「さて、と。どうなることやら」
すでに戦争が始まり半年、物量差で圧倒しているにもかかわらず、世界政府はシロー達を攻めきれずにいた。何故か、スペックが段違いだからである。そして、経験も段違いだからだ。
「やっぱり……………世界はつまんないな。所詮こんなもんか」
そう言って、彼女はコンソールを叩く。
「うふふ、んじゃ、今度は私が直接行ってあげよっかな〜?」
彼女のうさ耳がピョコピョコと動く。そして、赤い光に包まれる。そこにいたのは、あの太陽の逆光に隠れていたあの機体。
「すこーしだけ、遊んであげる♪この束さんがねっ!」
そして、そのままその場から消えた。
「だぁ!」
戦争が始まってから早半年がたった。一夏の両腕もようやく完治し、戦争に駆り出されていた。
『あっはははは!やっぱ人間と戦うのは楽しいなぁ!これだから人間ってやつは面白い!』
「何言ってんだよ!お前は!」
一夏が対峙している相手、グレー色のガラッゾ。そして、
『わたしも忘れてもらっては困るな』
「くそっ!」
一夏のいた場所を数本のビームが連続して襲う。それを避けて上を見上げれば、そこには黒色のガラッゾ。
『ブリング!邪魔してんじゃあねぇ!』
『ヒリング、マスターの命令は悪魔で撃退の筈だ。』
『あ〜あ、相変わらずお堅いねぇ』
グレーのガラッゾがやれやれ、といった感じに首を振る。もちろんコアネットワークで話しているため、一夏にはノイズしか聞こえておらず、行動にしか見えていない。それゆえ、一夏は迷っていた。相手が無人機なのか、有人機なのか。
(こいつら……………何なんだ?どっちだ!?無人機なのか?でも行動は有人機っぽいし……………!?)
『よそ見してんじゃあねぇ!』
グレーのガラッゾがいつの間にか接近、一夏の腹に蹴りを入れ地面に叩きつける。
「ぐうっ!?」
『まだまだいくぜぇ!』
ガラッゾが手のスパイクを構える。
(不味い!?)
一夏はそれを直感で避ける。一拍遅れて、地面に機体より二回りほど大きいクレーターができる。
『男に後退の二文字はねぇ!』
ガラッゾが一夏を腕のビームバルカンで追撃する。
「クッソッ!?」
白式の特殊武装、エネルギー無効化膜『霞衣』でバルカンを防ぐ。
『ふん』
「ぐはっ!?」
黒のガラッゾが一夏の背後から、膝蹴りをうなじに入れる。絶対防御が発動し、シールドエネルギーを大きく削られる。
「くそっ!」
(二対一……………‥分が悪い!)
『はははっ!あのガキ。結構やるじゃんか!』
『やりすぎるな。撃退に留めろ……………ん?……………了解した。マイスターからだ。"一旦引いて他のところへ行ってよ。その子は私が相手をするからさ"だと。』
『ちぇっ!新入りに獲物取られたのは気に食わないが、マイスターや、マスター、上官殿の命令なら仕方がねぇな。引くぞ?』
『了解』
二機のガラッゾが踵を返して、去っていく。
「お、おい!待てよ!」
一夏はスラスターを吹かし追いかけようとする。その瞬間、両方のスラスターが赤いビームに撃ち抜かれる。
「何!?」
落下しながら後ろを振り向くと、そこには、ガラッゾに似ても似つかない巨大なランチャーを携えた、オレンジ色の、ガデッサ。
「……………」
(こいつも……………‥無人機なのか?)
「うふふ、お久だねぇ?一夏。」
聞こえてきた声は、一夏にとっては、一番認めたくない事実だった。
『マスター?』
「なんだ?」
シローは日本海近郊をゆっくりと飛んでいた。周りには日本の打鉄の残骸が転がっている。
『あの子に任せてよかったんですか?』
「……………復讐者にも、復讐者なりの礼儀というものがあるだろう?」
『いいんですか?正直言って私は反対です。』
「好きにやらせてやれ、あいつの心を折るには十分だろう。」
シローはゆっくりと振り向く。そこには、
「さて、こっちもこっちで、始めるか。」
「あら♪誘われるのも、おねーさん嫌いじゃないわよ?」
ランス、蒼流旋を構えた楯無がいた。
「さて、貴方を倒せば、止まるんでしょ?この戦争。」
「自信家だな」
「そうでないと生徒会長やってられないもの」
シローは興味がなさそうにそっぽを向く。
「あら、興味なし?シロー・アマダさん?」
「……………なるほど。そこまで知ってるからには手加減は必要ない、か」
グリフィネスの装甲が展開していく。紫色の光を放つフレームがあらわになる。
「さて、つけましょう?この戦争の決着を」
『貴方ごときではつけられませんよ?ミステリアス・レイディお姉様?』
霧纏いの淑女と幻獣はぶつかりあった。