暗殺教室 目覚めし魂   作:タツガン

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皆様、お待たせしました。
後誤字等あったら教えて下さい

1/27に序盤の描写を追加しました。


第2話 野球と嵐の時間

 

 夢を見ているような感覚だ。闇夜のなかで自分が人間以上の力を持ち、まるで姿が変わり怪物と戦っている……。その戦いは自分が一方的に怪物を追い詰める。

 攻撃を避けながらその隙を重い一撃を的確に当てることしか考えなかった。そして飛び蹴りの構えを取ると地面から力を吸収するのを感じる。

 そして……その飛び蹴りを怪物に向けて放った。その一撃に足元に吸収した力を怪物に炸裂する。怪物の頭上に光の輪が出ておりもだえ苦しみながら爆散した。その瞬間景色がホワイトアウトし目を覚ます。起き上がるといつも見慣れた自分の部屋にいた。

 

「はぁ………はぁ……」

 

息は荒れている。()()()()()()()()()()()()()()()()。手には殴った感触が少し残っていると同時に自分が怪物を倒したことで自分も怪物ではないかと戦慄する。しかし、切り替えなきゃいけない。例え夢だろうが現実だろうが何かが始まったらもう()()()()()()()()()()()……。

 

「いつもの準備をやらなきゃ」

 

 

 

 

 早朝。翔一はいつものように菜園の手入れを終えるがそのまましゃがみ込み、自身が育てたほうれん草を見ながら何かを考えていた。そこへ真魚がやって来た。

 

「おはよう、翔一君」

 

真魚の呼び声に反応しない翔一。

 

「翔一君!」

 

真魚の強い呼び声でようやく反応した翔一。

 

「……ああ、おはよう。ごめん。ぼぉーとしてた」

 

「もしかして、何か思い出した? 過去の記憶」

 

「だからそれやめてって。それよりも“これ"どうかな?」

 

 真魚に記憶について聞かれるが翔一はやめてと注意し、話の話題を変えて菜園のほうれん草のついて真魚に意見を求めた。

 

「確か……ほうれん草だっけ?」

 

「うん。そろそろ食べ頃だと思ってさ。それに食卓に新しい風? みたいな事を起こしたくてさ…。先生も大根に飽きたと思うし…」

 

 最近の三杉家の食卓は大根が続けていた。やはり同じものを出されると飽きたのか義彦は外で済ますことにしていたのだ。だが翔一が三杉家に来て、初めて育てた野菜が大根だった為か、翔一も重宝していた。最初の頃は上手くいかなかったがインターネット等で大根や他の野菜の事を調べ、今では翔一の育てた野菜はどれも良く育った。

前に太一が翔一と一緒に野菜を収穫した際に「翔一が作るとどうしてこんなに大きく育つんだ?」と聞いてきたが本人曰く、“愛”らしい。

 

「良いんじゃない?」

 

「でも、先生は何が好きなのかな? そういう事はあまり言わないじゃん?」

 

「そうね〜」

 

その時、翔一は真魚にある事を聞いてみた

「そうだ! じゃあ真魚ちゃんのお父さんは?」

翔一は作業しながら真魚の父親の食べ物の好みを聞いた。だが、真魚はどこか悲しそうな表情する。

 

「私の……お父さん?」

 

「先生と兄弟だったんでしょ? 兄弟なら食べ物の好みも一緒なんじゃないかな?」

 

「兄弟って言っても血は繋がってないよ……」

 

「そうだっけ?」

 

すると真魚は翔一にこう言い放った。

 

「翔一君も自分でも言ってたけど記憶喪失のままでいいのかもね……。思い出したくない過去っていっぱいあるもん……」

 

 翔一が過去の記憶について触れられたくないのと同様に真魚自身も父親のことについては触れられたくないものであった。

 それに気付いた翔一は

「……ごめん」と謝罪するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真魚とのやり取りを終えて三杉家の朝食と弁当を作り終え、学校に…E組の校舎に向かい、山奥を歩きながら今朝と同じ様に考え事をしていた。

 

(昨日の夜、俺はどうしていたんだ……? あの時、頭痛と耳鳴りに襲われてそれで……気が付いたら普段通りとはいかないけど自室のベッドの中で目覚めた……。夢で見たあの感覚、現実に起こったように感じた……アレは多分…………なったんだ………アギトに…………)

 

そう、翔一は昨夜において三杉家を出た後の自分の行動と昨日見た夢について思い出していた。しかし、アギトになり、戦いをした際の記憶は曖昧だった。

そんな時、翔一は自身の手の感覚を確認するかのように動かす。

 

(やっぱり確かに手には殴った感覚は残っている……。でも……この()()は慣れないな……)

 

 翔一自身は優しくおおらかな性格なため、争いごとは好きではない。これは彼が自分から殺せんせーに対しての暗殺も同様だ。無論クラス全体で行う暗殺には協力するが個人で行う暗殺は若干消極的であった。

 

(曖昧ってことはまだ上手く力を制御出来てないって事だと思う……。けど、このままって言う訳にもいかないし、確か原作の翔一くんは戦う理由があってそれで制御したんだっけ……?)

 

 力を制御出来ず、本能のまま戦えば他人を巻き込んで傷つけてしまい、下手をすれば人の生命を奪いかねない…。それに戦う理由は今の翔一にはなかった。ため息をつき、悩んでいると誰かが声をかけた。

 

「おはようございます、津上君」

 

声の主は殺せんせーだった。その両腕には英語で書かれた新聞とジュースを持っていた。

 

「……おはようございます。どうしたんです? その新聞とジュース?」

 

「ちょっとハワイまで買ってきました。朝のHR前に校舎裏でこれを読みながらジュースを飲みながらくつろぐのが私の日課でしてね」

 

「そ、そうですか」

(散歩感覚でハワイに行ったな、この人。正直、もう何が来ても驚かないけどさぁ……)

 

翔一はこの教師の超人じみた力にはもう驚かなくなった。そんな時、殺せんせーが提案してきた。

 

「君も一緒にどうですか? この英字新聞を読めば英語力を鍛えれますよ?」

 

「い、いや~今日は気分が乗らないというか、何というか……。それに新聞の内容は多分月の話題ですよね?」

 

「な、何で分かるんですか!?」

 

「あー写真が月の写真ばっかりだからそう言う内容なのかなーと思っただけです」

 

「い、良いではないですか。それにほら、こんなこともあろうかともう1セット買ってきたので。是非一緒に!」

 

 自分の事を考えていたいか殺せんせーの誘いが鬱陶しいと思ったのか翔一は無垢な表情でこう言った。

 

「……殺せんせーって暑苦しいかまってちゃんなんですね!」

 

 その一言は殺せんせーの心にグサッ!!と刺さり精神的にダメージを受ける。

 

「つ、津上君…。き、君…ストレートに言ってきましたね……。先生、少しショックです」

 

(え、この生物…意外にメンタル弱くないか?)

