────この辺りの荒野も、随分と賑やかになってきましたね。
最初にサウスリムを立ち上げてから、外郭市街として幾つかの街を南西方向に拡張し、それぞれを結ぶ交通網を整備していった結果、サウスリム“都市圏”は人口30万人を抱える一端の都市として成長しました。
荒れ果てた土地を切り拓き、道路を引き、インフラを建て、人を呼び込む。
そうして開拓地が街になり、街が繋がっていく──地道で手間のかかる仕事ですが、その成果が各種数字として目に見えて形になっていくのは、パラドゲーの醍醐味と言えるのではないでしょうか。
citiesの人口流入速度は街の数(セーブデータ数)に影響されないという点から、複数地点で平行して別都市を展開していきながら合流させるという手法を見つけ出してから私の都市圏は急成長を始め、今や…
・資源都市マニラ、人口8万人
・貿易中継都市マラッカ、人口15万人
・交易都市ティモール、人口5万人
を中心として域内総人口は100万人の大台を突破しました。
この人口を用いまして、3個歩兵師団と1個機甲師団、地上支援用の攻撃機が100機、そして……8インチ主砲を搭載した陸上巡洋艦を1隻配備しました。
このくらいあれば、軍事委員会が相手でも決戦一回くらいは凌げるんじゃないでしょうか。多分。
他に大きな進展ですが……なんと、南の荒野を抜けた先で海岸線を見つけました!
いや~行っても行っても砂か岩石しか見えないので正直諦めかけてましたよね。
勿論すぐに港の整備を始めましたよ。
まだ発展途上ですが、漁業や交易の拠点として十分に機能しつつありますし……港町として成長していけば、この地域全体の物流の要になります。
やっぱり船舶輸送の効率性は文明にとって欠かせないですし、大抵の文明は肥沃な水辺にこそ発生するのが相場というものなのです。
西の方では、拡張した領土が他国……レム・ビリトンやシラクーザの領域と接触しました。
よって当然の流れですが、国境付近の幾つかの都市や街では両国との交易もスタートしています。
正直、テラにおける自分の特異性自体は把握してるつもりですし、その状態で交易を始めるのは少々リスクが高いですが……今のところは順調そうです。
レム・ビリトンは、元々鉱山以外はそこまで豊かな国と言うわけでもないらしくて、向こうからは資源、此方からは食料品や民生品等を輸出する加工貿易モドキの関係が成り立っています。
一方、シラクーザは少し厄介ですね…………。
商人連中の裏にも当然居るんですよね……マフィアかカルテルか、なんと言ったら良いのか分かりませんが、現シラクーザを支配するファミリーとか呼ばれているモノ。
ちゃんとした政府相手では無いからなのか、気分的にどうにも落ち着かないですね。
まぁそれでも、交易は続けるべきだと思います。
サウスリムの現状から鑑みるに、今は下手に政治の世界で警戒し合うよりかは、互いの利益を見据えて協力するポーズを取っている方が、対外イメージ的には得策でしょうからね。
ただ……そろそろ隣国だけではなく、他の国にも意識を向けるべきでしょうね。
もともと多国間の空白地帯でしかなかったこの地の成長を見て、周囲の列強が何も思わないはずはないでしょうし。
テラの諸国も政治的悪辣さで言えば帝国主義時代の地球のそれと変わりありません。
この荒野が肥沃な土地に変わりつつある今、どこかの国が牙を剥いてくる日は、そう遠くないかも……と。
まぁ、自分の手で切り拓いたこの地を、易々と誰かに奪われるつもりはないのですが。
で、今現在考えられる外敵なんですが、第一にはヴィクトリアですね。
レム・ビリトンの背後には、ヴィクトリアがいると見て間違いないでしょう。
彼の国はあの手この手で、此方の活動に目を光らせているようで、レム・ビリトンを経由して情報を収集、あらゆる手段でこちらを懐柔、もしくは支配しようとしている意図が透けて見えました。
既にサウスリムや周辺地域にヴィクトリアの諜報員が紛れ込んでいるのは、ほぼ確実…………街に入ってきた商人や旅人の中に、おそらくその手の者だと思われるのが何人かいたと報告が来ています。
一応パラドゲーのシステムで防諜に努めてはいるのですが、こういうのはいたちごっこの側面もありますし、何せ相手はヴィクトリア。
中々完璧にとは行きません。
ヴィクトリアの貴族連中は、合法だろうと非合法だろうと、使える手段は何でも使うと考えて良いでしょうね。
