『マスター!』
「わかってる!」
徹甲散弾を撃ち尽くした後、一番初めに来た、セシリアのブルーティアーズと戦闘を始めたシロー。
「あの時の借りを返させていただきますわ!」
大型のレーザーライフル"スターダスト・シューターをシローに向けて撃つ。シローは合わせる様に。
「ちぃ!ビームのエネルギーは持つのか!?」
『エネルギー残量はまだ余裕です!』
「ならぁ!」
ビームライフルをレーザーに向けて撃ち、相殺させる。
「まだですわ!」
スターダストシューターを再び撃ち込む。
「ふん!」
今度もシローは余裕を持って回避する。そして、お返しとばかりにビームライフルを撃つ。
「はぁ!」
あちらの狙撃技能も評価するべきだろうとシローは思った。点に点で対応するには並大抵の射撃値では出来ない。様はお互いにマシンガンを撃ち合い、全ての弾を一発も逃さず外さず撃ち落とす様なものだ。
「おおお!」
今回は、ビームサーベルは装備していない。変わりにヒートナイフを二本、ビームショートサーベルを装備して来ている。従来のものだと絶対防御を貫通してしまうからだ。
「おおお!」
ヒートナイフを構え、セシリアに突撃する。世代は旧式とはいえ、スラスター周りは下手な第三世代より優れている。苦手な間合いに入り込まれる寸前。
『…………!マスター!回避を!』
「なに!?くっ!」
「いらっしゃ〜い。あん時はよくもやってれたわね!」
次に来たのは、鳳 鈴音。衝撃砲が四門に増えていることにシローは気付く。しかも衝撃砲は視認できるがそれは紅蓮の炎を帯びていた。
「ちっ!」
『マスター、接近戦は難しそうです』
「だろうな、180ミリキャノン砲も使えない。」
接近戦がほぼ不可能となったと判断したシローは拡張領域から、ある武装を展開する。代わりに右手の小型シールドが量子変換される。展開された武装は、右腕を覆うほど巨大なシールドと大型のガトリングを接続させた様なものだ。俗に言う、ガトリングシールドという奴だ。
「さて、こっから本番ね!ボコボコにしてやるんだから!」
「私達だけでも落として見せますわ!」
(ちぃ!これだから中途半端な立ち位置のものはやりにくい!)
『マスター…………』
シローはガトリングを乱射し、二人を散らす。固まっているとやりにくいだけだから。
「この!」
鈴が青龍刀で斬りつけにかかる。
「ふっ!」
同じタイミングで、セシリアが射撃をしかける。
「おおお!」
青龍刀をヒートナイフで、レーザーはガトリングシールドのシールドで受ける。
「ちっ!パッケージ付属のオートクチュールか!出力が前のものより高い!」
『マスター!あと二分ほどでラファールがエンゲージ!」
「くっ!?この忙しい時に!」
「無視すんな!」
腕部の小型衝撃砲、"崩拳"が放たれる。小型ゆえ威力はそこまで無いが、体制を崩すくらいなら十分だった。
「ぐっ!」
『マスター!?』
「ちっ!このぉ!」
ヒートナイフの一本を非固定浮遊部位に投げつける。そして、青龍刀を持つ手を蹴り、そして、ガトリングシールドとマシンガン、胸部小口径対人機銃、頭部バルカン砲を鈴に向ける。
「倍返しだぁぁぁぁ!」
計五門による集中砲火が鈴に浴びせられる。
「うわっ!?ちょっ!?」
慌ててシローの射線からそれようとする。だが、シローもその動きに合わせて動くため、外れることが出来ない。
『マスター!』
「このまま弾幕で押し切る!」
そう言った瞬間、金属と金属のぶつかる甲高い音が聞こえる。着弾時の煙が晴れると、
「これで貸し一つだよ?」
「…………助かったわ。」
ラファールの防御パッケージ"ガーデンカーテン"を装備したシャルロットがいた。
「ちっ!」
『マスター!おそらく防御パッケージです!』
「ちっ!エネルギーシールドと実体シールドの二枚重ね、それが二つ。と言うわけか!」
マシンガンを拡張領域に、量子変換し、ガトリングシールドから大型のヒート剣を抜く。
「さて、三対一だよ?流石の戦神でもきついんじゃ無い?」
『確かに、量と質が兼ね備えば恐ろしいな。半端者じゃなければな!』
三人は再びシローと戦闘を開始するのであった。
「カレン、調子はどうだ?」
「まあ、良くもなけりゃ、悪くも無い、いやむしろマイナスたよ。」
艦上で、試運転をするカレン。何せ初めての操縦なのだ。世代的にはEz8と同じ、武装はビームライフルが無いだけ。あとは。
「あっちとこっち、どっちが上か、ってことぐらいか。」
キタンが砲弾を磨きながら言う。
「しかし、今回は艦上からの狙撃。頻繁な移動は出来ん。注意はしてもしすぎと言うことはあるまい。」
「それに、あんまり派手にぶっ放すわけにもいかないんだよねぇ。何せあの糞どもがターゲットと交戦してるらしいし」
ディルムッドとシュレディンガーも続く。特に今シュレディンガーは機嫌が悪いようだ。実はシュレディンガー、カナヅチなため海が嫌い。浮輪にはヘリウムを入れないと安心出来ないほどだ。
「別段今そんなことはどうでも良いんだよ。問題は…………」
今回は撃墜か捕獲、もしくは撃退。それが小隊に課せられた命令だった。
「さて、戦神がどれだけ動けるか…………。それだけだな」
彼らはまだ、戦神が自分たちの隊長だとは疑っていなかった。
「どりゃあ!」
「おおおおお!」
青龍刀とヒート剣がぶつかり合う。鍔迫り合う場所から火花を散らす。
「私たちも!」
「お忘れなく!」
左右から、レーザーと実弾が迫る。
「ちぃ!」
『マスター…………』
シローはそれを急上昇で回避する。かかるGに全身の骨が軋む。
「はぁ!」
ガトリングシールドを面で撃ち、対象を散らす。
(シールドはまだ持つ、ならば!)
