魔法少女観察記 作:ジン
「敵の居場所が見つかりました!」
そう言って部屋の中に勢いよく飛び込んでくる小さな影。それに反応して振り返る二人の少女―
「キララちゃん、びっくりするからノックしてよ……」
「陽葵の言うとおりだよ。乙女の部屋にいきなり飛び込んでくるなんてデリカシーがないなぁ」
少しむくれたように言う陽葵と、からかうような口調で言う晶。二人の言葉を受けて冷静になったのか、気落ちした様子で謝るキララ。そこで晶が話を引き継ぐ。
「それで? さっき見つかったって言ってたのは?」
「あっ、そうですね。以前お二人に話しました敵の動きについての事です」
「あー。西区に全く出てないから怪しいかもしれないってヤツ? ホントに居たんだ」
「はい。ボクがその場所へ偵察へ行ったら、人間に化けて活動してるところを見つけることができました。あの姿は間違いありません。魔王直属の最精鋭……三魔人の一人、《悪夢の魔人》です」
実のところ、キララが見つけた魔人の姿は有紗が化けたものだ。魔術によって容姿を魔人のものへと偽装したあと、更にその上からキララに見破れるギリギリの精度で変装魔術を重ね、あたかも自力で見破ったかのように錯覚させたのだ。
「三魔人って、前にキララちゃんが言ってた幹部の……?」
「はい。夜の国において、最も強いと認められた三人が王直属の戦士として三魔人の位を与えられます。三魔人に選ばれた者は王より力を与えられ、更に強大な戦士となります。現在は《悪夢の魔人》《狩猟の魔人》《氷雪の魔人》が確認されています」
「キララ、見つかったのは《悪夢の魔人》って言ってたよね?」
晶の確認に対して頷いたキララは、魔人の力について説明を始める。
「彼は幻覚や暗示のような、精神に干渉する魔法を得意とする事が分かっています。お二人に渡したクリスタルの力で、ある程度の防御は期待出来ますが、それに頼り過ぎないよう注意をして下さい」
魔人についての説明が終わり、陽葵たちは戦うための作戦について話し合いを始める。
「西区で活動してて、しかも精神干渉能力でしょ……絶対にロクでもないことやってるよねぇ」
「そうですね。早めに止めた方が良いと思います。お二人とも日中は学校があるんですよね」
「うん、土曜日と日曜日は休みだから空いてるけど」
「それなら、そのどちらかの昼に戦いをしかけましょう」
態々昼に限定したことに疑問を覚えたのか、首を傾げた晶がキララに問いかける。
「夜じゃダメなの? それなら土日じゃなくても大丈夫だと思うけど」
「それは彼らの使う力に関係していますね。魔人が王から力を授けられると先程言いましたが、その力の源は夜の国において祖と信仰される《宵闇の神》に由来しています。反対にボクら光の国の祖は《白日の神》であるとされていて、お二人に渡したクリスタルも神様の加護によって作られたものです。その関係上、相手の方が有利になる夜間に挑むのは得策とは言えないかと……」
「なるほどねー。それにしても神様が実在する世界もあるんだねぇ……」