ヱヴァンゲリヲン:々   作:一途一

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この作品が連載される予定は今のところありません。あるのは構想のみです。


エピローグ「これまでのダイジェスト」

私は、蹂躙する使徒を見た。

 

 

 

 

 

私は、抗う人間を見た。

 

 

 

 

私は、弾けた少女を見た。

 

 

 

 

私は、決意した少年を見た。

 

 

 

 

私は、世界の終わり―――始まりを見た。

 

 

 

 

私は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――私は、何をした?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

破瀬(ハセ)ロウジ(37)、私は只の研究者だった。機械工学を専門にしていたが特に目立った発明もせず、収入の大半は大学教師の職に頼っていた。

 

しかし使徒が現れ、生活は一変した。

 

 

地軸が傾いたかと思えば海が真紅に染まり地球が壊滅的な状況に晒された挙句、使徒とか言う化物がやって来た。研究者の招集か何かだったか、丁度神奈川の第3新東京市に居たからその様子は鮮明に覚えている。当時は逃げるので必死で姿形は覚えていないが、私は確かに見たのだ。

 

エヴァンゲリオン、使徒を撃破するために作られたという人型決戦兵器。ロボットに似た、『生物兵器』。

 

 

聞いた話によると、あれは少年少女でないと扱えないらしい。

 

私はそこで閃いた。限りなく生物に近い構造の機械を作ればエヴァと同じ様な物を作れるのではないかと。ジェット・アローンと言うものが存在しているらしいが、それとも違う、限りなくエヴァに近い代物だ。

 

 

使徒との戦いが終わり、直ぐ様私は大学に帰り計画書を作成した。『Close Evangelion製造計画』、ヒトの手によって作ることが出来る、欠陥を取り除いた万能のエヴァンゲリオン。半ば夢物語ではあるが参加した人数は多く、大学構内で『C計画』の名前で通るようになったこの計画は着々と研究が進められた。参加した研究員は私の提示した案に協力的であったため、一つの問題を除いて順調に進んだ―――筈だったのだ。

 

場所を追われた研究者たちが集まったことで急速に研究レベルが上がった私の所属する大学は、基本的に秘密主義を貫くことで有名であった。どれだけ有用な発明をしても、大学の太鼓判が無いと世に出すことが出来ない。変わった決まりではあるが、基本的には即許可が降りるため、そこら辺は気にしていなかった。

 

しかし、―――許可は降りなかった。

 

提出した計画書、図案を検分した協議会(勝手にそう呼ばれているが、実際は只の会議である)の返答は、『第一に兵装を搭載する仕様にしないこと、第二に製造に掛かる費用を軽減すること』だった。更に畳み掛けるように、『動力源についてはっきりすること』と、丁度直面していた問題に対しても言葉を刺してきた。

 

勿論それらの問題が解決できるまで大学外からの支援は得られない。計画自体は急スピードで進んでおり発案から4ヶ月も経っていなかったから、また考え直してやれば良いと考えていたのだ。

 

 

だが、―――それが甘かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の研究が滞った最大の要因、『ニアサードインパクト』が、その1週間後に起きたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

その時、私は一人で山を訪れていた。人工筋糸の実験を行っていたその瞬間、それは起きた。

 

その日は朝から天気が悪かったので暫くは気付かなかったが、押し寄せるコア化の波で漸くその事態の深刻さを理解した。

 

神奈川の近くにあった大学はもう助からないだろうと判断した私は、宿のある村へと向かった。そこでは多くの人間が外に出て様子を見ているようだったが、私は目をやらずに進んだ。宿に置いていた通信機はやはりと言うべきか、全く反応しなかった。

 

C計画のデータは全て私が持っているため心配は無いが、研究の進度が遅くなるのは目に見えて分かっていたし、事の深刻さからこのエヴァを建造するほどの資源も人材も消え失せてしまうことが容易に想像できたが、今できることだけでもしようと先程行った実験のデータを纏め始めたのだった。

