仮面ライダーハーメルンジェネレーションズ ディガルム×ハカイブ DARKNESS REBELLION   作:大ちゃんネオ

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別世界の指名手配犯

「こ~ら~儚~! バイク洗ったらホースちゃんと片付けなさいって言ってるでしょ!」

「バイクじゃありません……! ショーリョーマッです!」

「そういう話じゃないでしょ今は!」

「ひぃん……ごめんなさい……!」

 

 ここはハカイブの世界。

 東京世田谷区にある女性限定のシェアハウス結城荘……の庭先。

 メタリックグリーンのオフロードバイクに似たマシン。霊馬駆動輪・ショーリョーマッの隣に正座する黒ずくめの少女、儚・インフェルニティ・ブツダンブッカ・ソナエモン・ハカイブ。

 絶賛叱られ中。

 

「まーたやってるよ」

「あらあら~」

 

 リビングでは叱られている儚を見て、あゆと望がいつものこととスルーしていた。

 しかし、流石に長々と説教されている姿を見せつけられるのは気持ちが良いものではない。

 一度ため息をついたあゆが仲裁に入った。

 

「千佳姐」

「なに!」

「疲れるだろ?」

「……疲れた」

「じゃあ休めよ。儚はホースちゃんと片付ける。いいか?」

「は、はい……」

 

 あゆが間を取り持ってくれたと儚は感謝しながらいそいそとホースを巻いて片付け始める。

 千佳は縁側に腰を下ろし、息をついた。

 

「ちゃんとやってればこんな言わないんだから片付けを忘れないこと。いいわね?」

「はい……。ん……?」

 

 千佳の言葉を素直に飲み込む儚であったが、何か奇妙な音が耳に入った。

 あたかも、空を切ってこちらに近付いてくる何かのような……。

 それは、矢であった。

 

「ヴェッ!?」

「儚!?」

 

 儚の額ど真ん中に直撃した矢。

 儚は倒れ、白目を剥いていた。そんな儚に千佳とあゆが駆け寄り、儚の名前を連呼する。

 

「くそ! 一体どこから!」

「儚! 起きなさい儚! ああもう! あゆは救急車呼ぶ!」

「分かった!」

 

 スマホを取り出し、電話をかけようとするあゆ。しかしそれを様子を見にきた望が止めた。

 

「ちょーっと待ってね、あゆちゃん」 

「なに言ってんですか! 急がないとヤバいだろ!」

「えーっと、二人ともよく見てほしいんだけど……。儚ちゃん、矢が刺さってるのに血、出てないでしょ~?」

「なに言ってんの! そんなの作者が読者の対象年齢考えてグロくならないようにしてるだけでしょ! こちとらゆるふわ美少女コンテンツなんだから!」

「これがそういう作品なら急に矢が飛んで来るような世界観にならないと思うの~」

 

 それに、この作品読んでる人の層にそんな配慮いらないと思うわと付け足すと、望は儚に近寄り……額に突き刺さった矢を抜いた。

 キュポンと可愛らしい音が鳴る。

 鏃の先は、吸盤であった。

 

「やっぱりおもちゃの矢だった。儚ちゃ~ん、起きて~」

「嘘でしょおもちゃの矢で死んだの儚」

「……はっ! 矢が刺さって死んだわこれ……って思ったら死んじゃいました……」

「そんなザバーニーヤみたいな因果逆転で自分を殺すなよ」

「にへへ……。あれ、これ……」

 

 儚は矢に結ばれていた紙に気付いて紙を取り外して広げる。

 それは儚の世界、戦士の墓場からの手紙であった。

 暗号文のため、儚はキセキレジスターを取り出し解読。

 手紙の文字が浮き上がり、キセキレジスターへと吸収されると文章となる。

 

 

「とある世界に流出した怪人達の魂を複数確認。仮面ライダーハカイブはこれの回収および悪用したものの排除にあたれ……」

「うわ、これ任務の伝達ってやつ?」

「儚ちゃんを指名してるわねぇ」

「ひぃん……人手不足……」

「どこの世界も世知辛いわね……」

 

