暗殺教室 目覚めし魂   作:タツガン

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アギトの新作映画来ちゃったよ。


第8話 第3の戦士と大人の時間

 

 

 

『グルルルゥッ‼』

 

 

『フッ‼ ハァ‼』

 

 

 4月の終わりが近づく頃、Gトレーラー内にて氷川達G3ユニットは先日のトータスロードの戦闘記録映像を見ておりG3のカメラで捉えた場面にはアギトと2体のトータスロードが映し出されていたが少し歪んだものとなっていた。

 

「氷川君の言う通りね。何度見てもアギトを敵として認識するのは難しいわね」

 

「ええ、彼に助けられたのは間違いありません。彼がいなければ、自分の力だけでアンノウンを倒せませんでした…。それに以前に巻き込まれた学生の証言や今回のPMや被害者を庇う素振りを見せています」

 

彼らは前回の戦闘記録にてアギトは敵か味方の意見を出しあっていた。氷川や小澤はアギトは味方寄りの考えであったが小室が意見する。

 

「でも、だからといってアギトを味方だと決めつけるのは危険なんじゃないですか?」

 

「そうね………敵か味方かは彼の正体が分かるまで判断は保留にしましょう」

 

G3ユニットは敵か味方かわからないアギトについては判断保留という形を取ることとなった。

 

「アギトの正体か………。かなり興味ありますね!」

 

「ええ」

 

氷川と小室はやはりアギトの正体は気になるところでもあった。すると小澤は話題を変える。

 

「ところで例の件どうなったの?」

 

「例の件?」

 

「ほら、ジュース瓶の中にお金が入っていた奴よ」

 

小澤が氷川に聞いたのはトータスロードに殺された被害者の内、自宅に発見された百円玉が入ったジュース瓶の事であった。しかし、氷川はそれを聞いて何とも言えない顔で答える。

 

「それが…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

 GWが始まる週にて真魚は学校から帰ってきた。

 

家に入ると義彦がリビングで新聞を読んでおり、翔一はキッチンにある机で夕飯の支度、太一はその隣で勉強をしていた。

 

「あれ、太一が勉強してるなんて珍しい!」

 

「そりゃあ、俺も遊びに行きたいけど…………」

 

「……ッ、コホン」

 

太一の言葉に義彦の怒り混じりの咳払いをし翔一は真魚に義彦の方に見てと仕草をする。すると真魚は太一が勉強している理由を思い出す。

 

「あ~まだ怒られてるんだっけ?」

 

「当たり前だ‼」

 

そう…………小澤が言っていたジュース瓶は太一が割ってしまい、中身のお金で買い食いしていたのだ。警察の大事な証拠品を駄目にしてしまい理由を知らなかった太一だったが日頃の行いが悪かったのであろう。

 

「あの刑事さんには申し訳ない事をしてしまったよ」

 

「そりゃあそうだよねー。翔一君、お茶」

 

「翔一、おれもお茶」

 

「お前は駄目だ‼」

 

「……ア、ハイ」

 

真魚が翔一にお茶の要求に続けざまに太一も要求したが義彦に怒鳴られてしまう。翔一もそれに気圧されすぐさまお茶の用意に入る。そこで太一は真魚にある事を聞いてみた。

 

「そう言えば真魚姉さぁ、テストの結果がそろそろ返ってきたんじゃない?」

 

「あんたねぇ…問題をすり替えてどーするのよ」

 

「………見せなさい」

 

「………はい」

 

太一の言葉のせいで真魚は渋々義彦にテストの答案用紙を見せた。結果として日本史がいい方だが、数学が良くなかった。

 

「ふむ…………相変わらず向き不向きが激しいな」

 

「うん、いつも見えるわけじゃないから」

 

「見える? 何が?」

 

「あ! 何でもない!」

 

真魚の奇妙な言葉が気になり真魚はその事を誤魔化す。

 

「要はムラがあるだよねー」

 

「あんたは良いわよね~。ムラがなくて。いつも20、30点だもんね~。」

 

太一の一言に真魚は痛い所をついて返し、今度は真魚は翔一に聞いてみた。

 

「翔一君もどうなのよ? 勉強?」

 

