広「ままならないね」   作:羊の脚

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広「広」

p「篠澤さん」

 

広「広」

 

p「篠澤さん」

 

広「広」

 

p「…広さん」

 

広「広」

 

p「前はこれで納得していたでしょう…」

 

 

広「広」

 

p「…広さん」

 

広「広」

 

p「…」

 

広「広」

 

p「…」

 

広「広…むぅ…二人きりでも、だめ?」

 

p「その場の人数が関係ありますか?」

 

広「…」

 

p「何を黙り込んでいるんです?」

 

広「今、本気で論破すべきか悩んでる」

 

p「やめてください」

 

 

広「ふふ…冗談。プロデューサーには、嫌われたくない」

 

p「反応に困る冗談はやめてください。し…広さん」

 

広「広」

 

p「篠澤さん?」

 

広「…ごめんなさい」

 

 

p「今日は、その…少し様子がおかしいですね」

 

広「最近、明晰夢のことを調べてて」

 

p「なぜ?」

 

広「イメージトレーニング…の一環になるかなって」

 

p「難しいと思いますが…どうでした?」

 

広「プロデューサーが、広って呼んでくれたよ」

 

p「トレーニングは?」

 

 

広「夢の中のプロデューサーが、どんなことしてくれたか、気になる?」

 

p「睡眠の質が悪くなるだけなのでやめていただけますか?」

 

広「今みたいな冷たい目をしてた、よ…♡」

 

p「どうやら寝ぼけているようですね」

 

広「さっきまで、寝込んでたから」

 

p「…まだ無理は禁物ですね。徐々にでも成長していると思っていましたが」

 

広「ふふ…でも、倒れなかった。わたしは、自ら寝ることを、選んだ」

 

p「傍目からしたら変わりありませんよ…明晰夢などと言っているから、寝不足なのでは?」

 

広「うん…ごめんね。それも、あるかもしれない」

 

広「…」

 

広「ここは…わたしたちの教室?」

 

p「そうですね。あなたが気を失う寸前に、保健室じゃなくていいと仰っていたので」

 

広「…どうしてわたしは布団で寝ているの?」

 

p「床で寝させるわけにはいかないでしょう」

 

広「…ずっと、寝顔を眺めてた?」

 

p「人聞きの悪い…」

 

広「…」

 

p「…なんですか?」

 

広「ちょっと…恥ずかしい、かも」

 

p「…」

 

広「でも…プロデューサーなら、いい、よ…」

 

p「……………」

 

 

p「今日はもう安静にしていてください」

 

広「スルーされた」

 

p「それと…夜はしっかり寝ること」

 

広「それはそう」

 

p「最近は、ご自分でもいろいろと試行錯誤されているようですね」

 

広「趣味でも、今は夢があるから」

 

p「…体調を崩してまで無理をしてほしいという意味では、決してありませんよ」

 

広「わかってる。プロデューサーは、本当に、優しい」

 

p「…」

 

広「夢の中でも…優しかった、ね」

 

p「まだその話続きます?」

 

広「いつも、欲望に負けちゃう…」

 

p「……………」

 

 

p「お人形遊び、楽しいですか?」

 

広「怒ってる?」

 

p「怒ってません」

 

広「広って、呼んでくれないの…?」

 

p「呼びません」

 

広「そっか…」

 

p「明晰夢の話は抜きにしても…最近は根を詰め過ぎなところはあります。もとからそうといえばそうだったのですが」

 

広「…」

 

p「少し、らしくない頑張り方をしているのでは?」

 

広「…」

 

 

広「篠澤広らしくない?」

 

p「そうですね」

 

広「あなたの篠澤広らしくない?」

 

p「は?」

 

広「…うん、と…あなたの好きな、篠澤広らしくない?」

 

p「…」

 

p「いつも非合理ながらも、あくまで現実的なラインは見極めていたでしょう?明らかにそれを逸脱したレッスンを繰り返している」

 

広「…」

 

p「少しの無理でもあなたの体は許容しかねるのですから、わきまえてください」

 

広「ふふ…ままならない、ね」

 

p「ええ、ままならないですね。それが、楽しいのでしょう?」

 

広「…」

 

 

広「でも、もっと、頑張りたい、な」

 

p「どうして?」

 

広「…」

 

p「…ご友人たちの影響ですか?さしずめ、花海さんの負けず嫌いが移ったとか?」

 

広「それもある。佑芽には、負けたくない。千奈にもね。負けたら、悔しい」

 

p「はい」

 

広「二人と、いろんなお話をするよ。お悩み相談とかも、する」

 

p「本当に仲がいいですね」

 

広「プロデューサーの話もする」

 

p「……………はあ。いまにも見限ってきそうな冷たい目、ですか?」

 

広「ふふ。そういうところが、好き」

 

広「…」

 

広「でもね、聞いたよ。NIAの決勝の後、寝ているわたしを、優しげな表情で見守ってたって」

 

p「……………何の話だか」

 

広「胸がきゅんとしちゃった」

 

p「事をおおげさに捉えないでください」

 

広「ふふ…」

 

 

広「…」

 

広「…佑芽に言われる前から、プロデューサーのこと、ときどき観察してたけど」

 

p「はい?やめてくれませんか?」

 

広「わたしが、ファンレターを読んでるのを、眺めて、嬉しそうにしてたね。わたしがファンの歓声に耳を傾けているときも、そうだった」

 

p「…」

 

広「…変わり者だよね、ほんとに」

 

p「…」

 

広「わたしに、夢を託してくれたし」

 

p「…」

 

広「…ねえ。夢を叶えたら…もっと、わたしのこと好きになる?」

 

p「…」

 

広「…あれ。身の程を知れって、言い返さないの?」

 

p「言うまでもない」

 

広「ふふふっ。それでこそ、プロデューサー」

 

広「頑張りがいがある、な」

 

p「…」

 

 

p「…」

 

広「ん?」

 

p「今さら、あなた以外は目に入りませんよ」

 

広「…」

 

p「…拍子抜けで、がっかりしました?」

 

広「……………」

 

p「あなたが、行きたい方へ行けばいい」

 

広「…あえ、うっ、うん」

 

p「側で、倒れないように見てますよ」

 

広「…」

 

 

p「…」

 

広「…」

 

p「…さあ、おしゃべりはやめて、もう一休みしたらいかがですか?」

 

広「…」

 

p「横になって…いい時間に、起こしますよ」

 

広「…」

 

p「…寝かしつけてほしいなどと言いませんよね?」

 

広「…」

 

p「…」

 

広「…広」

 

p「…呼びませんが」

 

広「…呼んでほしい」

 

p「…」

 

p「…そうですね。大人しく寝てくれたら、呼びますよ」

 

広「…それなら、夢の中で返事を、するね」

 

広「あなたの名前を呼ぶよ、プロデューサー」

 

p「…ご自由に」

 

 

p「…」

 

p「…」

 

p「…」

 

p「どうせあなたのことだから、しばらく寝たフリをするのでしょう?」

 

p「すぐには呼びませんよ」

 

p「…」

 

p「思い通りになる夢などあなたには似合いません」

 

p「悪夢を見てほしくはありませんが…」

 

p「…」

 

p「…」

 

p「…あなたは笑っている顔が一番可愛いですからね」

 

p「起きたら夢の話を聞かせてください」

 

p「おやすみ」

 

 

 

 

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