ホロウの中でも技名を叫んでから殴る。   作:斗流の教えはどうなってんだ!?

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ホロウ戦線 その2

 斗流血法(ひきつぼしりゅうけっぽう)

 

 それは、セイヴの師匠、裸獣汁外衛賤厳が編み出した技術である……血液を操作して、刃身と呼ばれる武器を作り出す技術。

 

 そこに合わせて、それぞれの血に込められた属性を掛け合わせる事で技を放つ――裸獣汁外衛賤厳が使用するのは、炎と風、二重属性だ。

 

 セイヴは、この世で唯一その斗流血法を受け継いだ男……()()()()()裸獣汁外衛賤厳の一番弟子である。

 

 

 

 セイヴは、斗流血法の刃身の一つの焔丸を構えて、片腕の大剣を振り下ろしてくるデュラハンの攻撃を、最低限の動きでひたすらにいなしていていた。

 

 刃と刃がぶつかる度に、金属音が響き渡る……方や血液でできた刃なのに、どうして金属音なんてものが響き渡るのだろうか?

 

 しかし、セイヴはそんなくだらない疑問は斗流の技術を始めてみたときから考えるのをやめている。

 

 デュラハンは決定打を与えられないことにイライラしながら、雄叫びを上げながらセイヴへと只管にその剣を叩きつけてきた。

 

「ちぃ……!」

 

 セイヴはとっさに後ろに滑り攻撃を回避すると、デュラハンが刃を振り下ろした隙に、セイヴは焔丸を大きく振りかぶりながら飛び上がる。

 

「斗流血法!」

 

 そして飛び上がる勢いのまま、手に持ったその太刀をデュラハンに叩きつけた。

 

鉢くだき

 

 振り下ろされた太刀は、デュラハンの片腕を切り落とす。切り落とされた腕はぽとりと落ちて、デュラハンはまた雄叫びをあげる。

 

「か〜ら〜の〜!」

 

しかし、まだだ。片腕をやった程度でいい気にはならない。それは、セイヴが一番良く分かっている……そこは抜からない。

 

 セイヴは焔丸を翻し、そのまま居合い斬りの体勢を取るとデュラハンその胴体に対して一閃――

 

大蛇薙

 

 セイヴは刃を掲げながら振り向く。すると、デュラハンの胴が真っ二つに割れてそこからさらに一センチ台の金属片になるように斬撃が続いた。

 

 そこまで切り刻まれたデュラハンは再生もままならずに、その場でホログラムのように消えてなくなってしまう。

 

 セイヴは焔丸を血液に戻してしまい、タバコを1本取り出して口に加えて、持っていたり針付きのジッポライターで火をつける。

 

「想像よりは易かったな。案ずるがより産むがよし、ってか?」

 

 セイヴはタバコの火を消さぬように辺りを見回す……デュラハンを倒したのにも関わらず、師匠の裸獣汁外衛賤厳の姿は見えない。

 

 討伐の次はかくれんぼだろうか?相変わらず遊び心に事欠かせないジジイだと、セイヴは深い溜息をついて一服する。ホロウの中で随分と呑気なものだ。

 

「見つけた。」

「今日はツイてるぜ!」

「アタシの金庫!……って人!?」

 

 だが、そんな呑気もここまでのようだ……足音と共にボンプ含めた4人組がやって来た。一人はギャルっぽい人間、一人は赤いジャンパーを着た知能機械人、一人は電磁ナタを持った少女だ。

 

 何か訳ありなようで、臨戦態勢を取ってきた。

 

「まさか赤牙組の追っ手?」

「金庫が目的か?」

「アタシの金庫!」

「オイ待て!ステイ!俺はやり合う気はねぇ!」

 

 流石にここに来て三人、ポンプ含めたら四人との戦闘は避けたい……そもそも戦う理由がないのなら尚更だ。セイヴのその弁解に、それぞれは顔を見合わせた。

 

「そんなに言うなら、その足元のを渡して頂戴!」

「あっ?どれだ……これ?」

「それはただの瓦礫!その隣!」

「隣……あぁ、この金庫か。」

 

 セイヴはその金庫へ目を向けると、セイヴはその金庫から離れる……どうぞ取ってくださいと言わんばかりの佇まいだ。

 

 どうやら本当にすんなり渡されるとは思っていなかったみたいで、四人は顔を見合わせている。そんな最中、セイヴの心情は穏やかではなかった。

 

(し、七獄使わないでよかったぁ〜!)

 

 心の中は、そんな気持ちで慌てふためきいっぱいだった……七獄とは、斗流の技の一つ。敵……と言うか、周囲を業火で包み込み相手を焼き尽くす必殺技だ。

 

 そんなのをもし使っていれば、金庫は焼き付け台無しに……そうすれば、さらなる面倒事に発展したのは言うまでもないだろう。

 

 だが、電磁ナタをもった少女が問いかけてくる。

 

「……ここには、強力なエーテリアスが居た筈。」

「そう言えばそうだ!アンタ、デカい片腕が剣のエーテリアス見なかったか?」

「デュラハンか?殺った。」

 

 さらりとそう答えるセイヴに、一同は驚いた顔をする。

 

「一人でか!?マジかよ!?」

「ビリー、この人自体がエーテリアスの可能性がある。人間に化けて、ホロウの外に出た所で――」

「だぁから!それは映画の話だろって!」

 

 ワチャワチャと話す最中、セイヴは一つ咳払いをして声を掛ける。

 

「行っていいか?少し人を探していてよ。」

「人探し?」

「人探し……つぅか。まぁ、俺をここにつれてきた強悪ド外道のくそったれ。」

「極悪ド外道……?」

 

 セイヴの口から出る言葉を理解できずに首を傾げる一同。セイヴは頭を抱えながら呟く。

 

「俺の師匠でな、兎にも角にも人を罵倒するレパートリーに事欠かさないド畜生ボロ雑巾。ホロウに簀巻きにした人間を放り込む奴。」

「それ本当に師匠!?」

「兎に角、その人を探して一発しばいてやらねぇといけねぇから……それじゃあな。」

 

そう言ってセイヴは手を振りながらその場をから立ち去る……彼女達は目当ての金庫を見つけて大はしゃぎだ。よほど大事なものだったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて、セイヴはホロウの中で師匠たる裸獣汁外衛賤厳を見つけ……すぐさま焔丸を取り出して斬りかかりにきた。

 

「往生せいや師匠ォォォォォォォッッッ!!」

地面を這う羽をもがれた蝶よりもよりも鈍い。

 

 だが、裸獣汁外衛賤厳はセイヴの身体に血の糸を巻きつけて大きく持ち上げ……地面へ向かってセイヴを頭から叩き落とした。

 

「ぐぇ」

行くぞ。ホロウの中で異形と成りたければそのまま項垂れていろ。

「ま、待ちやがれぇ!」

 

 セイヴは頭がくらくらするような感覚とともに目の前の老人を情けなく追いかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん?どうしたの?」

「いや。彼の言っていた師匠――少し思い当たる人がいてね。気の所為かも知れないが。」

 

 パエトーンとの再びの邂逅は近い。




本編じゃ不発に終わった焔丸の蜂くだき。
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