にゃん恋✝無双   作:島クジラ

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猫視点
桃鈴愛・朱雛・星


 

 

「ご主人様~」

 

 

 初めまして!私は桃香!

 

 ご主人様に一番最初に拾われた猫で、緑エリア?の主みたいなことしてるの。

 

 今日はご主人様に甘えられる貴重な時間なの。この家には私のほかにもたくさんの猫が居て、ご主人様は全員の遊び相手をしてる。だから、甘えられるときに甘えないと!

 

 

「はいはい、おいで」

 

 

 仕方ないなぁ、って顔で膝の上にのせてくれるご主人様にポカポカとしながら丸くなる。

 今日は窓から日が差しこんでて暖かくて、眠くなってくる。

 

 日向ぼっこを大好きな人の膝の上でしながら眠る。

 すると、大きな手で優しく背中を撫でてくれる。

 

 

「はぁ~、幸せ~」

 

 

 言葉は通じないけれど、私のしてほしいことをしてくれる。

 少し目を開けてみれば、微笑みながら私の背中を撫でていた。そんな笑顔に私の心はドキドキさせられる。あぁ、ずっとこの時間が続けばいいのに………。

 

 

「あー!!桃香お姉ちゃんズルいのだ!!」

 

「ふえっ?」

 

 

 あれ?鈴々ちゃん?

 

 

「鈴々もお兄ちゃんに甘えたいのだ!!」

 

「あ、危ないよ鈴々ちゃん!!?」

 

「にゃにゃっ!?」

 

 

 ご主人様も気づいたけど、間に合わなくてそのまま鈴々ちゃんは床に落ちちゃった。

 

 

「痛いのだー…」

 

「しょーがないなぁ…」

 

「うにゃ、おにいちゃ~ん」

 

 

 ご主人様は落ちちゃった鈴々ちゃんを抱きかかえて、私の横に座らせてくれた。

 

 鈴々ちゃんは私ともう一人、愛紗ちゃんって子の三猫姉妹の一番下の子で、私たちの中で一番元気な女の子。元気すぎて怪我をすることもたくさんあって、私もハラハラすることが何回かあるの。

 この間は遊び場の一番上までいっちゃって、今みたいにご主人様にたすけてもらってたっけ。

 

 

「にゃはは、やっぱりお兄ちゃんの傍は落ち着くのだ~」

 

「もう鈴々ちゃんたら…」

 

 

 ゴロゴロと喉を鳴らしながら、ご主人様の膝で楽しそうに転がる鈴々ちゃんは、見ていてほっこりとする。

 ほっこりとするんだけど…。

 

 

「鈴々っ!!」

 

「にゃにゃ!?……あ、愛紗」

 

「あー、見つかっちゃったぁ……」

 

「お前はまたご主人様に迷惑をかけて…!!」

 

 

 綺麗な黒色の毛並みが逆立ってる…!!

 

 少し速足でこっちに来るのは私の妹で、鈴々ちゃんの姉の愛紗ちゃん。

 とてもしっかりしてて、私がふわふわしてる時も「しっかりしてください!」ってよく言われるんだ。

 でも、怒られると怖い。

 

 鈴々ちゃんと星ちゃんはよく怒られてるね。

 

 

「この間の遊び場の時もご主人様に助けてもらって、少し落ち着いたらどうなんだ!ご主人様といえど、大変なことには変わりないんだぞ!それなのにお前というやつは……!!」

 

「あ、あぅ…」

 

「あ、愛紗ちゃん。落ち着いて…」

 

「桃香様もですよ!!」

 

「あれ!?私も!?」

 

 

 にゃあにゃあ!!と、私たちはご主人様の上で怒られる。

 

 すると、私の視界からにゅっとご主人様の腕が伸びてきて、愛紗ちゃんを捕まえた。

 「ご主人様!?」という愛紗ちゃんの声が聞こえたが、ご主人様は気にすることなく抱き上げて、そのまま私たちと同じ膝の上に乗せた。

 流石の愛紗ちゃんもご主人様の前では形無しなようで…膝の上でオロオロしている。

 

 

「愛紗も膝の上に乗りたかったんだろう?」

 

「い、いえ……そういうわけでは…」

 

「よしよし」

 

「あ、頭を撫で…う、うぅ……」

 

 

 言葉では否定してるけど、口元はユルユルだ。

 

 体も撫でられる度にご主人様に近づいてるし、尻尾もピーンッ!と伸びきっている。

 

 頭と顎を同時に撫でられて、ゴロゴロと喉を鳴らしているのを見ると、嫌がっているようには見えないよ愛紗ちゃん…。

 

 

「はいはい、照れない照れない」

 

「て、照れてません!!」

 

「愛紗、顔が赤いのだ」

 

「ホントだねぇ~」

 

「鈴々~!!」

 

 

 怒りはするけど、愛紗ちゃんは膝から降りることはなかった。

 

 ご主人様に素直に甘えるってことは愛紗ちゃんには難しい。それをご主人様は分かってるから、甘えられる状態を作ってくれる。口では否定するけど、愛紗ちゃんもご主人様のことが大好きだから。

 

 

「な、なんですかその目は」

 

「別に~」

 

 

 ニヨニヨしてるなぁ~、というご主人様の声を聴きながら、私たちはゆったりとした時間を過ごした。

 いつまでもいつまでも、この時間が続くことを祈って…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 は、初めまして。私は朱里でしゅ!!

