魔法少女観察記 作:ジン
有紗が魔法少女の捜索を始めたのと同時刻。二人の魔法少女は影を形にしたような怪物と戦っていた。
「コイツ今までの奴よりもちょっと強いね……でもこのくらいならまだ余裕かな」
翠色の風を身に纏い、怪物の周囲を素早く動き回りながら槍で攻撃を加えていく少女が言う。彼女の名前は
「初めて戦う相手なんだから、あんまり油断しちゃダメだよ!」
晶に対してそう注意する少女は、炎を纏った剣を振るって強烈な攻撃を加えていく。もう一人の魔法少女である彼女の名前は
二人は巧みに連携しながら影の怪物と戦いを進め、弱った所に陽葵がトドメを刺した。戦闘が終わり、怪物が塵となって消滅した所に羽が生えた動物の様な生き物が飛んで来る。
「お二人様、お疲れ様でした!」
その動物……キララが陽葵と晶の二人に労いの言葉を掛ける。
「んー……まぁ今ぐらいのならそこまで苦戦しないと思うけど、幹部とかってもっと強いんだっけ?」
晶がキララに向かって尋ね、それに対してキララが答える。
「そうですね……今お二人が戦った影のようなモノは夜の国の王が魔法で作り上げた兵士です。魔力があれば幾らでも作る事が出来ますが、自我も薄く力も持たせにくい事が分かっています。それに対して幹部クラスの者達は王から力の供給を受けてはいるものの、元々が夜の国でも選りすぐりの精鋭です。強さは比べものにならないかと」
キララの発言を受けて陽葵が口を開く。
「そうなんだ……じゃあ私達ももっと強くならないとね」
「はい、ボクがお二人に渡したクリスタルは契約者に一つの魔法を与え、心の力を魔力に変換して供給しますがそれを使い熟すのはあくまでも契約者です。練習をすれば魔法の使い方は上達しますし、戦闘経験を積めばもっと強くなれると思います」
そう言って人払いの魔法を解くキララ。陽葵と晶も変身を解除し、帰路についた。
「なるほどね」
魔術による千里眼によって一連のやりとりを見ていた有紗はそう呟く。その後ろには先程陽葵と晶が倒したものと同じ影の怪物が倒れている。
「準備は終わったのかな?」
倒れている怪物を触り、何かを調べていた唯が有紗に声をかける。
「えぇ。魔術的なマーキングは二人に施したし、後は使い魔に張らせて様子見って所ね」
「そうか。じゃあ丁度よく時間も潰せたし、私は用事の方へ行くよ。あぁそうだ、上層部にサンプルとして出そうと思うけど、これを回収してもいいかい?」
唯の言葉に対して頷く有紗。それを確認した唯は手元に一冊の本を呼び出す。まだ何も書き込まれていない白紙のそれを開くと、倒れていた影の怪物は文字となって本の中に吸い込まれていった。