「あ、俺⁉ まぁ別に見せていいけど、小テストだけど…………」

 

今度は翔一の勉強を聞かれ、翔一は小テストを見せる。結果としては良くて8割、悪くて6割といった内容だった。

 

「まぁまぁといったところか………」

 

「そう言えば翔一君って椚ヶ丘に通っているよね」

 

「そうそう、あの名門の椚ヶ丘に通ってるなんて今でも信じられねーよ」 

 

「まぁ落ちこぼれだけどね。でも小テストで取れても中間とかが…………」

 

太一も真魚も椚ヶ丘中学のこともそれなりに有名なので知っていた。けど、翔一自身も今のままではダメだと自覚している。

 

「よし‼ じゃあ翔一君と真魚には家庭教師をつけよう。一人、心当たりがあるんだ。翔一君もよく知っている人物だ。いいね?」

 

「うん」

 

「分かりました」

 

(けど……俺が知ってる人物って一体………)

 

翔一は義彦が自分が知っている人物が誰なのかと考えながら夕飯の支度に戻った…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 都内某所、夕暮れ時の公園にて子供たちは遊んでおり賑っていた。しかしその賑いは空からの悲鳴によりすぐさま消え去った。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ⁉」

 

空から人間が落下した。落下したのは50代の男性であり何処から落下して来たのか群衆はわからなかった。その様子を公園の茂みから覗いていた異形な影がいた。コブラのような見た目とエジプト系の外観の装飾品が身に付けており頭上には光の輪が出現していた。

 

「シャー………」

 

異形はその光景を見て落下した男性が死んだ事を確認した後、去っていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 警察は公園にて落下した男性の現場検証が行なわれており、そこには氷川、北條、河野も当然おり今回の事件の概要を河野が話していた。

 

「被害者は 片平 久夫……56歳。鹿児島県鹿児島市内在住……仕事の都合で昨日上京してきたばかりだそうだ。空から被害者が落下して来たと目撃者達の証言は一致しているが……何処から落ちて来たのか、まるでわからん」

 

「また不可能犯罪…………アンノウンの仕業ですか……」

 

「北條さん、被害者の遺族に一人一人に護衛を付けましょう」

 

氷川の提案に北條はため息交じりで返答する。

 

「護衛………ですか? それも良いが……問題はどうやってアンノウンと戦うかでしょう?」

 

北條は氷川の意見を汲み取りつつ自身の持論を話す。

 

「唯一の頼みの綱のG3の装着員があまりにも頼りない。報告書は読ませていただきましたよ。この間の戦いもアギトなる謎の存在に助けられたそうですね」

 

今度はこの前のトータスロード達の戦いについても指摘する。氷川がG3の装着員なのが北條にとっては気に入らないものらしい。

 

「氷川さん、私としては上層部に訴えるつもりなので。勿論、G3の装着員として……貴方が本当に相応しいかどうかをね」

 

如何やら、北條はG3の装着員の座を密かに狙っている。そんなことに気づかない氷川だが北條の言っている事も決して間違っていない為言い返さなかった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 5月…………。殺せんせーがE組に来て1ヶ月がたった。この1ヶ月、殺せんせーには触手を数本破壊できただけだった。暗殺期限まであと11ヶ月。政府はそこで殺し屋を一人、E組に派遣する事となった。

 

「イリーナ・イェラビッチと申します、皆さんよろしく!!」

 

イリーナ・イェラビッチと名乗ったその金髪と露出度が高い服装でスタイルの良さを活かした美女は殺せんせーに引っ付きながら生徒達に自己紹介する。その光景に生徒達は困惑しているが烏間は殺せんせーにこう告げる。

 

「本格的な外国語に触れさせたいとの学校の意向だ。英語の半分は彼女の受け持ちで文句はないな?」

 

「……学校の意向では仕方ありませんねぇ」

 

そう……彼女が政府が派遣した殺し屋であった。しかし、殺し屋として学校に入れるわけにはいかず、一応の建前上、表向きとして教師という形で派遣せざるを得なかった。

そんなイリーナだが、殺せんせーに夢中になっていた。どうやら殺せんせーに惚れている様子だった。その様子を見て生徒達は気になっていた。そして殺せんせーの反応は…………。