「余裕かましてんじゃ無いわよ!」
大振りの上段で青龍刀を振りかぶる。大振りゆえどうしても隙はできる。シローがそれを見逃すはずもなく。
「おおお!」
スラスターをふかし、シールドを鈴に叩きつけるように突撃する。
「ぐぅ!?」
吹き飛ばされはしたが、すぐさま体制を立て直す。そして、非固定浮遊部位が上下に展開。中心部分から見えない砲弾が撃ち出される。
『マスター!あれが本命の衝撃砲です!』
「見ればわかる!」
拡張領域からミサイルランチャーをコールする。計六発のミサイルが撃ち出される。ミサイルは熱誘導式。
「もう!めんどくさいもんを!」
「任せて!」
現時点で一番冷静なのがシャルロットだった。ミサイルから逃げ回るなど、他の二人と同じようなことはせずにアサルトライフル〈レッドバレット〉を連射、自分のミサイルを撃ち落とすと、鈴とセシリアの分のミサイルも撃ち落とす。
「助かったわ、貸しが二つ出来たわね」
「ふふっ、別に一つのまんまでも良いのに」
「お礼は後ほど、行きますわよ!」
(ちっ、一番冷静な判断だ、よほどのことが無い限りは靡かないな。)
ミサイルランチャーから空の弾倉を、外し、ミサイルのカードリッジを再び装填する。
「させませんわ!」
シローに再びミサイルを撃たれる前に、セシリアが自身のレーザーライフルをうつ。
「これもおまけよ!」
先ほどのシローと同じ、衝撃砲を連射モードで、面でセシリアの穴を埋めるように、撃つ。
『マスター!』
「わかっている!」
『いえ!六時方向、回避!』
「何!?ぐぁ!?」
背中に強い衝撃を受ける。そして、それを受けた衝撃で行動出来ずに弾幕を食らう。
『損傷状況!左スラスター出力17%低下!』
「ガトリング部損傷、駆動系統損傷軽微か。まだいける!」
シローを砲撃した犯人は。
「初弾命中!次弾装填!」
シュヴァルツァ・レーゲンだった。砲撃用パッケージ"パンツァ・カノーニア"を装備していた。
「ナイスタイミング!」
「油断するな!来るぞ!」
ガトリングシールドからガトリングをパージ。シールドを構え直し、攻撃に備える。
「行くわよ!」
それぞれが武器を構え直す。だが、
『マスター!九時方向回避を!』
「なんだと!」
突然砲弾がシローに向かってくる。それを反射でシールドでガードする。
「くそっ!弾種は徹甲弾か!」
忌々しげに舌打ちをしながら、徹甲弾で使い物にならなくなったシールドをパージする。
「な、なんだ?」
「一体なんなの?」
四人もなにが起こったかを理解できていない。それはたった一瞬だったが。
「九時方向に艦あり。艦上に敵機確認。」
九時方向にいる艦。その上には。
「さて、幸先は順調だね」
「初弾命中確認!流石副隊長!」
08小隊最年少のキキが単眼鏡を覗きながら、嬉しそうに言う。
「さてと、オープンチャンネルとやらでガキどもに呼びかけるか」
カレンは陸戦型ガンダムのオープンチャンネルをオンにする。
『おい、そこのガキども!聞こえてるか!こっちは日本軍第八多目的特殊遊撃部隊、カレン・ジョシュアってもんだ!利害が一致してんなら協力しな!やる気が無いんならとっとと退きな!」
「なによ!」
鈴が、反論しようとする。
「まて!」
それをラウラが止める。以前の模擬戦で以来、忘れたことはなかった。
「こちら、黒兎部隊のラウラ・ボーデヴィッヒだ!」
「眼帯ウサギの隊長さんが何のようだい!」
「カレン・ジョシュア軍曹!出来れば貴殿達08小隊の力をお借りしたい!」
「もともとそのつもりだよ!本来あたしらだけでやるつもりだったのさ!」
カレンが浮遊しラウラ達に合流する。
「さぁ、作戦開始だ!友軍に決して当てるな!」
「さてと、気に入らないけど、お仕事だからね。」
シュレディンガーがつまらなそうに、
「いこう。」
「本当は嫌だけど」
「致し方なし、と言うわけか。」
シノン、梨沙、ディルムッドがそれぞれ、諦めたように。
「隊長、見守ってください…………!」
キキが祈るように。
「さて、あんたの命運も終わりにしてやるよ!」
カレンがビームサーベルを突きつけながら、言う。
「はは、俺の道には敵が多すぎるな」
『マスター…………』
シローはヘッドパーツの下で、涙を流していた。
隊員紹介
キキ
08小隊の偵察兵。優れた状況判断と精通した通信機器の性能把握能力を駆使して、本体にリスクを最小限に、最大限の情報を送る。周辺視と言う能力も持っているため、オペレーターや通信士も務める。ISを憎む理由は家族をある組織に皆殺しにされたため。