 少子高齢化、人手不足。

 現代社会も戦士の墓場も悩みは同じであった。

 

「むっ……これは……」

 

 儚は手紙の下に貼り付いていた紙片のようなものを手に取った。

 

「なにそれ?」

「拠点ごと並行世界に転移するための装置です……。手違いで付属してきたみたいですね……」

「ふーん。装置って言ってたけど、なんかそんな感じしないわね」

「持ち運ぶ時はこれで、使う時は……」

 

 儚はリビングへと上がると紙片を開き、装置を起動させる。

 特にこれといった派手なエフェクトもなく現れた装置を目にした千佳達は口を揃えて同じ感想を溢した。

 

「「「ディケイドの写真館のあれだ……」」」

 

 この場の誰もが知っていたが名前は分かっていなかった。

 背景ロールというものである。

 

「なるほど。たしかにこれなら拠点ごと他の世界に行けるわ」

「はい……。でも、皆さんを巻き込むわけにはいかないので……」

 

 一人で行ってきます。儚がそう言おうとすると、二階から優李がやって来た。

 

「そろそろおやつの時間~。……あー! ディケイドの写真館のあれ~!」

 

 優李もまた背景ロールの名を知らなかった。

 それはそれとして、オタクの好奇心が爆発して優李は背景ロールをじろじろと眺める。鑑定団のBGMを流したくなる光景だ。

 

「へ~すご~い。どうしたのこれ~」

「戦士の墓場から送られてきまして……」

「そうなんだ~」

「あの、気を付けてください……。それ、本物なので……」

 

 儚がそう注意をしている最中であった。

 

「みんな、芋餅作ったから食べて」

 

 ずっと台所にいた莉緒がお盆を手に現れた。

 丸く、黄色に焼き色がほんのりとついた芋餅。

 焼きたてで、砂糖醤油の香りが食欲を誘う。

 特に、おやつ目当てで二階から降りてきた優李にはこの匂いが効いた。

 

「わ~い! 食べる食べ────」

 

 パタパタと小走りで莉緒に向かおうとする優李。

 補足しておくと、彼女は家では裸足派であった。

 そんな、剥き身の、右足の小指が────背景ロールの角にぶつかった。

 

「ガッッッッッ!?!?!?!?」

 

 読者諸兄には伝わるであろう、激痛。

 そして……優李が小指をぶつけた衝撃で、背景ロールの背景が降りた。

 

「あ……! まっ!」

 

 儚も思わず背景ロールへと駆けるがもう遅い。

 降りてきたのは青い星、地球の絵であった。

 

「いったぁぁぁい!!!!!」

「大丈夫?」

「だいじょばない~~~!」

 

 涙目で痛い痛いと叫ぶ優李を他所に千佳達は背景ロールの前で立ち尽くしていた。

 儚はすぐに玄関へ向かい、外へ飛び出す。

 そこは現代日本……ではあるが、結城荘があった場所とは違う景色。

 住宅街にあった結城荘だが、周囲にはビルが立ち並ぶ東京のど真ん中といった光景。

 それを確認したあと、儚は再び結城荘の中へと戻り、慌ただしく背景ロールの各部をチェックするが……。その手が、止まった。

 

「儚……?」

「ど、どうしましょう……壊れてます……」

「ええっ!?」

「ていうことはつまり……」

「別の世界に来ちまった……ってこと……」 

「ちょっとー! わたしの小指の心配してよー!」

「「「今それどころじゃないから!!!」」」

 

 

 

 

 少し経ち、結城荘会議がリビングで始まった。

 芋餅を食べながら。

 

「えー、というわけで皆も外を見たとおり。私達は並行世界に来てしまいました。結城荘ごと」

「私達の世界とそう変わらなさそうだけど~……」

「何かおかしなことになってるかもしれないしね」

「うう……ごめんなさい……わたしのせいで……」

 

 小指の痛みが引いた優李は状況を飲み込み、かつてないほどに落ち込んでいた。

 

