IS 08小隊   作:elf5242

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第9話

シローがラウラ、鈴、セシリア、シャルロット、08小隊の面々と激戦を繰り広げている頃。

 

「目標視認!もうすぐだぞ!一夏!」

 

「ああ!」

 

箒の赤椿、一夏の白式が高速飛行をする福音に迫っていた。作戦はこうだ。箒が一夏を背中に乗せ、高速飛行、一夏の零落白夜で一刀のもと落とす。

 

「来るぞ!」

 

「おおおおお!」

 

雪片弍型を最大出力にし、構える。そして、一夏達と福音がすれ違う。結果は。

 

「外れた!?」

 

一夏は信じられなかった。ここまで完璧だった。なのになぜ外したか。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

箒が実戦慣れしていないせいでもあった。詰まる所、福音の気迫にびびったのだ。

 

『織斑、篠ノ之、作戦は失敗だ。今すぐに戻れ!』

 

「いえ!やれます!」

 

箒は赤椿の武装、雨月、空裂を構える。

 

「おい!箒!」

 

『篠ノ之!戻れと言っている!』

 

「やれる、やれるんだ!この赤椿なら!」

 

箒はそのまま福音に向かっていく。

 

「くっ!?」

 

一夏もスラスターを吹かし、箒を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおおおお!」

 

シローは五対一で、大立ち回りをしていた。

 

「この!」

 

「そこっ!」

 

「はぁ!」

 

「落ちな!」

 

連射モードの衝撃砲、レーザーライフル、ショットガンとサブマシンガン、マシンガンとバルカンによる、面による弾幕攻撃が展開される。

 

「おおおお!」

 

その弾幕に対し、足から飛び蹴りをするように突っ込む。選択肢は他になかった。ならば受ける面積をできるだけ小さくする。それがシローの対処法だった。

 

「あまい!」

 

ラウラが狙いをつけ、レールカノンで砲撃を開始する。

 

「ちっ!」

 

体を無理やり捻りレールカノンを回避する。

 

「止まったぞ!てぇ!」

 

中型艦から、迫撃砲が発射される。もちろん射手はシュレディンガー。迫撃、爆撃の天才である。それに合わせてラウラも砲撃を続行する。シローはヘッドパーツの下で苦い顔をしながら爆撃を回避して行く。

 

(くっ!?流石はシュレディンガーだ。嫌なところに爆撃してくれる!)

 

「はぁ!」

 

鈴が再び青龍刀で斬りつけにかかる。先ほどのような大振りではなく、細かく、隙の小さい斬撃を繰り出している。

 

「はぁ!」

 

「ふん!」

 

ヒートナイフで青龍刀を受け、蹴りで無理やり距離を話す。

 

「そこっ!」

 

「くらいな!」

 

カレンとセシリアで即席の弾幕をはる。シローはそれを回避しながら、シールドで受ける。

 

「ちぃ!」

 

後付装備のグレネードランチャーをコール。カレンとセシリアに一発ずつ撃ち込み、それを鈴に向かって投げ捨てる。

 

「なによ!こんなもん!」

 

すぐさま投げつけられたそれを、青龍刀で斬り捨てる。だが、シローはなにも"撃ち尽くしたグレネードランチャー"を捨てたわけでは無い。従って。

 

「きゃあ!」

 

グレネードランチャーの弾倉に残っていた残りの弾が誘爆。そのまま鈴を爆炎に巻き込む。

 

「鈴さん!」

 

「厄介だねぇ!」

 

「二人とも下がって!」

 

「おことわりします!」

 

「軍人が下がったら面目立たないだろ!」

 

三人がそれぞれの射撃武器を構える。そこにラウラも合流する。パンツァ・カノーニアのレールカノンをパージしたようだ。どうやら弾切れらしい。

 

(合流されたか、仕方が無い。あれを使う!)

 

シローは拡張領域からあるものを取り出す。見た目は手榴弾のようだ。実はこれ、爆薬は一切入っておらず、爆発部には、大量のIS用のベアリング弾が入っている。それを。

 

「ふん!」

 

ためらいなくそれを四人の中心地点に投げる。

 

「「っ!?」」

 

ラウラとカレンが、すぐさまその場から離れる。

 

(ちぃ、まさか、あんなもん使って来るとはね!)

 

(なんだかよくわからんが、あれはやばい!)

 

「この程度のもの!」

 

セシリアがレーザーライフルを向けた瞬間。それからけたたましいモーター音がなり、大量のIS用のベアリング弾が二人にばらまかれる。

 

「うわぁぁぁ!?」

 

「きゃあぁぁぁ!?」

 

「なんだあれは!?」

 

「"ケイオス爆雷"さ。」

 

「ケイオス爆雷!?」

 

ケイオス爆雷、実はこれ、元はと言えば対人兵器である。小隊から大隊まで使用可能で、投げた方向にベアリング弾を撒き散らし、面攻撃で攻撃する兵器である。

 

「そんなものを…………」

 

「中身は全部対IS用のベアリング弾に入れ替えてあるらしいね。喰らったら専用機って言っても被害は避けられないだろうね」

 

カレンがマシンガンの弾倉を交換しながら言う。シローは新たにケイオス爆雷を二つ取り出す。

 

「く………うう…………」

 

「っ…………!パッケージも持ちそうに無いや」

 

煙の中から、ボロボロのシャルロットとセシリアが現れる。二枚のシールドはボロボロ、もはや防御機能は期待出来ない。セシリアもレーザーライフルを破壊され、推進力に回していたビットは全て破壊されていた。つまり、実質武装は近接用のナイフのみ。近接がからっきしのセシリアは戦闘力は無いも同然だった。

