適応能力ダブル持ち(なお宝の持ち腐れな模様) 作:マコ×OR
あと、生まれて初めて戦闘描写ってやつをしたっす。
マジでむっずいっす。他の人たちってよくやるっすねー…
とがちゃんが来てからというもの、トレーニングの密度は日を追うごとにどんどんと増えている。腕立て伏せも、スクワットも、より深く、より筋肉に負荷がかかるように行うようになった。やはり幼いといえ、いずくくんも立派な男。女の子の前じゃ格好つけたいのだろう。
最近ではいずくくんの母親も軽くトレーニングに付き合ってあげているようで、いずくくんの日課に朝食前のランニングが追加された。親が子供の夢に理解を示し支えてあげ、子供は将来の目標に向かって努力する能力を身につける。あともちろん親子両方の健康にも良い。まったくトレーニングとは一石三鳥の代物である。
……トレーニングを始めたばかりの時、筋肉がついたと嬉しそうに話していたいずくくんと比べ、現在のいずくくんは明確に筋肉がついている事が分かる。
オールマイト柄の小児服に浮き上がる幼い体に不釣り合いな筋肉は、同年代の子供たちの間でも話題となっており、最近はイジメられることも少なくなったという。
そんなある日、紅葉がひらひらと落ちるようになり、近くの街道が銀杏臭くなってきた頃。この公園に新たな訪問者がやってきた。背丈を見るにどうやら子供、またジャージに水筒とフル装備で来ている。金髪で髪の毛がツンツンと跳ね返っている、だいぶマンガチックな濃いキャラクターをした子供だ。
「テメェか……デクがきたえてもらってる『先生』てヤツはよぉ…」
「ガラ悪っ、え、いずくくん、知り合いっすか?」
「ん?あ、あの子はかっちゃんです!…でもどうしてこんな時間に?サッカーの集合時間までまだ3時間ぐらいあるのに…」
「決まってンだろォが!!おいデク!オレと
「えっ。え?……エエー!?」
「ァ゛ア゛?何か文句あんのかデクのくせによォ?……ハハァン?なるほどなァ…」
「ビビってんだろ。無個性のデクノボーがいくらトレーニングしたって、オレにはかないっこ無いって分かってるもんなァ?」
そう言って威嚇するように、手の平から連続して小規模な爆発を起こす。なるほど。彼が件のかっちゃんくんか。喋り方や立ち振る舞いからもなんとなく察しが付くがゴリゴリのヤンキー体質のようだ。
自分が同年代の中で一番恵まれた個性を持っているという事実と、それが強いという自信からくる圧倒的な自尊心。プライドの塊が服を着て歩いているようなイメージだろうか。
「いや、目の前でイジメとかバトルとかやるつもりならフツーに止めるっすけど…」
「は?どけよ。ジャマすんじゃねェ」
「ええー……ねえいずくくん。この子マジのホントにヒーロー志望なんすか?言ってることが明らかにヴィランなんすけど…」
「アハハ……かっちゃんは誤解されやすいですから…」
「アァン!?何か文句あるんか!?つーか早う来いや!とっととやんぞ!」
「えっ、う、うん!」
そう言って彼についていこうとするいずくくんの肩をつかんで止める。彼が彼ならいずくくんも大概だぞ、何をしようとしているんだこの子は。『今からお前を殴るからついてこい』と言われたら普通は走って逃げるんだ。ホントについていくヤツがあるか。
「絶対止めといたほうがイイっす!今のいずくくんじゃマジで外道な戦法以外じゃ勝てそうにないっすよ!?わざわざ怪我しに行く事はないっす!」
「だいじょうぶです!明日もちゃんと来ますから!」
「うーんこの……とがちゃんどうにかしてくださいっす…」
「あぁぁ…ボロボロになっているいずく君もきっとカァイイだろうなぁ…♡」
「………………え、ちょっ」
「安心してよお兄さん!だいじょうぶです。ゼッタイ勝ってきます!」
「あ…」
そう言って自分の制止も聞かずに行ってしまった。方向的に、自分がねぐらにしている山の中で戦うつもりなのだろう。まったくどうしたものか。
聞き見て関わってしまった以上止めないのは年長者として問題だし、あんなに自信満々な様子でいるものだから、なにか策があるのだろうかと想像してしまう。もしもそうならいずくくんの邪魔をしてしまうことになるし…
とがちゃんは二人の戦いを、もっと言えばボロボロになっているいずく君を見たくて仕方がないのだろう。さっさと自分を置いて行ってしまった。
「……もう考えるのメンドイっすね。とっとと行って止めて親に突き返してくるっすか」
そう言ってベンチを立つ。
自分の走る速度であれば余裕で追いつくことができる、と考えていたが、なんと入り組んだ路地の方に入ってまで撒こうとしていたので少々手こずってしまった。
とりあえず、服が伸びると暴れる二人の首根っこを掴んで、かっちゃんくんのいる家の方に叩き込んでおいた。玄関から出てきたときは恒例の
まあこの子の性格だと治りはしないのだろうが、今回の件で彼の性格が少しでも改善してくれることを願う。
次の日。前髪がさっぱりして、毛の先が焦げて黒くなっているいずくくんが公園に来た。
どうやら昨日の説得はまったく意味がなかったようだ。
何だ?何がいけなかったのだろう。この子たち同士の問題にあんまり過保護に介入しすぎたこと?子供の持つ意地っ張りなところ、反発心ゆえだろうか?