 

「にゅるふ~ん」

 

顔がピンク色になっており何のひねりの無い顔でイリーナにデレデレしていた。

 

「ああ…見れば見るほど素敵ですわぁ。その正露丸みたいなつぶらな瞳。曖昧な関節。私、虜になってしまいそう♡」

 

「いやぁ、お恥ずかしい」

 

生徒達……主に女子達はそんな虜になる女はこの世に存在しないと言わんばかりの表情だった。それと同時に生徒達はこの外国語の教師は只者ではないという事を…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 芦原 涼は大学に退学届を出した後に大学のプールサイドにやって来た。これからの事を水泳部の両野コーチに相談しようと連絡していた。「身内同然」という言葉を信じて…………。しかし、そこで会う予定だったがプールサイドには部員たちしかいなかった。

 

「コーチなら今日いないぜ。急用だってさ」

 

「………俺に何か伝言はなかったか?」

 

「知らないな……聞いたぜ。お前、ここを辞めて学校も辞めるらしいって」

 

「部外者は立ち入り禁止です」

 

部員達の心無い言葉に涼は動じない。

 

「明日、また来ると伝えておいてくれ」

 

「嫌だね。ちょっとばかし才能があったらって随分偉そうだったお前、もう終わりだよ」

 

「まぁ精々頑張って生きていけよ。じゃあな」

 

両野に会うのを諦めた涼はプールサイドから去った。それを確認してから彼らは別の入り口に赴く。

 

「もういいですよ、コーチ」

 

その入り口からは両野はプールサイドに入っていく。

 

「どうした,奴は?」

 

「ええ、言われた通りに追い返しましたけど………」

 

「一体何があったんです? 喧嘩でもしたんですか?」

 

コーチの両野に頼まれて彼らは涼を追い返したようだ。部員達も両野と涼の関係は知っていた。涼には才能があり、水泳部のエースとして活躍できる程であった。コーチが目にかけてた理由も分かるし、部員達もそれには嫉妬はしていたが実力も相まってか認められる部分はあった。しかし、両野は恐怖に駆られた表情でこう言い放つ。

 

「……知らん、俺は何も知らん‼」

 

そう告げてプールサイドに入っていく。その様子を別の出入口から涼は見ていた。

 

(裏切られた…………か…)

 

涼はコーチに裏切られたとどこかでは分かっていた。だが、それを責めることはせずにそのまま立ち去った…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼休みにて殺せんせーと生徒達は校庭でサッカー……いや、正確には体育担当の烏間が考案した『暗殺サッカー』で遊びながら暗殺を狙っていた。そのためハンドガンやナイフを生徒達は手に持っている。これは殺せんせーを中心に先生からパスを受けた生徒がボールを返すと同時に暗殺を仕掛ける権利を得るという事でこの教室ならではの遊びだ。翔一も勿論参加していた。

 

「ヘイ、パス!!」

 

「へい……暗殺!」

 

殺せんせーからのボールをパスされて、ボールを返しながらハンドガンを撃つが当然のこと躱された。

 

(相変わらず射撃が精度が無さ過ぎる……。やっぱり接近戦じゃないと…………けど、それやると正体隠せないし、射撃の精度を上げるしかないか……)

 

自分の得意距離で暗殺できない事に多少のストレスは感じるが仕方ないと割り切る翔一。そんな時だった。

 

「殺せんせー!」

 

イリーナが校庭にやって来て殺せんせーに近づく。

 

「烏間先生から聞きましたわ! とっても足が速いんですってね!」

 

「いやぁ、それほどでもないです」

 

「お願いがあるの! 実は私、一度でいいから本場ベトナムのコーヒーを飲んでみたくってぇ。私が英語を教えている間に買って来て貰えないですか?」

 

「お安い御用です! ベトナムに良い店を知ってますから!」

 

殺せんせーはやはりイリーナにデレデレしていた。彼女の頼みを聞くと凄まじい音と風圧を残して飛び去った。生徒達は呆気にとられるが始業を知らせるチャイムが鳴る。

 

「あ、あの。イリーナ先生? 教室に戻りません? チャイム鳴ったし」

 