 

「どぉぉぉりゃぁぁ!」

 

爆煙の中から連結された青龍刀が回転しながら飛んでくる。シローはそれを爆煙の中に蹴り返す、そして、おまけと言わんばかりにケイオス爆雷を投げ込む。

 

「えっ!?ちょ!?なにこれ!?」

 

ちなみに投げたのは普通のケイオス爆雷ではなく、機能阻害付きのケイオス爆雷。つまり、

 

「えっ!?なんで!?動いてよ!甲龍!」

 

当然こうなる。何にせよこれで一人減った。つまり三対一。

 

「仕方が無いねぇ、眼帯ウサギの隊長さん、あたしとあんたで前衛、そっちのあんたは、後衛だよ。もうそれも役に立たないだろう?」

 

「悔しいけどね」

 

歯噛みするようにカレンに答える。二枚のシールドをパージして、マシンガン〈ラピッド・ラビット〉ショットガン〈レイン・オブ・サタディ〉を展開、ラウラもプラズマ手刀を構え、カレンもビームサーベルを抜く。

 

『マスター!グランドマスターからの通信です!』

 

「あぁ、戦闘をしながら聞く!」

 

『繋ぎます!』

 

通信が繋がれると、束の声が聞こえる。

 

『もすもすひなますー?そっちはどう?』

 

「今戦闘中だ!」

 

迫って来たラウラとカレンをショートビームサーベルで相手をする。

 

『まぁ、別段どっちでも良いんだけどねぇー。それよりもぉ、もう戻ってもいいよー?』

 

「なに?」

 

通信に答えながら、ラウラに蹴りを浴びせ、カレンはビームサーベルの持ち手の底で、額部を殴打する。

 

『うん、しっくんのはここでおしまい。適当にあしらったら、先に戻っててもいいよぉ〜』

 

「まて!篠ノ之束!お前に聞きた」

 

そう言いかけた瞬間に通信が切れる。

 

「クソッ!」

 

悪態をつくシロー。よほど聞きたいことだったのであろう。わずかにその動きが止まる。

 

「止まったね。んじゃ、ポチッと」

 

迫撃砲が火を吹く。流石のシローも聞き慣れた轟音を聴き取り、回避行動を取る。

 

「んー、甘いねぇ。隊長風に言うなら"面での同時爆撃ほど怖いものは無い"だっけかなぁ」

 

シュレディンガーの予想は正しかった。シローはシュレディンガーに巧みに誘い込まれる。いや、誘い込まれるしかなかった。

 

「副隊長、きたよ?」

 

「後で、好きなもんおごってやる」

 

カレンがシローと同じ180ミリキャノン砲を展開し、シローに突きつける。同時に。

 

『マスター!一夏様と箒様が!』

 

「なんだと!?くっ!?座標と方角を!」

 

シローも180ミリキャノン砲を展開する。だが向けたのは明後日の方向。

 

「間に合え!」

 

「よそ見してんじゃ無いよ!」

 

二連で轟音が鳴り響く。一発はシローの砲弾、方向は福音と戦闘中であろう一夏達のいる方向。もう一発は、カレンの砲弾。それはシローの頭部へ。

 

『っ!!マスター!』

 

「しまった!?ぐぁ!?」

 

砲弾がヘッドパーツに直撃し、爆煙を上げる。ヘッドパーツは破損、頭部は流血し、顔の右半分ほどが露出している。

 

『マスター!?』

 

「ここまでだな…………!」

 

右腕で、露出した部分をかくし、左に、あるものを取り出し、露出した歯でピンを抜き、投げつける。そして、投げつけられたそれは、激しい閃光と音を発した。俗に言うスタングレネードだ。

 

「くっ!?」

 

「古臭い手を!」

 

光が収まり、ハイパーセンサーが復旧。視界がクリアになった時は、もうシローの姿はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!?エネルギー切れ…………!こんな時に!?」

 

「っ!!箒!逃げろ!」

 

「っ!?しまっ!?」

 

作戦が失敗、帰投命令を無視し、一対二で福音撃墜に当たっていた一夏と箒。最初こそ順調に攻めていたものの、福音のウィングスラスターと片翼18門、計36門の砲門の前に苦戦を強いられ、ついに箒が具現化維持限界までエネルギーを使い果たし、落とされようとしていた。

 

「箒ぃぃぃ!」

 

一夏がスラスターを吹かすが、すでに福音は砲門を開こうとしている。万事休すかと思われた。が。

 

『っ!?』

 

一発の砲弾が、福音に直撃。その福音の体制が大きく崩れる。

 

「今のうちに!引くぞ!今度は嫌とは言わせねぇからなぁ!」

 

「あ、あぁ」

 

二人は退却を開始する。福音も少なからずダメージを受けていたため、一夏とは別の方向に飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…………はぁ…………」

 

『マスター…………」

 

シローは五キロほど離れた森に、退避していた。頭部の流血はある程度収まっている。

 

「ははっ、本当に…………俺には敵が多すぎる。」

 

『…………。』

 

コア人格は歯噛みした。たとえ嫌われても、拒絶されてもいい。同じ姿で、一緒にいたい。それゆえ、この体が非常にもどかしい。

 

『…………マスターぁ…………!』

 

「はぁ…………はぁ…………、まだ立ち止まれない。立ち止まるわけには…………!」

 

シローはもう戻れない位置まで着ていた。もう彼に立ち止まることも戻ることも許されない。進むしかない。邪魔をするなら倒すしか無い。それがたとえ誰であっても。

 

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