 

「もういいです……。生徒との会話を楽しみにしてたのに……」

 

(……これは流石にめんどくさいな……。仕方がないな)

 

「はぁ……分かりました。付き合いますよ」

 結局、殺せんせーの熱意?と泣き落としに負けてしまい付き合う翔一であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「分からない単語がありましたら聞いて下さい。」

「はーい」

「ところでどうですか? 記憶の方は何か思い出しましたか?」

 

「やっぱり先生もそれ聞くんですね………」

 

「当然です。君は生徒であり、私は君の担任で先生ですから。生徒一人一人の事情を把握してないといけませんから。」

 

校舎裏にて殺せんせーと一緒にジュースを飲みながら英字新聞を読んでる翔一。そんな時、殺せんせーも翔一の記憶について聞いてきた。

 

「別に…今のところは何も思い出していませんよ」

 

「そうですか…。先ほどのため息は記憶について悩んでいたのかと思っていました。記憶を失う前の君には親御さん…家族がいて待っているかもしれません。早く思い出せればいいのですが……」

 

「………そのうち思い出しますよ。だから気にしないで……うん?」

 

 殺せんせーとの会話中に翔一は二人の人物の存在に気付く。

 それはクラスメイトの渚と杉野 友人(すぎの ともひと)が隠れている。

 

―――最近、人の気配に敏感になって来たな……。これもアギトの力の影響か? 二人が隠れているのはきっと暗殺を仕掛けるのかな? だったら少しでも先生の気をそらせるか……。

 

二人をアシストするために殺せんせーに気づかれないように、二人にサインを送り、翔一は話の話題を変えた。翔一が隙を作るとサインを出して2人は気付きチャンスを待つ。

 

「どうかしましたか? 津上君?」

 

「…………ため息はさぁ、記憶の事じゃないんですよ。まぁ、未確認生命体擬きみたいな見た目の担任が記憶喪失の生徒の記憶の事を聞かれるとストレスはたまりますけどね」

 

「ちょ、ちょっと津上君!! 記憶については謝りますが、また私を未確認と勘違いしてるんですか!?」

 

―――お、いい感じに動揺してるな。この隙に……。

殺せんせーが顔を真っ赤にして動揺してることを気にしつつ上手くサインを出して標的(ターゲット)を誘い出す。サインを確認し杉野が対先生用BB弾を埋め込まれた野球ボールを投げる。

 

「いや~すみません。ちょっとした冗談じゃないですか……ってうぉ!!」

 その直後に翔一は2度の突風が襲った。突風が去った後に殺せんせーの姿はなく、周囲を見渡す翔一は殺せんせーを見つけた。無数の触手の内1本にグローブを付けて渚と杉野の背後にいた。

 

「おはようございます。渚君、杉野君」

 

「え!? ええ!?」

 

「さ、2人とも挨拶は大きな声で!」

 

「……お、おはようございます。殺せんせー」

 

―――駄目だったか…。上手く立ち回れたと思ったけど。

 

「ボールに先生の弱点、対先生用BB弾を埋め込むアイディアは素晴らしかった。これならエアガンと違って発砲音もない。けれど、ボールが先生に届くまであまりに暇だったし、直に触ると先生の細胞が溶けてしまうので……ちょっと用具室までグローブを取りに行って来ました」

 

 殺せんせーは杉野に指摘した後、翔一にも指摘する。

 

「さらに津上君。君は先生の注意を引き、動揺させ隙を作ろうとしましたが話題を無理やり変えようとしたのがいけませんでしたね。二人への手の仕草が余計にそれを際立たせてました」

 

―――気づいていたのか……。その場のノリでやってたからもうちょっとバレないようなものを考えるか……。

 

「さぁ、3人とも朝のホームルームの時間ですよ」

 

 殺せんせーはそう言い教室に向い、3人も後を追う様に教室に向かう。

 その時、渚と翔一は落ち込んだ杉野を励ましたが、今日1日は落ち込んだままだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わり病院では昨夜、G3を装着し未確認生命体を超えた敵と戦い、気を失った氷川は病室から目を覚まし小澤と担当医との立ち合いでCTスキャンの検査を受けていた。

 

「どこにも異常は見当たりません」

 

「よかったぁ~」

 

CTスキャンの写真を確認し、担当医の一言で安堵する小澤。

 

検査を終えて背広に着替えた氷川と小澤は移動しながら今回の件の会話する。

 

「小澤さんはショックじゃないんですか? G3の武器が全く通用しなかったんですよ?」

 

「そりゃあショックだけど、でも収穫はあったと思うわない? 相手が“未確認生命体”だったらG3の武器で()()で倒せたはずよ。それが効かないってことは…………」

 

 小澤のその一言に氷川は立ち止まり、考える。

――――確かに……。G3は武器を含めて対未確認生命体用の装備だ……。もしかして、敵は未確認とは違う存在なのか……? だとすれば奴は何で冴木一家を襲った? 目的は一体……。

 

「氷川君?」

 

先行していた小澤の呼ぶ声に我に返り、氷川は彼女の後を追う。

 

 

 

 

 

 

 氷川達がいた病院には昨日、搬送された芦原 涼も病室のベッドにいた。コーチである両野もおり彼の担当医に尋ねる。

 

「それで…どうなんですか? 涼の様子は?」

 

「内科系統にはなんら異常は見当たりません。ただ、昨日言った筋肉の発熱と痙攣が激しくなっています」

 

「どういうことですか?」

 

「これは……患者の筋肉組織が膨張を続けている証拠です」

 

