私―――和田
ふと、バスの窓に映る自分の姿を見る。
はあ。と、いつも自分の姿を見るとどうしてもため息をついてしまう。
・・・私の大きな悩み事は二つ。
一つは自分の体について。
かっこいいとは縁遠い、かわいらしい顔。
筋肉質というにはあまりにも程遠い細い体。
細長い、ゴツゴツしていない手。
そう。誰がどう見ても女の子と間違われる。そんな容姿を持って生まれてきてしまったことを私は心の底から自分を恨んでいる。
これのせいで小学校一年生の頃からいじられ、ある日無理やり女装されてその写真を学校中に撒かれた時から僕は不登校になった。
そしてもう一つ。姉のことだ。
姉は三年前、中学を卒業した後すぐにその訳をなにも話さずキヴォトスに移り住んだ。
けど、半年も経たないうちに連絡が来なくなり、その行方は今でもわからない。
私は何度も悩んだ。姉を探すためにキヴォトスに行くか、それとも帰りを大人しく待つか。
私を助けた人、研究仲間、尊敬する人生の師・・・周りの人は私がキヴォトスに行くと言った時、まるで戦地に赴く我が子を止めるかのように私を外の世界に引き留めようとした。
また、ため息をついて外を見る。そこには銃を担いで歩いている人たちがいる。
だが、銃を担いで歩いている人たちはそれを気にしていない。むしろ一種のファッションのように銃を担いでいる。
ああ。私は自ら地獄に降り立ってしまった。 と、自分で思う。
乗っていたバスが止まる。私は運転手に挨拶をし、降りる。久しく感じていなかったアスファルトの感触を感じ、かぶっていた帽子を外すと私は化け物を見るような目で見られる。
それに耐えつつ年季の入った扉を開き、ポストから鍵をとって、重たい鞄を持ちながら階段を上がる。
ジンジンとする手のしびれに耐えながら鍵を開け、部屋はほこり臭い。
私はその臭さにたまらず窓を開けると、今度はどこからか風にのってきた硝煙の匂いがする。
一瞬匂いに顔をしかめたが、まあいいや。と窓を開けっぱなしにする。
次に飲みかけのペットボトルをカバンから取り出す。
中に入っている水は硬水で、外の世界から持ってきた水だ。
最初これを飲んだ時はあまりにも口に合わず、吐き出してしまったこともあった。
そんなほろ苦い出来事を思い出しながら飲む。
ゴクゴクと飲んだ後、ふうと息をつく。
今、研究所の仲間は元気にしているだろうか?
まあいいや。もう会えないだろうし。
先生方こんにちは、筆者です。名もなき少年に奇跡を。ということで、どうか楽しんで頂けると幸いです。