「気にすんなよ」

「うう……」

「あれの修理ですが……時間がかかりそうです……」

「修理も大事だけど、儚は任務もあるわけだから……。そうなると、私達の世界に帰るには時間かかりそうね」

 

 さて、どうしたものかと全員が頭を抱えていると突然インターホンが鳴った。

 

「え、お客さん?」

「いや、私達の世界ならともかくそんな……」

 

 千佳が代表してインターホンに応じる。

 画面に写っていたのは、小学生の男の子であった。

 

「はーい?」

「あ、人いる! こんにちは!」

「こんにちは……えっと君は?」

「となりのものです!」

「お隣さんだって」

「並行世界でもご近所付き合いしなきゃね~」

 

 世界は変わっても、変わらないものもあるのだなぁと六人はしみじみ思った。

 そうこうしていると、インターホンの向こう側では男児の保護者と思われる中年の男性がやって来た。

 

「あ、どうもすいません家のが。私、隣で喫茶Hamelnという店やってる藤堂と言いますのでよろしくお願いします~」

「あ、どうもご丁寧に~。よろしくお願いします~」

 

 完全に他所行きの声で応対する千佳。

 その光景をあゆ達が弄っていた。

 

「インターホン越しは流石に失礼よね……。私、出てくる」

 

 そう言い残して千佳は玄関へと向かう。 

 扉を開けるとすぐ、その親子と思わしき二人と顔を合わせることになった千佳は咄嗟に笑顔を浮かべた。

 

「すいません少し手が離せなくて~」

「あ~いえいえすいません。わざわざ出てきてもらって」

「ねー昨日までこんな建物だったっけ? お姉さんいつ引っ越してきたの?」

 

 少年の質問に、千佳は窮した。

 正直に話せるわけがないからだ。

 話したら頭のおかしい奴と思われてしまう。並行世界の人が相手とはいえ、やはりそれは躊躇われる。

 

「章太郎そんなこと別に気にしなくたっていいだろ~」

「だっておじさん、うちの隣は……」

「いや~お隣が風情ある喫茶店なんて最高です! いつでも行けちゃいますね! 常連なります!」

 

 章太郎という名の少年の追及から逃れるべく、千佳は話題を逸らした。

 効果は覿面。

 おじさんと呼ばれた男性はすっかり気が良くなったようであった。

 

「いやー美人さんが常連となると嬉しいですなぁ。ここにはお一人で?」

「あ、私の他に五人いて。シェアハウスなんです~」

「そうでしたか! 皆さん女性で?」

「ええ、はい。歳も近いので仲良く暮らしてます~」

「それはいいですな! そうだ! 引っ越し祝いにうちでコーヒーどうです?」

「いえ、そんな~」

「いえいえ遠慮せず。他の皆さんも連れてきてください!」

 

 ということで。

 

「わー、喫茶店! って感じ~」

「純喫茶お洒落~」

 

 結城荘総員六名。

 お隣の喫茶Hamelnのカウンター席に並んで座り、コーヒーを嗜んでいた。

 

「いやぁ、今日は空いてて良かった」

「あ、やっぱり人気店なんですか?」

「いやぁ、まあ、おかげさまで」

 

 カウンター越しにマスターである藤堂権兵衛がカップを拭きながら笑顔で答える。

 しかし、それを訂正する少年が一人……。

 

「前は暇だ暇だ~って言ってたんだけど、最近たまに来るお兄ちゃん達のおかげでお客さんが増えただけだけどね」

「こらっ! たしかにあの子らのおかげだけど、その後もリピーターとして来てくれるのは俺のコーヒーの味が良いからで……。あっ、いやぁすいません変なところをお見せして」

 

 照れ笑いを浮かべる権兵衛に、千佳と望は権兵衛が美人に弱いんだなということに気付いていた。

 

「いえいえ! 実際美味しいですもんコーヒー! ねぇ儚」

「はい……! これ、儚もいける……!」

「お、お嬢ちゃん日本語上手だね。どこから来たんだい?」

「儚は戦士の墓ヴァッ!?」

 