彼らの会話の最中、苦しむ涼……。

 

一体、彼の身体に何が起こっているのだろうか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学校が終わり、三杉家に帰宅した翔一。

 今日の三杉家は義彦がいて、彼が勤めている城北大学の自身の研究室での論文のテーマを5人の生徒たちと話し合っていた。翔一は学校から戻って早々に制服の上着を脱いでからエプロンを着け、彼らの為にお茶を用意する。

 

「では、粗方は論文のテーマが決まったが……まだ決まっていないのは岡田君だけになったなぁ」

 

「岡田はどうしても超心理をやりたいんですよ。こいつ、思い込み激しいから」

 

生徒の一人が岡田と呼ばれる学生の人物像を表する。だが、岡田はどうしても超心理を題材にした論文をやりたいと訴える。

 

「あの……実は僕……僕にも()()()()()があるような気がするんです」

 

「「「え!?」」」

 

岡田のその一言で驚愕する生徒たちと義彦。岡田はたどたどしく話を続ける。

 

「いや……そんな大袈裟なものじゃないんですが……例えば…視線を感じて振り向くと誰かがこっちを見たり……」

 

そう説明しながら岡田は振り向く。すると振り向いた先に翔一が見ており目が合わさる。

翔一は気まずいと感じたからか軽くお辞儀をし岡田も返した。

 

――――なんか、随分難しい話をしてるな。そう言えば前に先生の届け物で大学に行ったら“超能力"をテーマとする論文をやりたいって部屋の外にも聞こえてたっけ。けど、論文かぁ……。前世だと大学は行かなかったんだよな。金がなかったから。精々、専門学校を卒業した身からすれば羨ましいとは思う……。

 

翔一は内心、そう思いお茶の用意を進める。

 

「わかった。論より証拠だ。ちょっと実験をしてみようか」

 

義彦は席を離れて、数分後にトランプを持って戻って来た。すると同時に翔一もお茶を出しにやって来た。

 

「お待たせしました~」

 

「お、ありがとう。翔一君」

 

翔一は生徒達と先生にお茶が入ったコップを渡す。そんなとき翔一は義彦がトランプを持って何かをやろうと気付く。

 

「もしかして、先生。手品でもやるんですか?」

 

「フフ、そんなんじゃないよ。今から実験をやるんだが……翔一君もどうかな?」

 

「いいんですか?」

 

「かまわないよ」

 

 義彦の言葉に甘えて翔一も実験に参加する。

実験の内容はこうだ。トランプのカードを一枚引いて、裏面のままでカードの絵札を当てる……所謂、透視能力を確かめる実験だ。

 そこに真魚も学校から帰ってきた。義彦が生徒達の邪魔にならないように静かに歩く。リビングのドアが半分開いていたので真魚は少し覗いてみた。

 

「では、始めよう」

 

義彦がトランプの山札から1枚カードを引く。それを裏面のまま翔一と岡田に見せ、机に置く。

 

「スペードの6」

 

「ダイヤの8」

 

(クラブの2)

 

岡田はスペードの6、翔一はダイヤの8を選択する。その様子を見ていた真魚は心の中でクラブの2だと感じた。()()()()()()()()()()()()()()……。

 結果としては義彦がカードを表面にかえすと絵柄はクラブの2だった。

続いて同じ様に義彦はカードを引きまた机に置いた。

 

「ハートの5」

 

「クラブのA」

 

(スペードのクィーン)

 

また、今度は岡田はダイヤの5、翔一はクラブのA、真魚は心の中でスペードのクィーンだと感じた。果たして、結果は……。

 義彦がカードを表面に返すとスペードのクィーンだった。部屋を覗いていた真魚は結果を知ったあと自分の部屋に戻った。

結果を見て少し悔しがる翔一。岡田はうなだれてしまう。

 

「わかったかな? 自分に特別な力があることなんて思わないことだ。そんなものは偶然か思い込みだよ」

 

 義彦の発言に岡田は論文のテーマを変えて何とか全員が決まった形となり生徒達は三杉家を後にした。

 

 

 

 

「先生、これの味見をお願いしても良いですか?」

 

生徒達が帰り、夕飯に近い時間帯。三杉家のリビングには義彦、真魚、太一がおり、ちょうど翔一が菜園で採れたほうれん草を使ってほうれん草の胡麻和えを作った。

 

「ほう、ほうれん草か」

 

「ほうれす」

 

 ほうれん草にかけた返事で翔一は答えた。だが……彼の駄洒落に義彦は受けない様子だった。どうやら、三杉家の人達には受けが悪いようだ。

 

 そして、駄洒落がなかったかのように3人が胡麻和えを試食する。

 

「うん、これは中々いけるよ」

 

 駄洒落とは違い翔一の料理を絶賛する義彦。真魚、太一もそれに頷くが太一はこんな事を言ってきた。

 

「でもさぁ……また、1ヶ月ほうれん草ってのはやめてほしいよなぁ」

 

「あら、分かっちゃった?」

 

翔一の考えていたことを当てた太一。次に真魚が翔一に聞いてみた。

 

「でも、翔一君の料理っていつも薄味だよね?」

 

「ギャグも薄味」

 

「そうか! わかったよ! 翔一君の過去! もしかして、関西の人なんじゃない?」

 

「……ホンマでっか?」

 

 翔一の過去について、真魚は彼は関西出身の人間なのでは? と推測し、翔一は関西弁で本当ですか? と聞く。だが、義彦は新聞を読みながら別の可能性を言ってみた。

 

「いや、薄味のものしか食べてはいけない身体だったかもしれないな。例えば、糖尿病だったとか」

 

 腎不全、高血圧、動脈硬化、主な生活習慣病の種類を言う義彦。それを聞いた翔一は頭を抱えてしゃがみ考え込み。

 

「おじさん、そこまでにして。翔一君その気になりやすいから」

 

 真魚の注意で義彦は新聞を読むのをやめて、翔一の方を見る。

 

 翔一は少し笑みを浮かべて、それを見て義彦も「フフ」と笑う。これが翔一の平穏な日常だ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 警視庁未確認生命体対策班オーパーツ研究局では今日もオーパーツの解析が進まれていた。責任者の美雲は研究員の一人が質問してそれに答えている。すると突然、灯りが消えた……。まるで停電したかのように。だが、オーパーツのダイヤルは動き続けている……。

