適応能力ダブル持ち(なお宝の持ち腐れな模様) 作:マコ×OR
推定ラスボス格のヴィランを倒したあと、自分は何食わぬ顔で施設に戻り、一日を終えた。彼は一つ一つ丁寧に個性を剝ぎ取られ、細胞レベルまで分解され、じっくりと、時間をかけて吸収されていった。
そういえば、途中取り込んだヴィランの思念……断末魔のような意識が、ORTへの抵抗を試み、自分の中に残った個性の残りカスを携え反逆を企てた。彼が行った一世一代の反逆劇がどの様な結末を迎えたのかは……今も人類社会が存続していることから察してほしい。まああれだけ徹底的に打ちのめしたのだから、もう自我なんて残っていないだろう。
そんな、すべての不安要素が取り除かれたような晴れやかな気分で目を覚ました次の日。いつものように塩味の薄い朝食を食べていると、恐るべきニュースが飛び込んできた。
『えー次のニュースです。今朝五時ごろ、警視庁公安部は、地球外生命体の侵略から日本を防衛するための新たな組織を設立する予定であるとの発表を行いました。すでにいくつかの有力なヒーロー事務所と連携を取り、早ければ明日には―――』
「ブーーーーーーッッッ!!?」
「ちょっと束石くん。汚いですよ?」
「ゥェ!?あ、は、ハイ、すんませんっす…」
口に含んでいたものが運よくお茶だったため被害は軽微だったが、横に座る同居人から白い目を向けられてしまった。
心臓の鼓動が周りにも聞こえるんじゃないかというぐらいに大きくなる。気持ちを落ち着かせるためにテーブルを拭きながら続けてニュースを見るが、テレビに映っているのはやはりORTだった。見間違えであってほしかったが…
『昨日午後一時ごろ、関東地方上空で未確認飛行物体が発見されました。この飛行物体影響による死亡者は
もう討論番組まで組まれている。まったくテレビ関係の人たちは足が速い。どうやら、宗教学者と超常科学研究家が大真面目に謎の円盤の正体について議論しているようだ。片方は……なんだかカルト宗教に肩までどっぷりつかっていそうな見た目をしている。社会人としてどうなんだろうか。
『……では、所場さんの意見としては、やはりあれは神の御使いだと…』
『その通りデス!いえむしろそれ以外考えられナイッ!あの円盤こそは個性という身の丈に余る力を手に入れてしまった人間への―――』
『えー、ハイ。満田さんなにかご意見があるようでしたら…』
『そんなことは断じてない!神の御使いなどそんな、バカバカしい……あれは現代の科学で十分説明のつくものだ』
『ケヒヒ!本当に、デスカ?』
『そうとも。この映像を見るに、あの円盤は下部が燃えている。つまりは内部で何かを燃やして浮いているわけだ。どうやって出現したのかは議論の余地があるが、構造的には気球と同じだよ』
『それに、政府は大真面目に地球外生命だと考えているようだが。別にあれぐらい工夫すれば個性でも十分可能だろうに。私としてはせいぜいヴィランによる集団幻覚の一種程度だと思うがね』
『―――ヒャハハハハ!アナタはあの場所にいなかったからそのように愚かでいられるのデス!実際にあの場にいればそのような―――』
この後も聞くに堪えない内容の討論が続く。同居人と同期の子供たちが目を輝かせながら
今の自分のすさんだ心を癒してくれるのは
朝礼開始30分前。これぐらいの時間に毎日登校するのだが、今回は事情が事情なので45分前に来た。出久くん達が登校してくるのは朝礼15分前ごろ。それまで席に座ってだらだらしているのが習慣になっている。だが今日はすでに出久くんもかっちゃんくんも来テイルヨウダ。ハヤイネ。音を立てないよう恐る恐るドアを引くと、二人がすごい顔でこちらを見る。あ、でも出久くんはちょっと笑っている。
……正直怖い。行きたくない。勘弁してほしい、が、とりあえず話しかけなければ何も進まない。観念して口を開いた。
「お、おーい出久くんー。かっちゃんくんー。おはよう―――」
「…」
「ッスゥーーー……あ、あはは。そういえば昨日面白いマンガを見つけたんすよー…よければ放課後本屋に…」