学級委員の磯貝が率先して彼女に話しかけたがイリーナの態度は一変する。

 

「授業ね………面倒だから自習でもしてなさいな」

 

「……え?」

 

「それと、気安くファーストネームで呼ばないでくれる? 『イェラビッチお姉様』とでも呼びなさい」

 

そう言って彼女は煙草に火をつけ吸い始める。イリーナの冷たい塩対応に生徒達は絶句する。しかし、そんな事で動じずに普段通りの口調を崩さない生徒がいた。

 

「……で、どーすんの? ビッチ姉さん」

 

「略すな‼」

 

口調を崩さなかったのはカルマだ。彼は相手が大人だろうが殺し屋だろうが関係ない。彼の挑発は生徒達にとっては頼もしいものだった。彼女は()()()と呼ばれて、少々キレ気味に言い返しながら吸った煙草を地面に捨てる。

 

「あんた殺し屋なんでしょう? 俺らが総がかりで殺せないモンスターにビッチ姉さん一人で殺れんの?」

 

その挑発にイリーナは乗らずに不敵な笑みを浮かべる。

 

「……ふん。ガキねぇ。大人には大人の殺し方ってのがあるのよ………潮田渚ってあんたよね?」

 

 するとイリーナは渚の方に近づきそして…………彼にキスをする。だが、ただのキスではない。舌が絡まるディープなものであった。

 

「「「⁉」」」

 

(…………マジかよ)

 

その光景に翔一を含む生徒達は驚き、あるものは羨ましがり、あるものは頬を赤らめたりした。キスをされた渚自身も困惑と共に意識を飛ばしかける。それを感じたイリーナはキスを辞めて意識朦朧とした渚の顔を自身の胸に抱き寄せた。

 

「あとで教員室にいらっしゃい。アンタが調べた奴の情報、聞いてみたいわ。…ま、喋らせる方法なんていくらでもあるけどね。その他も、有力な情報持ってる子は話に来なさい! 良いことしてあげるわよ? 女子にはオトコだって貸してあげるし。技術も人脈も全てあるのがプロの仕事よ。ガキは外野で大人しくしていなさい」

 

彼女がそう言ってると校舎に3人組の男性がやって来た。どう見ても堅気ではない雰囲気を漂わせており彼女は彼らの方に向かう前に生徒達に忠告した。

 

「それと、少しでも私の暗殺の邪魔をしたら『殺すわよ』」

 

 

そう言い捨てた後3人と何やら話していた。彼女の殺すという言葉の重みにこの人は殺し屋なのだと生徒達は実感すると同時にイリーナに嫌悪感を覚えてた…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 氷川は仕事の前にオーパーツ研究局に寄っていたが研究局には何やら騒がしい様子だった。トラックに研究資料が入った段ボール箱や研究機材を載せていた。まるで研究局が解散となる様子だった。

 

オーパーツ研究局内にて美雲は煙草を吸っていた。まるで疲れている様子だった。そこに氷川が来たことを感じ、彼女は氷川に語った。

 

「…………見ての通り、オーパーツ研究局は今日で解散よ。当然よね…………実験は結局()()だったんだから…………」

 

「でも…………では古代人達は何のためにこんなものを作ったんですか? オーパーツから導き出されたコードは何を意味するものだったんですか?」

 

「…………知らないわ。私がわかるのは結局()()()()()()()()()だけよ」

 

美雲は思った。あの実験室の中にあった箱に赤ん坊がおり驚いた瞬間、光に包まれたことを。その光によって美雲は意識を失いその数時間後に再び実験室に目を覚ます。部屋を見渡し赤ん坊がいた箱をもう一度観る。赤ん坊の姿はなく、部屋の床に恐らく赤ん坊の足跡のようなものが残っており足元の先には扉があり半開きの状態だった。だが、美雲は目撃する。赤ん坊の足跡から煙が出て消えて床に赤ん坊の右手にあった文字が浮き出ていた…………。

 

 

美雲は思い出すの辞めて氷川に向けて

 

「…………こんな所で油を売ってる場合? 貴方には他にやる事があるんじゃない?」

 