 

「ちょっと~? どうしたの?」

 突然の出来事に困惑する美雲と研究員たち。

 そこに、オーパーツの近くに異形の存在……先日のアギトの戦いを見ていた2体のジャガーロードが現れる。ジャガーロードたちは研究員たちに気づかれずオーパーツに手を触れて()()()()を送る。するとオーパーツとそれに繋がった機械が突如として電流が走った。その瞬間ジャガーロードたちも姿を消した。

 電流が走って驚く美雲と研究員達。すると、灯りもつき、電気が復旧する。

 

「美雲さん、これ見て下さい!」

 

 研究員はその一言共にパソコンの画面を美雲に見せた。画面の解析率が今まで以上に速くなっていた。

解析率が上がったことに驚きを隠せない美雲をよそにダイヤルは回転する……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、警視庁では氷川が上層部に聴聞会に呼ばれた。部屋に先日のG3マヌーバを視察に来た3人の幹部と氷川がおり、先日のG3の戦闘オペレーションの映像が出された。映像はかなり歪んでおり戦ったジャガーロードの映像は見にくいものだった。

 

「これが、君が遭遇したという未確認生命体らしき敵かね?」

 

「戦闘オペレーションの実行時間は21分45秒と記録されてる。だが録画された映像は僅か12秒でこの有様だ」

 

幹部のうちの二人が氷川に聞き氷川もその問に答えた。

 

「わかりません……。何故映っていないのか……。あの時、G3に装備されたカメラで確かに敵の姿を捉えたはずなのですが……」

 

「正に未確認だな。それと……これ。最終的に未確認生命体を倒した謎の生物なんだがなんなのかね?」

 

幹部の一人、中年でリーダーらしき人物が書類に指差し氷川に謎の生物について問う。

 

「それは……以前、我々と共に未確認と戦った“第4号”に似ていました」

 

「そんな馬鹿な‼ 君も知っての通り“未確認生命体”は既に滅んでいるんだよ! それに伴い、“第4号”も消息不明だ!」

 

「私が遭遇したのは未確認生命体ではないと思います!もし未確認だったらG3の武器で倒せたはずです!」

 

「では君は未確認生命体を超えた新たな敵が現れたとでも言うのかね?」

 

「……はい‼」

 

上層部が言う未確認生命体を超えた新たな敵が現れた。これは間違いと氷川は力強く答えた。

 

「君の言うことが本当ならば……君が遭遇した生物は“アンノウン”としか言いようがないな」

 

この聴聞会以降、未確認生命体を超えた新たな敵は“アンノウン”と呼称することとなった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聴聞会を終えて、氷川は部屋に出たが部屋の前には北條が待っていた。氷川は彼に一礼し、その場から離れようとする。そこに北條から話しかけられる。

 

「氷川 真。香川県警から対策班にスカウトされたと聞いた時は素朴な人間かと思っていましたが…とんだ食わせ物でしたね」

 

「何のことです?」

 

北條の一言に困惑するが彼は話しを続ける。

 

「未確認生命体らしきものと遭遇したと言うのは君の作り話だ。違いますか?」

 

「作り話? 私が何の為にそんなことを?」

 

 氷川は自分が見た物が作り話だと言われて怪訝そうに北條を見る。

 

「未確認生命体が滅んで2年……。このまま、何も起こらなければ間違いなく“対策班”は解散になる。それを防ぐために貴方は話をでっち上げた……。違いますか?」

 

 話を続けた北條だが、馬鹿馬鹿しいと思ったのか氷川は不敵な笑みを浮かべて彼に返す。

 

「聞きましたよ……。北條 徹と言えば、本庁きっての若手エリートだと……。だけど、以外と暇なんですね。そんなことを言う為に私を待っているなんて」

 

 北條を褒め称えたと思いきや彼を暇人扱いする氷川。

 

「失礼します」

 

 そう氷川は言い、北條の下を離れて歩き出した。北條は悔しがり歩き去る氷川の背中を睨むだけだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンノウンか……。上も上手いことを言うわね」

 

 Gトレーラー内において氷川、小澤、小室の3人がおり二人は氷川が出た聴聞会の話を聞いていた。

 

「アンノウン…ですか?」

 

小室は聞きなれない単語なのか小澤が彼に説明する。

 

「例えば、国籍不明の戦闘機とか航空機とかに使う呼称ね。ようは正体不明ってこと」

 

「その敵を倒したって言う第4号に似た存在も気になりますね…。本当に我々の味方なのか」

 

「今のところ、それもアンノウンってことね。とにかく全部がアンノウンじゃどうしようもないわ。まず、敵の正体を知りたいわね」

 

 

「でも、手がかりがなにも…」

 

 二人の会話の中で“手がかり”と言う言葉を聞き氷川は立ち上がり、ポケットからビニール袋に入っている一枚の写真を取り出す。これは先日、亡くなった冴木泰江の遺留品であった。

 

「氷川君、それは?」

 

「アンノウンに殺されたと思われる冴木泰江さんは私に見せたいものがあると言って連絡をくれました。約束の場所に行った時は既に彼女は亡くなっていましたが、その現場に落ちていたバッグにこれが入っていました」

 

「どこの写真かしら? 日付は今年の4月3日……ってつい最近のものじゃない」

 

「はい。冴木家の人間は泰江さんだけでなく、ご主人の邦夫さん、一人息子の伸彦君までは殺されています。4月3日といえばその伸彦君が死ぬ前日です」

 

「ちょ、ちょっと待ってください! この写真…何かおかしいです」

3人は写真を見ていると、小室が写真の中でおかしな点を発見する。それは写真に映っている伸彦の右肩にあるはずのない手が置かれているものだった。

 

 この写真にある沼を探せばなにかが分かると思い氷川に現場に出ることとなった。だが、同時にまた、木の中に死体がある事件が発生したのは氷川を含めたG3ユニットは知る由もなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼過ぎ。翔一は学校での昼休みに昼食を食べ終えて外に出ていた。ここ数日は外にいるのが多いが一人になって自身の力について考えたかった。だが、外に出てみると先客がいた。校庭に続く石階段に座っているのは昨日の暗殺に失敗した杉野だった。昨日のことをまだ引き摺っているのかと見かねた翔一は杉野に声をかけた。