 

 あぅ、噛んでしまいました…。

 

 

「しゅ、朱里ちゃーん」

 

「あ、雛里ちゃん」

 

 

 こっちは大切なお友達の雛里ちゃんです。

 

 今日はご主人様のところで絵本を読んでもらいます。

 

 

「み、皆さん…日向ぼっことか、他の事をしに行きました……」

 

「うん。今ならご主人様のところに行けるよね?」

 

「大丈夫だと思うよ…冥林さんとかも居ないから」

 

 

 頭のいい冥林さんもいないんだ…。

 じゃあ、今ならご主人様と一緒に過ごせる。

 

 ご主人様は人気者です。私たち以外の猫にも優しく接していますから、みんなが皆ご主人様に構ってもらおうとします。だから、私達だけの時間を手に入れるには賢く動かないといけない。

 今はお昼ご飯も終わって直ぐ。皆さんもウトウトし始めているはずですから、ご飯を少なめに食べた私達なら、眠くならずに構ってもらえましゅ。

 

 

「ご主人様はどこに……」

 

「ソファでゆっくりしてます。早く行かないと寝ちゃうかも」

 

「流石に寝てるのを起こすのは気が引けますからね」

 

「いこ、朱里ちゃん」

 

「うん」

 

 

 昨日徹夜で選んだ絵本を口に加えてそのままご主人様の下へと歩く。

 リビングに置かれた大きめのL字型ソファ。

 足を大きく伸ばした状態で猫たちを見つめるご主人様に、私達は話しかけながらズボンを引っ張る。

 

 

「ご主人様」

 

「ご、ご主人様」

 

「うん?朱里、雛里。どうした?」

 

 

 ソファから体を起こすご主人様は少し眠そうだった。

 

 ご主人様も先ほどお昼を食べたばかりで、暖かい太陽光を浴びて寝ようとしていたのかな。

 そう考えると申し訳なく思う。本を読んでもらうのはまた今度にした方が……。

 

 

「しゅ、朱里ちゃん……」

 

 

 雛里ちゃんも同じだったのか、先ほどの勢いがなくなっている。

 

 

「相変わらずだな。遠慮せず、乗っておいで?」

 

 

 そんな私たちの気持ちを察したのか、膝をポンポンと叩いてそばに来てもいいよと伝えてくださいました。断るのも悪いので、私はご主人様の膝にゆっくりとですが飛び乗りました。

 でも、雛里ちゃんは私よりも恥ずかしがり屋だからどうしようかと、その場をクルクルと回っていた。

 

 ご主人様はそれを苦笑しながら雛里ちゃんを抱っこして膝の上にのせてくださいました。

 

 「あぅ~」といいながら膝の上で少し悶えている雛里ちゃんを羨ましいと思う気持ち半分、よかったねと思う気持ち半分で見ながらもご主人様に本を渡す。

 

 

「ご主人様、これを」

 

「ん?また本か?朱里。猫だけど、本を読むの好きだねぇ」

 

「はわわ」

 

 

 特に怪しむ様子もなく笑顔で本を受け取ってくださりました。

 

 猫の私が言うのもなんですが、怪しいと思うのが普通だと心配になります。私たちには良いことなので誰にも言いませんが…言ったところで伝わりもしないですけど。

 

 

「雛里も好きだったよね?」

 

「あわわ」

 

 

 いきなり本の話を振られて驚いたのか、私と同じような声が出てしまう雛里ちゃん。

 

 それを見て流石のご主人様も怪しいと思ったのか、顔をしかめる。

 

 

「うーん?なんか変な本でも読ませたっけな……」

 

 

「「っ!?……まずいです」」

 

 

 変な本。

 

 その言葉に私たちは反応してしまった。

 しかし、何と言われようと知られるわけにはいかない。これは私たちだけの秘密なのだ。

 

 ある日、ご主人様の部屋を探索していた時に見つけた。ベットの下に存在していた本。おそらく、私たち以外は誰も気づいていないであろう本のことを。

 

 

「よし、じゃあ読んでいくぞ」

 

「「はい♪」」

 

 

 声を嬉しそうにしながらも、私たちは冷や汗が止まらなかったが、ご主人様もこれ以上詮索はしないでくれるようだった。その日は秘密を知られなかった安心感で、本の内容は一切入ってこなかった。

 

 

「隠し場所、一応変えよっか」

 

「うん、そうだね」

 

 

 後日、自身の秘蔵本が知らないところから見つかり、侵入者でも入ったかと疑う男にあわあわし続ける怪しい猫2匹が目撃されることになることを、この時の私たちは知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

 

 

「主よ!そこを何とかお願いします!」

 

「ダメ」

 

「私にはそれが何よりも大事なものなのです、どうか!!」

 

「ダメなものはダメ」

 

「主のケチ……」

 

「ケチも何もありません」

 

 

 私の名は星。

 

 今は私は人生…いや猫生で最も大事な話し合いに負けたところだ。くっ、私では主を説得しきることはできないのか…!!いや、まだあきらめるには早い。主があの壺を置くところを記憶しておくんだ。そしてまた、あの壺を手に入れる…!!

