思えば誰かにちゃんとユメ先輩のことを話したことはなかった気がする。
今がちょうどいい機会なのかもしれない。
最初に長くなることを先生に伝えてから私は話を始めた。
「その生徒はね...バカなくせに周りには恵まれてたの。
当時の生徒会長がそうだった。
ちょっと抜けてて...騙されやすい人だけどすごく優しくて...そのバカな生徒を導いてくれる先輩だったんだ」
話していく連れて昔の思い出が溢れてくる。
決して楽な生活ではなかった。
毎日先輩とアビドス復興のために奮闘して。
不良集団と先輩を守りながら戦って。
騙された先輩の尻ぬぐいをして。
それでも、あの日々は確かに輝いていた。
「きっかけはなんだったかな...もう思い出せないや。
それくらい些細な事でその、イライラしていたんだよね...
先輩はいつも見たいな向こう見ずだけど...夢のある話をその生徒にしてたの。
けど、そのイライラから酷い言葉を投げてしまった。
それが二人の最後。
次の日から先輩は...失踪してしまい...出会ったときには」
前を向けたからと言って辛くないわけではない。
思い出を胸に進めているからと言って、後悔がないわけではない。
今だって後悔は残っている。
どうして私はあんなことを言ってしまったのだろうか。
どれだけあの人に導かれてたかというのに。
視線の先の焚火が涙で霞む。
先生は...何も言わずに私を撫でてくれていた。
少し落ち着いてから話の続きを始めた。
「大事な先輩を亡くしたその生徒は...それでもバカだったんだよね...
先輩が残した手帳も見つけられず、誰にも話さないから1人で悩んで、後輩以外誰も信じれなくなって。
今だから言うけど、先生のこと、最初はダメな大人って思ってたんだよね」
私からのカミングアウトに酷いと言いながら苦笑していた。
「酷いって言うけど、私知ってるんだよ?
色んな生徒にセクハラしてるの。
この前だって私にスク水を着てほしいって言ったの、忘れてないからね」
あっわかりやすく焦りだした...
「でも、その生徒はそんなダメな大人と大切な後輩たちに救われたんだよね。
あれ、先生が動いてくれなかったらどうなってたんだろ。
散々アビドスを荒らして後輩のみんなに迷惑をかけて死んでたのかな。
そうだったら最悪の一言じゃすまないね。
プライドなんか投げ捨てて。
先生はダメな大人っていう評価、まだ残ってるんだからね?
それでも...うん、ダメだけど凄くていい先生だよ」
隣で恥ずかしそうに顔を掻いてる。
わかりやすいその姿に私は微笑んだ。