 

「隣、いいかな?」

 

「……津上か。ああ」

 

翔一は彼の隣に座り,杉野がふと語りかけた。

 

「……昨日は悪かったな。折角、殺せんせーの気をそらそうとして」

 

「いや、俺だってもっと上手い立ち回りがあったと思うし、杉野君がそんなに気にすることないって」

 

「そりゃ分かってはいるけど…。ハァ……」

 

 杉野がため息をつくと彼らの背後から間に入るように見知った黄色い触手がハンカチで対先生用弾がついてるボールを包んで差し出した。

 

「ボール、磨いておきましたよ。杉野君」

 

そこには殺せんせーがおり触手に持った何かの実を食べている。

 

「……殺せんせー、何喰ってんの?」

 

「昨日ハワイで買っておいたヤシの実です。二人も食べますか?」

 

「飲むだろ、フツー」

 

「確かに」

 

翔一もウンウンと頷き同意する。

 

「昨日の暗殺は良い球でしたね」

 

「よくゆーぜ。俺の球速でマッハ20の先生に当たるはずねー」

 

 殺せんせーは杉野にあることを聞いてみた。

 

「君は野球部に?」

 

「前はね」

 

「前は?」

 

「部活禁止なんだ。この隔離校舎のE組じゃ。成績悪くてE組に落ちたんだから…とにかく勉強に集中しろってさ」

 

「それはまた随分な差別ですねぇ」

 

――――そういえば校則にそんなことが書いてあったな。まぁ、俺は部活よりも三杉家でやる事があるし、それに万が一にフットワークが軽くないといけないからな。それにしても酷い話だ。進学校だから仕方がないとは言え……。

 

 翔一がそう思っていると杉野の話は続く。

 

「…でも、もういいんだ。昨日見ただろ? 遅いんだよ俺の球。遅いからバカスカ打たれて、レギュラー降ろされて。それから勉強にもやる気無くして、今じゃエンドのE組さ」

 

 杉野はどこか諦めた表情でそう語った。

 

「杉野君、先生からアドバイスをあげましょう」

 

 殺せんせーは杉野にそう言った。一体彼にどんな助言をするだろうか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

渚は課題を殺せんせーに提出する為、彼を探していた。校庭が見える窓を見ていると殺せんせーがいた。だが、そこには杉野と翔一も一緒にいた。彼らがいるところに向かう渚。

 

「殺せんせーに課題提出しなきゃ。…けど先生、二人と何話してんだろう。まさか、昨日の暗殺を根に持ってからんだりして……って思ったよりからまれてる‼」

 

 そこで渚が見たのは殺せんせーの触手にからまれた杉野を空高く上げておりそれを呆然と見ている翔一に驚愕する。

 

「俺……何見せられてるだろ……」

 

 翔一は困惑していると渚がいる事に気付く。

 

「あ、渚君。……ありかな?」

 

「何がぁッ⁉」

 

 翔一の発言にツッコミ、殺せんせーを止めようとする渚。

 

「何してんでだよ、殺せんせー‼ 生徒に危害加えないって契約じゃなかったの⁉」

 

「いや、多分違う」

 

「え!? で、でも!?」

 

 翔一はこれは危害ではないと直感的に感じた。すると殺せんせーは杉野に聞いてきた。

 

「杉野君、昨日見せたクセのある投球フォームはメジャーに行った有田選手をマネていますね」

 

「…‼」

 

杉野は殺せんせーが自分の投球フォームを当てたことに驚く。殺せんせーは杉野を降ろして、触手を離してさらに話を続ける。

 

「でもね、触手は正直です。彼と比べて君は肩の筋肉の配列が悪い。マネをしても彼のような豪速球は投げられませんねぇ」

 

 殺せんせーの一言でショックを受ける杉野。そのことが友達を傷つけられたのか渚が殺せんせーに怒鳴る。

 

「どうして先生にそんなこと断言出来るんだよ!? 僕らがE組だから!?」

 

「……」

 

 E組と言う言葉を聞いて俯く杉野。だが、翔一はこう感じていた。

 

――――普段、大人しい渚君が怒鳴るなんて珍しいな……。無理もないか。彼からすれば友達を傷つけられたものだからな。でも殺せんせーはアドバイスを言うつもりだろ? これが本命ではないはずだ……。

 

 翔一は冷静に分析していると殺せんせーは答える。

 

「そうですねぇ…。何故、断言できるかと言うと……」

 

すると殺せんせーは自身が愛読している英字新聞を取り出す。英字新聞の内容はメジャーリーガーの有田選手が謎の触手にからまれるといった記事だった。

 

「昨日本人に確かめて来ましたから」

 

(((確かめたんならしょうがない!!)))

 

この瞬間、渚、杉野、翔一の心の声は一緒だった。

 

「ついでにサインも頂きましたぁ……」

 

殺せんせーは涙を流しながら『ふざけんな触手!!』と書き殴られた色紙を見せる。

 

「その状態でサイン頼んだの!? そりゃ怒るよ!!」

 

(もう、考えるのやめよう…)

 

 渚のツッコミと同時に考えるのを諦めた翔一。

 

「そっか……。やっぱり才能が違うんだなぁ」

 

杉野は諦めた表情で呟くと殺せんせーは自身の触手で彼の手を優しく包んで語った。

 

「一方で、肘や手首の柔らかさは君の方が素晴らしい。鍛えれば彼を大きく上回るでしょう」

 

「肘や手首は俺の方が……」

 

殺せんせーの言葉に少しずつ自信を持つ。

 

「いじり比べた先生の触手に間違いはありません。才能の種類は一つじゃない。君の才能にあった暗殺を探してください」

 

 そう言って殺せんせーは校舎へ帰っていった。

 

(……もう大丈夫そうだな。)

 

「じゃあ、俺は教室に戻るよ。渚君は殺せんせーに用があるんじゃないの?」

 

「あ! 課題」

 

「それじゃあ、また」

 

「ああ。また後で」

 