 儚が正直に答えようとするので、慌てて千佳が儚の口をおさえる。

 

「あはは……ハーフなんですよ~」

「なるほどなるほど。若いのにお家出て立派にやってるんだねぇ」

「にへへ……儚、リッパ!」

 

 立派という言葉に気を良くした儚は締まりのない顔に。

 まったく、すぐ調子に乗るのだからと千佳が思いながらカップに口をつけると、店内のテレビで流れていたワイドショーが驚くべき内容を取り上げた。

 

「さて、連日取り上げております仮面ライダーディガルムについての話題です」

 

 中年の名物司会者がさらっと放った言葉に千佳達はコーヒーを吹き出しそうになる。

 なんとか我慢して、テレビに視線を移すと怪人と見たことのない仮面ライダーが戦っている映像が映し出されている。

 

「あ! ディガルムだ!」

 

 章太郎もまた子供らしくディガルムに視線が釘付け。

 ワイドショーではなく、特撮番組を見ているようだ。

 頭が蜘蛛のような怪人に颯爽と立ち向かう赤き戦士。

 赤い身体、赤い複眼、赤いマフラー。

 どこか仮面ライダー龍騎を思わせる鉄仮面と、仮面ライダーセイバーのように額には剣のような装飾が施されている。

 とても、ヒーロー然とした、ヒーローであった。

 

「とぅ! とぅ! とぅっ!」

 

 パンチやキックで怪人を圧倒し、トドメのライダーキックで怪人は爆発。

 戦いが終わったところをマスコミが取り囲もうとするが、ディガルムは真っ赤なオンロードバイクに乗って颯爽と立ち去っていく。

 

「いや~仮面ライダーって感じだよねぇ」

 

 昔の仮面ライダーを思い出すようだと言う権兵衛。

 それとは対照的に一連の映像を見ていた千佳の表情が険しいとまではいかないものの、あまり良いものではないことに気付いた望は小声で尋ねた。

 

「どうしたの?」

「いや、別に……」

「別にって顔じゃないわよ? あの、ディガルムがどうかしたの?」

「……なんというか、その……。ヒーロー過ぎる」

 

 千佳の言葉に望は呆れた。

 

「ヤクザ脚本に毒され過ぎよ~」

「あんただって好きなのはアマゾンズとブラックサンでしょーが」

「それはそれ、これはこれ! でも、よかったかもね。この世界にも仮面ライダーがいるなら、儚ちゃんと協力出来そう」

「お姉さん達仮面ライダー好きなの!?」

 

 二人の会話が耳に入った章太郎が割って入った。

 ライダーオタクである章太郎の耳は、ライダー関連の言葉を優先的に拾うようになっているのだ。

 

「え、ええ、まあ……」

「章太郎くんも好きなの~?」

「うん! 仮面ライダーは全部大好き!」

「いい子~」

「最近ね、僕の世界にも仮面ライダーが生まれたし最高って感じ!」

 

 そうなんだ~と全員相槌を打つが、段々と違和感を覚えていく。

 そうして、儚と莉緒以外の四人はテーブルの中央に顔を寄せてこそこそと話した。

 

「僕の世界にも……?」

「子供の言い間違いじゃない?」

「ほら、ディケイドとかの影響でさ……そういうニュアンスで言ったんだよ、多分」

「まあ、多分考えすぎよね~」

  

 会議終了。

 何事もなかったかのように姿勢を正した四人は一息つくためにコーヒーを一口。

 

「そうだ、仮面ライダー好きのお姉さん達には教えてあげる! 実はね……他の世界から仮面ライダーが来たことあるんだよ!」

 

 四人は、一斉に吹き出した。

 

「ぎゃあ! コーヒーかかった!」

「こっちこそ!」

「あ、あの皆さん落ち着いて……」

「大丈夫?」

 

 章太郎が見かねておしぼりを持ってきたのを受け取り、千佳達は自分やテーブルを拭き始めた。

 