対象を懐柔するための資金援助や贈り物、法的な圧力をかけるための政治工作、そして諜報員を送り込み秘密を暴こうとする……
ヴィクトリアの貴族社会は魑魅魍魎蠢く競争の場らしいですし。
もし誰かが我々を取り込むことに成功すれば、それは莫大な権力と財産が転がり込んでくることを意味します。
なので、他の貴族たちはそれを許すまいと別の手段を講じます。
要するに、彼らの間で我々を巡る競争が始まってるんですよ……私の頭上を通り越して。
全く、イヤになりますね。
もっとも、奴らがサウスリムを取り込むために調子に乗りすぎるなら、こちらにも考えがあります。
…………パラドゲーでは大抵の場合、軍事力を以て直接雌雄を決する他に、スパイを使った諜報戦が出来ます。
その中に、とある選択肢が存在するのです。
「相手国の反政府的勢力を支援して反乱を扇動する」という選択肢が。
強権国家の中には、大抵政府に強い反発心を抱いている者が存在します。
その手の彼らは抑圧されながらも、独自の文化や技術を持ち、反乱や抵抗の準備を進めている者だって居ることには居るでしょう。
がそれを支援することで、新たな問題を押し付けることができれば、その国は外を伺う余裕を失くすかもしれません。
もちろん……それを実行に移すのは政治的な最終手段ですが。
それで、当然ヴィクトリア国内にもそういう輩は居ると思いますし、もしこちらがその民族を支援して混乱を起こす手を取るなら、ヴィクトリアの貴族たちも対応に苦慮するでしょう。
だって、ヴィクトリアですよ
じゃあ
文化的にも社会的にも、ヴィクトリアの貴族たちの言動は大英帝国時代のイギリスそのもの。
現実のイギリスとアイルランドの関係に似た歴史を持つ構図は、パラドゲーマーから見れば透けて見えるほど分かりやすい。
そのターラー人に対して、此方がさりげなく手を差し伸べるだけで、ヴィクトリア内部に大きな混乱を引き起こすことは難しくないのです。
流石に足元に火が着けばヴィクトリア人とはいえ、しばらくは自分達の火遊びを後悔するんじゃないでしょうかね。
もちろん、現時点で積極的にヴィクトリアに干渉するつもりはないですよ?
こっちは好きに開拓して国力増強したいだけであって、わざわざ外部と無駄な衝突を起こすつもりは「今は」無いですからね。
まだ、ヴィクトリアとの関係を平穏に保つべき時期でしょうし。
でも、それは奴らがこちらを害さない限りの話です。
こちらが大きく動かないからといって、相手が穏当な暗闘に終始しているとは限りません。
ヴィクトリアが我々の発展を注目・警戒している以上、あらゆる手を使ってこちらを制圧しようとするかもしれないですし。
もしヴィクトリアの貴族達が調子に乗りすぎるようなら、こちらも手段を遠慮するつもりはありません。
この地を切り拓いてきたのは我々なのです。
外部からやってきた列強に総取りさせるつもりは更々ありません。
いずれ衝突する時が来るでしょう。
その時、どれほどの力を持っているかがすべてを決めます…………平和を望むなら戦争に備えよ、ですね。
まぁ、ヴィクトリアの諜報活動云々に関してはサウスリムだけの問題に留まりませんし、一応両殿下にも報告しておきましょうかね。
あっ、サマラ~どうしたのそんなに慌てて…………緊急報告?
なになに、南の海の方から変な魚っぽいものが現れて市民を襲ってる?
いやーやっぱりテラの自然は厳しいですねぇ、とりまケルシー先生に相談してみよっと。
[歩兵師団]
歩兵2400人
装甲輸送車100両
戦車50両
野戦砲12門
……………………3個
[機甲師団]
歩兵1200人
装甲輸送車50両
戦車100両
自走榴弾砲50両
……………………1個
近接航空支援機
(A-1スカイレイダー相当)
……………………1個航空隊100機
艦艇
(重巡洋艦相当)
……………………1隻
テレジア、彼の市長がヴィクトリアへ関心を持っていることは確実だ。
収集している情報から鑑みるに……おそらくは混乱をもたらす方向で。
無論、自らの限界を超えて手を伸ばす危険性は十分に理解しているつもりだ。
ヴィクトリアの国内は我々にとっての限界を超えている。
そしてヴィクトリア国内の混乱は、言ってしまえば我々とは無関係の事柄に過ぎない。
…………しかし、市長のこととなればその限りではない。
我々の手の届く範囲に居る者が、我々とは無関係の火種を作ろうとした時、我々はどうすればいいのか。
情けないことだが、私は未だ判断しかねている。
────ケルシー