渚と翔一は校舎に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後、杉野は渚とキャッチボールをしていた。翔一もその様子を見ていた。杉野が投げる球で早速変化球を試しに投げた。すると球は下に落ちるように動き渚は取れなかった。

 

「うわっ」

 

「おお!」

 

「凄いよ杉野‼ 消えたみたいに変化した‼」

 

「へへ、肘と手首をフルに活かした変化球を習得中だ‼ 遅いストレートもこいつと2択で速く見せれる。まぁ、アイツにとっちゃ欠伸が出るような球だけど、俺続けるよ。野球も暗殺も」

 

「いいんじゃない。そう言うの」

 

 杉野の決意に翔一は同意する。

 

「津上もありがとうな。色々話を聞いてくれて」

 

「ああ、気にしないでよ。」

 

「今度、野球教えてやるよ。もしかしたら野球とかやってたかもしれないだろ?」

 

「ハハ、考えておくよ」

 

杉野との会話を終えて翔一は下校した………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕暮れが近い頃、氷川は写真の沼が見える場所を探していた。小澤が調べた情報だと蕪前岳(ぶぜんだけ)と呼ばれる場所で都内だと板橋区の北の外れあたりで眺望出来る場所だった。氷川はその情報を頼りに板橋区の北の外れにやって来た。

 だが、探して見ても写真の風景に近い場所はなかった。小澤に連絡を取ろうと思ったがスマホのバッテリーが切れてしまっており車に戻るにも時間がかかってしまう為、近くにあった駄菓子屋に公衆電話があった。それで連絡しようと思い店に入る氷川。

 

「すみません、電話をお借りしたいのですが」

 

「どうぞ」

 

 店内には恐らく店主であろう老人将棋を指しており彼の許可がおり氷川は早速、電話を使おうとする。

 だが、氷川は店内の一枚の写真が見る。それは遺留品の写真の風景とほぼ同じだった。写真について氷川は店主に聞いてみた。

 

「あの、この写真は?」

 

「ああ、この辺りの昔の写真ですよ。青澄沼(あおすみぬま)って言いましてね。ヘラブナがよく釣れたもんです。」

 

氷川は店主の話を聞くが、次の瞬間信じられない事を言ってきた。

 

「でも、1()0()()()()()()()()()()()()()ましたがね」

 

「10年前?」

 

氷川はその写真の風景が10年前のものだと驚愕する。氷川は急いで小澤に連絡する。

 

『はいG3ユニット』

 

「小澤さん。氷川です」

 

『氷川君? どうしたの? 貴方、携帯は?』

 

「細かい話は後で。それよりも聞いて下さい」

 

氷川は先ほど駄菓子屋の店主から聞いた話を小澤に話した。

 

『10年前に埋め立てられたってどういうことよ? その写真が取られたのってつい最近のものでしょ?』

 

「ええ」

 

『それに、もしその写真が10年前のものだったら……そこに写っている冴木伸彦は…………』

 

「はい。4()()()()()()()()()()()()()()()()です」

 

 彼らの言う通り、10年前の伸彦は4歳の子供でなければならない。だが、実際の写真とそこに書かれた日付は今年の4月3日で写っている伸彦も中学生だ。何故このようなことが起こっているのは彼らには理解出来なかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、北條と河野は今日発見した木の中に死体が埋め込まれた事件の被害者遺族を護衛していた。遺族には妹と母親がおり、母親は別の刑事たちに任せて、彼らは妹の方の護衛に回っていた。

 

 前回の事件の犯人は未確認生命体に似た存在であり、それを倒したのは第4号擬きとされていたため同じ事件は起きないはずだと思い真犯人は別にいる――――と北條は感じていた。なので殺された冴木家同様に血縁者が狙われると推理し河野と一緒に護衛対象を監視する。

 

 護衛対象は公園のブランコに座り、幼い姉妹が遊んでいる様子を眺めていた。恐らく死んだ姉のことを思い出したのか、頬には一筋の涙が落ちる。

 

だが、彼女の背後に忍び寄る影があった。

 

「ん? あれは…」

 

 河野は彼女の背後から何かに狙われるに気がつく。

彼がが見たのは異形の手で左右で何かのサインを切るとその姿があらわになる。

 

「グルルルゥッ‼」

 

 唸り声と共に現れたのは青いマフラーを装備した雪豹に似た超越生命体………ジャガーロードのパンテラス・アルビュスであった。

 

 アルビュスは背後から護衛対象をブランコの勢いを利用して吹っ飛ばす。護衛対象はかろうじて上手く受け身を取れた。北條と河野は彼女を守ろうとする。

 

「逃げるんだ‼ 速く‼」

 

 河野は彼女に力強く言い、護衛対象を逃がした。

 

「止まれ‼」

 

 北條はアルビュスに言うが無視し彼らに近づく。止まらないアルビュスに対して北條は拳銃を発砲した。だが、放たれた弾丸はアルビュスの前に消滅する。

 やはり、拳銃程度では歯が立たないのか。河野は本部に応援を求めた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Gトレーラー内に通信が入る。

 

『各車に緊急連絡。正体不明の生物出現。付近を警邏中のPCは至急現場に急行せよ。場所は…………』

 

「氷川君、聞いたわね?」

 

『はい‼ 至急現場に向かいます‼』

 

Gトレーラーは発進し現場に向かい、氷川も電話を切り、急いで車に戻り急行する……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルビュスが人間を襲っている同じ頃、学校から帰ってきた翔一は私服に着替えて菜園で作業していた。

 だが………彼は突然頭痛と耳鳴りに襲われて頭を抑えて苦しみだす。先日と似たような感覚を味わう翔一。

 

「クッ…ウゥゥゥ!!」

 

その様子はふとベランダにいた真魚の目に留まる。真魚が目にしたのは突然翔一の腹部が白く輝いていた。

 

「翔一君?」

 

その様子見ていた真魚だが、翔一は突然飛び出した。

 

「ちょっと翔一君‼ どこに行くの! 翔一君‼」

 

真魚の呼び声に反応せず翔一はどこかへ行ってしまう……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同じ頃、病院のベッドに寝ていた涼の意識が覚醒する。呼吸器を外し腹部を抑える涼。

 

