで秘匿にされていたのかの疑問は残ってるし、連邦生徒会長代行であるリン行政官の在り方を疑う声が多いね』

 

『それもこれもSRT特殊学園の閉鎖前、私達がサンクトゥムタワーを襲撃して彼女を庇護する人間を片っ端から潰したからだけど。なんて言っても役員達もそろそろ復帰しておかしくない頃だし、その場合カヤ室長の立場が危うくなっちゃうけど、どうするの?』

 

「前にも伝えた通りだ。七神行政官を支持する勢力が増そうものなら()()()()()()()()に措置し、不知火室長の支持者の数を常に上回らないようにすること」

 

『……了解。って、言いたいところだけど続けていい?』

 

 

 FOX4こと『オトギ』は普段は楽観的なのだが、今はどこか訝しげな声色だ。それを察するに()()()()()()()()のだろうか。

 

 

「ああ、聞かせてくれ」

 

『持ち場の周辺に体長1mくらいあるダンゴムシが何匹かいてさ、試しに一匹捕獲しようとしたんだけど、ガチガチに固い甲殻で銃弾が弾かれちゃったんだよね。ただ銃弾の衝撃までは耐えられなかったのか、ひっくり返って柔らかい腹部を丸出しにしたけど。お陰で麻酔銃をすんなり撃ち込めたから、捕まえるのには苦労しなかったよ』

 

「ご苦労。その捕縛したという虫は今どうしている?」

 

『大きさが大きさだし、大型犬用のケージに入れてあるよ。カヤ室長にもある程度の捕獲・採集の認可は受けてるしね』

 

「群れを成していたのなら、一匹ぐらい捕獲したところで生態系に大きな影響を及ぼす事はないだろう。しかし念の為だ、彼女にも私から報告しておく」

 

『FOX4、了解』

 

 

 今度こそ彼女との通信を終え、次に別の人物と無線を繋ぐ。

 

 

「FOX3、そちらの進捗はどうだ」

 

『こちらFOX3。手筈通りに北山区の車両基地にEMP爆弾を設置して運行管理システムの無効化及び、主要電子設備の破壊工作を遂行させた。SNSを確認したところ市民は連邦生徒会のミスだと思ってるみたいで、モモカ室長とリン行政官を非難する投稿ばかりね』

 

『ただやっぱり、電車を動かす事が出来ないから病院に行けずに困ってる人達も大勢よ……。ねぇFOX1、本当にこのまま進めて大丈夫なの?」

 

 

 などと不安を抱くFOX3もとい『クルミ』だが、そんな彼女に私が返す言葉は決まっている。

 

 

「それは作戦を進行させる上で重要な事柄ではないだろう。そんな事よりFOX3、何か変わった物を見かけなかったか?」

 

『……あるにはあったわ。基地に向かう道中にあった雑木林に立ち入った際、見慣れない木の実があったからひとまず採取して、その後に改めて観察しようとしたらつい落としちゃってね。するとそれが地面にぶつかった瞬間、激しい音を鳴らしながら派手に破裂したのよ。名付けるなら『拡散の実』ってところかしら』

 

「そんな代物が……ところで、拡散の実はどのぐらい群生していた?」

 

『結構鈴生りになってたから、そこから5個くらい拝借したわ。取りすぎたら乱獲だなんて言われ兼ねないしね』

 

「ならば問題ない、最適の判断だ。合流する際はそれを持参するように」

 

『FOX3、了解』

 

 

 その声と共にクルミとの通信が途切れる。彼女達が寄越した情報でより確信した。

 

 

「やはり近頃のキヴォトスはどこか奇妙だ」

 

「変わった事と言えば、さっきオトギちゃんも言ってたシャーレのあの子だよね。私も彼女について調べようとしたんだけど、有益な情報は少ししか得られなかった」

 

「いや、分かっている範囲で構わない。教えてくれないか」

 

「うん。唯一分かっている事が彼女の受けた試験についてでね。筆記に関しては平均的だったらしいけど、実技では次々とレコードを大幅に更新したんだって」

 

「なるほど、それで?」

 

 

 空が赤く染まった日以降、各地区の郊外で目撃されている新種の動植物の数々。それに加えてシャーレの専属として配属されたという件の生徒、名を星流ホムラ。彼女の過去や出自の殆どが不明瞭……連邦生徒会は一体何を隠している?

 

 

「以前までの連邦生徒会に目立った武闘派はいなかったけど、彼女の立ち位置は現状リン行政官の支持側に寄ってるみたいだから……」

 

「彼女と交戦しかねないと懸念を抱いているのか?」

 

 

 するとニコは無言で頷く。

 

 

「先程も言っただろう。私達は下された指令を迅速かつ、不備なく遂行するSRTの生徒。そこに立ち塞がる相手が誰かどうかなど関係ない。その場合は彼女にも他の役員と同様、少し大人しくしてもらうだけだ」

 

「……ユキノちゃん、私達本当にこのままでいいのかな? 学園を再建させるためなんて言って、何の罪もない人達に損害を与え続けて――」

 

 

 

「それって、正義と呼べるのかな?」

 

 

 クルミとオトギに続き、君までそんな不安そうな声をするのか。だがしかし――

 

 

「私達SRTの人間は、任務を遂行させるための道具に過ぎない。思考も意思も持たず、ただ命令に従うだけの存在。そんな私達を使いこなせる者にこそ、物事の善悪を判断する資格があるのだ」

 

「……FOX2、了解しました」

 

 

 私がそう告げた数秒後、彼女は多くは語らず淡々と返答した。だがやはり悲しげな表情は隠しきれていない。だがこちらも悪意があって言った訳ではないんだ、許してくれ。

 

 それよりも進めるべき事もあるのだから。

 

 

「さて、残りの課題はRABBIT小隊の始末だけか」

 

「RABBIT小隊――ああ、ミヤコちゃん達のこと?」

 

『おっ、何やら面白そうな話題になってんね〜。私も混ぜてよ』

 

『そうよ、自分達だけ後輩に会いに行こうなんて水臭いじゃない!』

 

 

 ぼそっと呟いた私の台詞に反応し、FOX3とFOX4との通信が再び繋がる。

 

 

「君達、呼び出したつもりはないんだが……」

 

「まあまあ、二人とも今後はやる事も特にないんだし、久しぶりに全員で動いても怒られないよきっと」

 

『そうそう、それにあの子達とは例の歓迎会もしてない筈だし?』

 

『となればニコのお稲荷さんも食べられる訳だもの。行くっきゃないでしょ』

 

 

 すっかりついて行く気満々な二人だが……まあ、なんだ。

 

 

「確かに人数は多くてなんぼか。ならFOX3とFOX4は各自の任務を完了させた後、HQにて整理を終えたら即座に『ウェルカムパーティー』の準備を進めるように」

 

『『了解!』』

 

「これだけ期待されたら私も作り甲斐があるよ。お腹いっぱいになる程作ってあげなくちゃ」

 

「ああ、久方ぶりの邂逅に相応しい盛況な宴にしてあげよう」

 

 

 

 

 

 

 送っても――許されるのだろうか。

 

 






4周年ライブにて放映された6thのPVはあくまでティザーであるらしいため、完全版ではカルバノグや百花繚乱の続報があると信じています。だって、ユキノ以外の苗字が明かされないまま二年以上が経つとは到底思えないので……。

ちなみに私は彼女達の中ではオトギが好きです。さて、貴方の推しは?

FOX小隊の中で最推しは?

  • ユキノ
  • ニコ
  • クルミ
  • オトギ
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