こちらアビドス廃校対策傭兵委員会です   作:rahotu

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アビドス前史

 

一方的な生徒会長指名と前任者達の退任、廃校間近の学園にあって梔子ユメが救ったこの世界の外から来た大人。

 

男は自らを“レイヴン“とだけ名乗った。

 

“彼“と共に持ち込まれたあのロボットと技術、そこに残された卓越した戦闘の記録。

 

頻発する砂嵐によってオアシスが枯れ、住人も生徒も次々と故郷を離れ街は廃墟となり深刻な借金に喘ぐアビドスにとって、明日を生きる上での傭兵活動は必然的な結論であった。

 

私は記憶を失い行き場のない彼を利用し、そのために生徒会長に祭り上げられた無力な彼女を利用した。

 

選択肢などない。

 

あの一年生は最後まで反対したが彼の肉体と機体に刻まれた経験に頼る他、私達に道はなかった...。

 

-*1神助エミコ-

 

 

 

 

 

 

 

 

《キヴォトスに先生が来る三年前》

 

『作戦を説明する、アビドス砂漠廃墟ビル群を占拠する武装勢力を排除する。もとはアビドス華やかりし時に建設された商業都市だが、砂嵐によって基幹インフラを失い長く放置されてきた』

 

『敵は単にそこを都合よく利用しているに過ぎない。この作戦はいわばプレゼンテーションだ、君の実力を企業にアピールするためのな』

 

『特に嘗てのアビドスの雄セイント・ネフティス社はもう一度鉄道事業を復興しようとしているらしい。その関係でビル群の再開発を計画している』

 

『状況はすでに出来上がっている、お膳立ては十分に済んだ。あとはキミ次第だ』

 

彼との通信を切り私は取り敢えずの役目は終えたと息を吐く。

 

上手く行くかどうかは正直言って五分五分、少なくとも彼の乗ってきたロボットは手元に残る手筈は整えている。

 

かつてミレニアムサイエンススクールへの転入試験に失敗したが、あのロボットを手土産にすればセミナーや全知の連中も手のひらを返すだろう。

 

そうすればこのアビドスともおさらばだが、おそらくそうはならないだろうとこの時の私は予感していた。

 

キヴォトスの外で作られたと思わしき超技術の塊たるロボットと、何よりも記録データを解析し見ることが出来たあの男のものと思わしき戦闘データーが如実に伝えていたのだ。

 

人を人とも思わない大量殺人を生業とする傭兵としての彼と、殺人を禁忌とするキヴォトス人との埋め難い差を...。

 

 

 

 

 

 

アビドス高等学校現生徒会長 梔子ユメは目の前の光景に絶句し身が震え胸から込み上げる嘔吐感を我慢するので精一杯であった。

 

自分達に代わって汚れ仕事を引き受けてくれた彼にせめて出来る事をとオペレーターに志願し、危険があれば直ぐにでも助けに行ける準備を整えていたが良い意味でその予想は裏切られる。

 

圧倒的その一言では済まされないほど彼の戦い方は徹底的で容赦がなく、後にはただ無惨に焼けた大地だけが残った。

 

幾つもの黒焦げた残骸が転がる様は、殺人を忌避するキヴォトス人のユメに相当のショックを与えたのだ。

 

だがユメはそこから逃げる事はできなかった、一度血に染めた手は元の無垢を取り戻すことなどできないのだから。

 

あの日、大切な後輩から決別された時から既に運命の歯車は狂っていたのだ。

 

そうしてユメの苦悩とは裏腹に、殺人を行うアビドスの傭兵の名は瞬く間にキヴォトス中の企業に知れ渡る事となる。

 

 

 

 

 

パックス・エコノミカ 企業により夢想された世界(キヴォトス)の再編構想

 

それはキヴォトスを支配する学園に代わり、賢明な経済主体たる企業が市場と資源を独占

 

人々を工場に押し込めただ糧食を得るためだけの労働に従事させる。

 

効率のみを考えられた搾取機構(システム)の創造

 

その野望は常に学園の力の象徴たる神秘とそれを操る生徒達によって阻まれてきた

 

神秘に対抗するだけの力を持たないセイント・ネフティスは衰退するアビドス同様時代遅れの巨人であり、そこに現れたのが生徒を殺す事が出来る彼の存在である。

 

ネフティスは私達を受け入れ彼と彼が持ち込んだ人型ロボットAC(アーマードコア)を駆る傭兵は、生徒の血を啜り低俗な政治的駆け引きによって生まれたのだ

 

傭兵の存在は錯乱したアビドスとネフティスの世迷言、政治的な駆け引きだけの存在。

 

この時はまだ、誰もがそう思っていた...ただ私一人を除いて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
エミール・グスタフ




神助エミコ

アビドス高等学校2年、梔子ユメが生徒会長を押し付けられる前の元アビドス生徒会メンバー。そこそこの科学者としての素養に恵まれたがミレニアムに入れる程では無い凡人(つまりモモミド以下)。反面政治力に優れ梔子ユメにかわり実質的にアビドスの最高責任者となる。アビドスの傭兵を使い多くの成果を得たことは後のアビドス廃校対策委員会にも大きく影響した。

小鳥遊ホシノとは犬猿の仲であり梔子ユメ失踪後二人は最期まで分かりあう事は無かった。先生就任時には既に故人である。
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