同時に涼も翔一と同じ様に腹部が白い光が現れて輝く。だが、それは涼の苦しみを一層増していく。

 

まるで自分の身体が突然変異していくように……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 車に乗って現場に向かう氷川。そこにGトレーラーと合流。自身の車をGトレーラーにいた警察官に任せて氷川はGトレーラーに乗り込む。氷川が搭乗後再び発進する。発進後に氷川はG3を装着し、ガードチェイサーに乗り込み後部ハッチが開きガードチェイサーはG3乗せて発進。現場に向かう……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日も暮れて夜となった時、北條と河野はアルビュスを足止めするのに精一杯だった。アルビュスは片手で北條の首を締め付けて木の中に埋め込もうとする。

 

「や、やめろ‼ 離せ‼」

 

「グルルルゥッ!」

 

抵抗しようとする北條だがアルビュスの剛腕の前にただの人間には無力だ。

 

「北條‼」

 

河野は拳銃をアルビュスに向けて発砲するが、やはりアルビュスには効かない。

 

最早、北條は絶体絶命の状態だった。

 

その時、サイレン音が響いてくる。ガードチェイサーに乗り込んだG3が現れる。

 

アルビュスはG3が来たことに気づき北條を離して一旦離れようとするが、時すでに遅し。

 

ガードチェイサーはアルビュスに突撃し大きく吹き飛ばす。突撃後はガードチェイサーを一時停止するG3。狙った人間に逃げられ、形勢不利と悟ったかアルビュスは逃走した。

 

「北條‼ 大丈夫か‼ おい‼」

 

「ケホッ‼ ケホッ‼」

 

河野の呼びかけにむせながら北條は反応する。

 

北條の安否確認が出来た後G3はアルビュスの追跡に入った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガードチェイサーを走らせ、アルビュスを追跡するG3。振り切れずにいるアルビュスはG3を廃車置場に誘い出した。アルビュスを追い越してG3はガードチェイサーを停止させる。だが、その隙を突かれてアルビュスはG3に飛びかかる。

 

「ぐわぁッ‼」

 

 態勢を崩したG3に自身の爪で切り裂き、ぶっ飛ばす。だが、G3も運良くガードチェイサーの近くにふっ飛ばされたのでG3はパネルを捜査し、G3の接近戦用の武器……“GS-03デストロイヤー”を取り出す。だが、取り出したが良いがアルビュスに組み付かれる。パンチやキックでアルビュスをひるませてGS-03を右腕に装備する。

 

『GS-03、アクティブ!』

 

『了解!』

 

Gトレーラー内で小澤の指示で小室はコンソールを操作する。

 

 その時、G3に装備されたGS-03のブレードが展開し刃が振動する。この武器は超高周波振動ソードであり、ブレード部分を超高速で振動させて対象物を切断する武器だ。

 

「ふん‼ ハァッ‼」

 

 G3はGS-03をアルビュスに向けて振う。だがGS-03自体がかなり大きいサイズの為かアルビュスには当たらない。アルビュスは最小限の動きで躱す。それでもG3はGS-03を振い、その刃はアルビュス躱した先にある鋼材ですら簡単に切断する。

 

ようやくアルビュスの動きを追えるようになりGS-03のブレードがアルビュスに迫る。だが……。

 

「グゥゥゥ!!」

 

「ぬお!?」

 

そこに背後からもう一体のジャガーロードが現れた。

黒色の体色に黄色のマフラーを装備したジャガーロード……パンテラス・トリスティスはG3に掴み掛かる。

 

『氷川君!! 後ろ‼ アンノウンは2体よ‼』

 

小澤からのアナウンスが入るが、2体のジャガーロードの連携攻撃にG3は翻弄される。トリスティスが背後からG3を押さえて、アルビュスがパンチや爪による攻撃にG3はダメージを受ける。

 

『左肩ユニット損傷‼ メインバッテリー電圧30%まで低下‼』

 

「くっ‼」

 

「「グルルルゥッ‼」」

 

 2体のジャガーロードは唸り声を上げてG3を追い詰める。そこに翔一が走って現れる。

 ジャガーロードたちを見た翔一はいつもの物腰柔らかな表情ではなくキリッとした表情に変わり左前方で両腕を交差したあと右腕を引く。するとベルトのようなものが出現し、翔一の腰に巻かれる。そのベルト……オルタリングはどこか神秘性に満ちており中央部には金色の石が存在する。

 

「フンッ‼」

 

 翔一はベルトの両端のスイッチを押した。するとベルトを中心に翔一は白い光…………“オルタフォース”が現われ彼を包みながらゆっくりとジャガーロードたちに近づく。

 翔一の近づく気配に気づいたジャガーロードたちはG3に目もくれず翔一に狙いを変えた……。

 

「フンッ‼ ハァッ‼」

 

 パンチやキックで翔一はジャガーロードたちと戦い始める。誰かがジャガーロードたち戦っているところに目に入ったがG3は光の影響でそれが誰なのか見えなかった。

 

「小澤さん‼ 何者かがアンノウンと戦い始めました‼」

 

 G3の報告をGトレーラー内にいた小澤、小室も映像で確認するが、光の所為で誰が戦っているのか分からなかった。

 

 ジャガーロードたちの攻撃を躱しつつ、力強い一撃を彼らに与える翔一は風が吹く音と共に段々と姿が変わる。いや……変わった。

 金色も筋肉質に黒い肢体。昆虫のような赤い複眼。そして金色の2本角。翔一は先日のルテウスを倒した戦士、アギトに変身した……。

 

 

「お、お前はッ‼」

 

「アギトッ‼ グルルルゥッ‼」

 

(こいつ、言葉を喋った⁉)

 

 G3は内心驚きをよそにアギトはアルビュスと一対一で戦い始める。トリスティスが言葉を発し唸り声を上げる。アルビュスがアギトを引き付ける隙に頭上に光の輪が出現し、その輪の中から自身の武器……“貪欲の槍”を取り出した。

 

アルビュスを足刀蹴りでふっ飛ばすアギト。そこに今度は貪欲の槍を持ったトリスティスがアギトの相手をする。

 アギトはトリスティスの槍捌きを躱し、トリスティスの槍を突き刺そうとした瞬間の勢いを利用して右脇に槍を抑えて、オルタリングの左側のスイッチを入れた。するとオルタリングから棍棒に近い武器が現れる。それをアギトは左手に持ちトリスティスを攻撃し足元を崩したトリスティスが倒れ右脚で踏みつける。