 

 

「星?君は塩分の多いものは食べちゃダメなんだから、もうこれは諦めて?」

 

「嫌です」

 

「嫌ってお前……」

 

 

 そんな呆れた目で見垂れても私は諦めませんぞ主!!

 その壺は私の希望と夢が詰まっているのですから!!

 

 

「めちゃくちゃ不服そう……」

 

 

 私の顔を見て、もしくは声に出ていたのかもしれないが、あきらめないというのが伝わったようだ。ため息を吐きながら、棚の奥に壺をしまう主。

 なるほど、そこに仕舞いますか。覚えておきましょう。

 

 

「なんでよりにもよってメンマの壺なんかに興味を持ってしまったのか……」

 

 

 メンマ。

 

 それはタケノコを茹で発行、乾燥させて作った物。まだ口にしたことはないが、私の直感が告げている。あれは私に必要なものだと!!

 主が以前、らーめんなる食べ物に入っているメンマをおいしそうに食べていたのだ。ならば、不味いわけがない!!

 

 いや、待つのだ星よ。

 

 今この場で、主にメンマの魅力を更に伝えれば、私にメンマを食べる許可をくれるのではないか?

 そして、ともにメンマ道を進むことができるのではないか!!!??

 

 

「気になるのであればお教えしましょう!(キランッ)」

 

「あ、いいです。長くなるやつだねそれ」

 

 

 なっ!!?

 

 

「なんですとー!?(ガーン!)」

 

 

 なんですかその顔は!!!

 

 まるで愛紗が私を見てめんどくさいと思っているときの顔と同じではないですか!!心外ですぞ主よ!!

 最近では翆や蒲公英、桃香様すらも逃げていくのですぞ!

 

 くっ、私ではメンマの魅力を伝えきれないというのか。ここで主を説得できればメンマを他の者たちにも布教し、メンマ道を広めることができたというのに……。

 

 

「これあげるから、我慢してね」

 

「私は諦めませんぞ…」

 

「絶対あきらめてないな、その顔」

 

 

 それはそれとして、主からのチュールはいただきます。主は気づいていないかもしれませんが、主から直接ご飯を貰えることは多くありません。故に、これはこれでご褒美でもあるのです。

 

 だからといってメンマは諦めませんが。

 

 しかし、主の思い通りというのも面白くありませんな。ここは一つ、オス猫共が喜んでいた方法でも試してみますかな。

 

 私は主の手を甘えるように舐めながら、口元にわざと零れるようにチュールを食べる。そして、上目遣いで主に目を向ける。ふふ、我ながら完璧ですな。

 

 

「君、わざとやってるな?」

 

 

 ふふん、戸惑っておられますな?

 

 これはたまに庭にやってくるオス猫どもが嬉しそうに言ってくる姿を見て学んだものです。この姿なら、主と言えど可愛いと思うのではありませんか!!まぁ、オス猫共の喜んでいる姿をみるのはあまり気持ちよくありませんが。なんなら、深いですが。

 

 この間も、愛紗や春蘭などが庭に入ろうとしたオスを排除してましたが。

 

 

『ご主人様の家に入るな不届き者めが!!!』

 

『華林様に近づくな!!!!』

 

 

 にぎゃあぁぁぁぁああ!!という、汚い声が聞こえていたが、誰も同情はしていなかった。あの温厚な桃香様すらも、家に入られるのは嫌らしく苦笑しながら止めに入らなかった。

 

 

「はいはい、掃除の手間が増えるから零さないでねー」

 

「うぐっ!?」

 

 

 いきなり抱き上げられて口元にチュールを押し付けられる。

 

 不意打ちだったから反応できなかった。

 私も立派な女性なのだが、この扱いはあんまりですぞ主。まるで、赤子にミルクをやる絵にしか見えないではありませんか。

 不服そうな顔を見て主も苦笑するが、やめるつもりはないようだ。

 

 

「そういうのはオス猫たちにしようねー」

 

「不覚……」

 

 

 主からのチュールはご褒美だが、先ほどのはあまりにも恥ずかしい。

 こればかりは愛紗などには自慢できないな。

 

 

「ふむ、にしてもさっきの誘惑は無理だったか……」

 

 

 これはやり方を変えなければならないな。

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