彼女の言葉に氷川は「失礼します」と言いその場を去った…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 涼は自宅に戻ってベッドで寝そべりこれからのことを考えていた。結局、信じていた人間に裏切られて頼れる人間がいなくなった涼。これから自分がどうやって生きていけばいいのかわからなくなっていた。涼はふと、ベッドから離れ、机の引き出しを開く。その中に一枚の写真があった。その写真は涼と若い女性が写っていたものだった。女性は涼と付き合い自然消滅した恋人であった。

 

「………何考えてんだ、俺は………」

 

彼女に会おうと思ったが今の自分を見て拒絶されるのは目に見えていた。そんなことを考えながら再びベッドに座り考え、迷走する…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 E組の5時限目の英語では結局、担当のイリーナは生徒達そっちのけででタブレット端末で暗殺計画を確認し、まともな授業と呼ぶような事はしなかった。そして、6時限目の授業は体育であり暗殺訓練で内容は射撃訓練あった。生徒達は烏間の指導の下訓練に取り組む。そんな時、殺せんせーとイリーナの二人が体育倉庫に向かう所を生徒達は目撃する。

 

「おいおい、皆見ろよアレ!」

 

「マジかよ。殺せんせーとビッチねぇさん2人で倉庫にしけこんでくぜ」

 

「………正直幻滅。あんな見え見えの女に引っかかって」

 

(けど、倉庫に向かったって事は倉庫の中で暗殺の準備をこんな早く完了したってことになる……。正直、侮れないな…………。殺せんせーは敢えて受けて立つようなスタイルだからどう対応するかはちょっと興味がある)

 

生徒達の殺せんせーとイリーナへの評価はマイナスの方向に向かっていたが翔一はある程度の評価はしている。

 

「烏間先生、私たちあの(ひと)の事好きになれません」

 

生徒達の代表として烏間に意見する。

 

「…すまない。国の指示でプロの彼女に一任しろと来ている……。だが、僅か1日で全ての準備を整える手際は殺し屋として一流なのは確かだろう」

 

生徒達の不満に烏間は謝罪し、イリーナの殺し屋としての評価はいい方ではあった。すると数分後にけたましい銃声が倉庫から聞こえた。凄まじい銃声だった為、生徒達の訓練の手は止まってしまう。更に数分後…………。

 

「いやああああぁぁぁぁ⁉」

 

女性の悲鳴…………。恐らくイリーナのだろう。彼女の悲鳴とヌルヌルやヌチョヌチョといった激しい粘液の音が響く。

 

「な、何だ⁉ 凄く執拗にヌルヌルされてんぞ⁉」

 

「行ってみようぜ!」

 

何が起きているか考える間もない悲鳴とヌルヌル音に気になってか生徒達全員で体育倉庫へ走る。すると体育倉庫からブルマと運動着、鉢巻きとレトロ姿にされたイリーナが出てきた。

 

「まさかうねる触手と粘液で小顔効果のあるマッサージされて、リンパを刺激されて……あんなことを……」

 

彼女はその言葉ともにその場で倒れ込んだ。

 

「何をしたの? 殺せんせー」

 

「……さぁね。大人には大人の手入れがありますから」

 

「悪い大人の顔だ!」

 

渚の疑問に殺せんせーは顔は白色に変わりすっ呆けた。結局イリーナの暗殺は失敗に終わり生徒達と殺せんせーは教室に戻るのであった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

学校が終わり、翔一は自宅に戻って来た。リビングに入ると真魚と若い美人の女性がおり真魚は彼女から勉強を教わっていた。

 

「翔一君、おかえりー」

 

「あ! 真由美先生、こんにちは!」

 

「あら、翔一君も戻って来たね! じゃあ翔一君も勉強しようか!」

 

「はーい」

 

片平 真由美…………彼女が義彦から紹介された二人の家庭教師だった。義彦曰く、ゼミで優秀な生徒らしい。義彦が翔一がよく知っている人物というのは三杉家に来てから、彼女に勉強を教えてもらっていたからだ。実際の所、翔一が椚ヶ丘中学校に入れたのは彼女お陰様でもある。

 しかし、ここ最近の彼女は元気がなかったが二人の前では変わらず笑顔でいた。

 