 

「クゥゥゥッ‼」

 

トリスティスが立ち上がろうとジタバタ暴れるがアギトの踏み付けているせい上手く立てない。

 

 するとアギトの姿が変わる。筋肉質の色と左腕が金色から青色へと変わり、左腕が大型化し左肩の形状が丸くなりオルタリングの中央部が青色に変わった。すると棍棒のような武器の刃が展開する。

 

 金色の姿は別名、“超越肉体の金”と呼ばれ大地の力を宿し、徒手空拳に近い戦闘スタイルで力強く身軽に動くバランスがとれた基本形態……“グランドフォーム”から“超越精神の青”と呼ばれ風の力を宿すスピード特化形態……“ストームフォーム”に変わり、専用武器の“ストームハルバード”を装備する。ハルバード(斧槍)の名こそ冠しているものの、その形状は斧というよりもむしろ薙刀に見える。

 

「変わった⁉」

 

(まさか……4号と同じ様に姿を変えれるのか……?)

 

 トリスティスがアギトから逃れて唸り声を上げながら貪欲の槍を突き刺すがストームハルバードで受け止め今度はアギトがハルバードを振う。G3はアギトの戦闘と姿が変わった事を気にしつつアルビュスと戦い二対二の状態となった。

 

 アルビュスにGS-03を振うG3だが、躱され続けて逆に大きく投げ飛ばさる。

 

「ぐわぁぁぁ‼」

 

アルビュスは頭上に光の輪を出現させて中から自身の武器……“傲慢の弓”装備し弓矢をG3に狙いを定める。

 

『胸部ユニットさらにダメージ‼ ショックアブソーバーが働きません‼』

 

『追撃が来るわ! 氷川君、立ち上がって‼』

 

 二人のアナウンスを聞き何とか立ち上がろうとするG3だがアルビュスは弓矢を放つ。G3は両腕で防御したがやはりダメージが入った。

 

「クッ‼」

 

だが、アルビュスは続けざまにもう一射弓矢を放った。

 

「うわぁぁぁ‼」

 

 弓矢はG3に直撃し、大きく吹っ飛される……。

 

 

 

 

 トリスティス対アギト戦……。互いに長物同士の戦いはアギトが勝負を決めにかかった。一度、トリスティスから距離を離れてストームハルバードを船のオールのように回転させる。すると周囲には風が吹き荒れる。正に青い嵐と言ったところか。その風……いや嵐の前にトリスティスは貪欲の槍を構える。

 

 アルビュスによって吹っ飛されたG3はガードチェイサーの近くにいたためGS-03を外しウェポンラックからGM-01とグレネードユニット……“GG-02サラマンダー”を取り出して二つを連結させグレネードランチャーにさせる。この武器はG3が今出せる最高火力の武器である。

 

『GM-01、GG-02、アクティブ‼』

 

 小澤のアナウンスが入り何時でも発射可能となった。アルビュスは今度はアギトに弓矢を狙う。

G3はこれを阻止するためアルビュスの前に立つ。

 

「グルルゥッ‼」

 

 唸り声を上げて貪欲の槍を持ちながらアギトに突撃するトリスティス。

 

「フンッ‼ ハァッ‼」

「グォォッ‼」

 

 しかしトリスティスの槍捌きをアギトはストームハルバードでいなして逆にその両刃でトリスティスを1撃、2撃、3撃と切り裂いた。

 

 トリスティスの戦いの隙にアギトに狙いを定めたアルビュス。だがその前にG3が立ちふさがり、グレネードランチャーと弓矢は同時に発射。

 

「うわぁぁぁぁッ‼」

 

「グゥゥゥ‼」

 

 弾と矢は両者に直撃して、G3は膝をつきとアルビュスは吹っ飛されて相打ちに近い状態となった。

 

 アギトストームフォームのストームハルバードを用いた必殺技……ハルバードスピンを喰らったトリスティス。頭上に光の輪が出現。そして……。

 

「グォォォォォ‼」

 

 断末魔を上げて爆散した。

 

 アギトはゆっくりとG3の方に向けて近づき、G3も何とか立ち上がりアギトを見る。

 そこにグレネード弾を受けて無事だったアルビュスは素手でアギトに襲い掛かる。しかし、アギトはアルビュスの攻撃を躱し、素手による攻撃は左手に持ったストームハルバードで受け止めて右拳から強烈なパンチがアルビュスの腹部に直撃し、大きくぶっ飛ぶ。

 

「何ッ⁉」

 

 G3は困惑する。現状G3の最大火力であるGG-02もアンノウンに通用しないことにショックを受ける。

 

 

 

「グゥゥゥ‼」

 

 ぶっ飛ばされたアルビュスは立ち上がる。アギトはストームフォームからグランドフォームに変わり1対の角……クロスホーンを展開し足元には紋章が浮かび上がり、アギトは構える。まるで居合いに近い構えだった。

足元の紋章は渦巻き右足に収束される。

 

「グルルルゥッ‼」

 

 唸り声を上げてアギトに突撃するアルビュス。その瞬間、アギトは前方に飛び上がり必殺キック……ライダーキックをアルビュスに向けて放った。

 

「ハァッ‼」

 

 強烈なキックはアルビュスに防御する隙を与えず凄まじいスピードだった。キックを放ったアギトは構えを崩さず背を向ける。それは武道で言う残心に近い状態だった。

 

ライダーキックを受けたアルビュスには頭上に光の輪が出現し悶え苦しむ。そして……。

 

「グォォォォォッ‼」

 

トリスティスと同様に断末魔を上げて爆散した。

 

アルビュスが爆散したと同時に構えを解除し、角も閉じて2本に戻る。

 

 圧倒的な力で2体のジャガーロードを撃破したアギト。その場にいたG3はアギトに話しかける。

 

「お前は…いったい…。」

 

だが……。

 

「フンッ‼」

 

アギトはその問には答えず拳を握りしめて突然G3に襲い掛かった…………。




 次はなるべく早めに投稿します。
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