魔法少女観察記   作:ジン

9 / 10
9

 魔法少女達が魔人の居場所を突き止めてから数日後、有紗と唯は魔薬製造施設の屋上に居た。使い魔を通して魔法少女の動向を監視している有紗達は、今日魔法少女が魔人に襲撃を仕掛ける事を知った。そのため介入しやすい場所で待機しているのだ。

 

「実際のところ勝てると思うかい?」

 

「魔人とやらの力が分からないと何とも言えないわね……彼女たちもそれなりに強くなっているけれど、それが通じる相手なのかどうか。保険が上手くいけばいいけど」

 

 唯の問いかけに返答する有紗。魔法少女の戦いを観察して、その成長についてもほぼ把握しているものの、相対する魔人については殆ど情報が無いのだ。この施設に施された魔法の精度から術者としての技量についても当たりを付けているが、それだって正確なものとは言えない。魔法罠の警報機能を利用するものと()()()()()()()を用意しているが、それでも勝てないようであれば強引な介入を行なう必要があった。

 

「そろそろ始まりそうね」

 

 魔術によって、魔人と魔法少女の両者を監視していた有紗が口を開いた。彼女の視界には魔人のすぐそばまで接近した魔法少女と、離れたところで呪文を唱えるキララの姿が映っている。魔法少女と魔人が接触すると同時にキララの魔法が完成、魔人と魔法少女達を除いた一般人は揃ってその一帯から遠ざかっていく。

 

「人払いか……あれが使い難くなったけどどうする?」

 

「見たところ強度は高いけれど、絶対に入れない程じゃない。何とか不自然にならないようにするわ」

 

 有紗は唯にそう答えると、魔人と魔法少女の戦いに意識を集中させていった。

 

 

 

 

 

(これは……どうやら見つかってしまったようですね)

 

 人払いの結界によって周囲の気配が急激に遠ざかり始めたことに気付き、魔人は心の中で呟いた。そして自身の前に立ち塞がった二人の少女に言葉を投げる。

 

「なぜ分かったのかお聞きしても?」

 

「この辺りだけアンタ達の兵士が全く出ないのは不自然だって言ってたよ」

 

「やはりですか。いずれ気付かれるだろうとは思っていましたが……」

 

 そう言った直後に魔人の姿がその場から消える。まるで瞬間移動したかのように陽葵の背後に現れると、抜き放った剣による斬撃を繰り出した。咄嗟に反応して振り返った陽葵が剣を構えて防ごうとした瞬間、陽葵の背後から心臓目掛けて突き出された剣を晶が槍で弾いた。

 

「あっぶなぁ……」

 

 間一髪のところで魔人の攻撃を防いだ晶。自分の攻撃を防がれた魔人は距離を取って晶を観察する。

 

(あの少女は……風の魔法ですか。恐らく視覚によらない探知能力で幻影を無効化したのですね)

 

 晶に攻撃を防がれた理由を推測し、それに対応するよう幻影を調整すると、再び魔法少女に襲いかかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。