真魚は数学、翔一は英語を取り組んでいた。解らない部分は真由美から聞いて解いた。

 

「翔一君もすごいじゃない! よく解ったわね。二人共家庭教師何て要らない位だわ」

 

「いえいえ、偶々ですよ。真由美先生、教え方上手ですから、ね! 翔一君」

 

「そーそー。うちのクラスの新任教師に爪の垢を飲んで欲しいくらいですよ」

 

そう真由美を褒めちぎり課題に取り組む二人であった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オーパーツ研究局が解散となり、オフになった美雲はバスに乗って自宅に戻る途中であった。その様子を後部座席に座っている黒い服を着た少年が見つめていた。少年はまるで()()()()()()()()()()()()様子で右手にはオーパーツ研究局の実験で誕生した赤ん坊と同じ文字のようなものがあった。バスに乗っているとふと誰かに見られている気がしていた美雲。その視線を感じて振り返るがその目線には()()()()()()()

 

(気のせいか………)

 

 彼女は再びバスの窓に映る景色を眺める。しかし…………少年は美雲の近くにいた。その事を彼女は気づくことはなかった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、翔一君に真魚ちゃん。ちゃんと宿題やっといてね」

 

「はーい」

 

「はい。アレ?」

 

勉強を終えて真由美を見送る翔一と真魚。すると翔一は建物の影に誰かがいる事に気づく。

 

「どうしたの?」

 

すると建物の影に隠れた人物が出てきた。それは、翔一と真魚が一度会った男………警視庁の氷川 真であった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 氷川が運転する車の中で助手席に真由美、後部座席には翔一と真魚が座っている。氷川は真由美を自宅まで送ることだったが彼の厚意で翔一達も一緒となったのだ。

 

「すみません、送ってもらっちゃって……」

 

「いえ、どうせついでですから…」

 

「でも、氷川さん。どうしてあんなところに居たんですか?」

 

真魚は氷川が自宅付近に居たことに疑問だった。すると翔一が推測を話す。

 

「もしかして、真由美先生って誰かに狙われてるVIPだったりしますか?」

 

「フフフ、私そこまで大物じゃないよ」

 

真由美は翔一の推測を否定する。すると真魚が話題を変えた。

 

「でも、こうしてみると氷川さんと真由美先生ってお似合いですよね。真由美先生は彼氏いないんですか?」

 

「真魚ちゃん、流石にそれは…」

 

流石に不躾な質問ではないかと翔一は真魚を制止する。

 

「うーん、いるようないないような…」

 

真由美の曖昧な返答の次にこう語った。

 

「自然消滅かな。私、結局振られちゃったんです。私よりも自分の夢を追うタイプの人間だったから…………」 

 

そう会話してると真由美が住んでいるマンションに到着し、真由美は車から下りる。

 

「ありがとうございました。真魚ちゃんと翔一君もまたね」

 

「「はーい」」

 

真由美はマンションに向かうと同時に車も発進した。すると真由美の前にある男が現れた。

 

「………」

 

「涼…」

 

そう、涼であった。涼が持っていた写真に写っていた女性は真由美であったのだ。

 

「……誤解しないで。今、家庭教師のアルバイトしていて教え子たちだから…」

 

「……驚いた。お前、まだ俺の事を…………」

 

涼の言葉に真由美は頷く…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 氷川が運転する車は一時停止する。

 

「二人とも、申し訳ございませんがここで降りてくれませんか? まだ仕事がありますので」

 

「あ、すみません」

 

「本当にありがとうございました」

 

二人は車から降りてそれを確認した氷川は車を発進した…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 涼と真由美は場所を変えて近くの寺院の外で話し合っていた。真由美は今の涼の現状について聞いてみた。

 

「……3ヶ月ぶりかな。電話しても出てくれないし、キャンパスでは時々見かけたけど……聞いたよ。大学も水泳も辞めたって。どういう事? 何かあったの? 水泳に打ち込んだ所為で私に会えなくなったと思っていたのに…………」

 

彼女の質問に涼は彼女に告げる。

 

「…………もう泳げない。もう選手ではいられなくなった」

 

「どうして? 事故の後遺症はないって言ってたじゃない」

 