「…」
「……えっと…その……あ、アハハ…」
「…」
「……ねえお兄さん」
長い沈黙に耐え切れなくなったのか、出久くんのほうから口を開いてくれた。二人とも依然険しい顔のままだがようやく解決の糸口が見えた気がする。実際のところ、出久くんのオタク気質的にこうなるのではないかとは考えていたのだ。そしてどう言いくるめるかも。
「今朝のニュース。あれ、お兄さんだよね?」
「えー?ごめんなさいっす。今朝ニュース見てないんすよねー。何かあった―――」
「オイクソピカァ!まどろっこしいのはいいんだよ。もうネタは割れてんだ……いいからとっとと言えや、な?」
「ヒィン…」
駄目でした。もう完全にバレてるみたいなので、周りに誰もいないうちにとっとと洗いざらい話してしまうことにした。小学生の出す威圧感じゃない…
昨日は午前中で授業が終わる日だったから、家で昼食をとっていた。母親と食事を取りながらテレビを見る僕の目に飛び込んできたのは、かつて超常と呼ばれていた者達が日常にまで貶められてしまったこの時代に、未だ根強く存在し続けていた唯一のものだ。
人々はそれをUFOと呼ぶ。
……正直、異星からに限らずとも、地底人、海底人、
ある日自分たちと全く異なる姿形をした生物が、自分たちよりも優れた技術を以て人類を滅ぼさんとする……コロンブスの新大陸発見エピソードと似たようなものだ。だが、だからこそ、地球の大部分を征服しきった人類にとっては空想の延長でしかなかった。つい昨日までは。
「何あれ……ちょっと。アレってUFO!?UFOってアニメやマンガの中の話じゃないの!?ウソ、日本にUFOが…―――ど、どうしよ出久!お父さんに電話―――」
(えっ……お兄さん?何してるのお兄さん…)
この世の終わりを目の当たりにしたかの如く慌てまくる母親とは対照的に、僕は幾分落ち着いた状態でニュースを見ることができた。画面の向こうから感じる雰囲気は、僕のよく慣れ親しんだモノであったためだ。
お兄さんとの付き合いが短い同級生達に言うと少し引かれるのだが、お兄さんは特殊な電波とか、雰囲気とか、気配とか、そういった言葉で言い表すことのできないナニカを放出しているような気がする。そのためお兄さんが近くにいると分かるし、嘘をついているかもなんとなく分かる。理由はわからないが、横にいると少し不安になるのだ。
慌てる母親を「たぶんヴィランの個性だよ、きっとオールマイトがどうにかしてくれるって…」となだめつつ食事を終え、自分の部屋に戻る。ベッドに転がると、ふとスマホに目が行った。
「……いやいっか。明日直接聞こう」
少し考えて僕は目を閉じた。母親にはああも言ったが、案外自分もショックを受けていたらしい。
次の日、同じく気づいていたかっちゃんと教室で話していると、扉の前でコソコソと身を屈めて僕たちの様子をうかがっているお兄さんが見えた。その姿を見て少しおかしくなって、つい笑みがこぼれてしまう。
もしもあのUFOを持っているのが……いや。
(僕たちのことが、大切、なんだ―――あは)
ぞくり。脳が不思議な感覚に襲われる。
この感覚が何なのか、僕にはまだ理解できない。
あ、自分は
名前の由来は…
や束のつるぎいか石んしょうまこら 輝けるゆいいつのそんざいおる斗
って感じっすー。ORTのもじりで織戸とかにしようかと思ったんすけど、それじゃ自分がオリ主みたいだなって思って…
あ、この小説は一応これで完結ってことにしとくっす。出久君たちの幼少期編が終わったんで区切りもいいっすからねー
なんだかイケない感情を芽生えさせちゃった出久君に、原作より上昇志向強めになったかっちゃん君。二人がこの後どういう人生を送るのか。続きは…
……自分が原作を読んでからっす!!!(未だに原作読んでない&二次創作でしか読んだ事ない)
まー続きはなんとなく考えてるっすからー気長に待っててほしいっすよー……もしかしたらなんだかんだ読まないかもしれないっすけど…
というわけで。ここまで読んでくれてありがとうございまっす。また今度っす!