一応話を聞くと、どうやらケンカ自体は一瞬で済んだらしい。
先手はかっちゃんくんから。かっちゃんくんが爆発する右の大振りを繰り出した。そこにいずくくんが、攻撃を避けるように思いっきり身をかがめてタックルをかまし、思いっきり地面に押し倒して無理矢理ひっくり返す。
『ここまでやったらかっちゃんはきっと暴れまわるだろう』と予測し、事前に用意しておいた結束バンドで、やたらめったら爆破を繰り出そうとするかっちゃん君の手足を拘束して、それで終わり。
髪の毛が焦げたのはその時のダメージだという。真正面からモロに爆破を食らったのだと、照れくさそうに笑っていた。
……正直手際が良すぎる。それだけの事を本当に、小学生にもなってない子供がやり遂げたというのか?
極めつけになんだ。爆発物が顔の前で炸裂して、それで何も思わないというのか?
嘘だろう……もし本当だとしたら、いずくくんは既にどこかしら狂っている。ヒーローとしての素質ありすぎだろう。
自分には、できないことだ。
無論やれと言われればやれはする。肉体のスペック上間違いなく効果のない攻撃、きっとゼウスと爪楊枝ぐらいの戦力差があるからだ。ただ、できることならやりたくない。だって怖いではないか。顔の真ん前のところでダイナマイトが爆発するなんて。
やはりそうなのか。自分はどうにも、この世界になじめない。異能のあふれるこの世界に生きるこの子たちにとって、その程度の事は想定の範囲内なのか。火、刃、それらを操るヒーロー、そして、異形。
そういった自分にとって馴染みのないものが、彼らにとって道端でよく見かけるほどに常識なのだ。
「……ねえいずくくん」
「はい!」
「まずは初勝利おめでとうっす。でも、」
「危ないことは、しちゃだめっすよ?」
「……はい」
「……正直、怖いっすよ。自分の目の届かないところでボコボコにされて勝手に一生残るような傷とか作られたら。でも、そうっすよね。ヴィランの全員が話し合いに応じるような奴じゃないのも確かっす。」
「そうっすよねぇ。アハハ。なに甘えたこと考えてたんすかねぇ。ここはもう違うのにねぇ…」
「……」
「……いずくくん」
「……はい、なんですか?」
「自分は少し……そうっすね、一週間ぐらい顔を出せなくなるかもしれないっす。その間、キチンとトレーニングを続けられるっすか?」
「―――え、な、なんで」
「ちょーっとばかし野暮用ってやつっす。大丈夫。一週間後にはちゃんと戻るっすよ。とがちゃん」
「ハイ?」
「その間、なにか困ったことでも起きたらいずくくんを頼ってあげてほしいっす。きっと大丈夫っすから」
「いずくくんもだいぶ強くなったっすからね。きっととがちゃんの抱えている悩みも、解決するかもしれないっす」
「……えへ、分かりました。いずく君のことはまかせてください!」
そう満面の笑みで返すとがちゃんを見てから、自分は姿を消した。
あと、なんだか話が続かなくなってきたのでどこかしらで一区切りつけたいっすね。
も、モチベがそろそろ…