彼女の言葉に下を向く涼。

 

「……勝手よね。そっちの都合で私の事をほったらかしたくせに、今になって私の事を頼ろうとして……その上何も話してくれなくて……。本当に涼って凄く我儘で凄く弱虫よね」

 

「……お前の言う通りだ。やっぱり来るべきじゃなかったな」

 

彼女が涼のことを評すると彼は彼女の前から立ち去ろうとする。

 

「良いよ! 頼ったて……」

 

その言葉に涼は立ち止まる。

 

「我儘で弱虫の涼が好きなんだから」

 

彼女の言葉に涼は振り向いた。その表情は少し照れくさそうにしていた。

 

「ねぇ……今度いつ会える?」

 

「……約束する。もう、寂しい思いはさせない」

 

「じゃあ、明日待っているから」

 

寺院外に出て、彼女と再び会う約束をし涼は歩き去った。その様子を見ている真由美だが、彼女の背後に忍び寄る影があった。コブラのように顔とエジプトのような装飾品にアンノウン特有の羽飾り…………スネークロードのアングィス・マスクルスがサインを切る。そして……。一瞬の静けさから大きな突風が彼女を襲った。

 

「シャー…………」

 

マスクルスは残像が現れながらゆっくり真由美に近づく。突然のような事が起こり彼女は一瞬金縛りのような状態で動けない。

 

「逃げろ‼」

 

そう言って現れたのは氷川であった。以前公園にて殺された片平久夫は彼女の父親にあたり、今度は真由美が

襲われると思い彼女を護衛していた。ガードアクセラーを右手に持ち、マスクルスに抵抗するが生身の状態では無力に等しかった。

 

「逃げて‼ 早く‼」

 

氷川の言葉に真由美は金縛りから抜け出して逃げようとする…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翔一と真魚は三杉家に戻るため、街中を歩いていた。すると翔一は一度立ち止まる。

 

「どうした?」

 

「ごめん、真魚ちゃん! 俺行かなくちゃ‼」

 

「え⁉ それって戦いに………って⁉」

 

彼女が言う前に翔一は走り去った。

 

「ちゃんと戻ってきなさいよ‼ いつもの翔一君のままで帰ってきなさいよ‼」

 

走り去る翔一に真魚はエールを送った…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャー………」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ⁉」

 

「キャアー⁉」

 

 マスクルスは標的の真由美を殺そうとしていたが氷川が彼女を守っていた。このままでは埒が明かないと感じたのか、また突風を発生させて二人を大きく吹き飛ばした。

 

「ッ⁉ 片平さん⁉ しっかりしてください⁉」

 

氷川は倒れて意識を失った真由美に呼びかける。

 

(このままじゃまずい‼)

 

氷川は周囲を警戒しながらスマートフォンを取り出し本部に連絡する。

 

「こちら氷川! アンノウンが出現‼ G3システムの出動を……うわぁッ⁉」

 

本部にG3システムの要請をしたがマスクルスの妨害にあう。真由美にマスクルスの魔の手が伸びる瞬間、マスクルスは何かの気配を感じたか手を止めた。

 

バイクのエンジン音が寺院に響く。その音の正体はアギトの専用バイクであるマシントルネイダーのエンジン音でありそれにアギトが乗って現れた。

 

「トォッ‼」

 

バイクから飛び降りるアギト。

 

「ア…ギ…トッ‼」

 

アギトは状況を確認する。

 

(なッ⁉ 何で真由美先生が………)

 

アギト=翔一が何でこの場所に彼女がいる事に困惑したがマスクルスが襲い掛かり頭を切り替える。

 

「シャァッ‼」

 

「フン‼ ハァッ‼」

 

マスクルスが徒手空拳でアギトに挑むがパンチとキックはことごとくいなされ逆にアギトからキックを腹部にパンチを顔面に受ける。

 

「シャァー‼」

 

マスクルスは怒ったか頭上に光の輪が出現し何もない空間から自身の武器、“審判の杖”が現れそれを装備しアギトに襲い掛かる。しかし、アギトはマスクルスの杖を躱し、動きを観察し、杖の一撃を左腕で受け止め,キックで放ち、距離を取る。

 