 

それから数時間後、データを纏め終わった私は気分転換にと外に出てみた所に話しかけてくる人間が居た。宿屋の女将だった。

 

「あんた、どっか行くのかい?」

「いや、少し様子を見に」

 

女将は心配するような顔で返答してきた。

 

「今は止めといた方が良いよ。今は何とか無事だけど、これから何が起こるか分かったもんじゃない。」

 

豪胆な話し方の割には優しい人だった。私は言われるがままに部屋に戻り、昼寝をすることにしたのだ。

 

 

 

 

そうして―――私はこの村で暮らすようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

時は長く過ぎるが、あれから14年経った。宿屋の一室は私の居城と化し、C計画の研究に使われている。今まで何があったかはもう詳しく覚えていない。

 

一人で進めた研究は佳境を迎えており、残すは動力源の問題のみとなった。もっとも、それもあと十数日で解決出来ることではあるのだが。必要なエネルギー量、動力伝搬の問題も過去のものである。

 

この3日間程は部屋に籠もりっきりだったので久しぶりに外に出ようと思い、ドアを開けた。そこにはいくらか老けた女性―――女将が居た。

 

「破瀬さん、また部屋に籠もりっきりだったのかい?研究も良いけど、村の仕事も手伝って欲しいもんだね」

「いやぁ、すみません。ちょっと勢いに乗ってて…」

「全く、何の勢いなのかね…」

 

やれやれという風に女将はそのまま奥にある調理場まで行った。そこからは「体調に気を付けるんだよー!」という年齢らしからぬ声が聞こえた。

 

 

 

 

 

外に出れば、14年前よりいくらか栄えている村の姿が目の中に映し出される。まあ数少ない人類の生き残りが集まっているからなのだが。

 

 

私はあまり村の人間と交流を深めた事が無い。それこそ宿屋の女将ぐらいと話をするぐらいだ。たまに仕事を頼まれる事もあるが、基本は暮らせるだけのお金を稼ぐことしかしない。

 

道行く中で通行人に「しっかり働けば凄い有能なのに」と何度呟かれたことか。

 

今日は只の散歩で済ませようと思ったが、珍しい人間を見た。駅の近く、列車の間を通る時に見えた集団。ぴっちりとした羞恥感マックスのスーツに、少年少女(実年齢がそうでない人間も混じっている)の顔触れ。

 

「エヴァのパイロットか…」

 

赤いスーツを着ているのは確かヴィレの戦闘員?だっただろうか。そして気弱…というか抜け殻みたいな少年は何なのだろうか。それに黒いスーツを着た見覚えのある少女。誰かに似てる気がするのだが…

 

視線を送り過ぎないように観察していたが、特に進展も無かったのでそのまま帰ることにした。

 

 

 

更に4日後。珍しく配電盤の修理を依頼されたりしたが、それ以外は研究に時間を費やしていた。まだ明るいが、時刻はそろそろ5時になりそうだ。折角だし夕焼けでも見に行こうかと、腰を上げた。

 

私は秘密の絶景スポットを知っている。奥の方にある廃墟なのだが、そこから見える夕日が美しいのだ。下にペンギンが居ることもあったりと面白い場所だ。

 

 

 

―――向かえば、少年が居た。

 

 

 

あの抜け殻少年だった。もうすぐ日が落ちるというのに、何故あんな所に一人で体育座りをしているのだろうか。

 

不思議に思ったが動こうとする様子も無いので、取り敢えず隣に座った。彼は此方に少し視線を向けたかと思えば、直ぐ様元の位置に戻した。彼は随分とシャイなようだ。

 

海の方を眺めてみれば段々と日が落ちて行き、綺麗な夕焼けになった。彼は体育座りのまま一度たりとも動いていない。

 

日は完全に沈み、当たりは暗闇に包まれたが、彼は一向に動こうとしない。見た目では夜出歩いてはいけないような年齢だが、もしかして家出か何かしているのだろうか。

 