「そんなにびっくりするとは思わなかったよ」

「あ、あはは~そうよね~」

「まったくです。儚達だって別の世界から来ているというのに……」

 

 その何気ない儚の一言が、章太郎少年の好奇心に火をつけた。

 否、好奇心を爆発させてしまった。

 

「お姉さん達も別の世界から来たの!? もしかして皆、仮面ライダー!?」

「なんで言うのよ儚……!」

「ひぃん……だ、だって隠す必要……」

「ヒーローは隠してた方が好みなの!」

「そんな理由!?」 

 

 好きなヒーロー性は人それぞれである。

 

「隠す必要なんてありません……。ショータロ、儚は仮面ライダーです。仮面ライダーが好きと言いましたね」

「うん!」

「では、その好きを証明するため、儚にプリンアラモードとホットケーキを献上するのです」

「仮面ライダーであることを利用して子供にたかるな!」

「ヴェッ!? ひぃん……痛い……」

 

 涙目になり、叩かれた脳天を擦る儚。

 さっき芋餅を食べたばかりであるが、健啖な儚には胃袋の余裕がある様子。

 更に甘いものともなれば別腹である。

 

「夕飯、儚ちゃんの好きなもの作ってあげるから、ね?」

「にへへ……はい……!」

「莉緒も儚を甘やかすわよね……」

「まあまあ、お隣さんだし。いつでも食べにおいで」

 

 まったくと呆れていると、テレビがワイドショーから切り替わり、スーツを着こなした若い男を映し出す。

 

「あらイケメン」

「嫌いじゃないわ~」 

「泉京水ごっこやめい」

「皆さん、はじめまして。僕は浦賀英雄、仮面ライダーディガルムです」

  

 まさかの宣言に、全員テレビに釘付けとなる。

 

「先程、怪人との戦闘中に仮面ライダーディガルムを名乗る男が現れました。この男は偽物。世界を混乱させようとしているのです。この男を見つけたら警察までご一報ください。皆さんで、悪を打ち倒しましょう」

 

 悪と称された青年と、その彼が変身したと思われる黒と紫の仮面ライダーが映し出される。

 

「なんだいこりゃ、ニセディガルムってことか?」

「たしかに悪そうね~」

「リュウガとカリバーに似てない?」

「……」

「千佳姐?」

 

 あゆは、千佳がテレビを睨み付けるように見ていたのに気付いて声をかけた。

 なにか、疑問を抱いているように見えたのだ。

 

「んー?」

「どうしたんだよ」

「いや……なーんとなくだけど……」

 

 千佳が話している時だった。

 扉が開き、鈴の音が店内に響き渡る。

 若い男が来店した、のだが。

 

「はぁ……はぁ……くそ……」

「……あれ」

 

 全員、来店した男とテレビに映し出されている写真の男を見比べる。

 そして、優李が代表して声を上げた。

 

「あー!!! 指名手配犯!!!」

「は? 指名手配? ……はあ!?!?」

 

 男もまたテレビに映る自身に気付き声を上げる。

 どこか困惑しているようにも見えたが、とにかく逃げるべきと判断して慌てて店を飛び出した。

 

「逃がさない……!」

 

 咄嗟に駆け出す儚。

 あの男こそが眠れる戦士の魂を悪用する者かもしれないと。

 

「儚!」

「オッペケテン~」

「オンドゥってる場合じゃないでしょ!」

「僕も行く!」

「こら章太郎待ちな……ぎっ!?」

 

 儚のあとを追う章太郎を止めようとした権兵衛であったが、不幸にもぎっくりいってしまった。

 ぎっくり腰に倒れた権兵衛に躓き、千佳達は権兵衛にのし掛かるように倒れてしまう。

 

「がっ!?」

「ちょ、マスターさん!」

「う、動けな……」

「お、重いよ~!」

「優李どけ!」

「あゆちゃんもあんまり動かないで~!」

 

 こうして、身動きの取れなくなってしまった千佳達は儚に章太郎のことを任せるのであった。

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