 距離を取った後、アギトはオルタリングの左のスイッチを押すと、オルタリングからストームハルバードを取り出すと同時に超越精神の青(ストームフォーム)へと変わる。そしてストームハルバードの刃を展開し構えてマスクルスと対峙し彼らは階段を上り寺院内に入り戦闘は激化する。

 

「フッ‼ ハァ‼」

 

「シェァー‼」

 

長物同士がぶつかり合い、アギトはハルバードは当たらずともキック等の一撃で確実にマスクルスを追い詰める。その様子を黒服の少年は腕を組みながら見つめている。一方を見守り、一方は敵対しながらもその力を見極めるように…………。

 

 2体は仕切り直すように一度距離を取った。するとアギトの背後に鞭を伸ばす音が響き、後ろを振り返るアギト。

 

「フフフ………」

 

 振り向いた先の不気味な笑みと笑い声を上げた主は新手のアンノウンだった。鞭を持ったアンノウンの外見は女性的な見た目、頭部には髪の毛のよう無数の蛇がなびく、ギリシャ神話のメドゥーサのような見た目だ。マスクルスの同族のスネークロードのアングィス・フェミネウスが一瞬、少年の方を見つめる。その様子に少年は頷く。まるでアギトを始末するように命じてる仕草であった。アギトはそこに少年がいるのには気づかず、2対1の状況に陥ってしまう。

 

(またこの展開かよッ‼)

 

2体のスネークロードに挟まる形でアギト=翔一は内心、毒づくが彼らの波状攻撃に休む暇はなかった。

「シェァッー‼」

 

「クッ⁉」

 

「シャァッー‼」

 

「うわぁッ⁉」

 

先に仕掛けたのはフェミネウスだった。彼女は自身の武器、“邪眼の鞭”を振いアギトに襲い掛かる。鞭を躱すアギトだがその隙をマスクルスの杖による攻撃を受けてしまう。その様子は少年は見つめる。

 

(まずいな…………1対1に持ち込まなきゃ…そうだ‼)

 

アギトはこの状況を打破するため思考し、2体の内1体を盾替わりにすること思いつき戦闘に取り入れる。

 

「シェァッー‼」

 

「フン‼」

 

「グワァッ⁉」

 

 フェミネウスが鞭を振るう瞬間、アギトはマスクルスが持つ杖を掴み鞭の一撃をマスクルスが受ける。マスクルスはそれにひるんでしまい、フェミネウスは鞭をアギトのストームハルバードに絡ませる。その結果アギトをフェミネウスはお互いの武器を振い抵抗し、マスクルスもその動きにどう対応するか迷う。

 

「ハァッ‼」

 

「ガァァァッ⁉」

 

迷った結果、マスクルスは突撃したがアギトは寺院の階段におびき寄せていた為、マスクルスの突撃にアギトは回避し勢い余ったマスクルスは階段に落下し、これでフェミネウスとの1対1に持ち込んだ。

 

(よし! これならいける‼)

 

「ハァッ!」

 

アギトの作戦は見事に成功し、フェミネウスを倒す事に集中する。ハルバートスピンを放つ為、一度距離を取るようにジャンプし寺院外に出る。ジャンプ後にフェミネウスは追ってきてアギトはハルバートを構える。

 

「フフフ…………」

 

しかし、フェミネウスは不利と感じたか突風を発生させる。

 

「うわぁッ⁉」

 

突風にひるんだアギトは周囲を見渡すがそこにフェミネウスはいなかった。まるで自分はやられない自信がある不気味な笑い声と共に姿を消した。

 

戦う相手がいなくなったアギトはマシントルネイダーを駆りその場を去った。

 

「ハッ⁉ 片平さん! しっかりしてください⁉ 片平さん⁉」

 

「……うう」

 

氷川はそれを見てたが直ぐに我に返り被害者の真由美に呼びかけると真由美は無事だったが意識が朦朧とした状態だった。

 

少年もその様子を見て姿を消した…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




因みにこの翔一君(オリ主君)は一応まだ社会人としての経験は若干残りつつ状態で氷川さんの名前を間違うことはないのと他人の恋愛は後方腕組視聴者面でそっと見守るタイプです。
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