私は声を掛けようか迷った。今まで自分から声を掛ける事は無かったせいで、理由もない恐怖が口の中で蠢くのを感じた。

 

 

そうして数十秒考え、私はこう言った。

 

 

「―――…1日中その体勢のまま維持するのは凄いが、流石に帰った方が良いのでは?」

 

「…………凄くはないです、それと、帰りたくはないんです」

 

初めての会話だった。本来は優しい声なのだろうが、やつれて聞こえる。コミュニケーション力の乏しい私はその時点で限界を迎え、「そうか」と言い去ることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

次の日の昼に訪れてみると、相も変わらず彼はそこに居た。体勢も位置の場所も全く変わっていない。まだ気分は良くなっていないようだ。

 

今日は女将に頼み、弁当を2人分作って貰った。何故弁当なのか、と理由を聞かれたりもしたが、何とかはぐらかした。

 

昨日と同じ様に彼の隣に座り、弁当を横に置いてみた。特に反応は無く、微動たりともしなかった。

 

10分程待ち、我慢の限界に達した私は弁当に手を伸ばした。肉類は少ないが、山芋や山菜など、色彩がある味付けで非常に美味しかった。

 

夢中になって弁当を食べていた所、少しだけ視線が此方に伸ばされている事に気づいた。少しだけ興味を持ったようだ。

 

美味しく食べる所を見せたら食べてくれるかなと思い、顔の真横で大袈裟に食べてみた。彼の頬が少しだけ緩んだような気もしたが、結局私が居る時に食べてくれることは無かった。

 

 

◆◇◆◇

 

 

ふと、またまた一週間ぐらい部屋に籠もることがあった。動力源の研究が終わりを迎えかけていたからだ。

 

最初は無限機関のような物を想像していたが、必要なエネルギー量が研究を進めるごとに大きくなって行き、最終的に核エネルギーを利用することになった。ジェット・アローンの二の舞だと言われるかも知れないが、この数年間で研究した放射線遮断技術のお陰で83%の放射線をカット出来るレベルのカプセルを発明した。稼働時間は一週間で、基本的には昼夜を問わず稼働することが出来る。どれもこれもパソコン内の研究エンジンに依る仮想実験だが、正確性は世界最高峰だと断言できる。

 

最後の問題も解決し、これにて『C計画』の前段階の研究は終わりだ。

 

私はUSBにデータを転送し、保存した。ポートから抜いたUSBを弄びながら女将にまた怒られるな、なんて事を考えていたら、ふとある少年の事を思い出した。そしてまたもや散歩がてらに、廃墟へ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、彼の姿は無かった。

 

 

代わりに、スーツが落ちていた。

 

 

白い、ピッチリとしたスーツ。少年が着ていたものと似ているが、形状から察して女性の物だろう。

 

 

そして、近くに僅かに残るオレンジ色の液体を見て、私は戦慄したのだ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                         カチッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

私は、駅のホームで電車を待っている。何故待っているかは分からない。此処がどこかも分からない。手持ちの物はどこで貰ったか分からないカセットと『C計画』のUSB、それだけだ。切符を持っていない私は電車に乗るのを諦めなければならないだろう。

 

当たりを見回してみる。理解できたのは随分と美形の人ばかりしか居ない事と、私の格好が場違いな事だけだ。

 

困惑しながらも、どうにか頭を冷やす。すると、一つおかしな点に気づいた。

 

ここにいるのは美形なだけではない、私が過去に見た人間なのだ。それに見た当時は少女の筈なのに、その誰もが大人びた姿をしている風に見受けられる。

 

 

電車が来る音がする。

 

各々が動く。

 

傍から見れば、映画の終わりのようにも見れる感動的なシーンが展開される。

 

しかしながらその中で一人。

 

 

 

 

私だけは、見えない未来の展望に絶望し、頭を垂れていたのである。

 

 




読んでくださりありがとうございました。万が一連載が続いたときは作者は正気ではなくなっています。
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