魔法少女観察記 作:ジン
協会への依頼を出した有紗と唯。二人は隠れ里の中にある有紗の家に入った。机を挟んで座り、一息ついたところで二人は今後の作戦について打ち合わせを行なう。
「それで、考えって言うのは?」
「怪人が設置した罠の魔法を利用するんだ。さっき術式の複製も見せてもらったけど、あれくらいの精神干渉なら簡単に防げるだろう?」
「そうね、でもそうすると警報機能の方はどうするの?」
「利用するべきなのはそれだ。術式を見るに、警報は怪人へのテレパシーによる情報送信の方式をとっている事が分かった。つまり、魔法少女との戦闘中に起動させてやれば集中力を削れると思うんだ。例え私達に感づいたとしても、戦闘中に会話する余裕はないだろうし、そのまま魔法少女にトドメを刺させれば口封じにもなる。製造施設を警察に制圧させるのは、怪人が死んでからゆっくりやれば問題ないだろう」
唯の立てた作戦の説明を聞き、納得した有紗。続いて怪人の本拠地、帝国への対処について話を進めていく。
「魔法少女を西区に向かわせる方法については、私が怪人に変装してあの小動物に見つかれば問題ないわね。後は帝国とやらへの対応だけれど……」
「どう動くのか分からず、後手に回るのは避けたいね。できれば魔法少女に負けた後、二度とこちらに手出しができないような状態まで持って行ければ良いのだけれども」
「王だけ倒して代替わり。じゃあ次の王になってまた攻めてくる可能性もあるわね……内乱、とか?」
「そうなれば文句ないが、向こうに渡って工作するのは誰が……いや、うってつけが居るね」
「人手が無ければ呼べば良いのよ。私達は魔女でしょ」
そう言って席を立った有紗は、広間に手早く魔法陣を描いていく。今から彼女が行なおうとしているのは悪魔の召喚儀式だ。呼び出す悪魔はアモン。不和と和解を司るとされる大悪魔である。召喚儀式が終わった後、陣の中には蛇の尾を持つ狼が佇んでいる。
『私を呼び出したのはお前か。契約を述べよ』
エコーがかかった独特の声で話すアモン。それに対して有紗が返答する。
「貴方を呼んだのは私よ。依頼はとある国に内乱を起こして滅ぼすこと。報酬はこれでどうかしら?」
そう言って虹色に輝く石を差し出した有沙。この石は怪異を討伐した際に残る残滓を精製、結晶化させたもので魔力の回復やこういった契約の対価として使われる。
『良いだろう。では依頼についての詳細を聞かせよ』
契約を承諾したアモンに、詳しい説明をする有紗。全てを聞き終えた後、アモンは帝国のある世界へと転移していった。